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小野小町の面影を辿る―門跡寺院・随心院でふれる雅の世界

はじめに

随心院【ずいしんいん】は、真言宗善通寺派大本山の寺院であると共に、真言宗の仁海僧正による開基(991年)以来、1030年超の歴史がある古刹である。

随心院は、古くは牛皮山【ごひざん】曼荼羅寺と称された寺である。仁海僧正の一夜の夢に、亡き母が牛に生まれ変わっていることを見て、その牛を鳥羽のあたりに尋ね求めて、飼養したところ日なくして死んでしまった。それを悲しんで、その牛の皮に両界曼荼羅の尊像を描いて本尊にしたことに因んでいると伝わる。また、牛尾山は、仁海僧正が牛の尾を山上に埋めて、菩堤を弔ったと伝えられている山である。

随心院の境内マップ

その後、増俊阿闍梨の時に、曼荼羅寺の子房として「隨心院」を建立し、次いで親厳大僧正が、1229年に後堀河天皇から門跡の宣旨を賜ってからは「隨心院門跡」と称されている。

堂舎も次第に整備され、七堂伽藍は壮美を誇っていたが、「承久應仁の兵乱」で消失してしまったらしい。その後、1599年に本堂が再建されたという。それ以降、九条摂家と二条摂家から門跡が入山し、両摂家の寄進によって再建されていったという歴史がある寺院である。

目次
はじめに
随心院
あとがき

随心院

随心院【ずいしんいん】は、京都市山科区小野御霊町にある真言宗善通寺派の大本山の寺院である。山号は牛皮山【ごひざん】と称する。御本尊は、如意輪観世音菩薩である。

随心院は、991年に仁海【にんがい】僧正によって創建された寺と伝わっている。

随心院は、小野小町ゆかりの寺としても知られている。小野小町が晩年を過ごした地とされ、彼女にまつわる多くの伝説や、文塚化粧井戸などの遺跡が残っている。

春には「はねず踊り」が行われるらしい。また、随心院は「梅の名所」としても知られている。

名 称牛皮山 随心院
所在地京都市山科区小野御霊町35
TEL075-571-0025
駐車場
Link真言宗 大本山・隨心院

あとがき

小野小町【おののこまち】は、平安時代初期の女性で、絶世の美女であったと伝わっている。「○○小町」と言えば、○○地の美人あるいは美女を指す言葉として知られるほどに、小野小町は美人の代名詞とも言える女性ではある。日本ではクレオパトラや楊貴妃と並んで小野小町が「世界三大美女」の一人に数えられている。

しかも彼女は和歌を得意としており、その才能も高く評価されている。『古今和歌集』の序文には、六歌仙【ろっかせん】の一人として記されている紅一点の歌人である。

百人一首にも選ばれている彼女の和歌「花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせし間に」は、後世の多くの人々に愛され続けている。

このように小野小町は、美貌と才能を持ち合わせた、言わば才色兼備の女性であるが、その人物像は謎が多い。平安時代前期の女流歌人であるようだが、出自は明らかではなく、生没年不詳でもある。

小野小町は、一千有余年の時を経ても人々を魅了し続ける謎の美女と言った立ち位置である。実在の小野小町がどのような女性だったのかは、非常に気になるところである。小野小町はどこで生まれ、どうように生き、いつ、どこで亡くなったのか?そしていつ頃から伝説の人になってしまったのか?

隨心院は、小野小町ゆかりの寺であると言われている。隨心院に代々伝わってきた小町伝説が『小町』という書物に纏められているという。私はまだ読んではいないが、小野小町の人生を淡く、儚く、幻想的に描き出しているとされる。好奇心を満たすためには、一読するしかあるまい。


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