はじめに
一般に旅は事前にある程度、計画するものである。ミステリーツアーでも行先を知らされていないのは参加者だけで、主催者は旅行内容を十分に企画しているものである。ところが個人旅行で、行先を途中で変更すると意外と面白いものになることに気付かされた旅の経験が私にはある。
蒜山高原に立ち寄った後に、大山環状道路の最高地点に位置する鍵掛峠まで行き、そこで大山南壁の雄姿を見たら引き返して来るのが当初の予定であったものが、鳥取砂丘まで足を延ばしたことがある。
神戸から鳥取砂丘に直行するなら、普通は第二神明道路、国道2号、播但連絡道路を経由して、中国自動車道を走り、佐用JCTで鳥取自動車道に乗り換えて鳥取ICまで走行し、国道9号線に入るのが一般的なルートであるとは思う。走行距離は176 kmであるので、所要時間としておよそ2時間半ほどで到着できる。
ところが鍵掛峠を経由するコースでは走行距離が317 kmで、所要時間は5時間近くとなり、約2倍の行程となってしまう。実にばかげているが、最終目的地が旅の途中で変わってしまったので致し方ない。
しかし、後から考えてみるとこんなドライブコースの旅を最初から計画しても良いのではないかと思うようになった。何よりドライブの途中で見る景色は素晴らしかったし、最終ゴール地の鳥取砂丘ではサプライズとも言える圧巻の「砂の彫刻」やイルミネーションも観ることができたのだから。
蒜山大山スカイライン
蒜山大山スカイラインは、蒜山【ひるぜん】(岡山県)から大山【だいせん】(鳥取県)を結ぶ道路である。かつては有料道路であったが、現在では県道114号大山上福田線(岡山県真庭市から鳥取県江府町を結ぶ)という一般道路である。
大山や烏ヶ山などの山並みを眺めることができる快適なドライブルートでもある。
通年、開通しているわけではなく、冬期には凍結や積雪のために閉鎖される。
名 称 | 蒜山大山スカイライン・鬼女台展望休憩所 |
所在地 | 岡山県真庭市蒜山下徳山 |
Link | 鬼女台展望休憩所 蒜山大山スカイライン | 岡山観光WEB【公式】 蒜山大山スカイライン(鬼女台展望休憩所)【公式】 |
蒜山大山スカイラインを大山に向かって走行しているという実感が、大山が近づいてくるにつれて湧いてくる。
蒜山大山スカイラインは、やがて大山環状道路に繋がる。
大山環状道路
大山環状道路【だいせんかんじょうどうろ】は、中国地方の最高峰である大山【だいせん】(標高1,729m)の中腹、一周約64 kmを周遊するルートの通称である。
一本の環状道路名の別称あるいか愛称ではなく、下記の県道各路線の一部で構成される(引用:ウィキペディア)というユニークな環状道路である。
- 鳥取県道30号赤碕大山線
(鳥取県大山町羽田井~大山町大山) - 鳥取県道34号倉吉赤碕中山線
(鳥取県琴浦町中津原~大山町羽田井) - 鳥取県道44号東伯野添線
(倉吉市関金町野添~琴浦町別宮) - 鳥取県道45号倉吉江府溝口線
(鳥取県伯耆町大内~倉吉市関金町野添) - 鳥取県道158号大山口停車場大山線
(鳥取県大山町大山~伯耆町大内)
蒜山大山スカイラインから乗り継いで鳥取砂丘に向かうには大山環状道路の一部、県道45号倉吉江府溝口線を利用することになる。
県道45号倉吉江府溝口線の区間は、大山の南麓を回り込み、東麓の尾根沿いの遠くまで道路が延びる。西日本屈指のブナの原生林を貫ぬく多彩なカーブをもつワインディングロードで、深緑や秋の紅葉を楽しむことのできるルートである。(引用:ウィキペディア)
鍵掛峠
大山環状道路は、大山の真南に位置する鍵掛峠(標高912m)を通過しており、そこの展望台からは、山頂部が横長に伸び、奥の正面に断崖絶壁がそそり立つ大山(標高1729m)の南壁が眺望できるビューポイントとして人気がある。
紅葉時には大山南壁の断崖とブナ林とのコントラストが映え、大山環状道路随一と言われる絶景を生み出す最高の展望台となる。
名 称 | 大山環状道路(県道45号倉吉江府溝口線)・鍵掛峠 |
所在地 | 鳥取県日野郡江府町大字大河原字鍵掛1531-29 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 鍵掛峠 | 奥大山物語《鳥取県江府町役場公式観光サイト》 |
大山・三の沢がよく見えるビュースポット
大山の東壁が見えるビュースポット
烏ヶ山がよく見えるビュースポット
大山を背景に紅葉が美しいビュースポット
鳥取砂丘
鳥取砂丘【とっとりさきゅう】は、鳥取市の日本海海岸に広がる広大で、美しい海岸砂丘である。この南北2.4km、東西16kmに広がる海岸砂丘は、山陰海岸国立公園の特別保護地区に指定されており、昭和30年(1955年)には国の天然記念物に指定されている。
鳥取砂丘は観光できる砂丘として日本最大級の広さを誇り、大山と並んで鳥取県のシンボルの一つとされている。
起伏の大きさを象徴する「馬の背」は、高さ約47mの砂の壁となって立ちはだかる。できるだけ傾斜の緩やかな所を選んで登ることにするが、それでも登るのが結構、大変である。
「馬の背」に登ると日本海を見渡すことができる。
日本海の風が作り出す風紋は大変美しいと言われている。風紋は風の強さと時間の経過によってその形状を変えるという。風紋の写真を撮るには早朝に砂丘に来る必要がありそうだ。
雲が多くて残念ながら夕陽を見ることはできなかったが、鳥取砂丘は印象に残る想い出を私たちに残したのは確かな事実だ。
名 称 | 鳥取砂丘 |
所在地 | 鳥取県鳥取市福部町湯山 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 鳥取砂丘|観光スポット|鳥取市観光サイト【公式】 |
鳥取砂丘・砂の美術館
砂の美術館は、2006年11月18日に「砂」を素材にした彫刻作品である「砂像」を展示する「砂の美術館」として開館したのがはじまりとされている。
2006年以降も鳥取砂丘では砂の彫刻(砂像)展示イベントが定期的に開催されている。ほぼ1年に一度、テーマを変えて展示を実施しており、年明けから春の期間は次回作の準備・制作期間のため休館となる。
また、第四期までは野外・仮設テントで行われてきたが、2012年4月の第五期より屋内での展示がメインとなった。(引用:ウィキペディア)
砂像彫刻家兼プロデューサーとして国内外で活躍している茶圓勝彦氏が総合プロデュースを務め、海外各国から砂像彫刻家を招き、毎年世界最高レベルの砂像を展示している。
砂の美術館では「砂で世界旅行」をコンセプトとして、定期的にテーマを変えて展示を行なっている。会期が終われば作品を全て崩してもとの砂に戻し、再びその砂を使用して新たな作品を制作するという。
限られた期間しか存在しない砂像の儚くも美しい造形を創り上げるために、砂像彫刻家たちは情熱を注ぎ込んでいるのであろう。
永遠に残らないがゆえの美しさとはかなさが砂像のもつ大きな魅力となっている。
「砂の美術館」の屋外にはイルミネーションがあり、幻想的な空間を形づくっていた。私たちはその美しさにしばし見惚れていたものである。
暗闇に浮かぶ造形物の精巧さに感動したことを写真を見ては昨日のことのように思い出す。
予期しなかった感動を与えてくれた「砂の美術館」のスタッフの皆さんに感謝したい。
名 称 | 鳥取市鳥取砂丘砂の美術館 |
所在地 | 鳥取県鳥取市福部町湯山2083-17 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 鳥取砂丘 砂の美術館 – 世界初、「砂」を素材にした彫刻作品を展示する美術館 |
あとがき
私は鳥取砂丘には三度ばかり来ているが、そのうち二度は鍵掛峠から大山南壁を眺めるため行ったついでに鳥取砂丘まで足を運んでいるのである。大山と鳥取砂丘は鳥取県の二大シンボルであるとは言え、同日中に見なくてもよいものであるだろうに私は自分の意思ではなく(助手席の妻の囁きによって)同じことを繰り返している。
私の妻は「点と点」(=複数の観光スポット)にしか関心がなく、その点と点を繋ぐのが私の役割である。しかし、最近は車載ナビに頼りきっているために事前準備が全くできていない。その結果として行きあたりばったりの旅になってしまっている。
これではいけないと反省しているが、その一方でそんな無計画な旅もたまには良いではないかと思ってしまうこともある。人生と同じで先のことが分かっている旅はつまらないものである。むしろシニアの旅は無計画であるべきではないかとすら考え始めている。今はまだ試行錯誤の状況であるが、過去の旅の経験を検証することによって、シニアがより楽しく旅をするためのアイデアを考えたい。