はじめに
すずかけの道は、大峯山から高野山までをつなぐ道で、修験者が行き交った「祈りの道」として知られている。この道は、修験道の修行者が衣服の上に羽織る法衣「すずかけ」に由来しているという。
弘法大師空海や円空など多くの修行者がこのすずかけの道を通って修行を行ったと伝えられている。特に天川村西部地区には、弘法大師空海の伝承が多く残っている。
天川村では、すずかけの道を巡るモデルコースが紹介されており、観光客に人気である。道中には、菩提樹や滝などの名所が点在しており、自然と歴史を感じることができる。
不動滝
県道53号(大峯高野街道)は、すずかけの道とも呼ばれ、大峯山から高野山までを繋ぐ道で、天川村西部地区は弘法大師空海の伝承が多く残る地である。「すずかけ」とは修験者が衣服の上に羽織る法衣を指す。この道は、戦前まで多くの修験者が行き交った「祈りの道」であった。
そのすずかけの道(県道53号)を車で走っていると天ノ川の対岸に現れるのが不動滝(落差40m)である。
道路脇に不動滝を示す看板が立っているので見落とすことはない。
滝の上の岩穴の中には弘法大師空海が彫ったと伝わる仏像の形をした自然石があり、地元の人は「お不動さん」と呼び、滝の名も「不動滝」になったと云わる。高野山から大峯山に向かう修験者は、この「お不動さん」に参拝したといわれている。
名 称 | 不動滝 |
所在地 | 奈良県吉野郡天川村広瀬 |
駐車場 | なし |
Link | 不動滝 | 天川村公式サイト(奈良県) すずかけの道 | 天川村公式サイト(奈良県) |
あとがき
天川村では、下記のようなすずかけの道を巡るモデルコースが紹介されている。
伊波多神社【いはたじんじゃ】は、すずかけの道(県道53号)から下った天ノ川の近くに建っている。この神社は、1100年以上もの長い歴史を持つ古刹で、次のような伝説を有している。
昔、この神社の裏にある明神淵で、村人が光るものを見つけた。村人たちが相談して引き上げてみると、一口の剣であったので、その剣を氏神のご神体として祀ってきたところ、実はこの剣は後醍醐天皇の御用剣だったと伝えられている。後に、幕末の天誅組の変の際、この地域も武具の徴発が行われ、ご神体のこの剣も徴発され、現在は存在しないのは非常に残念なことである。
すずかけの道(県道53号)沿いに、菩提樹の看板があり、それを目印に行くと菩提樹【ぼだいじゅ】に着く。地元の人がこの菩提樹の実で数珠をつくったことから「ジュズの木」とも呼ばれている。この菩提樹には次のような伝説が残されている。
この菩提樹は、弘法大師が持っていた杖を地面に突き立てたところ、杖が根付いて生長したとも、弘法大師の落とした数珠から芽が出て「菩提樹」になったとも云われている。いずれも弘法大師空海にまつわる伝説である点が興味深い。
私は、伊波多神社と菩提樹をまだ見ていないので、次回の機会にすずかけの道(県道53号)を車で走行する際には、是非、立ち寄りたいと思っている。