はじめに
大山隠岐【だいせんおき】国立公園は、鳥取・島根・岡山の3県にまたがる国立公園である。個性の異なる大山蒜山地域、三瓶山地域、島根半島地域および隠岐地域の4つに区分される。
島根半島【しまねはんとう】は、島根県の北東に位置する半島であり、北側は日本海、東側は美保湾、南側は中海と宍道湖に囲まれている。
島根半島のほとんどは島根県に属する。そして島根県には有名な玉造温泉や宍道湖温泉があるが、本稿では鳥取県に属する皆生温泉【かいけおんせん】を紹介したい。皆生温泉は島根半島の地蔵埼(美保関)からも近くて便利な温泉地である。美保関に非常に近い境港【さかいみなと】は鳥取県に属しているので、その境港市にも近い皆生温泉に泊まることにはそれほど違和感はないはずである。
日御碕
日御碕【ひのみさき】は、日本海に面する、島根半島のほぼ西端に位置する岬である。日御碕には、明治36年(1903年)に初点灯されたという出雲日御碕灯台が建っている。
出雲日御崎灯台は、日本一の高さ(塔高:43.65 m)を誇る白亜の石造灯台である。断崖絶壁が続く海岸線の先端に聳え立っている。
真っ白な外壁は、松江市美保関町で切り出された硬質の石材で作られている。内壁はレンガ造りで、外壁と内壁の間に空間を作った特殊な二重構造になっているという。
出雲日御崎灯台の内部には163段のらせん階段があり、灯台上部の展望台へ上がることができる稀有な灯台である。
狭い階段を一段ずつ登っていくのは結構大変であるが、最上部からの景色は格別であった。尤も高所が苦手な私は長居はしたくはなかった。
名 称 | 出雲日御崎灯台 |
所在地 | 島根県出雲市大社町日御碕1478 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 出雲日御碕灯台|出雲観光ガイド【出雲観光協会】 |
流紋岩からなる山が沈降して海に浸かり、波に侵食された後にわずかに隆起して海食台と呼ばれる地形となった。周辺には柱状節理や洞穴が見られ、海上には小島や岩礁が点在する。
日御碕の南方の海上に浮かぶ経島【ふみしま】は、ウミネコの繁殖地として知られ、「経島ウミネコ繁殖地」の名称で国の天然記念物に指定されている。経島は、海抜約20mで、石英角斑岩からなっているという。
経島は、「文島」あるいは「日置島」とも記されることがある。かつて、この島に天照大神を祀る日沈宮【ひしずみのみや】があり、それを天暦2年(948年)に日御碕神社へ遷座したという。経島は、日御碕神社の神域として立ち入り禁止区域である。
名称 | 日御碕・経島 |
所在地 | 島根県出雲市大社町日御碕 |
Link | 経島 | しまね観光ナビ|島根県公式観光情報サイト |
加賀の潜戸
加賀の潜戸【かかのくけど】は、島根県松江市北部に位置する、潜戸鼻【くけどのはな】と呼ばれる岬の先端にある洞門 (新潜戸) と洞窟 (旧潜戸)のことである。海岸の景勝地であり、国の名勝及び天然記念物に指定されている。
潜戸【くけど】とは洞窟のことであり、安山岩、凝灰岩の岩盤が地殻変動に伴って断層や亀裂を発生させ、その割れ目に沿って日本海の荒波や強風が岩盤を長い歳月をかけて浸食していったことによって形成されたものとされている。
海寄りの新潜戸と陸寄りの旧潜戸の2つがある。両者は大自然が創り出した外観の違いだけでなく、文化的な価値観も全く異なるという。
新潜戸
新潜戸【しんくけど】には3つの入り口があり、中がトンネルのように連結された全長200mの海中洞窟となっている。洞内は広く、波が穏やかであれば、グラスボートでの探勝が可能という。
旧潜戸
旧潜戸【きゅうくけど】は、幅5.5mの狭い入り口を持つ洞窟である。しかし、洞窟の内部は広大で、そこには亡くなった子供らが親を慕い小石を積み上げたとされる賽の河原があり、独特の雰囲気を醸し出している。堤防から内部へ潜入するための遊歩道やトンネルが設けられている。
名 称 | 加賀の潜戸(新潜戸・旧潜戸) |
所在地 | 松江市島根町加賀 |
Link | 加賀の潜戸 | しまね観光ナビ|島根県公式観光情報サイト 加賀の旧潜戸(仏潜戸) | 海のまち島根町公式観光ガイド |
地蔵崎
地蔵崎【じぞうざき】は、島根半島の東端に位置する美保関(島根県松江市美保関町)に位置し、日本海に面する岬である。地蔵崎の名の由来は、航海安全を祈願して多くの地蔵が奉納されていたことからであるらしい。
地蔵崎の先端には明治31年(1898年)に初点灯されたという美保関灯台が建っている。美保関灯台は、山陰地方最古の灯台であり、歴史的価値も高い灯台である。
塔高は約14 mとそれほど高くはないが、海面からの高さは約83 mとなっており、光度49万カンデラの光は夜間には約44kmの沖合まで達するという。初点灯日から120年以上経った今も現役の灯台である。
明治の面影を残す石造りの風格ある灯台は、設置から100年目にあたる1998年(平成10年)にドイツ・ハンブルグで開催されたIALA(国際航路標識協会)の総会で、歴史的・文化的価値のある文化遺産として「世界の歴史的灯台100選」に選出された。
美保関灯台は、歴史的価値が高く、現役の灯台として初めて文化庁によって登録有形文化財(第32-0048~0049号)に指定されている。経産省からも近代化産業遺産(平成20年度)に指定されている。
美保関灯台は、まぎれもなく日本を代表する灯台であり、「日本の灯台50選」や「恋する灯台(2018年)」にも選ばれている。
灯台に隣接した旧事務所や宿舎は、現在は「ビュッフェ」に改築されており、日本海を眺めながら休息できるようになっている。
天候が良ければ、美保湾を隔てて大山や弓ヶ浜を眺めることができ、遠くは隠岐諸島も望むことができるという。雄大な景観の眺望はこの灯台の魅力らしい。
残念ながら、悪天候のためその雄大な眺望を私は眺めることはできなかった。次回に期待したい。
名 称 | 美保関灯台 |
所在地 | 島根県松江市美保関町美保関字大平 |
Link | 美保関灯台|美保関町観光公式サイト |
皆生温泉
皆生温泉【かいけおんせん】は、鳥取県米子市の郊外にある温泉地であり、「米子の奥座敷」と呼ばれることがある。
美保湾を臨む白砂青松の美しい海岸線と中国山地最高峰の大山を眺めることができる、山陰を代表する海辺の温泉地である。
弓ヶ浜海岸沿いの絶景やさざなみを見ながら浸かれる温泉地として知られる。泉質は塩化物泉が多いとされる。
皆生温泉は、明治期に地元の漁師が海中に湧いている湯を発見し「泡の湯」と名付けたのが始まりとされる。大正期になって開発が進められ、昭和期に現在のような大温泉地に発展したという。
泉質・効能
泉質は、塩化物泉(ナトリウム・カルシウム塩化物泉)であり、湧出量は毎分約4.5トンと豊富な湯量を誇る。源泉数は19カ所もあるという。源泉温度は63〜83℃と高温で、鳥取県内で最も高温であるという。
主な効能は神経痛、リウマチ、慢性皮膚病、慢性婦人病などであるとされる。
温泉街
皆生温泉の温泉街は、日本海を臨む弓ヶ浜の皆生海岸に面する東西約1 km、南北400mの狭い範囲に数寄屋造りの旅館や近代的なホテルが集積する。その収容規模は約5,000人で、山陰最大級であると言われ、島根半島や大山の雄姿が見えるリゾート地でもある。温水プールやテニスコートが備わっている。
目前の白い砂浜は夏は海水浴場としてにぎわうほか、付近には無料で利用できる足湯や日帰り入浴施設もある。
皆生温泉の宿では妻の誕生日を祝ってもらった。妻は照れながらも満足のいく夕食に舌鼓を打ったに違いない。グレードアップされた部屋は十分に快適であった。
名 称 | 皆生温泉 |
所在地 | 鳥取県米子市皆生温泉 |
Link | 皆生温泉旅館組合|公式サイト 【公式】皆生温泉 東光園 |
周辺の観光スポット
境港さかなセンター
夢みなと公園の一角にオープンした。新鮮な魚介類と海産加工品が満載。新鮮な魚やカニ、乾物・水産加工品のほかに刺身・切り身・焼き物など日本海の海の幸を販売する海産物専門店。気に入った魚はその場で刺身にしてもらえる。広々とした館内には、地元8業者の威勢のいい売り声が響き、安さと新鮮さを競い合っている。
名 称 | 境港さかなセンター |
所在地 | 鳥取県境港市竹内団地259-2 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 境港さかなセンター – 鳥取県境港市 |
鳥取港海鮮産物市場かろいち
名 称 | 鳥取港海鮮産物市場かろいち |
所在地 | 鳥取県鳥取市賀露町西3-27-1 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 鳥取港海鮮市場 かろいち |
かにっこ館
名 称 | かにっこ館 |
所在地 | 鳥取県鳥取市賀露町西3-27-2 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 【公式】とっとり賀露かにっこ館 |
鳥取二十世紀梨記念館・なしっこ館
名 称 | 鳥取二十世紀梨記念館 なしっこ館 |
所在地 | 鳥取県倉吉市駄経寺町198-4 倉吉パークスクエア内 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 二十世紀梨記念館 なしっこ館 | 鳥取二十世紀梨記念館 |
倉吉パークスクエア
文化・観光・産業・娯楽機能を中心とするさまざまな施設が集積され、人・もの・情報が行き交う文化交流ゾーンとなっている。
名 称 | 倉吉パークスクエア |
所在地 | 鳥取県倉吉市駄経寺町187-1 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | とっとり旅 【公式】鳥取県観光旅行情報サイト 倉吉パークスクエア |
あとがき
島根半島への旅は遠いというイメージが私にはあったが、そのイメージを改めなくてはいけないだろう。神戸からは意外と近い。
島根半島を隈なく旅したわけではないが大山隠岐国立公園の指定区域になっている日御碕、加賀の潜戸、地蔵埼のうち、加賀の潜戸を除く景勝地を訪ねることができた。次回には、是非、加賀の潜戸にも足を運びたいものである。
皆生温泉では良い想い出を作ることができたと思っている。次回はいつになるか未定ではあるが、それほど遠くない将来に再訪したいものである。