はじめに
下呂温泉【げろおんせんせん】は、「日本三名泉」の一つに数えられており、その泉質は無色透明な「アルカリ性単純泉」であることから「美肌の湯」として女性客の人気も高い。また、下呂温泉の源泉は、84℃という高温で湧き出る天然温泉であることから贅沢な「源泉かけ流し」の温泉宿がほとんどである。
下呂温泉の温泉街には、地名の読み方(下呂=ゲロ)にちなんでカエルスポットが点在しているのもユニークである。
下呂温泉の温泉街周辺の観光スポットと言えば、開放感抜群の下呂温泉名物「噴泉池」や、合掌造りの民家で集落を再現した「下呂温泉合掌村」、漬物、地酒、民芸品などのお店が軒を連ねる「いでゆ朝市」などが一般によく知られている。
本稿では、下呂温泉の魅力と温泉街近郊のお薦め観光スポットについて記したいと思う
下呂温泉
下呂温泉【げろおんせん】は、開湯以来1,000年以上の歴史がある温泉郷であり、有馬温泉(兵庫県)や草津温泉(群馬県)と共に「日本三名泉」の一つに数えられている。
下呂温泉は、温泉を利用した病院や医学研究所が設置されているほどの良質な温泉地である。特に「美肌の湯」として女性に人気の高い温泉地である。温泉街のあちこちには「足湯」が無料で設けられており、気軽に温泉を楽しめることも女性には魅力的に映るのかも知れない。それらが相まって下呂温泉の人気の秘密になっているのかも知れない。
下呂温泉には一羽の白鷺【しらさぎ】が温泉の湧出所を知らせたいう伝説が残されており、温泉街には白鷺をモチーフにしたデザインが数多く見受けられる。
名 称 | 下呂温泉 |
所在地 | 岐阜県下呂市下呂温泉 |
Link | 日本三名泉を楽しもう|下呂温泉観光協会 |
泉質・効用
下呂温泉の泉質は、アルカリ性単純温泉である。無色透明・無臭のお湯であり、pH値は9.2と比較的高いために角質や脂質などの汚れを取り除く効果が高いとされている。湯上がり後の肌はすべすべになるという美肌効果が高いために「美人の湯」として知られる。
源泉の温度は84℃と結構高く、湧出量も豊富であるため「源泉かけ流し」の宿がほとんどである。効能として、ストレスによる諸症状をはじめ、神経痛・筋肉痛・肩こり・関節痛などに良いとされる。
温泉街
温泉街には、温泉旅館をはじめ土産物店や飲食店などが飛騨川の両岸から山の中腹まで広く建ち並んでいる。温泉街にある旅館の密集率は比較的低いため、旅館の立地によっては様々な特徴のある景色が堪能できるはずである。それも下呂温泉の魅力の一つであるかも知れない。
温泉街の中心は、歓楽街的な賑わいがあるが、そこから離れるにつれて静かな山里の風情を醸し出している。四季折々で異なる表情を見せてくれる静かな雰囲気の大自然を間近で感じながら、日常の喧騒から離れ、宿の露天風呂でのんびりと贅沢な時間を過ごすのも悪くない。
下呂温泉の温泉街には多くの温泉宿があり、それぞれに個性的な温泉風呂や、飛騨牛を中心とした美味しい料理が楽しめる。
様々な趣向を凝らした温泉宿を自分の好みで選択すればよい。飛騨牛など地元の食材を使った食事に舌鼓を打ちながら、至極の時間をじっくりと堪能しながら英気を養いたい。
温泉街の観光スポット
定番と呼ばれる観光スポットは温泉街に集約され、温泉街から少し離れると自然を満喫できる穴場的なスポットも多く存在する。
温泉寺
温泉寺【おんせんじ】は、臨済宗妙心寺派の寺院で、山号は醫王霊山【いおうれいざん】と称する。御本尊は薬師如来である。
薬師如来が一羽の白鷺【しらさぎ】に身を変えて、下呂温泉の源泉の在り処【ありか】を知らせたという「白鷺伝説」に由来する寺である。本堂前には湯薬師如来尊像が安置され、その台座からは下呂温泉の霊湯が湧き出ており、薬師如来の霊験を今日に伝えている。
温泉寺の境内には観音堂があり、ここに「さるやの石」が置かれている。
「さるやの石」については下記のような伝説が残されている。
伝説ではネズミによる被害を避けるためであったらしいが、現在では「さるやの石」(白色の小石)に様々な願い事を書いて祀ると良いらしい。参拝者の皆さまに御利益がありますように。
温泉寺から駐車場までの参道沿いには野仏さまが何体も置かれている。情緒が感じられ、この参道を私は気に入っている。
温泉寺は高台に建立されているので、境内から下呂の町並みが眼下に広がる。
名 称 | 温泉寺 |
所在地 | 岐阜県下呂市湯之島680 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 下呂温泉 温泉寺 (onsenji.jp) |
下呂温泉合掌村
下呂温泉合掌村【げろおんせんがっしょうむら】は、下呂市の直営観光施設で、下呂温泉で最も大規模な観光施設となっている。
施設内は、「合掌の里」と「歳時記の森」の2つのゾーンで構成されており、「合掌の里」には「旧大戸家住宅」(国指定重要文化財)を中心に白川郷や五箇山集落から移築保存された合掌造り家屋10棟が点在する集落が再現されている。
旧大戸家住宅は、合掌造り家屋の中では日本最大級規模の4階建て家屋である。この合掌造り家屋は、白川村御母衣にあったものを、解体して移築したもので、内部の保存状態も良い。
屋内には飛騨地方の民具など当時の生活用具が多数展示されており、往時の暮らしを知ることができる博物館となっている。
山手側には下呂花見山「歳時記の森」があり、四季の山野草などが植栽されている。そこでは飛騨の大自然が感じられるほか、陶器の絵付けや手びねりの陶芸、和紙の絵漉きなどが体験できる。
名 称 | 下呂温泉合掌村 |
所在地 | 岐阜県下呂市森2369 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 下呂温泉 合掌村 公式ホームページ |
下呂温泉神社
下呂温泉神社【げろおんせんじんじゃ】は、湯殿山神社(山形県出羽三山の一社)から分霊して建立された神社であるという。
平成2年(1990年)に、下呂温泉の湯がいつまでも豊かに湧き出るようにとの願いを込めて建立されて以来、下呂温泉街のシンボル的存在となっている。
下呂温泉神社は、下呂温泉旅館会館1階にあるので、初めて訪れた際には鳥居を見つけないと気付かないままのこともある。
名 称 | 下呂温泉神社 |
所在地 | 岐阜県下呂市湯之島801-2 |
駐車場 | なし |
Link | 下呂温泉神社|下呂温泉観光協会 |
加恵瑠神社
加恵瑠神社【かえるじんじゃ】は、下呂温泉街の新しい観光名所として平成22年(2010年)7月に創設された神社である。
下呂【ゲロ】と「無事帰る【かえる】」の語呂合わせにちなんだネーミングの神社で、縁起や御利益を楽しむ観光スポットとなっている。
お賽銭を奉納すると加恵瑠大明神のお告げが聞こえる。そのお告げは参拝者によって異なっているのは愉快である。実際には何種類のお告げがあるのであろうか。興味深い。
ご神体はカエルの精(加恵瑠大明神)で、可愛らしいお告げと共に人気が高いのも頷ける。
名 称 | 加恵瑠神社 |
所在地 | 岐阜県下呂市湯之島 |
駐車場 | なし |
さるぼぼ七福神社
さるぼぼ七福神社【さるぼぼしちふくじんじゃ】は、さるぼぼの七福神を祀った神社である。
さるぼぼは、猿の赤ちゃんに似ていることから安産や良縁を願うお守りになっている。また「災いが去る(猿)」という語呂合わせから縁起が良いとされている。さるぼぼは、飛騨地方で昔から作られているようだが、なかでも高山市は特に有名であるような気がする。
そのさるぼぼが下呂温泉に七福神として降臨したわけである。さるぼぼが七福神に扮したオブジェが5か所に分かれて置かれている。絵馬の数が多いことから、単に写真撮影を楽しむ観光スポットだけではなく、神社としてしっかり機能しているようだ。
しかし、オジサンには「さるぼぼ七福神」との記念撮影を楽しんでいる観光客には若い女性が多いという印象を受ける。単にそれが私の偏見であるかも知れないが。
さるぼぼの七福神にお願いして、「運気」と「幸運」の御利益を得たいものである。毘沙門天と布袋尊の写真は次回にとっておこう。
さるぼぼ七福神社の前には「さるぼぼ黄金足湯」もある。黄金の宝船に乗った「さるぼぼ七福神」を眺めながら、足湯が楽しめる施設となっている。これも若い女性観光客をターゲットにした試みかも知れない。
名 称 | さるぼぼ七福神社 |
所在地 | 岐阜県下呂市湯ノ島758-15 |
駐車場 | なし |
ビーナスの足湯
ビーナスの足湯は、公衆浴場「白鷺乃湯」の前にあるユニークな造りの足湯施設である。
何がユニークかというと、円形の湯船の中央にビーナス像(女神像)が配された、洋風足湯となっているからである。ビーナス像を囲むようにして足湯を楽しめるような造りになっている。
女性グループや若いファミリーに人気が高いらしい。オジサンはちょっと照れるし、そもそも人前での足湯は敷居が高い。
名 称 | ビーナスの足湯 |
所在地 | 岐阜県下呂市湯ノ島856-1 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 白鷺乃湯|下呂温泉観光協会 |
あとがき
下呂温泉へは久し振りに行くことができた。下呂温泉を訪れる度に深い感動を覚える。自然の美しさと力強さを感じることができる下呂温泉は、何度でも訪れてみたい温泉地である。
下呂温泉の宿の露天風呂に浸かり、夜空の星を眺めているとつい長風呂になってしまうが、湯あたりをすることなく、癒されていることを実感する。あまり期間をおかずに再訪したいものだ。