はじめに
奈良県吉野郡の最南端に位置する上北山村は、約97%が山林という自然豊かな山里である。ここには、都会では味わえない静けさと、心を満たす絶景が広がっている。
天空の楽園・大台ヶ原
標高1,695mの大台ヶ原は、上北山村のシンボルともいえる存在である。日本百名山にも選ばれ、登山やハイキングに人気のスポットとなっている。
山頂からは熊野灘まで見渡せることもあり、雲海や朝焼けは幻想的である。
大台ケ原の見どころは、原生林、苔むす森や野生動物との出会いなどである。
おすすめのハイキングコースは、日出ヶ岳〜正木峠〜大蛇嵓【だいじゃぐら】である。
上北山温泉「薬師湯」
登山やハイキングの疲れを癒すなら、村の中心にある「薬師湯」がおすすめである。源泉かけ流しの湯は、肌にやさしく、心までほぐしてくれる。露天風呂からは四季折々の山の景色も楽しめる。
平家ゆかりの寺院
上北山村には平家ゆかりの寺院として、景徳寺、宝泉寺、林泉寺および瀧川寺がが知られている。
景徳寺
景徳寺【けいとくじ】は、平家の一門がこの地に逃れ、創建したとされる禅寺である。ご本尊は平家伝来の薬師如来像であるとされる。
平家の末裔が開いたとされる村の中心にあり、古文書や仏像などがその歴史の証となっている。
この寺は、村の精神的な中心地とされ、静かな境内に歴史の重みが漂っている。毎年1月には弓矢祭の舞台にもなる。
この祭りは、平家の一門が再興を願って練武を行ったことに由来していて、奈良県指定の無形民俗文化財にもなっているという。
静かな境内に立つと、往時の面影が感じられる。
| 名 称 | 景徳寺 |
| 所在地 | 奈良県上北山村河合136 |
| 駐車場 | なし(近くの上北山村役場の駐車場を利用か) |
| アクセス | バス停川合から徒歩圏内 |
| Link |
宝泉寺
宝泉寺【ほうせんじ】は、鎌倉時代に制作されたという梵鐘が残されている。この梵鐘は、奈良県指定文化財でもあり、全国的にも貴重な遺品であるらしい。
静かな山里に佇む、平家の落人への祈りが今も息づく場所となっている。
| 名 称 | 宝泉寺 |
| 所在地 | 奈良県上北山村西原285 |
| 駐車場 | あり |
| アクセス | |
| Link |
林泉寺
林泉寺【りんせんじ】は、白川地区にある禅寺(曹洞宗)で、平家の末裔が守ってきたとされる寺院である。
山間の静かな山里にたたずむこの寺は、訪れる人も少なく、まさに「隠れ里」のような雰囲気を醸し出し、「癒しの空間」と言ってよい。山間の静けさと、素朴な佇まいが魅力の寺である。
| 名 称 | 林泉寺 |
| 所在地 | 奈良県上北山村白川214-44 |
| 駐車場 | あり |
| アクセス | |
| Link |
瀧川寺
瀧川寺【りゅうせんじ】は、南北朝時代に南朝の後亀山天皇の玄孫・北山宮(自天王)が神器を持って潜匿された場所とされ、最期を迎えた地でもある。
境内には宮内庁が管理する御陵もあり、歴史ファンにはたまらないスポットとなっているようである。
村人たちが御首と神器を守り、寺に手厚く埋葬したという伝承が残されている。
| 名 称 | 瀧川寺 |
| 所在地 | 奈良県上北山村小橡228 |
| 駐車場 | あり(1台) |
| アクセス | |
| Link |
星降る夜のキャンプ場
上北山村は光害が少なく、星空観察に最適な場所である。特に、キャンプ場では寝転びながら天の川や流れ星を眺めることができる。まるで宇宙とつながってるみたいな感覚になるはずだ。
星空観察におすすめの場所としては、上北山村キャンプ場、とちの木センター(旧小学校)のグランド、大台ヶ原駐車場付近である。
上北山村の特産品を味わう
地元の食材を使った料理も魅力の一つである。鹿肉や山菜、清流で育ったアマゴなど、自然の恵みをそのまま味わえる。道の駅「吉野路上北山」では、地元の特産品やお土産も手に入る。
| 名 称 | 道の駅「吉野路上北山」 |
| 所在地 | 奈良県上北山村大字河合1-1 |
| TEL | 07468-2-0169 |
| 道 路 | 国道169号 |
| Link | 道の駅「吉野路上北山」 道の駅 吉野路 上北山 |
柿の葉寿司 いざさは、奈良県吉野発祥の老舗寿司店「ゐざさ中谷本舗」が手がける、伝統と創作が融合したお寿司ブランドである。「ゐざさ寿司」というオリジナルの笹巻き寿司も人気である。その本店が169号沿いにあって、サバやサーモン以外にもさんま寿司のような珍しい寿司も購入できる。
| 名 称 | ゐざさ中谷本舗(本店) |
| 所在地 | 奈良県上北山村河合353 |
| TEL | 07466-2-008 |
| 営 業 | 8:30~17:00(不定休) |
| Link | 柿の葉寿司のゐざさ中谷本舗 |
あとがき
奈良県の上北山村の奥地には、かつては「竹ノ平集落」と呼ばれ、平家の落人が隠れ住んだという伝説が残る集落があったという。
昔は人知れず暮らしていたとされる人里は、現在では廃村となり、苔むした石垣や朽ちた家屋だけが残る。目を閉じて耳を澄ませば、静かに過去の歴史を語りかけてくるようだ。
近くにある大台ヶ原では、霧に包まれた原生林が幻想的な雰囲気を醸し出し、まるで時を超えて平家の記憶に触れているような気分にさせてくれる。
上北山村内には平家ゆかりの寺院もあって、文化や祭りにその記憶が息づいているとされる。