カテゴリー
ウェルネスツーリズム 神社仏閣

嵯峨野の地で斎王の雅が漂う清浄の聖地「野宮神社」

はじめに

京都の神社仏閣は国際的にも有名であり、世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産として17か所が登録されている。世界文化遺産に登録されていない寺社にも素晴らしい景勝地があり、むしろそちらの方が多いくらいだ。野宮神社【ののみやじんじゃ】もその一つである。

野宮神社の周辺マップ

野宮神社は、『源氏物語』や『謡曲野宮』で知られており、「嵯峨野巡り」の起点の神社として多くの参拝客や観光客が訪れる。野宮神社は嵐山駅から近く、天龍寺にも近い。足を延ばせば大覚寺や大沢池へも行ける位置にある。

目次
はじめに
野宮神社
あとがき

野宮神社

野宮神社【ののみやじんじゃ】は、京都市右京区嵯峨野にある神社である。主祭神として野宮大神(天照皇大神)を祀っている。

天皇の代理として伊勢神宮に仕える斎王が伊勢に赴く前に身を清める場所「野宮」であり、「野宮」は黒木鳥居と小柴垣に囲まれた清浄の地を選んで建てられたという。

天皇が代替わりすると、未婚の皇女・女王の中より新たな斎王が選ばれ、宮中の初斎院で1年間、そして嵯峨野の清らかな場所を選び造営された野宮に入って、さらに1年間潔斎した後に斎宮寮に向かい伊勢神宮での神事に臨んだという。

野宮の場所は毎回異なっていたが、嵯峨天皇の代の仁子内親王のときから野宮神社の鎮座地に野宮が作られるようになった。斎王の制度は南北朝時代、後醍醐天皇の代の祥子内親王を最後に廃絶し、その後は天照大神を祀る神社として存続していたが、度重なる戦乱の中で衰退したという。

後に後奈良天皇、中御門天皇らの綸旨により再興され、現在まで皇室からの厚い崇敬を受ける神社となっている。

名 称野宮神社
所在地京都市右京区嵯峨野々宮町1
Link野宮神社 ── 源氏物語の宮 ──

あとがき

野宮は、かつて天皇の代理で伊勢神宮にお仕えする斎王が伊勢神宮へ行く前に身を清められたところとされる。嵯峨野の清らかな場所を選んで建てられた野宮は、黒木鳥居と小柴垣に囲まれた聖地であったという。その様子は『源氏物語』<賢木の巻>に描写されている。

野宮の場所は天皇の即位毎に定められ、現在の野宮神社の場所が使用されたのは平安時代初期であったとされる。つまり、嵯峨天皇の皇女である仁子内親王が最初とされている。

斎王制度は、後醍醐天皇の時に南北朝の戦乱で廃絶したらしい。その後は、神社として存続し、勅祭が執行されていたが、時代の混乱の中で衰退していったようだ。

現在の野宮神社は、「えんむすびの神様」、「子宝安産の神様」として全国から崇敬を集めているほか、美しい自然環境に囲まれた「嵯峨野巡り」の起点として多くの参拝者や観光客が訪れる神社となっている。


【関連記事】
世界遺産「古都京都の文化財」に登録された神社仏閣 
徳川家の栄枯盛衰を見守った歴史の城・元離宮二条城 
歴史と信仰の聖地、心の安寧を求める寺・西本願寺 
「清水の舞台」がシンボルの世界遺産・音羽山 清水寺
歴史と自然が織りなす庭・禅の心を感じる庭の天龍寺 
御室桜で有名で、かつては御室御所と称された仁和寺
枯山水の美、石庭の静寂、心の安らぐ禅の庭・龍安寺
苔の絨毯に包まれる静寂の庭で有名な西芳寺(苔寺)
鳥獣人物戯画などの文化財と茶の起源に関わる高山寺 
豊臣秀吉の「醍醐の花見」で有名な世界遺産・醍醐寺
極楽浄土を現世に具現化した平安時代の名刹・平等院 
【神話に登場する神の社】上加茂神社と下鴨神社
伝教大師最澄ゆかりの修行の聖地「比叡山延暦寺」