はじめに
玉造温泉は、平安時代に清少納言が『枕草子』で天下三大名湯の一つと称えた名湯である。
玉造は、その地名の由来となった勾玉【まがたま】を作っていた地域である。良質なメノウが採れたからである。玉造のシンボル「勾玉」をかたどった勾玉橋が玉湯川に架かり、玉作湯神社も温泉街から徒歩圏内に鎮座している。
温泉街を散歩していると神話のオブジェがあり、出雲の国、神話の国であることを思い出させてくれる。スパツーリズムを語るとき、玉造温泉も外すことができない温泉地である。
一方、宍道湖温泉の魅力は、何と言っても宍道湖の景色である。文豪・小泉八雲もこよなく愛したとされる宍道湖を眺めながら贅沢な時間が過ごし、宍道湖の自然が育んだ「宍道湖七珍料理」に舌鼓を打てば、ストレスとは無縁の非日常性が得られる。これをスパツーリズムの醍醐味と呼ばずして何になる。
宍道湖温泉は、国宝・松江城のお膝元であるし、松江観光の拠点にするにはベストの立地である。また、宍道湖温泉から出雲大社や美保神社をはじめ行きたい神社へのアクセスもすこぶる良い。
<目次> はじめに 玉造温泉 玉造温泉の泉質 【シンボル】勾玉橋 【守り神】玉作湯神社 【清巌寺の人気地蔵尊】おしろい地蔵 宍道湖温泉 宍道湖温泉の泉質 【シンボル】宍道湖 【国宝】松江城 神々の故郷、出雲の国 出雲大社と美保神社の両参り 出雲大社 美保神社 日本庭園 足立美術館・庭園 由志園 萬福寺雪舟庭園 医光寺雪舟庭園 あとがき |
玉造温泉
玉造温泉は、島根県松江市玉湯町玉造(旧出雲国)にある温泉地である。奈良時代に開湯された古湯は、平安時代にはすでに三名泉(枕草子)に数えられている。
玉造温泉は、規模、歴史ともに島根県随一であり、皆生温泉や三朝温泉などと共に山陰を代表する温泉地といえる。美肌、うる肌に効く「美人の湯」や薬湯の「神湯」でも有名であり、日本最古の歴史を持つ。
玉湯川沿いに、温泉旅館と土産店・飲食店が集まって温泉街を形成している。松江市街地から車で約15分と好立地でもある。
玉造温泉の泉質
源泉数は2で、想像していたより少ない。泉質は、硫酸塩・塩化物泉であり、無色透明・無臭のお湯である。泉温は50~72℃であり、液性は弱アルカリ性である。
玉造温泉に一度入浴するだけでお肌が若返り、二度浴すればどんな病も治癒すると伝わる。その効果がなかった事は聞いたことがないので、人々は神の湯と呼んだらしい(出雲国風土記)。
現在でも玉造温泉は美肌の湯として有名である。玉造温泉の湯には潤い成分として化粧品にも使われているメタケイ酸が豊富に溶け込んでいるという。そのことが肌の古い角質を取り除き、水分を補給して肌に張りと潤いを与えているらしい。
硫酸イオンやメタケイ酸をバランスよく含む泉質は、ある化粧品製造会社よる調査でも化粧水に匹敵する潤い効果を持つと評価されたことがあるという。玉造温泉は、潤い成分を多く含んだ化粧水のような泉質が特徴の温泉といえるだろう。
古くから美肌の湯として全国に知られている玉造温泉の温泉街には美肌スポットが点在する。また、足湯もありのんびりと散策も楽しめる温泉街である。
玉造温泉では娘たちへの土産品にと「美肌スポット」と呼ばれる店に真っ先に駆けつける妻が愛おしいと思った次第である。旅行中は娘のことなど忘れてしまう私とは違い、妻は娘たちの母なのだと改めて思う。私はすでに父親を卒業した気になっていた。
宍道湖へと注ぐ玉湯川沿いに立ち並ぶ温泉宿は、どの宿も魅力的で、それぞれに趣の異なる温泉風呂が楽しめるという。
温泉風呂の他、料理や美しい庭園などが自慢の宿も多いと聞く。
名 称 | 玉造温泉 |
所在地 | 島根県松江市玉湯町玉造 |
Link | 玉造温泉公式サイト・たまなび 【松江観光協会玉造温泉支部】 玉造温泉|旅館【公式HP】佳翠苑 皆美 |
玉造温泉のシンボル
【勾玉橋】
玉造温泉の守り神
【玉作湯神社】
玉作湯神社【たまつくりゆじんじゃ】は、玉造温泉(島根県松江市玉湯町玉造)の守り神として崇められている神社であるので、玉造温泉に来たら参拝すべき神社であろう。
玉作湯神社の御祭神は、櫛明玉命【クシアカルダマノミコト】、大名持命【オオナモチノミコト】(=大国主命【オオクニヌシノミコト】)、少彦名命【スクナヒコナノミコト】の三柱である。
玉造は、古代から勾玉【まがたま】や各種玉類の一大生産地であると共に、奈良時代に開湯された玉造温泉は、平安時代から「神の湯」・「美肌の湯」として知られてきた。
櫛明玉命は、八坂瓊勾玉【やさかにのまがたま】など宝玉御制作の神で出雲玉作部【いずもたまつくりべ】の祖神として祀られている。
一方、少彦名命と大名持命は、それぞれ玉造温泉の発見および温泉療法など温泉守護の神として祀られている。
「玉作神」と「湯神」を司る神々を祀る神社ということで、神社名が「玉作湯神社」になっていることを知り、興味を抱いた。
境内にある真玉【まだま】(=願い石)は、触れて祈ると願いが叶うとされ、パワースポットとして多くの参拝があるという。
神社前の玉湯川に架かる赤い欄干の宮橋も記念撮影ポイントとして人気がある。
名 称 | 玉作湯神社 |
所在地 | 島根県松江市玉湯町玉造508 |
Link | 玉作湯神社 | しまね観光ナビ|島根県公式観光情報サイト |
清巌寺の人気地蔵尊
【おしろい地蔵】
温泉山・清巌寺【せいがんじ】は、臨済宗妙心寺派の寺院である。御本尊は阿弥陀如来で、出雲国七福神の布袋尊【ほていそん】を祀る寺としても知られている。
出雲観音霊場三十三番札所最後の札所である岩屋寺【いわやじ】も現在はこの境内にあるということで、観音堂は最後の札所となっているようだ。
観音堂前には、弘法大師像と一緒に美肌の祈願ができるという「おしろい地蔵」が安置されている。昔、顔にあざのあったお坊さんがお地蔵さまにおしろいを塗って祈願したところ、顔にあったあざが綺麗に治ったという逸話から信仰され始めたという。
SNSや口コミによって人気が高まり、「おしろい地蔵」の御利益を求めて、多くの女性が訪れるようになったらしい。
肌のトラブルの願いを叶えてくれる「おしろい地蔵」は女性に大人気らしい。それだけシミ、ソバカスやニキビといった肌のトラブルを治し、美肌になりたいと願う女性は多いということかも知れない。
専用のおしろいとブラシが用意されているので、おしろいを少しとり、自分の肌の気になる部分と同じところに、優しくおしろいを塗り、美肌祈願をするのが作法らしい。
おしろいを塗ったあとは、おしろい札所で祈願のお札を授けてもらう。祈願のお札には「顔用」と「からだ用」の2種類があり、それぞれ女の子の顔と全身が描かれている。自分の気になる部分に好きな色を塗ってお地蔵さまに納めるのが作法らしい。
名 称 | 清巌寺のおしろい地蔵 |
所在地 | 島根県松江市玉湯町玉造530 |
Link | 清巌寺 | しまね観光ナビ|島根県公式観光情報サイト |
宍道湖温泉
(松江しんじ湖温泉)
温泉街は、国宝松江城や松江市街地へのアクセスが良く松江観光に便利である。松江は、京都、金沢と並び「三古都」と呼ばれる城下町の面影を残す情緒豊かな街である。
堀川をめぐる遊覧船は松江観光の一つで、野鳥や緑豊かな自然が街並みとあいまって、詩的で風流な景観が楽しめると言われ人気が高い。
泉質
泉質は、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉である。地下1250 mから掘削した高温(77℃)の源泉を全部の宿で活用しているという。肌にしっとり潤いを与えてぽかぽかと温まる温泉であるとされる。
【シンボル】宍道湖
松江市のシンボルとなっている宍道湖【しんじこ】は、島根県松江市と出雲市にまたがる湖である。淡水湖ではなく汽水湖(平均塩分濃度は海水の約1/10)である。湖の約5割が水深5m以上であり、湖底はほぼ水平になっているという。面積は国内で7番目の大きさであり、島根県内では鳥取との県境に位置する中海に次ぎ、2番目の湖である。
松江しんじ湖温泉は、宍道湖の北側の湖畔に面した情緒あふれる温泉地で、四季折々に変化する宍道湖の眺望を文豪・小泉八雲がこよなく愛したことで知られる。
宍道湖は、特に夕景が綺麗なことでも有名で、近くの湖岸の公園から見る宍道湖の光景は心癒されるものがある。
夕陽が出雲大社のある方角へと沈んでいるのを眺めていると、日本神話の故郷、出雲の国に、今、自分もいて、同じ空気を吸い、同じ時間を過ごしているのだという不思議な感覚を実感したものである。
淡水と海水が入り混じる宍道湖は魚介の宝庫であり、「宍道湖七珍」と呼ばれるシジミ、スズキ、シラウオ、ワカサギ、コイ、ウナギ、モロゲエビを使った郷土料理が有名である。温泉に浸かって疲れを癒したら、郷土料理に舌鼓を打つのが旅の贅沢というものだ。自然がもたらす恩恵をしっかりと享受したい。
松江しんじ湖温泉の宿では、思いがけなくグレードアップされた温泉風呂付きの快適な部屋でくつろぐことができた。出雲大社と美保神社の両参りの御利益であろうかと妻と共に思った次第である。料理も申し分なく美味しかった。
名 称 | 松江しんじ湖温泉 |
所在地 | 島根県松江市千鳥町 |
Link | 松江しんじ湖温泉|島根県公式観光情報サイト 松江しんじ湖温泉組合 【公式サイト】 【公式】なにわ一水 |
【国宝】松江城
松江城は、全国に12城しか残っていない現存天守の1つである。
その中でも、慶長16年(1611年)完成の松江城天守は、近世城郭最盛期を代表する天守として国宝に指定されている。
松江城の天守の屋根が、千鳥が羽を広げたような美しい曲線をもつことから、別名「千鳥城」とも呼ばれている。
名 称 | 松江城 |
所在地 | 島根県松江市殿町1-5 |
Link | 国宝 松江城ホームページ |
神々の故郷、出雲の国
古来から神々の故郷と呼ばれる出雲の国(現島根県)には日本神話で有名な神々の神社も多い。そのなかでも絶対に外せない神社がある。出雲大社と美保神社である。
出雲大社と美保神社の両参り
古の時代から出雲の国では、出雲大社→美保神社の順で両方の神社をお参りする(両参りをする)と良いと伝わる。
その理由は、出雲大社の御祭神は大国主命【オオクニヌシノミコト】であり、一方の美保神社の御祭神は事代主命【コトシロヌシノミコト】(=大国主命の子)と三穂津姫命【ミホツヒメノミコト】(=大国主命の妻)である。
つまりは出雲大社(親の神様)→美保神社(妻と子の神様)の順で両方の神社を参拝すると御利益があるわけである。両参りをすると、縁結びの効果が上がり、願いが叶いやすくなると伝わる。
出雲大社と美保神社は、距離にして約70 kmも離れているが、はるか昔より出雲の国の西と東の守り神として人々から慕われてきたという歴史がある。
出雲大社
出雲大社の参拝方法は、2礼4拍手1礼が決まりである。一般的には2礼2拍手1礼であるが、出雲大社は他とは違うのである。この参拝方法と作法に注意して、出雲大社の各社を参拝した。
大社【たいしゃ】 という社号は、格式の高い地域信仰の中核をなす大きな神社を指す社号として知られている。かつては単に大社【おおやしろ】といえば出雲大社のことを指していた。
奈良時代・平安時代の昔から大社と銘記されてきた神社は、出雲大社が唯一であり、大社といえば「いづもおおやしろ」のことを指していたという。主祭神である大国主命の住居が「ミヤシロ」と呼ばれていたのが由縁である。大社の本家・本元は出雲大社であることは神話の時代から歴史的に相違なさそうである。
出雲国(現島根県)が「神の国・神話の国」として知られているのは、神々を祀る古い神社が、現代においても至る処に鎮座しているからであるという。その中心が大国主命をお祀りする出雲大社であるのは誰もが納得することであろう。
荘厳な社は、古来、天日隅宮を始め、様々な名称で称えられてきたが、現在は出雲大社【いづもおおやしろ】と呼ばれている。尚、出雲大社から分社した他の出雲大社は「いずもたいしゃ」と読むが、ここの出雲大社(出雲市)だけは「いずもおおやしろ」と称することを覚えておこう。
出雲大社の御祭神は、勿論、大国主命である(出雲大社のHPでは大国主大神【オオクニヌシノオオカミ】と表記されているが、ここでは大国主命で統一する)。 大国主命は、広く「だいこくさま」として慕われ、全国各地でお祀りされている。
大国主命は、今日では広く「えんむすびの神」として人々に慕われているが、この「縁」は「男女の縁」だけではなく、生きとし生けるものが共に豊かに栄えていくための貴い「結びつき」であるという。そして、日本の悠久なる歴史の中で、代々の祖先の歩みを常に見守られ、目に見えない「ご縁」を結んでくれているのが大国主命だと信じられてきた。
大国主命が「国づくり」によって築いた国は豊葦原の瑞穂国と呼ばれ、あらゆるものが豊かに、力強く在る国であったという。
記紀による伝承では、大国主命は「国づくり」で自ら築いた国を大和朝廷の皇祖である天照大御神に還した(国譲り)したことになっている。
天照大御神は、国を譲り受けた代わりに高天原の諸神に命じて宇迦山の麓に壮大なる宮殿を造営させ、その宮殿を天日隅宮【あめのひすみのみや】と称して大国主命の住居として与えたことになっている。この神話が出雲大社の起源とされる。
大国主命には異なる神名が多くある。その一つに所造天下大神【あめのしたつくらししおおかみ】があるが、それは神代に日本人の遠い祖先たちと、喜びや悲しみを共にしながら、国土を開拓された事に由来しており、これが「国づくり」の大業と呼ばれているものである。
大国主命は「国づくり」の作業のなかで、農耕・漁業・殖産から医薬の道まで、私たちが生きていくために必要な様々な知恵を授けられ、多くの救いを与えたことになっている。この慈愛ある御心への感謝の顕れが、それぞれの神名の由来になっていると伝えられている。
名 称 | 出雲大社 |
所在地 | 島根県出雲市大社町杵築東195 |
Link | 出雲大社【公式サイト】 |
美保神社
美保神社の参拝方法は2礼2拍手1礼。出雲大社とは違う一般的な参拝方法である。
美保神社は、事代主命(えびす神)を祀る神社の総本社である。天平5年(733年)編纂の『出雲国風土記』及び延長5年(927年)成立の『延喜式』に社名が記されており、遅くともその時期には美保神社が鎮座していたと推測できる。
境内からは4世紀頃の勾玉の破片や雨乞いなどの宗教儀式で捧げたと考えられる6世紀後半頃の土馬が出土しており、古墳時代以前にも何らかの祭祀がこの地で行われていたと考えられている。
美保神社の御祭神は、事代主命【コトシロヌシノミコト】と三穂津姫命【ミホツヒメノミコト】である。
事代主命は、大国主命の第一の御子神であり、鯛を手にする福徳円満の神、えびす様として知られる。「海上安全、大漁満足、商売繁昌、歌舞音曲(音楽)、学業」の守護神として篤く信仰されている。また、出雲神話・国譲りの段において御父神・大国主命より大変重要な判断を委ねられた尊い神様であると伝わる。
一方、三穂津姫命は、高天原の高皇産霊命【たかみむすひのみこと】 (天地開闢の時に高天原に現れた偉大な神)の御姫神で、大国主神の御后神である。三穂津姫命は、高天原から稲穂を持って降臨され、人々に食糧として配り広められた神様で「五穀豊穣、夫婦和合、安産、子孫繁栄、歌舞音曲(音楽)」の守護神として篤く信仰されている。また、美保という地名は三穂津姫命の御名に縁があると伝えられている。
美保関は、古より海上交通の関所で北前船をはじめ諸国の船が往来し、港として栄えた場所であったという。「関の明神さんは鳴り物好き、凪と荒れとの知らせある」と、船人の口コミで広く伝えられたらしい。船人の美保神社に対する信仰心は非常に篤く、海上安全や諸願成就などの祈願の為、さまざまな地域から夥しい数の楽器が奉納され、この内846点が国の重要有形民俗文化財に指定されているという。
奉納鳴物のなかには、日本最古のオルゴールやアコーディオン、鳥取城で登城の時を告げていた直径157cmにもなる大鼕、島原の乱で戦陣に出されたと伝わる陣太鼓、初代荻江露友が所有していた三味線など名器や珍品も数多く含まれているという。
鳴物奉納の信仰は、現代においても続いており、1992年(平成4年)には明治の初頭以来途絶えていた「歌舞音曲奉納」を100年ぶりに復活させている。一流の演奏家が神前に向かって(聴衆に背を向けて)演奏し、聴衆は一切の拍手をしないという独特の音楽祭が開催されたらしい。
名 称 | 美保神社 |
所在地 | 島根県松江市美保関町608 |
Link | 美保神社 | えびす様の総本宮 | 島根県松江市美保関町 |
日本庭園
島根県には素晴らしい日本庭園がある。日本庭園にご興味のある方は是非、一度訪ねてみて頂きたい。魅了されること疑いなしである。
足立美術館・庭園
足立美術館(島根県安来市)は、一代で財を成した実業家である足立全康【あだちぜんこう】氏(1899年~1990年)によって創設された、日本庭園を併設する美術館である。日本庭園と日本画の調和は、足立美術館創設以来の基本方針とされている。
横山大観の画風を日本庭園に具現化
足立美術館には横山大観の作品が日本で最も多く収蔵されていると言われている。横山大観は日本人なら誰でも知っている画家である。そして横山大観の画風を体現したような庭園が足立美術館の日本庭園になっている。
日本庭園を通して、日本の四季の美に触れる。
さらに横山大観の作品に接することで、日本画の魅力を理解してもらう。
横山大観を知ることによってその他の画家や作品に興味を持ち、ひいては日本画による美の感動に接してほしいという、創設者の強くて深い願いが込められているという。
足立美術館はそうした稀有な美術館である。
足立美術館の日本庭園が2003年から2022年(今年)まで19年連続で日本一の日本庭園に選ばれているとは訪れて初めて知った次第である。庭園好きの私としては実に恥じ入るべきである。
足立美術館の日本庭園には一般観光客は足を踏み入れることはできない。大きなガラス窓越しに観覧することになっている。
ガラス窓越しに写真撮影をしているために無修正であるとどうしても室内のライトが反射して画像に残ってしまう。
足立美術館の日本庭園には足を踏み入れることはできないが、所々にガラス窓越しではなく庭を観覧できる場所が設置されたレイアウトになっている。そこが撮影ポイントというわけである。
足立美術館の日本庭園は、横山大観の作品を庭園で表現するということをコンセプトにしているらしい。
横山大観の名作「白沙青松」をモチーフに、大観の絵画世界を表現しているらしい。
鶴の滝は、借景となっている亀鶴山に開瀑した人工の滝である。横山大観の「那智乃瀧」(足立美術館蔵)をイメージして、岩肌から落差15mの滝が流れている。
施設名 | 足立美術館 |
所在地 | 島根県安来市古川町320 |
Link | 足立美術館|ADACHI MUSEUM OF ART【公式サイト】 |
由志園
由志園(島根県松江市)の庭園は、約40,000 m2もの広大な敷地に池泉廻遊式の日本庭園が作庭させている。庭園の随所に出雲の風景を模した作庭がなされているという。
泉回遊式の庭園を散策する楽しみの一つは、自分好みの撮影スポットを探しながらゆっくりと散策できることである。
施設名 | 由志園 | |
所在地 | 島根県松江市八束町波入1260-2 | |
Link | 日本庭園【 由志園 】公式サイト|牡丹と高麗人蔘の里 |
萬福寺・雪舟庭園
私は萬福寺の雪舟庭園が好きである。鑑賞式の庭園であり、庭を歩き回ることはできないが、何時間でも座って庭を見続けることができる。庭を観ていると本当に癒されているのを実感する。
施設名 | 萬福寺・雪舟庭園 |
所在地 | 島根県益田市東町25-33 |
Link | 萬福寺|【公式】島根県石見の観光情報サイト |
医光寺・雪舟庭園
池を覆うほどに大きな枝垂れ桜がある。春の開花期にはさぞ見事な景色を見せてくれることだろう。
施設名 | 医光院・雪舟庭園 |
所在地 | 島根県益田市染羽町4-29 |
Link | 医光寺庭園 ― 雪舟作庭…島根県益田市の庭園 |
あとがき
島根県に行ったのは実は初めてである。隣県の鳥取県は何度か訪ねたことがあるが、島根県は私にとっては遠い存在であった。出雲大社や玉造温泉には行ってみたいという願望が昔からあったにも関わらず、なんとなく敬遠していたような感じである。
しかし、それが間違っていたことを痛感した。もっと早くに訪れておくべきであった。島根県、出雲の国は素晴らしかった。
出雲大社と美保神社をはじめ日本神話に登場する神々の神社に参拝することができたし、日本有数の日本庭園の名園を実際に目にすることができた。感動に次ぐ、感動の旅を満喫することができた。
そして玉造温泉と松江しんじ湖温泉では、温泉に入るだけで十分に満足した上に、日本旅館のおもてなしを受けて記憶に残る旅となった。
スパツーリズムの観点からも申し分ない旅であると自画自賛したいが、特別なプランを事前に考えたわけではない。行きたい所にただ行っただけである。それでも期待以上の感動が得られたのだから、島根県の観光資源のポテンシャルの高さに感謝したい。
次回は、スパツーリズムの観点からもオリジナリティのある旅プランを考えた上で行ってみたいと思う。より魅力的な旅にするために。