はじめに
種生神社の秋祭り(おわたり)は、毎年10月の最終土曜日と日曜日に開催される。おわたりは、神社の本殿からお旅所にかけて、氏子らが神輿を担いで巡行する。この巡行は、地元の人々にとって非常に重要な儀式である。この秋祭りは、地域の歴史と文化を感じることができる貴重な機会でもある。
種生神社
種生神社【たねおじんじゃ】は、三重県伊賀市に位置する歴史ある神社で、創建は奈良時代中期の771年と伝えられている。
明治時代初期の神仏分離政策によって「鹿嶋神社」として村社に指定され、その後「種生神社」に改名されたという。
種生神社は、元々複数あった社が合祀されて現在の形になったと伝わっている。現在は、主祭神として武甕槌命【たけみかづちのみこと】と経津主命【ふつぬしのみこと】を祀り、配祭神として天児屋根命【あめのこやねのみこと】ほか多くの神々が合祀されている。
種生神社は、伊賀市の無形民俗文化財に指定されている秋祭り「おわたり」で有名である。この秋祭りは、古くから種生神社に伝わっている伝統的行事(祭礼)である。
名 称 | 種生神社 |
所在地 | 三重県伊賀市種生1278 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 種生神社 | -徒然の里の宮- |
種生神社の秋祭り
種生神社の秋祭りでは、鹿島の神(武甕槌命)が船で渡御した姿を再現する渡御式(おわたり)が行われ、舟形だんじりや馬駈けなどを見ることができる。この祭りは、地域の伝統と文化を感じることができる貴重なイベントとなっている。
渡御式(おわたり)では、獅子神楽を先頭に、こたつき(帆を模した旗)、神輿、相撲旗、氏子の行列、船形だんじりが約100m先のお旅所まで練り歩く。
特に、この船形だんじりは山間部での祭りでは珍しいものであると評価されている。
また、こたつきや馬駆【うまかけ】が行われるさまは「伊賀の珍祭」と言われ、毎年多くの人々が見物に訪れている。
種生神社の秋祭りは、毎年10月最終の土曜日(宵宮祭)と日曜日(例大祭)の2日間にわたって行われる。
宵宮祭(18:30〜)
・祭典
・奉納舞(舞姫・楽人・獅子舞)
・湯神楽
・奉納太鼓(青山太鼓保存会)
・振舞い酒
・祇園ばやし
例大祭
・大祭典(12:30〜)
・出仕の儀【しゅうしのぎ】(13:30〜)
・奉納舞(種生獅子神楽) (14:00〜)
・馬駈【うまかけ】 (14:45〜)
・渡御の儀(おわたり)(15:00〜)
あとがき
種生神社の秋祭り(例大祭)を初めて見物することができた。奉納舞(種生獅子神楽)は、動きが結構ダイナミックであり、見応えがある獅子神楽であった。思わず見入ってしまい、時の過ぎるのを忘れる程であった。
また、馬駈【うまかけ】の見物も印象深い。祭りで馬が登場するのは、普通、騎馬武者に扮した人を背に乗せてゆっくりと歩くイメージでいたが、そうではなかった。種生神社の秋祭りでは、実際に疾走していた。それも2往復だから馬も疲れたであろう。
馬駆【うまかけ】が終わると、いよいよメインイベントの渡御の儀(おわたり)が始まる。獅子3頭を先頭に御旅所まで3往復する(但し、船形だんじりだけは1往復)。
獅子3頭に続くのは相撲旗とこたつきである。こたつきは、船の帆を模した旗で、船形だんじりの代わりになるものであるという。生竹で作られているので、結構重くて、持ち歩くのには体力がいるらしい。
こたつきの次に続くのは、神輿である。1往復目はもの静かであったが、2往復目から3往復目にかけては気合十分であった。
子ども神輿も元気があって、とてもチャーミングであった。笑顔がとても可愛く、見物している方も何か幸せになった気分をもらったように思う。
おわたりのしんがりは、船形だんじりである。1往復とは言え、帰りは上り坂になっているため、見かけ以上に動かすのが大変であると思った。
以上、種生神社の秋祭りの現物は初めてであったが、地元の人たちが親切に祭りの仔細について教えてくれたので非常に勉強になると共に観ていてとても楽しかった。できれば、来年も見物に来てみたいと思う。