カテゴリー
ウェルネスツーリズム 神社仏閣

弘法大師空海ゆかりの聖地へ――心を整える真言宗十八本山

はじめに

弘法大師空海は、774年に生まれ、835年に入定した平安時代初期の僧侶である。空海は804年に遣唐使として唐に渡り、青龍寺で恵果阿闍梨から密教を学び、真言密教の正統後継者に指名された。806年に帰国し、真言宗を開宗した。真言宗は、密教の教えを基盤とし、即身成仏(この世で仏になること)を重要な教義としている。

真言宗の御本尊は大日如来であり、宇宙の根本原理を象徴している。真言宗では、身(体の行動)、口(言葉)、意(心)の三密を整える修行(三密の修行)が重要とされている。また、真言宗では、曼荼羅を用いて仏の世界を視覚的に表現し、悟りを開く手助けをしている。

弘法大師空海は、816年に嵯峨天皇から高野山の地を下賜され、その地に金剛峯寺を建立した。高野山は真言宗の総本山として知られている。また、823年には嵯峨天皇から教王護国寺(東寺)を下賜され、真言宗の根本道場として整備した。

弘法大師空海が835年に入定した後、彼の弟子たちがそれぞれの寺院を管理するようになった。これにより、各寺院が独立した傾向を持つようになったという。

そして、東寺(京都)と金剛峯寺(高野山)の間で本末制度が確立され、東寺が本寺、金剛峯寺が末寺とされた。この制度によって寺院間の対立が生じたという。

さらに、11世紀末になり覚鑁【かくばん】が新しい教学を提唱し、これが新義真言宗の基礎となった。これにより、古義真言宗系と新義真言宗系に分かれることとなった。

真言密教を実践するための作法(事相)の違いにより、各派が独自の教義を発展させ、そして各派が独自の教学を振興させた結果によって教義的にも違いが生じることになってしまった。これらの要因が重なり、真言宗は現在では16の宗派に分かれることとなったという。

真言宗十八本山は、真言宗の主要な16の宗派の総大本山である18の寺院を指す。これらの寺院は、弘法大師空海にゆかりのある重要な寺院であり、真言宗の教えを広めるための重要な拠点となっている。

目次
はじめに
真言宗各派の教義の差異
真言宗十八本山の一覧表
真言宗十八本山
善通寺
須磨寺
清荒神清澄寺
中山寺
大覚寺
仁和寺
智積院
泉涌寺
教王護国寺(東寺)
勧修寺
随心院
醍醐寺
宝山寺
朝護孫子寺
西大寺
長谷寺
根来寺
金剛峯寺
あとがき

真言宗各派の教義の差異

真言宗は、弘法大師空海によって創始された教義であり、真言密教の教えを基盤としている。真言宗は、空海の入定後、彼の弟子たちによって細分化され、現在では16宗派18本山に分かれている。これらの18本山は次のような3つの系統に分類できる。

  • 古義真言宗系(13本山)
    • 古くからの伝統を重んじ、空海の教義を忠実に守る
    • 東寺真言宗、高野山真言宗など
    • 教王護国寺(東寺)や金剛峯寺など
  • 新義真言宗系(3本山)
    • 覚鑁【かくばん】によって新たに体系化された教義
    • 新義真言宗、真言宗智山派、真言宗豊山派
    • 根来寺、智積院、長谷寺の3本山
  • 真言律宗系(2本山)
    • 真言宗と律宗(禅宗)が融合し、戒律を重視して厳格な修行を行うことを特徴とする
    • 真言律宗
    • 西大寺、宝山寺の2本山

各派の教義の違いは、主に修行方法や儀式の違いにあるが、基本的な教えは空海の密教(真言宗)に基づいている。


真言宗十八本山の一覧表

寺院名本 尊宗  派所在地
善通寺薬師如来善通寺派善通寺市
須磨寺聖観音須磨寺派神戸市
須磨区
清荒神清澄寺大日如来真言三宝宗宝塚市
中山寺十一面観音中山寺派宝塚市
大覚寺五大明王大覚寺派京都市
右京区
仁和寺阿弥陀三尊御室派京都市
右京区
智積院金剛界大日如来智山派京都市
東山区
泉涌寺釈迦如来
阿弥陀如来
弥勒如来
泉涌寺派京都市
東山区
教王護国寺
/東寺
薬師如来東寺
真言宗
京都市
南区
勧修寺千手観音山階派京都市
山科区
随心院如意輪観音善通寺派京都市
山科区
醍醐寺薬師如来醍醐派京都市
伏見区
宝山寺不動明王真言律宗奈良県
生駒市
朝護孫子寺毘沙門天王信貴山
真言宗
奈良県
平群町
西大寺釈迦如来真言律宗奈良市
西大寺芝町
長谷寺十一面観音真言宗
豊山派
桜井市
根来寺大日如来
金剛薩埵
尊勝仏頂
新義真言宗岩出市
金剛峯寺大日如来高野山
真言宗
高野町
真言宗十八本山札所

真言宗十八本山

善通寺

善通寺【ぜんつうじ】は、香川県善通寺市に位置する寺院で、真言宗善通寺派の総本山である。平安時代初頭の807年に、真言宗の開祖である弘法大師空海の父、佐伯田公によって創建された寺で、四国八十八箇所霊場の第七十五番札所であり、かつ、真言宗十八本山の一番札所にもなっている。広大な境内は、創建地である東院(伽藍)と、空海の生誕地とされる西院(誕生院)に分かれている。(詳しくは、善通寺を参照)

名 称五岳山 善通寺
所在地善通寺市善通寺町 3-3-1
TEL0877-62-0111
駐車場あり(無料)
Link善通寺–四国第75番札所

須磨寺

須磨寺【すまでら】は、兵庫県神戸市須磨区須磨寺町にある真言宗須磨寺派の大本山の寺院である。正式名称は、上野山【じょうやさん】福祥寺である。御本尊は聖観音で、新西国三十三箇所の第24番札所でもある。

須磨寺は、平安時代の886年に光孝天皇の勅命によって創建された寺院で、境内には国指定重要文化財の本堂や十三重石塔など多くの歴史的建造物がある。

また、平敦盛遺愛の「青葉の笛」や弁慶の鐘など、源平合戦に関連する宝物も所蔵されている。

須磨寺は、毎月20日と21日に「お大師様の縁日」が開かれ、多くの参拝者で賑わう。また、秋季彼岸会や須磨の火祭りなど、年間を通じて様々な行事が行われている。(詳しくは、須磨寺を参照)

名 称須磨寺(上野山 福祥寺)
所在地神戸市須磨区須磨寺町4-6-8
TEL078-731-0416
駐車場
Link大本山 須磨寺

清荒神清澄寺

清荒神清澄寺【きよしこうじんせいちょうじ】は、兵庫県宝塚市にある真言三宝宗の総本山の寺院である。山号は蓬莱山で、御本尊は大日如来である。

この寺院は、平安時代の896年に宇多天皇の勅願により静観僧正によって創建された。

清荒神清澄寺は、神仏習合の形態が色濃く残っており、境内には三宝荒神社もある。また、境内には鉄斎美術館があり、画家富岡鉄斎の作品が展示されている。

この寺院は、火の神や台所の神として信仰されており、家内安全や商売繁盛、厄除開運などの現世利益をもたらすとされてる。毎年多くの参拝者が訪れ、特に年末年始や1月の土日祝日には多くの人々で賑わう。
(詳しくは、清荒神清澄寺を参照)

名 称蓬莱山 清荒神清澄寺
所在地兵庫県宝塚市米谷字清シ
TEL0797-86-6641
駐車場
Link真言三宝宗 清荒神清澄寺

中山寺

中山寺【なかやまでら】は、兵庫県宝塚市にある真言宗中山寺派の大本山である。聖徳太子が創建したと伝えられ、日本最初の観音霊場として知られ、西国三十三所の第24番札所である。

中山寺は、特に安産祈願や子授け祈願で有名で、「安産の観音さま」として多くの参拝者が訪れる。

境内には、本堂や五重塔、奥之院などの重要な建物があり、歴史的な雰囲気を感じることができる。

毎月21日には「御影供」という行事が行われ、多くの参拝者で賑わう。
(詳しくは、中山寺を参照)

名 称紫雲山 中山寺
所在地宝塚市中山寺2丁目11-1
TEL0797-87-0024
駐車場あり(有料)
Link大本山 中山寺|安産祈願

大覚寺

大覚寺【だいかくじ】は、京都市右京区嵯峨大沢町にある真言宗大覚寺派の大本山の寺院である。山号は嵯峨山で、御本尊は不動明王を中心とする五大明王である。

この寺院は、嵯峨天皇の離宮を寺に改めたもので、皇室ゆかりの寺院として知られている。

大覚寺は、平安時代初期の876年に創建され、開山は恒寂入道親王である。また、後宇多法皇がここで院政を行うなど、日本の政治史にも深い関わりを持つ寺院である。

境内には、大沢池や名古曽滝跡などの名勝があり、特に大沢池は日本最古の人工の庭池として知られている。
(詳しくは、大覚寺を参照)

名 称嵯峨山 大覚寺
所在地京都市右京区嵯峨大沢町4
TEL075-871-0071
駐車場なし
Link旧嵯峨御所 大本山 大覚寺

仁和寺

仁和寺【にんなじ】は、京都市右京区御室大内にある真言宗御室派の総本山の寺院である。宇多天皇が開基となり、888年に創建された寺院である。仁和寺の御本尊は阿弥陀如来である。

仁和寺には、国宝や重要文化財が多数あり、「古都京都の文化財」の一部として、世界遺産に登録されている。

また、御室桜【おむろざくら】という遅咲きの桜が有名で、春には多くの観光客で賑わう。(詳しくは、仁和寺を参照)

名 称仁和寺
所在地京都市右京区御室大内33
TEL075-461-1155
駐車場あり(有料)
Link真言宗御室派総本山 仁和寺

智積院

智積院【ちしゃくいん】は、京都市東山区にある真言宗智山派の総本山の寺院である。山号は五百佛山【いおぶさん】と称し、御本尊は金剛界大日如来である。

智積院は、1601年に玄宥【げんゆう】によって創建された寺で、桃山時代の障壁画などの重要文化財が多くあり、特に長谷川等伯一派による障壁画は国宝に指定されている。

このように、智積院は歴史的な価値が高い寺院であると共に、美しい庭園でも有名である。(詳しくは、智積院を参照)

名 称五百佛山 根来寺智積院
所在地京都市東山区東瓦町964
TEL075-541-5361
駐車場あり(無料)
Link真言宗智山派総本山智積院

泉涌寺

泉涌寺【せんにゅうじ】は、京都市東山区にある真言宗泉涌寺派総本山の寺院である。山号は東山【とうざん】または泉山【せんざん】と称する、御本尊は、釈迦如来、阿弥陀如来、弥勒如来の三世仏である。

泉涌寺は、平安時代に弘法大師空海が草創したと伝えられているが、実質的な開山は鎌倉時代の月輪大師俊芿【がちりんだいししゅんじょう】である。寺院の名前は、境内から清水が湧き出たことに由来しているという。

泉涌寺は、皇室の菩提寺(皇室香華院)としても知られ、歴代の天皇や皇族の尊牌(位牌)が奉安されている。

また、楊貴妃観音堂の御本尊は楊貴妃観音で、洛陽三十三所観音霊場の第20番札所となっている。
(詳しくは、泉涌寺を参照)

名 称東山/泉山 泉涌寺
所在地京都市東山区泉涌寺山内町27
TEL075-561-1551
駐車場
Link皇室御香華院 御寺 泉涌寺

教王護国寺(東寺)

教王護国寺【きょうおうごこくじ】、通称「東寺」【とうじ】は、京都市南区九条町にある真言宗の寺院で、東寺真言宗総本山である。平安時代の796年に平安京の鎮護のために創建された官寺である。823年に嵯峨天皇から弘法大師空海に下賜された後は、真言密教の根本道場として栄えた。

国宝に指定されている五重塔は、日本で最も高い木造建築物として有名で、古都京都のシンボルにもなっている。また、金堂や大師堂(御影堂)などの重要文化財が多数ある。東寺は、1994年に「古都京都の文化財」としてユネスコの世界文化遺産の一部として登録されている。(詳しくは、教王護国寺/東寺を参照)

名 称教王護国寺東寺
所在地京都市南区九条町1 
TEL075-691-3326
駐車場なし
Link東寺・真言宗教王護国寺

勧修寺

勧修寺【かじゅうじ】は、京都市山科区にある真言宗山階派の大本山の寺院である。山号は亀甲山【きっこうざん】と称する。御本尊は千手観音である。

勧修寺は、900年に醍醐天皇が母・藤原胤子の菩提を弔うために創建した寺院であるという。勧修寺は、皇室や藤原氏の庇護を受けて栄えたが、応仁の乱などの戦火で一時衰退した。

江戸時代に再興され、現在の本堂や宸殿【しんでん】はその時期に建てられたものであるという。

庭園には桜、藤、杜若【かきつばた】、花菖蒲【はなしょうぶ】などが咲き、冬には氷室池にマガモも訪れるらしい。(詳しくは、勧修寺を参照)

名 称亀甲山 勧修寺
所在地京都市山科区
勧修寺仁王堂町27-6
TEL075-571-0048
駐車場
Link勧修寺/京都観光Navi

随心院

随心院【ずいしんいん】は、京都市山科区小野御霊町にある真言宗善通寺派の大本山の寺院である。山号は牛皮山【ごひざん】と称する。御本尊は、如意輪観世音菩薩である。

随心院は、991年に仁海【にんがい】僧正によって創建された寺と伝わっている。

随心院は、小野小町ゆかりの寺としても知られている。小野小町が晩年を過ごした地とされ、彼女にまつわる多くの伝説や、文塚や化粧井戸などの遺跡が残っている。

春には「はねず踊り」が行われるらしい。また、随心院は梅の名所としても知られている。
(詳しくは、随心院を参照)

名 称牛皮山 随心院
所在地京都市山科区小野御霊町35
TEL075-571-0025
駐車場
Link真言宗 大本山・隨心院

醍醐寺

醍醐寺【だいごじ】は、京都市伏見区醍醐東大路町にある真言宗醍醐派の総本山の寺院である。山号は醍醐山(深雪山とも)で、御本尊は薬師如来である。

上醍醐にある准胝堂【じゅんていどう】の御本尊は、准胝観世音菩薩であり、西国三十三所第11番札所になっている。

醍醐寺は、874年に聖宝(理源大師)によって開山された寺院で、境内には国宝の五重塔や金堂、重要文化財に指定されている建物が多数ある。1994年には「古都京都の文化財」の一部としてユネスコの世界文化遺産に登録されている。

醍醐寺は、豊臣秀吉が「醍醐の花見」を行った場所としても有名であり、広大な境内は四季折々の美しい風景が楽しめる場所としても知られている。
(詳しくは、醍醐寺を参照)

名 称醍醐山 醍醐寺
所在地京都市伏見区醍醐東大路町22
TEL075-571-0002
駐車場あり(有料)
Link世界遺産 醍醐寺

宝山寺

宝山寺【ほうざんじ】は、奈良県生駒市門前町にある真言律宗の大本山の寺院である。山号は生駒山で、御本尊は不動明王である。

また、鎮守神として大聖歓喜天聖天)を祀っていることから、生駒聖天【いこましょうてん】とも呼ばれ、毎月1日と16日の聖天縁日には多くの人々で賑わう。

宝山寺は、江戸時代の1678年に湛海律師によって再興され、国指定重要文化財の獅子閣や、厨子入木造五大明王像など多くの文化財がある。

参道の階段は奥の院まで含めると1,000段余りあり、西日本有数の規模を誇るとされる。(詳しくは、寳山寺を参照)

名 称生駒山 宝山寺
所在地奈良県生駒市門前町1-1
TEL0743-73-2006
駐車場
Link寳山寺公式ホームページ

朝護孫子寺

朝護孫子寺【ちょうごそんしじ】は、奈良県平群町信貴山にある信貴山真言宗の総本山の寺院である。山号は信貴山で、御本尊は毘沙門天である。

朝護孫子寺は、587年に聖徳太子によって創建されたと伝えられている。「信貴山の毘沙門さん」として親しまれており、初詣や「寅まつり」(2月下旬)には多くの参拝客で賑わう。

神仏習合の名残から、境内には鳥居も並んでいる。1958年に再建された本堂(毘沙門堂)は、朱塗りの欄干を持つ舞台造りの建物で、その壮大な景観が特徴的である。

朝護孫子寺は、国宝に指定されている「信貴山縁起絵巻」や、重要文化財に指定されている金銅鉢、武具類などの文化財が多く保存されている。
(詳しくは、朝護孫子寺を参照)

名 称朝護孫子寺
所在地奈良県平群町信貴山2280-1
TEL0745-72-2277
駐車場
Link信貴山朝護孫子寺

西大寺

西大寺【さいだいじ】は、奈良市西大寺芝町にある真言律宗の総本山の寺院である。山号は勝宝山で、御本尊は釈迦如来である。

西大寺は、奈良時代の765年に孝謙上皇(重祚して称徳天皇)の発願により、僧・常騰を開山(初代住職)として建立された寺院である。

西大寺は、南都七大寺の一つとして奈良時代には壮大な伽藍を誇ったが、平安時代に一時衰退し、鎌倉時代に叡尊によって復興された寺院である。境内には、国宝に指定されている木造叡尊坐像や金銅宝塔など、多くの文化財がある。
(詳しくは、西大寺を参照)

名 称西大寺
所在地奈良市西大寺芝町1丁目1-5
TEL0742-45-4700
駐車場
Link真言律宗総本山 西大寺

長谷寺

長谷寺【はせでら】は、奈良県桜井市初瀬にある真言宗豊山派の総本山の寺院である。山号は豊山【ぶさん】で、御本尊は十一面観音(十一面観世音菩薩)である。

長谷寺は、道明によって開山され、西国三十三所の第8番札所としても知られている。

長谷寺

境内には、国宝に指定されている本堂や、重要文化財に指定されている登廊【のぼりろう】など多くの歴史的建造物がある。特に本堂は、断崖絶壁に建てられた舞台造りの大殿堂で、その壮大な景観は訪れる人々を魅了する。

長谷寺牡丹【ボタン】

長谷寺は「花の御寺」としても有名で、四季折々の美しい花々が楽しめる。春には桜や牡丹、夏には紫陽花、秋には紅葉、冬には寒牡丹が咲き誇る。
(詳しくは、長谷寺を参照)

名 称長谷寺
所在地奈良県桜井市初瀬731-1
TEL0744-47-7001
駐車場あり(有料)
Link花の御寺 総本山 長谷寺

根来寺

根来寺【ねごろじ】は、和歌山県岩出市にある新義真言宗の総本山の寺院である。山号は一乗山と称する。御本尊は大日如来、金剛薩埵、尊勝仏頂の三尊である。

根来寺は、平安時代後期の1130年に、覚鑁(興教大師)によって開創された寺院である。国宝に指定されている大塔や、重要文化財に指定されている大伝法堂など多くの歴史的建造物がある。

根来寺は、広大な境内を持ち、四季折々の美しい風景が楽しめる場所として知られている。特に春には桜が咲き誇り、多くの花見客で賑わう。
(詳しくは、根来寺を参照)

名 称一乗山 根来寺
所在地和歌山県岩出市根来2286
TEL0736-62-1144
駐車場あり(無料)
Link新義真言宗総本山 根來寺

金剛峯寺

金剛峯寺【こんごうぶじ】は、和歌山県高野山にある高野山真言宗の総本山である。正式には「高野山金剛峯寺」と称される。(詳しくは、金剛峯寺を参照)

高野山は、平安時代の816年に弘法大師空海によって開創された真言密教の聖地として知られる。また、高野山は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として登録されている。
(詳しくは、高野山を参照)

名 称高野山金剛峯寺
所在地和歌山県高野町高野山132
駐車場あり(無料)
Link高野山真言宗 総本山金剛峯寺

あとがき

真言宗十八本山は、弘法大師空海にゆかりの18の主要な寺院を指すが、いずれも歴史的及び文化的な価値が高い、有名な寺院ばかりである。

各寺院には独自の歴史や伝統があり、訪れる度に新しい発見がある。これらの寺院を巡るだけでも弘法大師空海の教えに触れるだけでなく、長い歴史のなかで僧侶たちの修行の場として重要な役割を果たしてきたことが身近に感じられる。そして多くの人々が参拝に訪れる意義を少なからず理解できるはずである。


【関連記事】
弘法大師空海の原点を訪ねて―御誕生の地・善通寺でふれる祈りのはじまり
文人たちが愛した風景―須磨寺でたどる源平と文化の足跡
神仏習合の面影を今に伝える――清荒神清澄寺の信仰と風景
安産祈願の聖地へ―やさしき観音さまに出会う中山寺への旅
御所の気配ただよう古刹へ―皇室ゆかりの大覚寺と大沢池
御室桜に彩られる春の御所―京の名刹・仁和寺の静寂と華
真言教学の正統を今に伝える―智山派総本山・智積院の魅力
皇室ゆかりの祈りの聖地――真言宗泉涌寺派総本山・泉涌寺
立体曼荼羅の宇宙を体感する―教王護国寺(東寺)で出会う真言密教の世界
四季の花と静寂に包まれる寺―真言宗山階派大本山・勧修寺
小野小町の面影を辿る―門跡寺院・随心院でふれる雅の世界
秀吉が愛した桜の舞台―世界遺産・醍醐寺で辿る醍醐の花見
日本三大聖天の霊地へ―生駒山・寳山寺で知る信仰のかたち
毘沙門天の霊地へ―信貴山・朝護孫子寺で出会う寅まつり
古都奈良の静寂に佇む名刹――南都七大寺・西大寺を訪ねて
大和路に咲く祈りの風景―長谷寺で感じる花と季節のめぐり
密教復興の志を今に伝える―覚鑁上人ゆかりの根来寺の魅力
真言密教の聖地・高野山へ――総本山・金剛峯寺で出会う弘法大師の教えの原点
弘法大師空海の祈りが息づく山上の聖地――真言密教の根本道場・高野山の魅力
弘法大師が描いた密教世界の象徴空間―高野山・壇上伽藍で出会う祈りのかたち
今も瞑想を続ける弘法大師空海に出会う御廟―高野山奥之院で出会う静寂と聖性
武士の時代を見つめた古刹―金剛三昧院で出会う頼朝と政子
母への祈りが息づく寺―弘法大師空海の母公ゆかりの慈尊院