はじめに
伊賀組紐は、伊賀地方で生産されている伝統的な組紐である。素材には、主として絹糸を使用し、金銀糸などを組み糸として使う。色とりどりに染められた絹糸が光に映え、美しい模様や色合いを持つ紐が作られる。
伊賀組紐は、角台、丸台、高台、綾竹台などの伝統的な組台を用いて、繊細で美しい紐に組み上げられる。この手組みの技術(技法)が特に評価されているという。
伊賀組紐は、かつては鎧や刀剣の飾り紐として使用され、技術が進歩したという。そして、現在では着物の帯締めや装飾品、茶道具などに広く使用されることが多いという。
伊賀組紐の伝統と魅力を伝える施設として有名なのが、伊賀伝統伝承館 伊賀くみひも 組匠の里である。
伊賀くみひも
伊賀くみひもは、絹糸を主に金銀糸などを組糸に使い、角台・丸台・高台などの伝統的な組台を用いて繊細な美しさをもつ紐に編み上げたもので、「帯締」などとして和装には欠かせない工芸品である。伊賀くみひもの起源は奈良時代以前に遡るといわれ、当初は経巻や仏具・神具の紐として用いられていたらしい。
伊賀くみひもは、明治時代中期から本格的に産業として発展したという。その理由は、伊賀地域の気候は養蚕に適していたこと、和装文化の中心である京都に近いことだったという。
特に高台による手組み紐が有名で、全国生産の大半を占めているという。1976年12月15日に国の伝統工芸品に指定された。
伊賀くみひもの特徴は、美しく染め上げられた絹糸、その一本一本が交わり合い、織り成す「組み」独特の風合いや味わいを作り出し、絹糸が光に照らされて輝く美しさである。
伊賀くみひもの技術は、職人たちによって古来より守られ伝承されてきただけでなく、進化もしてきたという。
伊賀くみひもの用途は、和装の帯締めなどの他、現代社会のライフスタイルに合った製品、例えばネクタイや長財布、スマートフォン用のストラップなどの様々な製品に利用されている。
キーホルダーやブレスレットなどの身近のアイテムが自分で製作できる体験教室(体験料1,100円)も開かれている。
製品名 | 帯締め、羽織ひも等 |
生産地 | 伊賀市、名張市 |
産地組合 | 三重県組紐協同組合(伊賀伝統伝承館内) 伊賀市上野丸之内116-2 TEL 0595-23-8038 |
伊賀伝統伝承館 伊賀くみひも 組匠の里
伊賀伝統伝承館 伊賀くみひも 組匠の里は、伊賀市の伝統工芸品である伊賀組紐【いがくみひも】を幅広く認知してもらうことを目的に設立された施設である。
この施設では、製紐機を使用した組紐の体験学習ができる。体験教室では、キーホルダーやブレスレットの製作ができる。
2階には伊賀組紐の歴史や伝統を学べる資料室があり、貴重な資料が展示されている。また、1階の店舗では様々な種類の伊賀組紐の製品が販売されている。
名 称 | 伊賀伝統伝承館 伊賀くみひも 組匠の里 |
所在地 | 三重県伊賀市上野丸之内116-2 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 伊賀伝統伝承館 伊賀くみひも 組匠の里 – 伊賀上野観光協会 |
あとがき
伊賀組紐【くみひも】の歴史は古く、伊賀組紐の技術は、大陸から仏教と共に伝わり、経典の装飾や袈裟【けさ】などに用いられたという。
平安時代には、王朝貴族の装束(束帯)の装飾品として使用され、その芸術性の高さが評価されたらしい。
鎌倉・室町時代には、武士の道具や茶の湯の道具の飾り紐としても広く認知されるようになったという。
戦国・江戸時代には、鎧や刀剣の飾り紐として使用され、組紐の技術が進歩したという。
明治時代に入ると、廃刀令によって一時衰退したという。しかしながら、生活様式の変化に順応し、さまざまな製品が開発されるようになったらしい。
現代では、伝統的な技術を守りながらも、伝統的な用途に加えて、現代のライフスタイルに適応したさまざまなアイテムに使用されると共に新しい商品も開発されているという。
伊賀組紐の現代の用途には下記のようなものが知られている。
- アクセサリー
- ブレスレット、ネックレス、ピアスなど
- ファッションアイテムとして、特に若者に人気がある
- ストラップやキーホルダー
- 携帯電話に付けるストラップ
- 鍵に付けるキーホルダー
- お土産用としても人気がある
- インテリア雑貨
- 組紐を使ったタペストリーやクッションカバーなど
- インテリアアイテムとしても利用される
- 和装小物
- 伝統的な帯締めや羽織紐としての用途
- 現代の和装に合わせたデザインの小物も商品開発
- 茶道具の飾り紐
- 茶道具を包む袋の締め緒や飾り紐として使用
伊賀組紐は、その美しい色彩と繊細な技術で、現代の生活にも溶け込んでいる柔軟性に対して率直に驚いた。
伊賀組紐は、職人たちの高い技術と膨大な時間が織りなす美しい工芸品である。今後も日本の伝統工芸品として国内外から注目され、賞賛され続けることだろう。