はじめに
氷ノ山後山那岐山【ひょうのせんうしろやまなぎさん】国定公園は、兵庫県・岡山県・鳥取県の3県にまたがる山岳地帯の国定公園である。景色の良い渓谷と滝が多く集まっている自然公園である。
氷ノ山後山那岐山国定公園の景勝地のなかでも今回の旅で訪れたのは、阿瀬渓谷や天滝渓谷などの渓谷にある名瀑のほか吉滝、猿尾滝や原不動滝などの滝が多い。上山高原にはススキの穂を見に行き、但馬植物園には「和池の大カツラ」を見に行った。いずれの景勝地も期待以上に私を感動させてくれた。
上山高原
兵庫県の北部、鳥取県との県境にある扇ノ山【おうぎのせん】の山麓に広がる上山高原【うえやま】はススキの名所である。
上山高原のススキの見頃は、例年、9月中旬~10月下旬頃とされている。
上山三角点(標高943m)直下の登山口のすぐ手前の駐車場まで、ススキの群生地の間につけられた道をドライブできる。
道が狭いので対向車があると大変であるが、車窓からのススキもよい眺めである。
対向車を気にしなくてもよい助手席が勿論、特等席である。
上山三角点の付近にはススキの群落はほとんどない。しかし山頂から眺める景色は良いので、天候が良ければ登ってみることをお勧めしたい。ゆっくり登っても所要時間は20分ほどで、スニーカーでも楽に登れる。
上山三角点のある場所は開けていて葛の木で組まれたちょっと風変わりな展望台があり、そこからの360度の景色も爽快である。
上山高原には滝が多く存在しているようで、滝を観るための登山道がいくつも整備されている。しかし登山装備、特に登山靴が必要である。登山道には鎖場などがあり、スニーカーでは危険な道のようである。残念ながら滝を観に行くのは別の機会にするしかなかった。
名 称 | 上山高原 |
所在地 | 兵庫県美方郡新温泉町海上 |
駐車場 | あり(有料) |
Link | 上山高原エコミュージアム(扇ノ山山麓) |
阿瀬渓谷
阿瀬渓谷【あせけいこく】は、兵庫県豊岡市日高町にある金山峠(標高760m)を源流とする阿瀬川の最上流部一帯の渓谷であるが、「阿瀬四十八滝」ともいわれるほど数多くの滝がある。なかでも源太夫の滝は有名である。
源太夫の滝
阿瀬渓谷にある源太夫の滝【げんだゆうのたき】は、滝百選には選ばれていないが、落差は30mもある立派な滝である。
訪れる人も少なく、絶景と贅沢な時間を独り占めにできる。当然ながら心も癒される。
名 称 | 源太夫の滝 |
所在地 | 兵庫県豊岡市日高町羽尻 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 源太夫滝【山陰海岸ジオパーク推進協議会】 |
天滝渓谷
天滝渓谷【てんたきけいこく】は、兵庫県最高峰の氷ノ山【ひょうのせん】(標高1,510m)を源流とする天滝川にある渓谷で、滝と森林の景勝地になっている。
天滝渓谷には数多くの滝があり、中でも天滝【てんたき】は有名で、「日本の滝100選」にも選定されている。原生林に覆われた渓谷沿いには天滝まで遊歩道が整備されている。
天滝
天滝【てんだき】は、落差98mの名瀑である。まさに天から流れ落ちて来るような滝で、水量も多く、迫力満点である。
近寄ることもでき、四季を通じて素晴らしい滝である。私はこの滝が大好きで、何度訪ねても飽きない。
名 称 | 天瀧 |
所在地 | 兵庫県養父市大屋町筏 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 天滝 | 【公式】兵庫県観光サイト HYOGO!ナビ |
和池の大カツラ
私が老齢の巨木に関心をもつきっかけになったのは「和池の大カツラ」を見てからだと思う。
「和池の大カツラ」は、但馬植物園内で生長しているカツラの巨木で、兵庫県の天然記念物にも指定されている。樹齢は1000年以上といわれ、幹回りは16m、 樹高は38mという、とんでもない巨大なカツラである。
この巨大カツラの上手からは1日湧出量が約5,000トンといわれる水がこんこんと湧き出している。
その渓流を跨いで、この巨大カツラ が成長していることにも驚かせられる。この神聖な景色は、何の疑念もなく精霊や神が宿っているのではないかと思わせるほどの雰囲気を与える。
私はこの巨大カツラの前で言葉を発することができないほどの感動を覚えたことを今でも鮮明に記憶している。
名 称 | 和池の大カツラ |
所在地 | 兵庫県美方郡香美町村岡区和池709 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | たじま高原植物園 | たじま高原植物園 兵庫県指定史跡名勝天然記念物 和池の大カツラ|香美町 和池の大カツラ【わちのおおかつら】 | 但馬の百科事典 和池の大カツラ | 但馬再発見 但馬事典 和池の大カツラ / 兵庫県 |
吉滝
吉滝【きちだき】は、落差28mの滝で二段に分かれている。滝壺の背後には洞窟があり、そこ吉滝神社が鎮座している。
吉滝神社から滝の裏側を見ることもできるので「裏見の滝」とも呼ばれている。吉滝は県指定文化財に指定されている。
名 称 | 吉滝 |
所在地 | 兵庫県美方郡香美町小代区鍛冶屋 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 県指定文化財 「吉滝」|香美町 |
猿尾滝
猿尾滝【さるおだき】の名は、その景観が猿の尾に似ていることから付けられた言われている。落差は60mもある。
猿尾滝
猿尾滝は二段の滝で、上段の(荒々しく落下する)滝は雄滝(落差39m)と呼ばれ、下段の(岩の割れ目を滑るように流れる)流麗な滝は雌滝(落差21m)と呼ばれている。
名 称 | 猿尾滝 |
所在地 | 兵庫県美方郡香美町村岡区日影 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 名勝 猿尾滝|香美町【公式サイト】 |
原不動滝
原不動滝【はらふどうだき】には雄滝と雌滝があり、雄滝は落差88mもある豪快な滝である。
雄滝と雌滝は、別の場所から湧き出てきた水流が同じ滝壺に合流することから、夫婦円満、幸福の滝と言われているようだ。
名 称 | 原不動滝 |
所在地 | 兵庫県宍粟市波賀町原602-1 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 原不動滝 | 【公式】兵庫県観光サイト HYOGO!ナビ |
あとがき
氷ノ山後山那岐山【ひょうのせんうしろやまなぎさん】国定公園は、名称が長いうえに読み方も分かりずらいので覚えにくい国定公園である。指定位置が分かりずらいのも難点である。本稿で紹介している景勝地も、率直に言えば、氷ノ山後山那岐山国定公園に指定されているとは知らずに訪れている。国定公園内の景勝地であることを事前に知っていれば自然保護の観点から理解しようという心構えで訪ねていたかも知れない。