はじめに
秋の紅葉は、自然が織り成す一大イベントであり、季節の変わり目を実感する季節でもある。夏の暑さから完全に癒え、冬の訪れを感じるなど、季節の移ろいを感じる瞬間でもある。
秋になると、カエデ、イチョウ、ナラなどの葉が鮮やかな赤色、黄色、オレンジ色に染まる。このカラフルな風景はまるで絵画のような美しい色彩で私たちを楽しませてくれる。日本では秋になると北から南へと順に全国的に紅葉が楽しめるが、その魅力は地域や紅葉の名所によって特徴が異なる。
個人的には静かな森や山中で紅葉を楽しみたいと思う。その理由は、自然の中でリフレッシュでき、心が洗われるような感覚が味わえるからである。一方で、有名な神社仏閣の境内での紅葉は、観光客が多いという問題を除けば、紅葉自体は素晴らしい。観光客が多いということは、その場所が紅葉の名所であることを物語っている。人混みを覚悟で、そんな紅葉の名所に押しかけてしまうのも人情というものであろう。
鳥取県には美しい紅葉スポットは多い。例えば、大山である。大山は鳥取県の最高峰で、紅葉の季節には大山の裾野全体が色彩豊かに染まる。登山道沿いの紅葉は特に見事であるが、大山環状道路沿いの紅葉も見事である。このドライブウェイでは、楽して大山の紅葉を楽しむことができる。また、三徳山も紅葉の名所として知られている。意外かも知れないが、鳥取砂丘の周りの木々も秋の紅葉の季節には美しく色づくので、紅葉スポットとなる。そんな鳥取県の紅葉名所を私の撮った写真と共に紹介したい。
鍵掛峠
大山【だいせん】(標高1729m)は、鳥取県に位置する、中国地方の最高峰である。中国山地の山々からやや北に離れた位置にある独立峰の成層火山である。そして、大山一帯は大山隠岐国立公園に指定されている。
標高800 mから1,300 mあたりまでは西日本最大規模のブナ林に覆われているが、その上部には樹林帯がなく、高山帯になっている。
大山の主峰は剣ヶ峰【けんがみね】であるが、他に三鈷峰【さんこほう】、烏ヶ山【からすがせん】や船上山【せんじょうさん】などの峰を持つ。大山は、東西約35 km、南北約30 kmにも及ぶ巨大な規模の山体を誇り、その裾野は日本海に達している。
大山環状道路は、そんな大規模な大山の中腹を周遊する道路ルートの通称である。つまり、一つの路線からなる観光道路ではなく、鳥取県の県道5路線の一部で構成されている。道路の途中に分岐が多いのはそのためである。
鍵掛峠(標高912m)は、大山の南壁が眺望できるビューポイントとして人気が高い所である。鳥取県道45号倉吉江府溝口線にあり、大山環状道路の最高地点となっている。
鍵掛峠の展望台からは、山頂部が横長に伸び、奥の正面に断崖絶壁がそそり立つ大山の南壁が眺望できる。前方には紅葉したブナ林が広がり、背後に大山南壁の無数のガレ場や大規模な崩落によりできた沢なども一望できる。
大山の紅葉は、例年10月中旬頃から色づき始めて11月初旬まで楽しめるが、その期間は意外に短い。少し遅れただけで紅葉の見頃を見逃してしまうことがあるので難しい。
鍵掛峠の駐車場にはトイレも完備されている。比較的広い駐車場ではあるが、秋の紅葉のシーズンにはかなり混雑し、なかなか駐車できない場合もある。路上駐車をする車も多いので、通行には注意が必要となる。
名 称 | 鍵掛峠 |
所在地 | 鳥取県江府町大字大河原字鍵掛1531-29 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 環境省_鍵掛峠 |
大山/大山環状道路
大山環状道路をドライブしていると、鍵掛峠だけではなく、大山の多彩な姿を眺められる場所が数多くあることに気付く。大山環状道路は、大山の中腹を周遊する道路ルートであるから当然ではあるが、実際に車で走るまでは実感できていなかった。しかし、自分の眼で確認してみると、大山という山の規模の大きさが実感できると共に、眺める方角によって変わるその多彩な姿が魅力的であることもよく理解できる。
大山・三の沢がよく見えるビュースポット
大山の東壁が見えるビュースポット
烏ヶ山がよく見えるビュースポット
大山を背景に紅葉が美しいビュースポット
鳥取県内の紅葉名所一覧
紅葉の名所 | 所在地 |
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鍵掛峠(大山の展望台) | 鳥取県江府町大河原鍵掛 |
大山 | 鳥取県西伯郡大山町大山 |
芦津渓谷 | 鳥取県八頭郡智頭町芦津地区内 |
わかさ氷ノ山 | 鳥取県八頭郡若桜町つく米 |
三徳山三佛寺 | 鳥取県東伯郡三朝町三徳1010 |
滝山公園 | 鳥取県日野郡日野町中菅 |
(太字は、私が実際に紅葉の季節に訪ねたことがあるお勧めの紅葉名所)
参考:ウエザーニュース・紅葉
あとがき
鳥取県のシンボルの一つである大山は、登山愛好家にとっては登頂の対象であるように、写真愛好家にとって格好の被写体であることに疑いの余地はない。しかも秋の紅葉の季節は、山裾の広大なブナ林が紅葉(黄葉)するので、無機質な岩の山壁とのコントラストが一段と美しいものになる。
そんな大山の姿を求めて大山環状道路をドライブしては、自分が気に入る大山の姿を見つけては停車し、カメラを向ける。秋の好天に恵まれた日に、平日であってもドライブにふと出かけられるのは、会社勤めをリタイアしたシニア世代の特権だと思う。
現役の頃、仕事が好きで、仕事も楽しかった。だから現役時代の生活を悔やむことは一切ない。そして、今はシニアの生活を非常に満足しながら過ごすことができている。有難いことだと思う。