はじめに
秋の深まりとともに、伊賀の国・名張の里山が色づき始める季節。そんな中、ひときわ目を引くのが積田神社【せきたじんじゃ】の境内にそびえる大イチョウである。今回は、黄金色に染まるその姿を求めて積田神社に参拝したのでレポートしたい。
積田神社とは?
三重県名張市にある積田神社【せきたじんじゃ】は、古くから地域の守り神として信仰されてきた由緒ある神社である。創建は奈良時代とも伝えられ、伊賀国一之宮として約1250年の歴史を誇る由緒ある神社である。
奈良時代の神護景雲元年(767年)、鹿島大神が春日大社へ遷幸する途中に立ち寄り、鎮座されたと伝えられている。そのため、積田神社は「南都春日大社の奥宮」とも称され、現在も春日大社(奈良市)から幣帛【へいはく】を賜る格式の高い神社である。
境内は静かで落ち着いた雰囲気があり、道幅が広くて、長い参道が特徴的である。鳥居をくぐりと、しばらく歩くと目に飛び込んでくるのが、堂々とした姿の大イチョウの木である。その存在感は圧倒的で、まるで神社を守るかのように聳えている。
積田神社の参道には、大イチョウの木が2本そびえていて、秋になると黄金色に染まり、まるで神域が光に包まれるような幻想的な風景が広がる。 見頃は例年11月下旬〜12月上旬である。落葉後も黄色い絨毯のようになって、写真撮影の被写体としてもばっちりである!
私が訪れたのは11月下旬と12月上旬の2度である。11月下旬はちょうど見頃を迎えた大イチョウは、陽の光を浴びてまばゆいほどの黄金色に染まり、境内全体が柔らかな光に包まれていた。
一方、12月上旬になると、風が吹くたびに黄金色の葉が宙を舞い、足元には黄色い絨毯が広がる――その光景は、まるで神話の世界に迷い込んだかのようである。静寂の中に、自然の息吹と神聖さが溶け合う瞬間である。
また、境内にはケヤキの巨木や神話にまつわる「神柿」など、歴史と自然が共存する空間が広がっている。
| 名 称 | 積田神社 |
| 所在地 | 三重県名張市夏見2162 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | 積田神社 | 観光三重 |
あとがき
積田神社の大イチョウは、ただの紅葉スポットではなく、歴史と自然が調和する神聖な空間である。その黄金色の葉は、訪れる人の心をそっと癒してくれるような、優しい輝きを放っている。
伊賀の国・名張の里の秋を、静かに味わう旅。喧騒の日常から少し離れて、自然と歴史にふれるひとときを過ごしたいあなたにぴったりな神聖な場所である。きっと、心に残る秋の記憶になるはずである。