はじめに
西大寺【さいだいじ】は、奈良市にある真言律宗の総本山の寺院である。
西大寺は、奈良時代の764年に称徳天皇(孝謙上皇)が藤原仲麻呂による反乱の鎮圧を願い、鎮護国家と平和祈願のために創建した寺院で、僧・常騰が初代住職として開山された。創建当初の寺領は非常に広大で、薬師金堂や弥勒金堂、東西両塔などが立ち並んでいたという。

平安時代には度重なる災害により衰退したが、鎌倉時代に叡尊(興正菩薩)によって復興された。叡尊は戒律の復興に努め、貧者や病者の救済にも力を尽くしたという。
室町時代には火災や戦乱で多くの建物が失われたが、江戸時代に江戸幕府から寺領を認められ、再建が進められた。現在の伽藍の大半は江戸時代以降の再建であるという。
明治28年(1895年)に真言宗から独立し、真言律宗を組織したという。以来、真言律宗の総本山として信仰を集めている。
西大寺
本堂には、1249年に仏師・善慶によって造仏された釈迦如来立像が安置されている。堂内には文殊菩薩騎獅像や弥勒菩薩坐像なども安置されており、荘厳な雰囲気が漂っている。
本堂の前には東塔跡がある。基壇部分に礎石が残っており、かつての壮大な塔の名残を感じることができる。
四王堂は、称徳天皇が四天王像造立の発願をしたことにより始まったとされる。四天王像と十一面観音菩薩像が安置されている。十一面観音菩薩像の高さは約6mもあり、圧巻の存在感がある。
愛染堂は、近衛家の御殿を移築したもので、愛染明王坐像が安置されている。愛染明王の独特の表情と存在感が魅力的である。
聚宝館は、西大寺に伝わる仏像や宝物を収蔵・展示する施設である。特別拝観時には貴重な文化財を鑑賞することができる。
西大寺は「大茶盛」と呼ばれる大きなお茶碗でお茶を飲む行事でも知られている。この行事は叡尊上人が始めたもので、現在も春と秋に行われているという。
名 称 | 西大寺 |
所在地 | 奈良県奈良市西大寺芝町1丁目1-5 |
TEL | 0742-45-4700 |
駐車場 | |
Link | 真言律宗総本山 西大寺 |
あとがき
西大寺の魅力は、奈良時代の765年に創建された名刹で、その歴史と文化的な価値から多くの参拝者が訪れる寺院である。特に、「西大寺祈願祭」や「千灯供養」は有名である。
長い歴史を持ち、平安時代や鎌倉時代の文化財が数多く残されている。西大寺の建造物は、古代から続く伝統的な日本建築の美しさを体現しており、特に、本堂や五重塔はその美しさで有名である。
西大寺には国宝や重要文化財に指定された仏像や絵画が多く、それらの文化財は歴史的な価値が高いものばかりである。西大寺を訪れば、歴史と文化、自然の美しさを感じることができる。
西大寺は、奈良市内に位置しているにもかかわらず、その境内は非常に静かで、心を落ち着けることができる。庭園も美しく、季節ごとに異なる風景を楽しむことができるという。