はじめに
巌立峡【がんだてきょう】は、下呂市小坂町落合を流れる濁河川【にごりがわ】と椹谷【さわらたに】が合流する付近の渓谷をいう。合流地点にある絶壁は、巌立【がんだて】と呼ばれる、高さ72m、幅120mの大岩壁は、岐阜県指定の天然記念物となっている。
この巖立峡の「巖立」は、約5万4千年前に御嶽山【おんたけさん】の噴火によって流れ出た溶岩が冷えて固まったときにできた柱状節理が地表に現れたものである。この溶岩流全体は、「摩利支天山第六溶岩流」と呼ばれている。
この溶岩流の台地(溶岩台地)は、椹谷の上流17kmに渡って続いており、「根尾の滝コース」の「あまどり岩」は、巌立の約2倍(約150m)の高さの絶壁を地表に現わしているという。「御嶽パノラマライン」からこの溶岩台地を望むと上が平らな「緑の帯」が延々と続いているのが見られるというこである。
また、巖立の下流に位置する「小巌立」は、かつて巖立と繋がっていたらしいが、椹谷の急流によって溶岩流が約300m近くも流されて巖立と分断されたものであるという。
この巖立がシンボルである巌立峡は、「飛騨・美濃紅葉33選」に選定されるなど「紅葉の名所」としても知られている。巖立峡は、自然の力強さと美しさを感じることができる素晴らしい場所であると言えよう。
巌立峡・巌立
巌立峡【がんだてきょう】は、下呂市小坂町落合を流れる濁河川と椹谷【さわらたに】が合流する付近の渓谷をいう。合流地点にある絶壁は、巌立【がんだて】と呼ばれ、岐阜県指定の天然記念物である。
巌立は、御嶽山から約17km下流に位置する、高さが72m、幅が120mの大岩壁である。岩石は「両輝石安山岩」であるという。
巌立は、約5万4千年前に御嶽山の噴火によって流れ出した溶岩流の先端部分であるという。この先端部分が冷えて固まったときに柱状節理ができ、太さが数十cmの柱が並んでいるように見える。渓谷による浸食によって断面が地表に現れたものであるという。
がんだて公園
巌立峡・巌立の周辺は「がんだて公園」として整備され、展望台や売店、駐車場などが完備されている。また、話好きの親切なボランティアのガイドさんからは巌立峡・巌立の詳しい歴史や地理を学ぶことができるので、時間が許せば、大いに勉強になる。
公園内にはいくつかの滝があり、特に「三ッ滝」までは距離にして約600mの滝見遊歩道が整備されている。
三ッ滝までの滝見遊歩道は一方通行であり、混雑することなく、快適な散策ができる。
朱色に塗られた橋を渡ると三ッ滝が見えてくるが、実は三ッ滝は三つの滝の総称である。最初に見えてくるのが「下段の滝」(落差約5m)と「中段の滝」(落差約11m)である。
下段の滝の位置からは上段の滝(落差6m)はまだ見えない。
中段の滝まで来ると上段の滝(落差6m)が見えてくる。
三ッ滝の全景、つまり上段の滝から下段の滝までを一枚の写真にすることは容易ではなかった。
三ッ滝の中段の滝近くには円空上人ゆかりの不動明王が祀られている。また「円空の座禅岩」と呼ばれる岩もある。
中段の滝を後にして、遊歩道を進むと上段の滝の滝壺が見えてくる。三ッ滝の滝壺の深さは3~5mと言われており、上段の滝が最も深いという。
上段の滝の滝壺の深さは約5mとされ、三ッ滝の中では最も深いためか、滝壺のエメラルドグリーンの色が一層鮮やかに見えた。
三ッ滝を巡る遊歩道は上段の滝を過ぎると林道に出るようになっている。途中に分岐があって、時間に余裕があれば、溶岩台地を歩くコースを選択することもできる。
遊歩道をさらに進み、「行者橋」を渡ると林道に出る。
そのまま「がんだて公園」に戻っても良いが、さらに林道を2kmほど奥に歩いて行くと、「あかがねとよ」と「からたに滝」を見ることができる。
あかがねとよは、椹谷【さわらたに】の支流・唐谷【からたに】にある斜め滝(落差14m)に付けられた名称である。「あかがね」とは「銅のような」という意味であり、「とよ」は「屋根の雨樋」を意味することから「あかがねとよ」とは「銅色の雨樋」という意味である。雨が降らず水量が減少するとこの滝は枯れ、それが長く続くと赤く苔むしていたことから名付けられたという。私が訪れたときには水量が豊富で、エメラルドグリーンの滝壺をもつ綺麗な滝であった。
からたに滝は、椹谷【さわらたに】本流にある滝(落差15m)であり、水量も多くて轟音が周辺に響き渡る豪快な直瀑である。滝の周辺が柱状節理の溶岩で出来ているのも特徴的である。この柱状節理も巌立と同様に御嶽山から流れ出した溶岩が冷えて固まったものであるという。
がんだて公園の周辺は紅葉の名所としても知られている。
名 称 | 巌立峡【がんだてきょう】・巌立 |
所在地 | 岐阜県下呂市小坂町落合 |
TEL | 0576-62-2570(飛騨小坂観光協会) |
駐車場 | あり(無料)(がんだて公園内) |
入園料 | 300円(環境維持協力金として) |
Link | 巌立峡 – 飛騨小坂観光協会 |
あとがき
巖立峡は、その壮大な自然美で訪れる人々を魅了している。その主な魅力と言えば、言わずもがなではあるが、「日本一の溶岩流の断面」と称されるとおり、約5万4千年前に御嶽山の噴火で流れ出た溶岩流の先端が地表に現れた大迫力の「巌立」であろう。
この巖立の2倍(約150m)の高さを誇るとされる「あまどり岩」を今回の旅では目にすることができなかったのは少し残念ではある。事前に下調べをしていなかった私の完全なミスである。
しかしながら、「がんだて公園」内に整備された「滝見遊歩道」を歩く散策は、心身ともに浄化されるような気持ちの良さを感じた。まるで大地から噴き出してくるようなエネルギーを浴びような感覚である。巖立峡が「ヒーリング・癒し・浄化」のスポットと称される意味がさすがに鈍感な私でも分かったような気になったものである。巌立峡を訪れる者に深い感動を与えているに違いない。
自然の美しさと力強さを感じることができる巌立峡は、一度は訪れてみる価値がある観光スポットであることに間違いはない。巌立峡で大自然を満喫しながら散策できたことが印象深く私の記憶に残っている。