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時を経て六波羅の栄華の歴史を伝える「六波羅密寺」

はじめに

京都の神社仏閣は国際的にも有名であり、世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産として17か所が登録されている。世界文化遺産に登録されていない寺社にも素晴らしい景勝地があり、むしろそちらの方が多いくらいだ。六波羅密寺【ろくはらみつじ】もその一つである。

六波羅密寺の境内マップ

六波羅蜜寺は、空也上人の没後、高弟の中信上人によって規模が拡大し、荘厳華麗な天台別院として大いに栄えたという。中信上人は、六波羅蜜寺の中興の祖とされている。

目次
はじめに
六波羅密寺
あとがき

六波羅

六波羅蜜寺【ろくはらみつじ】は、京都市東山区轆轤町にある真言宗智山派の寺院である。山号を補陀洛山と称し、御本尊は十一面観音である。西国三十三所第17番札所となっている。

創建年は定かではないが、創建者は空也上人とされる。空也は、疫病の蔓延する平安時代中期の京都で、流行した悪疫を退散させるため、自ら十一面観音像を刻み、その観音像を車に乗せて引きながら念仏を唱え、病人には茶をふるまって多くの病人を救ったという。

空也上人は、青竹を八葉の蓮片の如く割り茶を立て、中へ小梅干と結昆布を入れ仏前に献じた茶を病人に授けたという。その茶は現在も皇服茶として六波羅蜜寺に伝わり、正月三日間には参拝者に授与しているという。

空也は、963年8月に鴨川岸に僧600名を集めて大規模な大般若経供養会を行ったが、この時をもって西光寺(六波羅蜜寺の前身)の創建とする説もある。当時、鴨川の岸は遺体の捨て場であり、葬送の場であったらしい。

空也上人の没後、高弟の中信上人によって寺院の規模が拡大し、荘厳華麗な天台別院として栄えた。977年に比叡山延暦寺の僧であった中信上人が寺名を六波羅蜜寺と改称し、天台宗に属する天台別院としたという。六波羅蜜寺では中信上人を中興の祖としている。

江戸時代までは大伽藍を連ねたが、明治維新の廃仏毀釈を受けて大幅に寺域が縮小した。寺の周囲は民家に囲まれて境内は狭くなっている。本堂は重要文化財に指定されている。

名 称六波羅
所在地京都市東山区松原通大和大路東入二丁目轆轤町81番地の1
駐車場なし
Link補陀洛山 六波羅蜜寺

あとがき

平安後期、平忠盛が六波羅蜜寺内の塔頭に平家の軍勢を止めて以来、平清盛と重盛の父子をはじめ平家一門の邸館が六波羅蜜寺周辺の広大な境域内に立ち並らび、その数5200余りに及んだという。このことから六波羅蜜寺を中心とする六波羅周辺は大いに栄えたということだろう。私が「六波羅」の地名を知っているのも『平家物語』によるところが大きい。

しかしながら、1183年、平家没落の時に兵火を受け、六波羅蜜寺の諸堂も類焼し、本堂のみが焼失を免れたという。源頼朝や足利義詮によって再興や修復が行われ、その後も火災に遭うたびに修復されたらしい。

六波羅探題は、鎌倉時代に設置された役職で、京都の治安維持と朝廷の警護を担当していたが、その拠点は現在の六波羅蜜寺の場所にあったという。六波羅蜜寺は、歴史的観点からみれば、六波羅探題の存在を象徴する場所として重要な役割を果たしている。

六波羅探題の存在は、鎌倉幕府の権力を象徴するものであり、歴史的に重要な役割を果たしたが、その役割は次第に衰退し、鎌倉幕府の終焉と共に廃止された。

戦国時代を経て、天下人となった豊臣秀吉や徳川家代々の将軍にも庇護を受けてきたという歴史が六波羅蜜寺にはある。

現在の本堂は、1363年に修繕されたものであり、明治以降は荒廃していたが、1969年に開創1000年を記念して解体修理が行われたという。そのため、丹の色も鮮やかに絢爛となり、当時の姿を偲ぶことができるようになった。

解体修理の際、創建当時のものと思われる梵字、三鈷、独鈷模様の瓦をはじめ貴重な遺物が発見されている。平安時代の藤原期や鎌倉期の物が多数、重要文化財に指定されているという。平家にゆかりのある遺物も多数、発見されているに違いない。


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