はじめに
臼杵市【うすきし】は、大分県の東海岸に位置し、臼杵湾に沿って市街地が広がる市である。臼杵湾は北側を佐賀関半島で、南側を長目半島で囲まれた湾であり、東側が豊後水道に面している。
臼杵市は、国宝の臼杵石仏(臼杵磨崖仏)で有名である。また、「二王座歴史の道」のように城下町の町並みでも知られる観光地である。別府温泉に旅する際には、是非、立ち寄ってみたいと思っていたので、念願の旅ができて良かったと思っている。
<目次> はじめに 臼杵石仏(臼杵磨崖仏) ホキ石仏第二群 ホキ石仏第一群(堂ヶ迫石仏) 山王山石仏群 古園石仏群 風連鍾乳洞 白馬渓 二王座歴史の道 龍原寺 福良天満宮 あとがき |
臼杵石仏(臼杵磨崖仏)
臼杵磨崖仏【うすきまがいぶつ】は、彫刻の規模・質の高さ・数量においてわが国を代表する石仏群であり、61体すべてが国宝に指定されている。
平安時代後期から鎌倉時代にかけて彫刻されたと伝わるが、何の目的で、誰が造営したのかは十分に解明されておらず、現在でも多くの謎に包まれているという。
磨崖仏造営の時期や事情を証する史料が一切残っていないという。石仏群は、地名により、ホキ石仏第一群、ホキ石仏第二群、山王山石仏および古園石仏の4群に分かれている。
名 称 | 臼杵石仏(臼杵磨崖仏) |
所在地 | 大分県臼杵市大字深田804-1 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 国宝臼杵石仏 |
ホキ石仏第二群
ホキ石仏第二群は、向かって左の第一龕【がん】と右の第二龕からなる。
第一龕は、定印の阿弥陀如来坐像を中心に、左右に脇侍菩薩立像を配置している。向かって左にはほとんど原形をとどめない菩薩形立像2躯がある。
第二龕は、九体の阿弥陀如来像を中心とする。中央に阿弥陀如来坐像、その左右に4躯ずつの阿弥陀如来立像を配置している。
これらの左右に1躯ずつの菩薩立像を配置するが、向かって左の菩薩像は原形をとどめていない。
ホキ石仏第一群(堂ヶ迫石仏)
ホキ石仏第一群は、4つの龕【がん】に分かれる。向かって左より第一龕、第二龕、第三龕、第四龕と名付けられている。第三龕と第四龕は、鎌倉時代の追刻とみられている。
第一龕と第二龕は、ともに如来坐像3体を配置し、第一龕はさらに脇侍菩薩立像2体を配置している。第一三龕と第二龕の間には愛染明王坐像がある。
第三龕は、金剛界大日如来坐像を中心に、その左右に1体ずつの如来坐像、さらに左右に1体ずつの菩薩立像を配置している。
第四龕は、左脚を踏み下げて坐す地蔵菩薩像を中心に、その左右に十王像を配置している。
山王山石仏群
山王山石仏群は、全3体で、一丈六尺(約4.8 m)の如来坐像を中心に、その左右に小さめの如来坐像1体ずつを配置している。
古園石仏群
古園石仏群には、13体の像がある。金剛界大日如来坐像を中心として、その左右にそれぞれ如来像2体、菩薩像2体、明王像1体、天部像1体を配置している。諸説あるが、金剛界曼荼羅を表したものとする説がある。
風連鍾乳洞
風連鍾乳洞【ふうれんしょうにゅうどう】は、1926年2月14日に地元の川登村蒐光青年団の探検によって発見された鍾乳洞で、発見当時の入洞口は深検洞として保存されている。
鍾乳洞の奥行きは500mで、閉塞型の鍾乳洞であるため外気の侵入が少なく風化作用が進まなかったという。
そのため洞内の鍾乳石は光沢がよくて均整のとれた美しい形でよく成長しており、種類も多く純白に近いのが特徴的である。日本の代表的な鍾乳洞の一つである。
名 称 | 風連鍾乳洞 |
所在地 | 臼杵市野津町泊 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 風連鍾乳洞 | 公式サイト |
白馬渓
白馬渓【はくばけい】は、臼杵市内の山間に位置し、臼杵川上流の支流にある渓谷である。木々の間を渓流が流れる様子が白馬が駆けるようであることから「白馬渓」と名付けられたという。
白馬渓は、紅葉の名所として知られる。臼杵市の名勝に指定されており、毎年、11月下旬に「白馬渓もみじ祭り」が開催されるという。
名 称 | 白馬渓 |
所在地 | 大分県臼杵市前田馬代 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 白馬渓 | 臼杵市観光協会 |
二王座歴史の道
二王座【におうざ】は、阿蘇山の火山灰が固まってできた凝灰岩の丘で、城下の人が行きかう道を作るために岩を削り取って道を通した場所である。現在でも狭い路地のいたるところに城下町特有の面影が残っている。
重厚感のある瓦屋根や白壁の建物が坂道沿いに長く続き、歴史のある寺院も点在する。旧真光寺の前は「切り通し」と呼ばれる、臼杵を代表する景観の一つとなっており、国の都市景観100選にも選ばれているという。
名 称 | 二王座歴史の道 |
所在地 | 大分県臼杵市大字二王座 |
駐車場 | なし(市営下屋敷前駐車場 または市営畳屋町駐車場を利用) |
Link | 二王座歴史の道・旧真光寺 | 臼杵市観光協会 |
龍原寺
龍原寺【りゅうげんじ】は、浄土宗総本山知恩院末の寺院で、慶長五年(1600年)に円誉上人が開山したという。
豊後臼杵藩初代藩主であった稲葉貞通は円誉上人の高徳を感じ翌年の慶長六年(1601年)に龍ヶ渕(現在地の旧名称)に寺院を創建したのが始まりとされている。
境内にある三重塔は、臼杵の宮大工であった高橋団内が作図し、彼の弟子が完成させた仏塔であるという。
名 称 | 龍原寺 |
所在地 | 大分県臼杵市福良平清水134-1 |
駐車場 | なし(市営下屋敷前駐車場 または市営畳屋町駐車場を利用) |
Link | 龍原寺三重塔 | 臼杵市観光協会 |
福良天満宮
福良天満宮【ふくらてんまんぐう】は、臼杵市にある天満宮で、菅原道真を祀っている。「赤ねこ」でも有名である。
「赤ねこ」とは、元々は世のため人のためにと明治時代初期に活躍した大塚幸兵衛をはじめとする臼杵商人(商売の達人)を指す言葉であった。そして福良天満宮は彼らの氏神であったという。
福良天満宮は臼杵市の南に位置し、色でいえば「赤色」で守護されているという。赤色は縁起がよい色ということで赤色の幸運にあやかり、いつしか福良天満宮と「赤ねこ」が結びついたものらしい。現在では「赤えと」と呼ばれる十二支の「赤い色の干支」が授与されている。
名 称 | 福良天満宮 |
所在地 | 大分県臼杵市福良211 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 福良天満宮 | 臼杵 |
あとがき
訪れる以前の臼杵市についての率直なイメージは、国宝の磨崖仏がある地方都市であったが、実際に訪れてみると磨崖仏だけでなく、風連鍾乳洞、白馬渓、二王座歴史の道、龍原寺や福良天満宮など見どころが多く、別府温泉からの日帰りでは時間が足りなくなってしまった。次回に訪ねる場合には臼杵市に一泊して十分な時間を確保したいと思う。