はじめに
京都の神社仏閣は国際的にも有名であり、世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産として17か所が登録されている。世界文化遺産に登録されていない寺社にも素晴らしい景勝地があり、むしろそちらの方が多いくらいだ。神護寺【じんごじ】もその一つである。

神護寺は、奈良時代末期に和気清麻呂によって建立され、弘法大師空海や伝教大師最澄が修行を行った寺としても知られている。特に空海はこの寺を密教の根本道場として整備した。そのため、高野山真言宗の寺院となり、日本仏教史上非常に重要な寺院となっている。
神護寺
神護寺【じんごじ】は、京都市街の北西(京都市右京区梅ヶ畑高雄町)の高雄山の中腹に位置する、高野山真言宗の遺迹【ゆいせき】本山の山岳寺院である。山号を高雄山と称し、御本尊は薬師如来である。
神護寺の開基は和気清麻呂であるとされる。清麻呂が和気氏の私寺である神願寺の建立を願い出たのはそれから10年後の780年から806年までの間とされる。神願寺という寺号は宇佐八幡の神意に基づいて建てた寺という意味である。神護寺は、和気氏の私寺であった神願寺と高雄山寺が824年に事実上合併してできた寺である。
神護寺は弘法大師空海が東寺や高野山の経営に当たる前に一時住んでいた寺であり、伝教大師最澄もここで法華経の講義をしたことがあるなど、日本仏教史上重要な寺院である。
神護寺は空海の後、弟子の実慧や真済が別当(住職)となって護持したが、994年と1149年に火災で焼失するなどしたため、平安時代末期には衰退していたという。
清滝川に架かる高雄橋から長い参道を歩いた先の山中に金堂、多宝塔、大師堂などの堂宇が建っている。金堂には御本尊の薬師如来立像が祀られている。また、多宝塔には、五大虚空蔵菩薩像が祀られている。そして、五大堂には五大明王像が祀られている。
神護寺は、紅葉の名所として知られている。京都で一番早く紅葉することでも有名である。神護寺の紅葉は、例年10月下旬から楽しむことができる。この秋の紅葉シーズンには、多くの観光客で賑わう。
神護寺は山寺であり、清滝川に架かる高雄橋から始まる参道を登ることで、自然に囲まれた静かな雰囲気を楽しむことができる。
名 称 | 神護寺 |
所在地 | 京都市右京区梅ヶ畑高雄町5 |
駐車場 | なし(高山寺にある市営駐車場を利用;神護寺まで徒歩約30分) |
Link | 弘法大師霊場 遺迹本山 高雄山神護寺 |
あとがき
神護寺は「かわらけ投げ」の発祥の地とされている。これは厄よけのために素焼きや日干しの土器を投げる遊びである。
かわらけ投げは、厄除けや願掛けのための儀式である。かわらけとは、素焼きの小皿のことで、この小皿を高台から投げることで厄災を払うとされている。
この「かわらけ投げ」の儀式の由来は、平安時代に遡る。当時の人々は、川や谷に素焼きの土器を投げ入れることで、悪霊や厄災を遠ざけると信じていた。
神護寺のかわらけ投げは、高台に設置された専用の投げ場から行われる。この投げ場からは、京都市内や周辺の美しい景色を一望でき、訪れる人々にとっても人気のスポットとなっている。
かわらけ投げを行うには、まず神護寺の売店でかわらけを購入して、その購入したかわらけに願い事や厄除けの願いを書き込む。そして、高台の投げ場からかわらけを遠くに向かって力いっぱい投げる。この儀式を通じて、自分の厄や煩悩を遠くに飛ばし、清らかな心を保つことができると信じられている。
このかわらけ投げは、参拝客や観光客にも人気があり、訪れた人の多くが体験している。しかし、単なる遊びとしてではなく、深い歴史と伝統を持つ儀式であることを忘れないようにしたい。