はじめに
雲仙天草【うんぜんあまくさ】国立公園は、長崎県島原半島(雲仙エリア)と熊本県天草諸島(天草エリア)を指定区域とする国立公園である(一部鹿児島県も含む)。
雲仙岳を中心とした火山群がある雲仙エリアは、火山活動が活発で、固有の火山性地形やシロドウダンなどの植生が見られる。高原や湖沼の風景にも富み、草花、野鳥の宝庫でもある。特にツツジの一種であるミヤマキリシマは仁田峠を中心に5月が見頃であるという。また、雲仙温泉では「地獄めぐり」が有名である。
一方、天草エリアには天草上島【あまくさかみしま】から天草下島【あまくさしもしま】にかけて東岸の天草松島から八代海、長島海峡を経て西岸の妙見浦と四季咲岬に至る海岸線及び内陸部の龍ヶ岳、倉岳などが含まれる。
雲仙岳
雲仙岳【うんぜんだけ】は、島原半島の中央部に位置する火山群の総称で、総計20以上の山々から構成される山塊である。雲仙岳の最高峰は、平成新山(標高1,483m)である。
雲仙岳の複雑さは、かつて三岳五峰(または三峰五岳)、八葉、二十四峰、三十六峰などさまざまな数字を用いて表現された。現在では、観光上のキャッチフレーズとして「三峰五岳の雲仙岳」が多用されるようだ。
三峰とは普賢岳(1,359m)、国見岳(1,347m)、妙見岳(1,333m)を指し、五岳とは野岳(1,142m)、九千部岳(1,062m)、矢岳(943m)、高岩山(881m)、絹笠山(879m)を指す。
仁田峠
仁田峠【にたとうげ】(標高1080m)は、雲仙岳の主峰・普賢岳の5合目に位置し、妙見岳と野岳の鞍部にあたる峠である。
仁田峠循環道路【にたとうげじゅんかんどうろ】は、長崎県の雲仙天草国立公園内にある延長8.2 kmの山岳道路である。 この道は、国道57号を起点として国道389号を終点とする一方通行路で、国道を含めると環状線となり、仁田峠を通ることから仁田峠循環道路と呼ばれる。
この道路は、一方通行路とはいえ、急カーブが続くなど道路状況は決して良好とか言えない。しかしながら、沿線にあるいくつかの展望台からは、島原湾や有明海、くじゅう連山、そして1990〜1995年の火山活動で生まれた平成新山(標高1483m;雲仙最高峰)を望むことができるので、ドライブルートとしては人気が高い。
名 称 | 仁田峠・第2展望所駐車場 |
所在地 | 長崎県雲仙市小浜町雲仙 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 仁田峠 | 【公式】長崎観光/旅行ポータルサイト |
雲仙温泉
雲仙温泉【うんぜんおんせん】は、長崎県雲仙市小浜町雲仙にある温泉地である。日本初の国立公園(雲仙天草国立公園)に指定された温泉保養地である。
泉質・効能
雲仙温泉の泉質は、硫黄泉である。血行促進、疲労回復、リウマチや慢性皮膚疾患などに効能があるとされる。
温泉街
温泉街は、雲仙・妙見岳(標高1,333m)の南西、標高700メートルの鴛鴦ノ池の南側に位置し、噴気帯「雲仙地獄」を囲むように存在する。その雲仙地獄内には遊歩道が整備されている。
雲仙地獄
雲仙地獄には30にも及ぶ地獄があるという。各地獄の噴気孔からは真っ白い湯けむりがもくもくと噴き上がっている。主な地獄には次のようなものが知られている。
- 清七地獄
- 八万地獄
- お糸地獄
- 大叫喚地獄
- 邪見地獄
それぞれの名前の地獄にはその名の由来の伝説が残されている。哀しい伝説が今に伝えられていて、心が痛む。
雲仙地獄で最も活発な噴気活動をしているのが「大叫喚地獄」と呼ばれている一帯である。噴気は120℃の高温の水蒸気で、硫化水素ガスを含み、強い硫黄の臭いを漂わせている。
案内版によれば、雲仙地獄の東側の一番高い場所に位置し、白い噴気は30~40mにも登るらしい。ゴウゴウという噴気音が、地獄に落ちていく亡者の絶叫のようにも聞こえるところから、この地獄の名前が付いたという。
雲仙地獄の遊歩道沿いには真知子岩、婆石や鏡石などの奇岩のほかキリシタン殉教碑や聖火燃ゆ之碑といった石碑が点在する。殉教の碑が建てられている理由は、この雲仙地獄の地は江戸時代にはキリシタン殉教の舞台となったところでもあるからである。
名 称 | 雲仙地獄 |
所在地 | 長崎県雲仙市小浜町雲仙 |
駐車場 | あり(有料) |
Link | 雲仙地獄 | 長崎観光/旅行ポータルサイト ながさき旅ネット 雲仙地獄 – 雲仙観光局 雲仙温泉郷|島原半島でくつろぐ|雲仙温泉郷 雲の上の避暑地 – 雲仙観光局 |
諏訪の池
諏訪の池【すわのいけ】は、島原半島最大のため池であり、標高250mの台地の上にある。
諏訪の池は、断層活動によって生じたくぼ地をせき止めて作られた灌漑用の人工池で、この池から下流の田畑に農業用水が灌漑されている。
池の周りには1周5kmの自然歩道があり「雲仙諏訪池ビジターセンター」を中心に緑地公園が広がる。
名 称 | 諏訪の池 |
所在地 | 長崎県雲仙市小浜町山畑3952-1 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 諏訪の池|観光スポット|雲仙温泉郷 雲仙諏訪の池ビジターセンター |
天草松島
天草松島【あまくさまつしま】は、熊本県の大矢野島と天草上島の間にある大小約20余の島々の総称で、風光明媚な景勝地として知られる。
名 称 | 天草松島 |
所在地 | 熊本県上天草市松島町合津 |
Link | 日本三大松島「天草松島」|上天草市 |
妙見浦
妙見浦【みょうけんうら】 は、熊本県天草市に属する天草諸島天草下島の西海岸、天草灘沿岸にできた海岸で、風光明媚な景勝地として知られる。海岸の間際まで樹木が生い茂っているほか、夕陽の名所としても知られる。
一帯は100m級の断崖が海に迫り、無数の岩礁や洞窟がある。奇岩、奇峰、海崖や海蝕洞などが連続して見られるため、国の名勝及び天然記念物にも指定されている。
妙見洞門
妙見洞門は、妙見浦に位置する、高さ20m、幅20mの大規模な洞門である。
妙見洞窟
妙見洞窟は、妙見浦に位置する大きな洞窟である。この妙見洞窟を筆頭に、様々な洞窟、十三仏崎、妙見岩、長ハエ、蓬来島、鬼海ヶ浦、角橋、烏帽子岩、穴の口岩などの奇岩、奇勝が連なっている。
名 称 | 妙見洞門・妙見洞窟 |
所在地 | 熊本県天草市妙見浦 |
Link | 日本の奇岩百景プラス 妙見浦 |
天草海域公園
天草海域公園は、複雑な入り江が連続するリアス式海岸一帯に指定された海域公園で、海中の美しさでも知られている。海の透明度が非常に高く、国内で初めて指定された海域公園である。
海域公園【かいいきこうえん】とは、日本の国立公園または国定公園内の海域の景観を維持するため、自然公園法に基づいて、その区域の海域内に指定され、管理される地区のことである。
海域公園は重要度によって、その中で2つの地区に分けられる。
- 海域公園地区は、特に海産資源、海底地形などにおいて特に重要とされている地区で、公園の根幹を成す。
- 普通地区は、その海域公園地区の周囲1kmを占める。風景、景観の維持を図ることが目的である。
海域公園は、本来、海産資源を含めた自然の保護という観点に基づいた指定ではあるが、観光資源としての一面も持つ。
名 称 | 天草海域公園 |
所在地 | 熊本県天草市 |
Link | 海プロくまもと実行委員会 | 海と日本PROJECT in 熊本 |
白岩崎海岸
白岩崎海岸【しろいわさきかいがん】は、富岡海水浴場からおよそ500mほどの場所に位置する、海辺に白い巨岩がある海岸であり、「天草陶石」の小さな白い岩で埋め尽くされた純白の美しい海岸である。紺碧の海の色とのコントラストが美しいので、天草でも屈指の景勝地である。特に、天草灘に夕陽が沈む時間帯には、空と海面がオレンジ色に染まる景色が広がるという。
名 称 | 白岩崎海岸 |
所在地 | 熊本県天草郡苓北町富岡 |
Link | 白岩崎海岸【公式】熊本県観光サイト |
名 称 | 富岡海水浴場 |
所在地 | 熊本県天草郡苓北町富岡字権現山地先 |
Link | 富岡海水浴場 – 熊本県天草観光ガイド |
御所浦島
御所浦島【ごしょうらじま】は、天草諸島に属する島であり、八代海に面している。御所浦島は平成9年(1997年)に恐竜化石が発見されたことから「恐竜の島」とも呼ばれている。
名 称 | 御所浦島・御所浦白亜紀資料館 |
所在地 | 熊本県天草市御所浦町御所浦4310-5 |
Link | 御所浦白亜紀資料館ホームページ |
羊角湾
羊角湾【ようかくわん】は、天草下島の南西部に位置する湾である。西海岸の湾口で天草灘(東シナ海)に通じる。
リアス式海岸をなしており、亀浦と早浦にわかれた形が羊の角に似ていることが「羊角湾」の名の由来とされる。穏やかな内海であることを利用して真珠の養殖などが行われているという。
名 称 | 羊角湾 |
所在地 | 天草市河浦町﨑津・今富 |
Link | 天草市﨑津・今富の文化的景観 / 天草市 |
あとがき
長崎県島原半島(雲仙エリア)には観光に行ったことがあるが、熊本県天草諸島(天草エリア)の景勝地には全く訪ねていないことに今さら気付いて後悔している。周辺を車で通過していながら訪ねていないのだから後悔して当然である。事前学習が足りなかったと大いに反省している。
天草エリアも雲仙エリアに負けず劣らずの素晴らしい景勝地が多いようなので、次の機会には是非、訪ねてみたいと思う。