はじめに
大峯山【おおみねさん】は、奈良県南部に位置し、修験道の聖地として古くから崇められてきた。大峯山寺は、山上ヶ岳の山頂近くに位置し、蔵王権現を祀っている。
大峯山は、飛鳥時代の終わり頃に役行者(役小角)によって開かれた修験道の発祥地であり、多くの修験者が修行を行う場所で、言わば修験道の聖地となっている。女人禁制の伝統が続いており、特に山上ヶ岳の一部は宗教上の理由から現在においても女性の立ち入りが禁止されている。
平安時代には皇族や貴族が参詣し、修験道の信仰が広まったとされる。戦国時代に入ると、一向宗との争いで一時衰退したが、江戸時代に再建されたらしい。
大峯奥駈道【おおみねおくがけみち】は、吉野から熊野に至る約100kmの修験者たちが修行を行う「修行の道」である。2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部としてユネスコの世界遺産に登録されている。
大峯山
大峯山は、奈良県南部に位置する修験道の聖地であるが、自然の美しさでも魅了する場所である。大峯山では四季折々の美しい風景が楽しめる。例えば、春には新緑とシャクナゲ、秋には紅葉が見事である。特に紅葉の時期は多くの登山者で賑わう。
山上ヶ岳は、大峯山の中心的な山で、山頂には大峯山寺があり、蔵王権現が祀られている。山頂からは大峰山脈の山々を一望できる。
八経ヶ岳は、近畿地方の最高峰で、日本百名山の一つである。山頂からの展望は素晴らしく、特に晴れた日には遠くの山々まで見渡せる。
大峯奥駈道は、吉野から熊野に至る修験者たちの修行の道で、険しい山道が続くので一般登山者にはタフな行程である。その分、達成感も大きい登山になるはずである。
稲村ヶ岳は、「女人大峯」とも呼ばれ、女性も登山できる山である。自然豊かな登山道が魅力で、洞川温泉からのアクセスが便利である。
このように、大峯山は修験道の歴史と自然が融合した魅力的な場所であり、是非、一度はその魅力を体感してみてほしい。
あとがき
私はかなり前ではあるが、洞川温泉を起点にして、山上ヶ岳(標高1,719m)と弥山(標高1,895m)を経て、最高峰の八経ヶ岳(標高1,915m)まで登った経験がある。
登山ルートは、一般的なもので母公堂 → 女人結界門 → 山上ヶ岳(大峯山)→ 弥山 → 八経ヶ岳(引き返し)である。
ルートタイム(所要時間)は、片道 約7〜9時間(往復で約13〜15時間)であるため、事前予約をして初日の夜は山上ヶ岳の山頂付近にある大峯山寺 宿坊に一泊させてもらった。20畳以上と思われる広い部屋に一人だけで泊まるのは少々勇気がいった記憶が残っている。
女人結界門を通過すると、修験道の聖域へ突入する(※女性は立ち入り不可)。山上ヶ岳へは約3〜4時間の登りである。初日は、山上ヶ岳頂上にある西の覗きや大峯山寺などの修験道行場を訪ねた。
翌日は、山上ヶ岳から弥山までは約4〜5時間といったところであった。大峯奥駈道を南下する道は、アップダウンが多くて、岩場や鎖場もある。途中、法螺貝を持った先導者に引率された修験者一行に出会っただけで、この修験道を単独行で登山するのは聖地の独特の雰囲気もあって、二度目はないかもと考えながら歩いた想い出がある。登山道には行場が点在しており、独特の雰囲気を醸し出していて、背筋がぞっとすることも度々であった。
そんな修験道を抜け、弥山まで登れば、八経ヶ岳までは片道約30分〜40分といったところである。森林限界を越えた先には、近畿最高峰(標高1,915m)の山頂があった!
山頂からは大峰山系の大パノラマが広がる。それまでの苦労が報われる瞬間である!帰路は思いのほか軽やかで、洞川温泉までそれほど時間を要したという記憶が残っていない。洞川温泉の湯が疲れを癒してくれたので、記憶が飛んでしまっているのかも知れないが・・・
当時とは随分と変わってしまっているかも知れないが、参考までに現時点での大峯山寺 宿坊の情報を掲載しておく。
大峯山寺 宿坊(山上ヶ岳山頂)
- 場所:山上ヶ岳の山頂付近(大峯山寺の境内)
- 営業期間:例年5月〜9月の開山期間中のみ
- 特徴:標高1,700m超の場所にある、まさに“天空の宿坊”!
- 注意点:
- 女人禁制エリア内にあるため、女性は宿泊不可
- 修験者や登山者向けの簡素な宿泊施設(寝具・食事あり)
- 事前予約が必要
- 混雑期は早めの予約を!
- 龍泉寺参籠所
- 大峯山山上ヶ岳にある宿坊
- 5月3日〜9月21日まで営業
- 一般登山者の宿泊も可能
(ただし、男性に限る) - 要予約・冬季休業
- 電話番号:0747-64-0001
- 櫻本坊参籠所
- 大峯山山上ヶ岳にある宿坊
- 毎年5月3日~9月23日まで営業
- 一般登山者の宿泊も可能
(ただし、男性に限る) - 要予約・冬季休業
- 電話番号:0747-68-9188
- 吉野山櫻本坊 0746-32-5011