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【伊賀の国】石燈篭と樹齢350年超の枝垂桜の延寿院

はじめに

伊賀の国」は、かつての日本の地方行政区分で、現在の三重県西部、上野盆地一帯に該当する令制国の一つであり、東海道に属していた。「伊賀」は、現在でも三重県の伊賀地方を指す呼称として使われており、伊賀市と名張市を中心に構成されている。伊賀は、伊賀流忍者の発祥地として知られ、伊賀焼(陶器・炻器)や伊賀組紐の産地としても有名である。

延寿院【えんじゅいん】は、三重県名張市赤目町にある歴史ある寺院で、特にその美しい枝垂れ桜石灯籠で知られている。

御本尊は不動明王で、赤目不動尊として信仰されている。この地には、赤い目の牛に乗った不動明王が出現したという伝承が残されている。近くの赤目四十八滝の遊歩道の途中には、その「赤目の牛」の像が設置されている。

延寿院は、江戸時代に再建された建物であり、名張藤堂家の代々の祈願所として庇護されてきたという歴史がある。延寿院は、その歴史と美しい自然で多くの人々に愛されている寺院である。

目次
はじめに
延寿院
あとがき

延寿院

延寿院【えんじゅいん】は、天台宗山門派(延暦寺派)の寺院で、山号を黄竜山と称する。御本尊は不動明王である。本堂は、赤目四十八滝の入山口に近く、坂を登った先に位置する。地元では、別名で「滝寺」とも呼ばれている。

寺の創建は、役行者【えんのぎょうじゃ】によるものとされているが、平安時代の中頃に役行者ゆかりの赤目滝が僧・正縁によって発見され、河内国の僧である延僧によって本堂が1122年に建立されたと伝わる。

本堂には、霊験あらたかな赤目不動尊像が安置されている。赤目不動尊は、目黒不動尊や目白不動尊と共に、日本不動三体仏の一つに数えられている不動尊である。

延寿院の前身は、青黄竜寺と呼ばれており、伊賀一国の納経所となっていた。そのため多くの参詣者が集まり、賑わっていたという。

境内にある石燈篭は、鎌倉時代の傑作と言われ、旧国宝であり、現在は重要文化財に指定されている。

また、境内にある「菩提しだれ桜」と呼ばれる枝垂桜の樹齢は350~400年と推定されており、高さは7m、幹周りは5mもある。名張市の文化財に指定されている。品種はエドヒガンで、毎年春に美しい花を咲かせ、参拝客や観光客を魅了している。

名 称黄竜山 延寿院【えんじゅいん】
所在地三重県名張市赤目町長坂755
TEL0595-63-3009
駐車場なし
Link延寿院 | 観光三重

あとがき

延寿院は、修験者・役小角【えんのぎょうじゃ】が開いたとされている。以来、修験道の修行場として重要な役割を果たし、多くの修験者たちがこの地で修行を積んだとされている。

また、赤目四十八滝は伊賀流忍者たちが修行を行った場所として知られており、伊賀流忍者の歴史とも深い関わりを持っている寺院である。

延寿院は、「天正伊賀の乱」の際に織田勢によって焼かれ、仏閣はすべて焼失してしまった。天正伊賀の乱とは、伊賀国で起こった織田氏と伊賀惣国一揆との戦いの総称である。この戦いは2度にわたって行われた。第二次天正伊賀の乱(1581年)は、織田信長が自ら大軍を率いて伊賀国に侵攻した戦いである。信長は伊賀国を徹底的に攻め、伊賀衆を壊滅状態に追い込んだ。この戦いにより、伊賀国は織田氏の支配下に入ったが、伊賀衆の一部(伊賀流忍者)はその後も徳川家康に仕えるなどして生き延びたという。

消失していた延寿院は、江戸時代に入り、この地の領主となった名張藤堂家の藤堂高次によって再建されたという。それは、今から約400年前のことである。延寿院の境内にはその時代に植栽されたと伝わる枝垂れ桜が、落雷や風雪にも耐えながら、現在も元気に生育している。その枝垂れ桜は「菩提しだれ桜」と呼ばれ、毎年美しい花を咲かせいる。だからこの枝垂れ桜の樹齢は、およそ400年に及ぶ可能性が高いはずである。


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