はじめに
温泉神社【うんぜんじんじゃ】は、雲仙地獄の入口に位置する、歴史ある神社である。大宝元年(701年)または文武天皇元年(697年)に行基が創祀したと伝えられている。
温泉神社は、雲仙岳を霊山として信仰され、古くから地域の人々に親しまれてきた。
伝説では、行基が当地を訪れ、大乗院満明寺を開山し、同時に温泉神社を創祀したという。温泉神社は、かつて「四面宮」とも称され、筑紫島(現:九州島)の4ヶ国(筑紫国・豊国・肥国・熊曾国)の別名とされている。
江戸時代には島原藩の祈願所とされ、高力家や松平家などの歴代藩主の崇敬を受けたと伝わる。
明治2年(1869年)の神社改正により「筑紫国魂神社」と改称させられたが、大正4年(1915年)に「温泉神社」と元の神社名に戻したと伝わる。
温泉神社は、その伝説と歴史、そして美しい自然環境で多くの参拝客や観光客を魅了している。
温泉神社
島原半島には温泉神社【うんぜんじんじゃ】がかつて18社もあったというくらい島原の人たちにとっては身近な神社である。
そんな温泉神社の総本社が長崎県雲仙市小浜町雲仙にある温泉神社【うんぜんじんじゃ】である。その総本社の温泉神社は、雲仙温泉街にあり、雲仙地獄の入口に位置している。そのため、現在では雲仙温泉のシンボル的存在となっている。
「温泉」と書いて「うんぜん」と読むのは、この地が「雲仙」と表記されるようになる以前から温泉【うんぜん】と呼ばれていたからであるという。
温泉神社は、行基が温泉山満明寺を開山した際に創建した神社とされ、かつて四面宮や筑紫国魂神社と称していた時代もある。
「温泉」と書いて「うんぜん」と読むのは、この地が「雲仙」と表記されるようになる以前から温泉【うんぜん】と呼ばれていたからであるという。
温泉神社の御祭神は、次の5柱の神々である。
- 白日別命【しらひわけのみこと】
- 速日別命【はやひわけのみこと】
- 豊日別命【とよひわけのみこと】
- 建日向日豊久士比泥別命【たけひむかひとよくじひねわけのみこと】
- 建日別命【たけひわけのみこと】
温泉神社は、行基が温泉山満明寺を開山した際に創建した神社とされ、かつては四面宮や筑紫国魂神社と呼ばれた時代もある。
拝殿奥には「夫婦柿」と呼ばれる樹齢200年超の柿の御神木があり、恋愛成就のパワースポットとして知られている。
名 称 | 温泉神社 |
所在地 | 長崎県雲仙市小浜町雲仙319 |
Link | 温泉神社|雲仙温泉郷 雲仙 温泉神社(総本社) – 【公式】四面宮会 |
雲仙温泉の観光スポット
「雲仙地獄・地獄巡り」
雲仙温泉で観光といえば、温泉街に隣接する雲仙地獄の地獄めぐり(遊歩道が整備されている)が有名である。硫黄の臭いと地の底から吹き出す噴気が辺り一面を覆い尽くす荒涼とした非日常的な光景は確かに地獄という名が相応しいだろう。
大叫喚地獄、お糸地獄、清七地獄など30余りの地獄があり、噴気孔から真っ白い湯けむりがもくもくと噴き上がっている。それぞれの名前の地獄にはその名の由来の伝説が残されている。哀しい伝説が記憶に残る。
雲仙温泉で最も活発な噴気活動をしているのが「大叫喚地獄」と呼ばれている一帯である。噴気は120℃の高温の水蒸気で、硫化水素ガスを含み、強い硫黄の臭いを漂わせている。
案内版によれば、雲仙地獄の東側の一番高い場所に位置し、白い噴気は30~40mにも登る。ゴウゴウという噴気音が、地獄に落ちていく亡者の絶叫のようにも聞こえるところから、この地獄の名前が付いたという。
雲仙地獄の地は、江戸時代にはキリシタン殉教の舞台となったところでもあり、殉教の碑が建てられている。
名 称 | 雲仙地獄・地獄巡り |
所在地 | 長崎県雲仙市小浜町雲仙320 |
Link | 雲仙地獄 – 雲仙観光局 |
雲仙・平成新山の展望台
「仁田峠・第二展望所」
雲仙岳は、長崎県の島原半島中央部にそびえる火山で、総計20以上の山々から構成される。主峰は普賢岳(標高1,359m)だが、平成2~7年(1990~1995年)の火山活動で平成新山(標高1,483m)ができ、こちらの方が最高峰になってしまった。
総計20以上の山々から構成される雲仙岳の形は複雑であるが、観光上のキャッチフレーズとして「三峰五岳の雲仙岳」が多用されるようになった。ちなみに三峰は、普賢岳(標高1,359m)・国見岳(1,347m)・妙見岳(1,333m)を指し、五岳は野岳(1,142m)・九千部岳(1,062m)・矢岳(943m)・高岩山(881m)・絹笠山(879m)を指すらしい。
この三峰五岳には平成新山は含まれていない。しかし、現在では雲仙岳の最高峰は平成新山(1,483m)であり、長崎県の最高峰でもある。
仁田峠は普賢岳の5合目にあたる峠であり、最高峰の平成新山を間近で見ることができる場所が仁田峠にある第二展望所(標高1,080m)である。この展望所からは眼前に平成新山の威容を望み、右手の眼下には有明海を見下ろすことができる。「第二」展望所となっているが、ここがイチオシの雲仙屈指の展望台であることに間違いはない。
尚、仁田峠へ向かう道路は一方通行となっており、引き返すことはできないので注意を要する。
名 称 | 仁田峠・第二展望所 |
所在地 | 長崎県雲仙市小浜町雲仙 |
Link | 仁田峠循環道路・仁田峠第二展望所 |
あとがき
雲仙温泉の泉質は、硫酸酸性の硫黄泉で、強い酸性を示す。源泉の最高温度は98℃であり、シューシューと音を立てる噴気の最高温度は120℃であるという。噴気の大部分が水蒸気であるが、炭酸ガスや硫化水素ガスを含み、強い硫黄臭を漂わせる。
硫酸酸性の硫黄泉には鉄イオン、アルミニウムイオン、硫酸イオンなどの成分を豊富に含まれている。そのため、リュウマチ、糖尿病、皮膚病に効能があるとされる。
雲仙温泉の主な泉質は硫黄泉であるが、宿泊施設や共同浴場によって源泉が異なるので、同じ硫黄泉でも白濁、クリーム色、灰色などがあり、湯華や鉱泥が沈殿している場合もあるという。
硫黄泉以外にも透明な酸性泉や赤い酸性泉に入れる施設もあるので、事前に施設の情報を知っておくと自分の好みのお湯に入ることができる。東園【あずまえん】では、鉄分の含まれた赤い酸性泉のお湯に入れるそうだ。
私のようにせっかく雲仙温泉に来たからには乳白色のお湯と硫黄の香りがする温泉情緒たっぷりの硫黄泉を選ぶ者も多いかも知れない。とにかく硫黄泉の泉質は申し分ない雲仙温泉である。
尚、硫黄泉は元々は透明であるが、源泉から配管で引湯する際に配管の内側に溜まった硫黄を含んだ鉱泥が流れてきるので白く濁って見えるのだという。だから配管の長さと年季によって白濁の程度が異なるのだという。それが旅館によって硫黄泉の白濁具合が異なっている理由だと分かると、違う旅館にも泊まってみたくなるのは温泉好きの性【さが】かも知れない。
雲仙温泉は湧出量も豊富なので源泉掛け流しの宿が多いのも温泉好きにとっては嬉しい。