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【伊賀の国】名張の夜を彩る「名張川納涼花火大会」

はじめに

伊賀の国」は、かつての日本の地方行政区分で、現在の三重県西部、上野盆地一帯に該当する令制国の一つであり、東海道に属していた。「伊賀」は、現在でも三重県の伊賀地方を指す呼称として使われており、伊賀市と名張市を中心に構成されている。伊賀は、伊賀流忍者の発祥地として知られ、伊賀焼(陶器・炻器)や伊賀組紐の産地としても有名である。

花火大会は、日本の夏の風物詩として広く親しまれているイベントである。日本で花火大会が始まった歴史は、江戸時代にまで遡る。1733年に隅田川で行われた水神祭がその始まりとされている。その当時は飢饉や疫病の流行により、多くの死者が出ていたため、慰霊や鎮魂の意味を込めて花火が打ち上げられたという。

花火大会のそもそもの目的は、慰霊鎮魂であったということである。では、現代の花火大会の目的は何であろうか?

花火大会には下記のようないくつかの目的がある。

  • 慰霊・鎮魂
    • 死者を弔うために行われることが多く、特にお盆の時期に行われる花火大会はこの目的が強い
  • 祈願
    • 悪疫退散や無病息災、五穀豊穣などを祈るために行う
  • 奉納
    • 神仏に対する奉納として行われることもある
  • エンターテイメント
    • 現代では、エンターテイメントとしての要素が強い
    • 音楽やライトショーと組み合わせた花火大会も増加

現代の花火大会は、地域の活性化や観光客の誘致、そして地域の絆を深めるために行われていることが多いようだ。

伊賀の国でも歴史と伝統の長い花火大会がある。その一つが、「名張川納涼花火大会」である。本稿では、この花火大会をレポートしたいと思う。


<目次>
はじめに
名張川納涼花火大会
あとがき

名張川納涼花火大会

名張川納涼花火大会は、三重県名張市で行われる歴史と伝統ある花火大会である。昭和6年(1931年)に始まり、戦時中は中断したものの、昭和24年(1949年)に復活した後は絶えることなく開催してきたという。そして、2024年で第82回目を迎えることになった。名張川納涼花火大会は、まさに歴史と伝統のある花火大会と言えよう。

第82回名張川納涼花火大会の概要
  • 開催日: 2024年7月27日(土)
  • 時間: 20:00~21:00
  • 場所: 名張川新町河畔および名張市黒田地区
  • 打ち上げ数: 仕掛花火やスターマインを含む約4,000発

仕掛花火は、様々な形や色の花火が連続して打ち上げられ、夜空を彩る。そして、スターマインは大迫力の連続打ち上げ花火で、観客を魅了する。

名張川納涼花火大会は、毎年7月24日以降の直近の土曜日に開催されることが多い。例年は、約5,000発の花火が打ち上げられ、スターマインや仕掛花火などが楽しめる歴史と伝統ある花火大会であるので、地元の人たちだけでなく、多くの観光客も訪れるようだ。

名張川納涼花火大会は、夏の夜を彩る素晴らしいイベントである。是非、その美しさと迫力を体験してみてほしい。


あとがき

名張川納涼花火大会は、歴史と伝統のある花火大会であり、昨年までは約5,000発の花火が打ち上げられ、スターマインや仕掛花火などを楽しむことができたという。あらゆる経費が高騰している今年の場合は、約4,000発の花火の打ち上げとなってしまったようだ。約2割も打ち上げ数が減ってしまったことになるが、田舎の花火大会にしては規模は大きい方である。

当日も多くの人々が花火大会を楽しみにして集まっており、沿道には屋台や出店が並び会場付近に近づくにつれて身動きができないほどの混雑になっていた。花火開始の30分頃にようやく会場近くに到着した。地元の人と思しき家族連れの後をついて行ったら、花火の打ち上げ場所近くに来てしまっていた。こんなに近くに来なくても花火は見られるし、人混みは苦手なので、引き返そうかと思った。しかし、名張川の河原で「愛宕神社の火祭り」を盛り上げる「愛宕樽太鼓」の演奏が行われており、それを見学することにした。

花火大会が始まる直前近くになると「愛宕の火祭り」の松明行列が向こう岸から川を渡り、こちら側に登場して来た。そのため偶然にも松明行列を目の前で見学できるという幸運に恵まれた。「愛宕の火祭り」については、別稿で記したいと思う。

花火大会の予定時刻前には、主催者と来賓者の挨拶が終了し、ほぼ予定時刻どおりに花火大会が始まった。大きな花火が打ち上るごとに会場の至る所で感嘆の声が聞こえてくる。まさに、これが花火大会の醍醐味であろう。私が花火大会を打ち上げ場所近くで見学するのは久し振りであった。おそらく7年ほど前の神戸港での花火大会にまで遡ることになる。

花火が眼前で次々と打ち上げられていくのは素晴らしい景観で、飽きることはなかった。しかし、今回の花火大会には私一人だけでの参加であり、そばに家族がいないのはつまらない。

実は、駐車場への帰り道の混雑に巻き込まれることを懸念し、私は30分ほど花火大会を見学して、駐車場に戻ることにした。私と同じことを考えていた家族連れも数組いて、私はその人たちの後を追って帰路に着くことにした。

私が車を駐車できたのイオン名張店の駐車場であった。専用駐車場の場所が分からず地元の「三重ナンバー」の車の列について行ったらこの駐車場に着いてしまったのである。大渋滞であったから、Uターンすることもできなかったわけである。帰路もこの渋滞に巻き込まれるのは避けたいと思い、花火大会を中座することになったわけである。当初は電車で行く予定であったが、家を出る時刻が遅くなったので、車を使用することにしたわけであるが、これが失敗の原因となった。次からは公共交通機関を使用することにしたいと思う。


【参考資料】
名張川納涼花火大会 (kankou-nabari.jp)
第81回名張川納涼花火大会(2023年)|名張市 (nabari.lg.jp)

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