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四季の花と静寂に包まれる寺―真言宗山階派大本山・勧修寺

はじめに

勧修寺【かじゅうじ】は、真言宗山階派大本山の寺院であり、醍醐天皇が生母(藤原胤子)の菩提を弔うために創建したと伝えられる。皇室や藤原氏の庇護を受けて栄えたが、たび重なる戦火で衰退し、江戸時代に再興されてからは法親王が暮らす門跡寺院となった。宸殿や書院は明正天皇の旧殿を賜ったものとされる(残念ながら、内部は非公開)。

勧修寺の境内マップ

氷室ノ池を中心とした池泉回遊式庭園は、平安時代の雅かな雰囲気を現代に伝えていると言われている。春の桜(サクラ)に始まり、初夏の藤(フジ)、杜若(カキツバタ)、花菖蒲(ハナショウブ)などが池辺に咲くなど四季折々の美しい風情が楽しめるという。また、水面には赤や白の睡蓮(スイレン)が咲き、冬にはマガモも訪れることがあるらしい。

目次
はじめに
勧修寺
あとがき

勧修寺

勧修寺【かじゅうじ】は、京都市山科区にある真言宗山階派の大本山の寺院である。山号は亀甲山【きっこうざん】と称する。御本尊は千手観音である。

勧修寺は、900年に醍醐天皇が母・藤原胤子の菩提を弔うために創建した寺院であるという。勧修寺は、皇室や藤原氏の庇護を受けて栄えたが、応仁の乱などの戦火で一時衰退した。

江戸時代に再興され、現在の本堂や宸殿【しんでん】はその時期に建てられたものであるという。

庭園には桜、藤、杜若【かきつばた】、花菖蒲【はなしょうぶ】などが咲き、冬には氷室池にマガモも訪れるらしい。

名 称亀甲山 勧修寺
所在地京都市山科区
勧修寺仁王堂町27-6
TEL075-571-0048
駐車場
Link勧修寺|京都観光

あとがき

勧修寺の長官たる僧侶は、長吏【ちょうり】と呼ばれる。1110年に第7世勧修寺長吏となった寛信(1084~1153)は、藤原為房の子で、東寺長者や東大寺別当などを歴任した人物である。そして、寛信は真言密教の事相に通じ、真言宗小野流の一派である勧修寺流の祖とされている。

勧修寺は、皇室と藤原氏の援助を受け、各地に広大な寺領を所有して、真言宗小野流の中心寺院、皇室ゆかりの寺院として最盛期を迎えていた1336年の「勧修寺寺領目録」によると、勧修寺の寺領は加賀国郡家荘をはじめ、三河国、備前国など18か荘に及んでいたとされる。

しかしながら、応仁の乱(1470年)の兵火で寺は焼失した。そして、豊臣秀吉が伏見街道を造る際に、境内地は削減され、氷室池の南側を埋め立てられるなどして次第に衰退していく。

そして、勧修寺が再興されるのは、1682年に霊元天皇の皇子・済深法親王が29世長吏として入寺してからであった。済深法親王が東大寺大仏殿再建に功があったとして、その褒美として寺領が1,012石に加増された。現存する本堂、宸殿、書院などの伽藍は、霊元天皇や明正天皇ら皇族の旧殿を下賜されたものである。

済深法親王に次いで、30世長吏となった尊孝法親王の叔母は真宮理子【さなのみやまさこ】が八代将軍・徳川吉宗の正室であった縁により、紀伊国の約100ヶ寺が勧修寺の末寺に組み入れられたと伝わっている。

真言宗の各派は、明治以降、対立と分派・合同を繰り返したとされ、御室派、醍醐派、大覚寺派などが分立したが、勧修寺は「真言宗」にとどまっていた。

しかし、明治40年(1907年)に当時の「真言宗」が解消されて山階派、小野派、東寺派、泉涌寺派が独立した際に、勧修寺は山階派の大本山となった。

その後、第二次世界大戦中に宗教団体法の施行により、既存仏教各派の統合が進められ、真言宗各派は完全に統合された。しかしながら、戦後の昭和27年(1952年)に再度、山階派として独立し、現在に至っている。


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