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鳥獣人物戯画などの文化財と茶の起源に関わる高山寺

はじめに

高山寺【こうざんじ】は、京都市右京区梅ヶ畑栂尾町に位置する真言宗系単立の寺院で、山号は栂尾山と称する。御本尊は釈迦如来である。高山寺は、「鳥獣人物戯画」を所蔵する寺としても有名である。

栂尾は京都市街北西の山中に位置する。紅葉の名所として知られる高雄山神護寺からさらに奥に入った山中に位置し、古代より山岳修行の適地とされていたという。この地にあった神護寺十無尽院【じゅうむじんいん】は、神護寺本寺から離れた隠棲修行の場所であったと言われている。

目次
はじめに
高山寺
鳥獣人物戯画
あとがき

高山寺

高山寺【こうざんじ】の実質的な開基(創立者)は、鎌倉時代の華厳宗の僧、明恵であるとされる。

明恵房高弁は、1173年に紀伊国有田郡(現・和歌山県有田川町)で生まれた。父は平重国という武士であり、母は紀州の豪族湯浅氏の娘であったという。幼時に両親を亡くした明恵は9歳で生家を離れ、母方の叔父に当たる神護寺の僧・上覚のもとで仏門に入った。

明恵は、1206年11月、34歳の時に後鳥羽上皇から栂尾の地を与えられ、また寺号のもとになった「日出先照高山之寺」の勅額を下賜された。この時が現・高山寺の創立と見なされている。

1219年に建立された本堂には、運慶作の丈六盧舍那仏が置かれたというが、室町時代に焼失している。高山寺は中世以降、たびたびの戦乱や火災で焼失し、鎌倉時代の建物は石水院(当時は「経蔵」と呼ばれていた)を残すのみとなっている。

石水院から開山堂に至る道の両側に残る石垣は、かつての諸堂や塔頭を偲ばせる雰囲気を残している。

高山寺は、「鳥獣人物戯画」をはじめ、絵画、典籍、文書など多くの文化財を伝える寺院として知られる。境内が国の史跡に指定されており、世界文化遺産「古都京都の文化財」の一部として登録されている。

名 称高山寺
所在地京都市右京区梅ヶ畑栂尾町8
駐車場あり(無料)(11月のみ有料)
Link世界遺産 栂尾山 高山寺

鳥獣人物戯画

鳥獣人物戯画【ちょうじゅうじんぶつぎが】は、平安時代後期から鎌倉時代にかけての日本の中世期に描かれた絵巻物で、独特の魅力を持つ。

動物たちが人間のような行動をする場面が描かれており、そのユーモラスな描写が特徴である。例えば、ウサギやカエルが相撲を取ったり、酒を飲んだりする場面は、思わず微笑みを誘う。このようなユーモアは、当時の人々にとっても親しみやすいものであっただろう。

約40 mにも及ぶ絵巻物に描かれている動物たちの動きや表現は非常に豊かで、まるで生きているかのように感じられる。漫画のような軽妙な筆致でありながら、細部まで緻密に描かれているため、動物たちの感情や動きがリアルに伝わってくる。

墨絵の技法を駆使して描かれた作品は、そのシンプルさの中に深い美を感じることができる。同時に、この絵巻物が描かれた平安時代後期から鎌倉時代にかけての時代の風俗や人々の感性をうかがい知ることができる。

全てを達観したような一羽のフクロウ(賢者の象徴か?)が描かれているが、私たち人間社会の風刺を通じて何かを伝えようとしているのだろうか?

鳥獣人物戯画は、その優れた技術と独創性から、日本の美術史において重要な位置を占めている。日本人の多くが社会科の教科書で学ぶことになる。

また、絵巻物として保存されているため、当時の紙や製本技術なども興味深い研究対象となっている。


あとがき

臨済宗の開祖である栄西は、彼が南宋へ留学した際にそこで茶の種子を得て、帰国したと伝わっている。

明恵上人は、鎌倉時代初期に宋から帰国した栄西から茶の種を貰い、高山寺の境内に植えたという伝承がある。明恵はこれを初めは栂尾山の深瀬に植え、明恵が没した後も栂尾において茶の栽培が続けられたという。この栂尾産の茶は鎌倉時代後期にはその味わいの良さが評判となり、東国の武士たちまでが争って求めるほどの高評価を得たという。栂尾産の茶を「本茶」と呼び、その他の地で産出したものを「非茶」と呼んだ時代もあるという。

明恵上人は、宇治の民の願いに応え、宇治に茶の種を撒き、それが「宇治茶」の基礎を作ったとされる。その茶が宇治から他の土地にも広まったとも伝わっている。


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