はじめに
能登半島【のとはんとう】国定公園は、石川・富山の2県にまたがる、能登半島の海岸を主体に指定された国定公園である。
能登半島を一周すると日本海側(外浦エリア)と富山湾側(内浦エリア)で対称的な景観が見られる、非常に魅力的な旅となる。
和倉温泉は、能登観光の玄関口に位置し、七尾湾に面して旅館が並ぶ、全国有数の高級温泉街として知られている。今回の旅は能登半島国定公園と共に和倉温泉の魅力を知るきっかけとなった。
千里浜
千里浜【ちりはま】なぎさドライブウェイは、のと里山海道の千里浜ICと今浜ICとの間の約8kmにわたる千里浜海岸の砂浜の道路である。観光道路の目的で解放されている。
千里浜なぎさドライブウェイは、一般の自動車や大型バスでも砂浜の波打ち際を走ることができるように整備されていて、悪天候ではない限りは年中走行可能である。天候が悪く海がしけたり、強風時は安全のために閉鎖される。
一般の車両やバイク、大型観光バスが走行できる理由は、千里浜海岸の砂粒が一般的な海岸の砂の半分程度と小さく(直径約0.2mm)、海水を吸って舗装道路のように固くなり、普通の砂浜のように沈まないからであるらしい。
千里浜なぎさドライブウェイは、海岸の砂浜を車で走れる全長約8 kmのドライブウェイで、バスやバイクでも砂浜を走ることができる、日本で唯一の観光名所となっている。
ここなら交通量が少ないのでゴールド免許保持者(実態はペーパードライバー)の妻も運転ができた。
私は、自分で運転するより緊張したが、普段は絶対にできない車内からの撮影ができて良かった。天候が良ければもっと素晴らしい想い出の写真を撮ることができたことだろう。それが残念だ。
名 称 | 千里浜なぎさドライブウェイ |
所在地 | 石川県羽咋市千里浜町~宝達志水町今浜 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 千里浜なぎさドライブウェイ/羽咋市 |
能登金剛
能登金剛【のとこんごう】は、能登地方(石川県羽咋郡志賀町)に位置する景勝地である。約30kmに亘って奇岩、奇勝、断崖が連続する海岸であり、能登半島国定公園の代表的な景観の一つである。遊覧船も運航されている。
能登金剛の見所として知られているのは巌門、関野鼻、機具岩、ヤセの断崖、碁盤島、吹上滝、増穂浦、玄徳岬などである。
なかでも巌門は特に有名である。巌門は波の浸食によって形成された天然の洞門で、幅6m、高さ15m、奥行き60mにも及ぶ巨大なものである。
巌門は、能登金剛を代表する存在である。岩盤が海に突き出たおり、その岩盤には浸食によってぽっかりと穴があいて洞門となっている。
洞門の上に登ると、そこは広場のようになっており周囲に老松が生い茂っていた。
名 称 | 能登金剛・巌門 |
所在地 | 石川県羽咋郡志賀町富来牛下巌門 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 巌門|ほっと石川旅ねっと |
機具岩【はたごいわ】は、「能登二見」とも呼ばれる夫婦岩で、夕陽が美しいとされる。
関野鼻は、日本海沿岸では珍しいカルスト地形の岬で、非常に変化に富んだ奇岩風景が見られるという。かぶと岩、義経一太刀岩、弁慶二太刀岩などと名付けられた奇岩があるというが、志賀町により海岸付近への立ち入りが禁止されている。
増穂浦は、貝類が豊富に採れる遠浅の砂浜海岸として知られる。突堤には世界一長い、全長460.9mのベンチが設けられており、新たな観光名所となっているそうだ。
ヤセの断崖は、標高35mもの垂直状の断崖絶壁で、高所が苦手な私が行くのは無理な場所である。
猿山岬
能登半島国定公園に指定されている猿山一帯は早春に咲く雪割草の大群生地として知られる。
猿山(標高332m)の西側は侵食によって高さ200mもの断崖絶壁となって海に接しており、猿山岬【さるやまみさき】と呼ばれる。猿山岬の先端には猿山岬灯台がある。
名 称 | 猿山岬 |
所在地 | 石川県輪島市門前町吉浦〜深見 |
駐車場 | あり(有料) |
Link | 猿山岬灯台(雪割草群生地)|ほっと石川旅ねっと 自然の中を歩く – 門前町観光ガイド |
皆月湾
皆月湾【みなづきわん】は、能登半島北西部外浦側に位置する半円形の湾である。海の幸に恵まれ、綺麗な海と砂浜の景観が美しいことで知られる。皆月の地名は港を意味する水津城に由来しており、北前船の要港であったらしい。
皆月と餅田の集落では季節風除けの間垣があり、伝統的建築物も多く見られる。
名 称 | 皆月湾 |
所在地 | 石川県輪島市門前町皆月 |
駐車場 | なし |
Link | 皆月海岸|ほっと石川旅ねっと 自然の中を歩く – 門前町観光ガイド |
曽々木海岸
曽々木海岸【そそぎかいがん】は、能登半島北北西部の外浦側に位置する海岸で、豪快な断崖風景で知られ、能登半島有数の景勝地となっている。国の名勝及び天然記念物にも指定されている。
主として流紋岩からなる堅い岩盤が日本海の荒波によって浸食されて無数の奇岩となっている。名前がついた奇岩としては水門崖【すいもんへき】、福が穴、尋岐【ひろき】、権現岩、窓岩などが知られる。板状の流紋岩の真ん中に窓の如く直径2mの穴が開いた奇岩である窓岩は、曽々木海岸のシンボル的存在となっているようだ。
窓岩の前には「窓岩ポケットパーク」があり、記念撮影に最適の場所となってるという。春と秋には、天候が良ければ、夕暮れ時に「窓」のなかに夕日がピッタリと納まった瞬間を見ることがでらしい。是非、写真に収めてみたいものだ。
名 称 | 曽々木海岸 |
所在地 | 石川県輪島市町野町曽々木 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 曽々木海岸|ほっと石川旅ねっと 窓岩【名所・旧跡】|のとねっと(能登観光ポータルサイト) |
禄剛崎
禄剛崎【ろっこうさき】は、石川県珠洲市に位置し、日本海に面する能登半島の最先端にある岬である。
禄剛埼は、能登半島の外浦と内浦の双方の接点に位置するため「海から昇る朝日と、海に沈む夕陽」の両方が見られる場所として知られている。
古くから日本海航路の要所として重要視され、特に一帯は海難事故が多かった。そのため、航路を照らすのろしが古くから上げられていた場所であり、狼煙町、狼煙港、狼煙海岸などの地名が残っている。
禄剛埼灯台は、禄剛埼の先端に建ち、地元の人たちからは、設置されている狼煙町の名前から「狼煙の灯台」とも呼ばれている。
禄剛埼灯台は、明治時代にイギリス人技師の設計によって造られた白亜の石造灯台である。塔高は12m、灯高は48mであるという。光達距離は18海里(約33km)に及ぶ。
歴史的・文化的価値の高さから、Aランクの保存灯台に指定されている。通常の灯台は、レンズを回転させることにより光を点滅させるが、この灯台では、レンズを固定して灯火の遮蔽板を回転させることによって点滅させているという。
禄剛崎一帯には海岸段丘(海抜約50mの断崖絶壁)が発達しており、沿岸には千畳敷と呼ばれる海食台地(海食棚)もあって景観に優れている。灯台一帯は広場として整備されていて、観光地としての装いが感じられる。
名 称 | 禄剛崎・禄剛埼灯台 |
所在地 | 石川県珠洲市狼煙町イ-51 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 禄剛崎・禄剛埼灯台(狼煙の灯台)|ほっと石川旅ねっと |
九十九湾
九十九湾【つくもわん】は、石川県能登町の内浦側に位置する、リアス式海岸である。入り江が九十九もあるとして九十九湾と名付けられたという。
九十九湾の中にある蓬莱島【ほうらいじま】は、高くそびえた岩峰にスダジイが繁茂している小島である。九十九湾を周遊する遊覧船に乗れば船の上から景色を楽しめるという。
名 称 | 九十九湾 |
所在地 | 石川県鳳珠郡能登町市之瀬11-8 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 九十九湾|ほっと石川旅ねっと |
能登島
能登島【のとじま】は、石川県七尾市に位置する七尾湾を塞ぐように浮かぶ島である。島によって隔てられた島の三方の海を、それぞれ七尾北湾、七尾西湾、七尾南湾と称する。
能登島は三ヶ口瀬戸、屏風瀬戸および小口瀬戸によって能登半島と対峙する。能登島大橋が屏風瀬戸に、中能登農道橋が三ヶ口瀬戸に架かっている。小口瀬戸の対岸には観音崎がある。
能登島へは和倉温泉から能登島大橋で渡ることができる。能登島大橋は、全長1,050 mで、石川県で一番長い橋であるという。
名 称 | 能登島 |
所在地 | 石川県七尾市能登島向田町ろ部1番地 |
Link | 能登島|ほっと石川旅ねっと |
雨晴海岸
雨晴海岸【あまはらしかいがん】は、富山県高岡市北部の海岸で、晴れた日には富山湾越しに立山連峰の山々を望むことができる景勝地として観光客に人気がある。
雨晴海岸付近には男岩【おとこいわ】や女岩【おんないわ】をはじめとする小さな島や岩礁が多く、立山連峰を背景にできる写真撮影スポットがある。
雨晴駅の近くには地名の由来にもなったとされる義経伝説が残る義経岩がある。雨晴海岸の名の由来は、源義経が奥州へ落ちのびる途中、にわか雨の晴れるのを待った場所という義経岩と呼ばれる岩がこの海岸に存在し、この海岸の地名「雨晴」の由来にもなっていると伝わる。
また、万葉集の歌人、大伴家持は、この雨晴の風景をこよなく愛し多くの歌を詠んだと伝わっている。
その美しい景色は現在にも引き継がれ、浜から眺める海越しの女岩と立山連峰は絶景スポットになっている。
私達が訪れた日はあいにくの天候で、立山連峰がうっすらと山影のような山容を遠くに現わしてくれただけであった。
名称 | 雨晴海岸 |
所在地 | 富山県高岡市太田雨晴 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 国定公園 雨晴海岸【公式】富山県の観光/旅行サイト |
二上山
二上山【ふたがみやま】(標高274m)は、富山県の高岡市と氷見市にまたがる二上丘陵【ふたがみきゅうりょう】の中心にある山である。「二上山」の名の由来には、東峰(現在の二上山)と西峰(城山;標高259m)を2柱の神に見立てて「二神山」と呼んでいたのを語源とする説がある。
二上山の山頂へは二上山万葉ライン(全長約8.5km)というドライブコースを利用して行くことができる。御前下駐車場からは遊歩道を登って行くことになる。
二上山からは高岡市と射水市【いみずし】の市街地のほか、立山連峰や富山湾なども眺望することができる。
和倉温泉
和倉温泉【わくらおんせん】は、能登半島最大の温泉地であり、「潮の香りと湯けむりが漂う海の温泉」として知られる。
和倉温泉の歴史は古く、開湯は1200年以上も前であるという。効能豊かな泉質を持ち、古くから多くの湯治客で賑わっていたと伝わる。
良質な温泉に浸かって、新鮮な海の幸を堪能したい人には最適な温泉地であるかも知れない。和倉ICから車で約10分とアクセスも良い。電車で行っても和倉温泉駅からタクシーやバスで約5分で到着できるという便利さである。
名 称 | 和倉温泉 |
所在地 | 石川県七尾市和倉町 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 和倉温泉~わくらづくし~ | 和倉温泉観光協会・和倉温泉旅館協同組合 |
泉質・効能
泉質は、ナトリウム・カルシウムー塩化物泉(高張性弱アルカリ性高温泉)である。弱アルカリ性(pH7.7)で、無色透明、無臭のお湯である。
湧出量は豊富で、源泉の泉温は約90℃と高温である。海に湧くため塩分を豊富に含み、ほんのりと塩辛い味がするのも特徴である。塩分を多く含むため、湯に浸かると最初は少しピリピリするが、保温効果が高く、湯冷めしにくい。冷えに悩む方にもおすすめ温泉であるという。飲用すれば胃腸病や貧血症に効能があるとされる。
神経痛、筋肉痛、関節痛、婦人病、冷え性、皮膚病などによいとされ、特に入浴では神経痛やリウマチの改善に期待ができるという。
海に湧く温泉ならでは特徴として、ほんのりと潮(塩分)の香りを感じることができ、それが安心感を与えてくれると人気である。
温泉街
海に湧く温泉は全国的にも珍しく、温泉街には代表的な日本建築様式を用いた美しい数寄屋造りの老舗の旅館が多く立ち並ぶ。温泉街には近代的な大型旅館や隠れ家的な宿まで、趣向を凝らした宿が勢ぞろいしている。質の高いサービスを提供している宿も多いため、全国有数の高級温泉街としても知られている。
和倉温泉街に軒を連ねる飲食店では、七尾湾や能登近海で獲れた海の幸(新鮮な魚介)を使ったおいしい料理が食べられるのも嬉しい。このわたやくちこなどの珍味も堪能できる。海に面した立地の恩恵といえよう。
近郊の観光スポット
七尾湾を一望できる絶景スポットが至る所に点在している他、青林寺や老舗旅館・加賀屋など歴史や伝統ある建物が点在しているので大人の観光にはもってこいである。
豊富な湧出量を誇る和倉温泉では、無料で温泉卵を作れたり、足湯に浸かれたりなど、温泉をお得に堪能できるスポットがある。
和倉温泉総湯
和倉温泉総湯【わくらおんせんそうゆ】は、和倉町民で組織する和倉温泉合資会社が運営する日帰り温泉施設である。源泉を加水することなく利用しており、毎日閉館後にお湯は全て入れ替えているという。
あとがき
金沢や富山までは観光に訪れたことがあるが、能登半島まで足を伸ばしたことは初めてであった。能登半島には大自然が創り出した景勝地が多くあり、魅力的な観光地であることがよく理解できた。次回はもっと事前準備をしっかりと行い、せっかくの観光スポットを見過ごすことのないようにしたいものだ。