はじめに
名張秋祭りは、三重県名張市で毎年10月に開催される伝統的な秋祭りである。この祭りは江戸時代の1636年に名張藤堂家当主であった藤堂高吉が地元の豊作に感謝し、五穀豊穣を祈るために始めたと言われている。それ以来、現代まで続いている、名張市では伝統のある秋祭りである。
名張秋祭りの見どころは、名張市中心部で行われる山車【だし】の巡行である。山車は、地元の人々が一年間の努力や感謝の気持ちを込めて作り上げたもので、豪華な装飾や独自のデザインが特徴である。
この祭りの期間中には様々な伝統的な芸能や食べ物が楽しめるため、多くの観光客や地元の人々が訪れる。
宇流冨志禰神社
宇流冨志禰神社【うるふしねじんじゃ】は、三重県名張市にある神社で、主祭神として宇奈根命【うなねのみこと】を祀るほか、下記の神々を祀っている。
- 武甕槌命【たけみかつちのみこと】
- 經津主命【ふつぬしのみこと】
- 姫大神【ひめおおかみ】
- 大物主命【おおものぬしのみこと】
- 火之迦具士命【ほのかぐつちのみこと】
- 宇迦之魂命【うかのみたまのみこと】
- 建速須佐之男命【けんはやすさのおのみこと】
- 天兒屋根命【あめのこやねのみこと】
- 応仁天皇【おうじんてんのう】
- 仁徳天皇【じんとくてんのう】
創建年や創建に関わる詳細な歴史については不明である。その理由は、天正伊賀の乱(1580年)で、社殿や宝物類、古文書類などすべてが織田信長軍による焼き討ちによって消失されているからである。そんな宇流冨志禰神社であるが、1616年12月に再建されていることが近年になって分かったという。
また、本殿の境内地に元久2年丑(1205年)の銘が入っている石燈篭があることから、創建は鎌倉時代(1185年~1333年)の中期ではないかと想定されている。
名 称 | 宇流冨志禰神社【うるふしねじんじゃ】 |
所在地 | 三重県名張市平尾3319 |
TEL | 0595-63-0486、0595-64-0659 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 宇流冨志禰神社 |
名張秋祭り
名張秋祭りは、宵宮から始まる。まず午後8時頃に松明行列が名張・愛宕神社の境内に集合する。松明行列は、名張市内の旧町の氏子たちによるものである。全部で4隊の松明行列が太鼓の音と掛け声と共に各旧町から集まってくる。
松明行列の集合後、愛宕神社の拝殿前で、午後8時半頃から獅子舞が奉納される。
そして獅子舞の奉納後、4隊の松明行列は新しい松明に火をつけて、宇流冨志禰神社に向かって隊列を組んで進んでいく。
松明行列が宇流冨志禰神社に到着すると、境内に予め設置していた4基の大松明に火がつけられる。
多くの参拝客や観光客がその大松明を取り囲み、夜空を焦がすような巨大な炎を見守る。
やがて、宇流冨志禰神社の拝殿前では獅子舞が奉納される。宵宮は、大松明の炎が消えるまで続くという。
名張市の旧町の中心部から宇流冨志禰神社への参道までの旧道沿いには多くの屋台が並ぶ。食べ物の屋台数が圧倒的に多いが、金魚すくいや風船つり、射的などの遊戯の屋台も並ぶ。そんな屋台を見ていると、昔懐かしい田舎の秋祭りを思い出してしまう。
名張秋祭り・本祭のメイン会場は、宇流冨志禰神社周辺である。特に山車の巡行や主要なイベントはここで行われる。
祭りのハイライトは、山車【だし】の巡行や伝統的な芸能である。特に、地元の人々が一年間の努力や感謝の気持ちを込めて作り上げた山車が街中を練り歩く様子は、まるでかつての日本の風景を感じさせるほどである。
祭りの期間中、名張市中心部には多くの屋台が並び、地元の美味しい料理や飲み物が楽しめる。
2024年の名張秋祭りは、10月26日(土)と10月27日(日)の2日間にわたって開催された。
- 宵宮(10月26日)20:00~22:00頃
- 20:00頃:松明行列が愛宕神社に集合
- 20:30頃:獅子舞
- 本祭(10月27日)8:00~15:00頃
- 8:30:各町の神輿や太鼓台、山車【だし】が旧町内を巡行
- 13:00~13:30:神輿の集合(イオン駐車場に全てが集結)
- 15:00:神移し
今年も多くの観光客や地元の人々が集まり、楽しいひと時を過ごせたと思う。
名 称 | 名張秋祭り |
会 場 | 平尾・宇流冨志禰神社及び旧市街地 |
所在地 | 三重県名張市平尾3319 |
アクセス | 近鉄「名張駅」下車徒歩5分 |
駐車場 | なし |
あとがき
名張秋祭りを見学したのは、初めてである。宵宮はしっかりと見学できたが、本祭は一部の神輿巡行しか見物できなかった。事前学習を怠ったために、山車【だし】が旧町のどのあたりをいつ巡行しているのか分からなかったためである。来年は、事前学習をしっかりしてから見物することにしたい。
しかしながら、名張秋祭りは、地域の絆を深め、文化を継承する重要なイベントとなっている雰囲気は十分に感じることができたと自分では思っている。地元民をはじめ、多くの人々が協力しあって成し遂げることができる良い秋祭りだと思う。