はじめに
富士箱根伊豆【ふじはこねいず】国立公園は、神奈川・静岡・山梨の3県と東京都にまたがる国立公園で、富士山・箱根・伊豆半島・伊豆諸島の4つのエリアで構成される。火山活動に伴い生成した山、湖や島などの自然が公園に指定されている。
火山が多いということは温泉地も多いということで、このエリアは日本有数の温泉地が多数あることで知られている。
本稿では箱根エリアと箱根温泉郷を取り上げたい。
箱根山
箱根山【はこねやま】は、神奈川県と静岡県にまたがる火山の総称である。現在でも大涌谷などで火山活動が見られる。箱根山は二重の外輪山で構成され、内側には芦ノ湖がある。
箱根山は観光地として発達し、険しい山の割に鉄道交通網も発達しており、電車で芦ノ湖まで行くこともできる。
東海道(国道1号)は東西の重要な交通路であり、標高最高地点の箱根山はかつて最大の難所であった。
現在では、東名高速道路や国道246号が開通しているので、箱根山付近は幹線道路としての役割は終え、観光道路としての役割にシフトしている。
箱根山の山腹・山麓の多くの場所で温泉が湧出し、古より湯治場として箱根温泉などの温泉郷が発展した。
名 称 | 箱根山【はこねやま】 |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町 |
Link | 箱根町観光協会公式サイト 箱根火山のおいたち | 箱根町 |
芦ノ湖
芦ノ湖【あしのこ】は、箱根山のカルデラ湖である。水源の大部分が湖底からの湧き水であるという。湖畔を中心に観光名所やリゾート施設が数多く点在する。
芦ノ湖には外来魚のブラックバスが日本で最初に放流されてきた歴史がある。そのためバスフィッシングのメッカに挙げられる。
名 称 | 芦ノ湖【あしのこ】 |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根芦ノ湖 |
Link | 芦ノ湖|箱根町観光協会公式サイト 箱根芦ノ湖遊覧船 公式サイト |
箱根七湯
箱根温泉【はこねおんせん】は、神奈川県足柄下郡箱根町に位置する温泉の総称である。箱根山の麓から中腹まで、温泉街が点在している。
箱根温泉が世間に知られるようになったのは、豊臣秀吉が北条氏の小田原城を攻めた(小田原征伐)際に、各地から集めた武将や兵士を慰労するために箱根温泉を利用したのがきっかけであると言われている。
箱根温泉は、明治以降に保養地、観光地としての開発が進み、現在に至っている。
箱根七湯とは、下記の7つの温泉を合わせた総称である。
- 箱根湯本温泉
- 塔之沢温泉
- 宮ノ下温泉
- 底倉温泉
- 堂ヶ島温泉
- 木賀温泉
- 芦之湯温泉
箱根湯本温泉
箱根湯本温泉【はこねゆもとおんせん】は、箱根の玄関口に当たる場所に湧出する温泉である。泉質は単純泉・アルカリ性単純泉で、源泉の温度は30〜80℃である。温泉街は、箱根で一番大きいという。
名 称 | 箱根湯本温泉 |
最寄駅 | 箱根登山鉄道・箱根湯本駅 |
Link | 箱根湯本観光協会【公式】 |
塔之沢温泉
塔之沢温泉【とうのさわおんせん】は、箱根湯本温泉の奥に位置する温泉地である。泉質は、単純泉・アルカリ性単純泉である。
名 称 | 塔之沢温泉【とうのさわおんせん】 |
最寄駅 | 箱根登山鉄道・塔ノ沢駅 |
Link | 塔ノ沢温泉|箱根町観光協会公式サイト |
宮ノ下温泉
宮ノ下温泉【みやのしたおんせん】は、底倉温泉の東隣に位置する温泉である。泉質は、ナトリウム・塩化物泉である。
名 称 | 宮ノ下温泉 |
最寄駅 | 箱根登山鉄道・宮ノ下駅 |
Link | 宮ノ下温泉|箱根町観光協会公式サイト |
底倉温泉
底倉温泉【そこくらおんせん】は、宮ノ下温泉の西隣に位置し、蛇骨湧泉群を源泉とする。隠れ湯として知られ、温泉宿は1軒のみである。泉質は、ナトリウム・塩化物泉である。
名 称 | 底倉温泉【そこくらおんせん】 |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町 |
Link | 底倉温泉|箱根町観光協会公式サイト |
堂ヶ島温泉
堂ヶ島温泉【どうがしまおんせん】は、早川渓谷の谷底に湧出している温泉である。営業している2軒の温泉宿へ行くには、私設のモノレール式ケーブルカーやロープウェイを利用することになる。
名 称 | 堂ヶ島温泉 |
最寄駅 | 箱根登山鉄道・宮ノ下駅 |
Link | 堂ヶ島温泉|箱根町観光協会公式サイト |
木賀温泉
木賀温泉【きがおんせん】は、宮ノ下温泉に近く、箱根七湯の中では2番目に長い歴史を持つ。開湯は平安時代末期〜鎌倉時代初期とされる。江戸時代には温泉奉行が置かれ、徳川家への献上湯として利用されたという。
源泉は10もあり、泉質は単純泉、アルカリ性単純泉、塩化物泉、塩化物・炭酸水素泉(含土類弱食塩泉)などがある。
名 称 | 木賀温泉 |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町木賀 |
Link | 木賀温泉 |箱根町観光協会公式サイト |
芦之湯温泉
芦之湯温泉【あしのゆおんせん】は、駒ヶ岳南麓(標高870m)地点にある温泉で、箱根七湯の中では最も標高が高い。開湯は鎌倉時代とされる。
泉質は、硫黄泉と硫酸塩泉である。単純硫黄泉ではあるが、コロイド硫黄のアルカリ性のお湯で、硫黄系の濁り湯としては珍しい泉質であるとされる。
名 称 | 芦之湯温泉 |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町 |
Link | 箱根芦之湯観光協会【公式】 | 箱根七湯・歴史の里 芦ノ湖・芦之湯エリア|箱根町観光協会公式サイト |
箱根八湯
箱根七湯に姥子温泉【うばこおんせん】を加えて、箱根八湯と称する。箱根八湯とは、下記の8つの温泉を合わせた総称である。
- 箱根湯本温泉
- 塔之沢温泉
- 宮ノ下温泉
- 底倉温泉
- 堂ヶ島温泉
- 木賀温泉
- 芦之湯温泉
- 姥子温泉
姥子温泉
姥子温泉【うばこおんせん】は、箱根カルデラの中央火口丘最高峰の神山の北西斜面に湧出している温泉である。
開湯は約800年前とされ、箱根八湯のなかでも歴史の古い温泉の一つである。眼病への効能で知られる温泉である。
泉質は、単純温泉のほか、カルシウム-硫酸塩泉やナトリウム-硫酸塩泉などの硫酸塩泉である。
名 称 | 姥子温泉 |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町 |
Link | 姥子温泉|箱根町観光協会公式サイト |
箱根十七湯
箱根八湯に小涌谷温泉、強羅温泉、大平台温泉、宮城野温泉、二ノ平温泉、仙石原温泉、湯ノ花沢温泉、芦ノ湖温泉、蛸川温泉の9つの温泉を加えて、箱根十七湯と称する。つまり、箱根十七湯とは、下記の17の温泉を合わせた総称である。
- 箱根湯本温泉
- 塔之沢温泉
- 宮ノ下温泉
- 底倉温泉
- 堂ヶ島温泉
- 木賀温泉
- 芦之湯温泉
- 姥子温泉
- 小涌谷温泉
- 強羅温泉
- 大平台温泉
- 宮城野温泉
- 二ノ平温泉
- 仙石原温泉
- 湯ノ花沢温泉
- 芦ノ湖温泉
- 蛸川温泉
小涌谷温泉
小涌谷温泉【こわくだにおんせん】は、かつて「小地獄」と呼ばれていた温泉であるが、明治天皇行幸の際に改名したという。
泉質は、単純泉・アルカリ性単純泉である。
名 称 | 小涌谷温泉 |
最寄駅 | 箱根登山鉄道・小涌谷駅 |
Link | 小涌谷温泉|箱根町観光協会公式サイト |
強羅温泉
強羅温泉【ごうらおんせん】は、早雲山からの引湯により開発が始まったが、1952年以降に多くの源泉が掘削された。泉質は、源泉ごとに異なり、多様である。
名 称 | 強羅温泉 |
最寄駅 | 箱根登山鉄道・強羅駅 |
Link | 箱根強羅温泉|箱根強羅観光協会 |
大平台温泉
大平台温泉【おおひらだいおんせん】は、1951年に開湯された温泉である。泉質は食塩泉である。
名 称 | 大平台温泉 |
最寄駅 | 箱根登山鉄道・大平台駅 |
Link | 箱根大平台温泉組合姫之湯|箱根町観光協会公式サイト |
宮城野温泉
宮城野温泉【みやぎのおんせん】は、早川河畔にある温泉で、開湯は1960年であるという。箱根町営「宮城野温泉会館」ほか、幾つかの日帰り温泉施設が存在する。
名 称 | 宮城野温泉 |
Link | 箱根宮城野温泉会館 | 箱根町 強羅・宮城野エリア|箱根町観光協会公式サイト |
二ノ平温泉
二ノ平温泉【にのたいらおんせん】は、1963年に開湯された温泉で、共同浴場「亀の湯」がある。
名 称 | 二ノ平温泉 |
最寄駅 | 箱根登山鉄道・彫刻の森駅 |
Link | 二ノ平温泉|箱根町観光協会公式サイト |
仙石原温泉
仙石原温泉【せんごくはらおんせん】は、仙石原(標高700m前後)という草原にある温泉である。大涌谷や姥子からの引湯をする温泉施設も多いという。
名 称 | 仙石原温泉 |
Link | 箱根仙石原温泉【公式】箱根仙石原温泉旅館ホテル組合 仙石原エリア|箱根町観光協会公式サイト |
湯ノ花沢温泉
湯ノ花沢温泉【ゆのはなさわおんせん】は、駒ヶ岳の中腹(標高950m)にあり、箱根十七湯の中で最も高所にある温泉である。
自然湧泉から生じる「湯の花」が一面に広がる沢がある。自然湧泉を利用した露天風呂が作られるようになったが、現在は、火山性蒸気を温泉に変えて周辺地域に引湯するのみで、自然湧泉は利用されていない。
名 称 | 湯ノ花沢温泉 |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町芦之湯 |
Link | 湯の花沢温泉|箱根町観光協会公式サイト |
芦ノ湖温泉
芦ノ湖温泉【あしのこおんせん】は、芦ノ湖畔にあり、関所や遊覧船乗り場に近い。湯ノ花沢温泉からの引湯で誕生した温泉である。しかし、現在は自家源泉を持つ施設もあり、泉質は単純温泉や単純硫黄温泉などである。
名 称 | 芦ノ湖温泉 |
Link | 芦ノ湖温泉 |箱根町観光協会公式サイト |
蛸川温泉
蛸川温泉【たこがわおんせん】は、芦ノ湖湖畔にあり、箱根十七湯で最も新しい温泉(開湯は1987年)である。泉質は、単純温泉やカルシウム-硫酸塩泉である。
名 称 | 蛸川温泉 |
Link | 蛸川温泉|箱根町観光協会公式サイト |
箱根二十湯
箱根十七湯に大涌谷温泉、湖尻温泉、早雲山温泉の3つの温泉を加えて、箱根二十湯と称する。つまり、箱根二十湯とは、下記の20の温泉を合わせた総称である。
- 箱根湯本温泉
- 塔之沢温泉
- 宮ノ下温泉
- 底倉温泉
- 堂ヶ島温泉
- 木賀温泉
- 芦之湯温泉
- 姥子温泉
- 小涌谷温泉
- 強羅温泉
- 大平台温泉
- 宮城野温泉
- 二ノ平温泉
- 仙石原温泉
- 湯ノ花沢温泉
- 芦ノ湖温泉
- 蛸川温泉
- 大涌谷温泉
- 湖尻温泉
- 早雲山温泉
大涌谷温泉
大涌谷温泉【おおわくだにおんせん】は、造成温泉であり、大涌谷で自噴する温泉と、火山性蒸気に仙石原の地下水である山清水を吹き当て造成した温泉を混合している。泉質は酸性の硫酸塩・塩化物泉である。
名 称 | 大涌谷温泉 |
最寄駅 | 箱根ロープウェイ・大涌谷駅 |
Link | 大涌谷|箱根町観光協会公式サイト 箱根温泉供給株式会社 |
湖尻温泉
湖尻温泉【こじりおんせん】は、芦ノ湖北側の湖畔に位置する温泉である。1960年代以降に開発された新しい温泉地である。
名 称 | 湖尻温泉 |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根 |
最寄駅 | 箱根ロープウェイの終点駅、桃源台駅 |
Link | 【湖尻温泉】|箱ペディア|箱根温泉 箱ぴた 箱根湖尻温泉供給組合 |
早雲山温泉
早雲山温泉【そううんざんおんせん】は、大雄山最乗寺箱根別院内にある温泉である。泉質は、カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩泉である。
名 称 | 早雲山温泉 |
最寄駅 | 箱根登山ケーブルカーと箱根ロープウェイの 乗換駅である早雲山駅 |
Link | 【早雲山温泉】|箱ペディア|箱根温泉 箱ぴた |
あとがき
箱根に行く機会がめっきり減ってしまった最近ではあるが、社会人になりたての頃は同期会と称してゴルフと温泉を楽しむために箱根温泉(大涌谷温泉)に行ったりしていたことを想い出した。
また、家族旅行でも箱根山や「彫刻の森美術館」などを訪ねている。娘たちも大きく育った今、家族で再訪する機会をもてないものだろうかと思うが、親と一緒の旅行は娘たちにとっては迷惑な話かも知れない。いつものように妻との二人旅になりそうだ。