はじめに
越前加賀海岸【えちぜんかがかいがん】国定公園は、福井県敦賀市から石川県加賀市に至る海岸線(約100km)に指定された国定公園である。
率直にいうと私は福井県にはほとんど行っていない。越前海岸も東尋坊しか知らない。一方で、何故か金沢や富山には行く機会があったが、その際は列車で行くことが多く、たまに車で行くことがあったとしても北陸自動車道を利用するため海岸線沿いの道路を走ることは全くなかった。
したがって、越前加賀海岸国定公園内の景勝地を訪ねていない。率直に言えば、訪れているかも知れないが、記憶に残っていない。この国定公園の魅力を知るためにはプライベートで機会を作り、実際に現地を訪ねて、自分の目で確認しなければならないと思っている。
越前海岸
越前海岸【えちぜんかいがん】は、福井県敦賀市杉津【すいづ】から越前岬を経て、東尋坊(坂井市三国町安島)に至る日本海に面した海岸の総称である。
越前岬
越前岬【えちぜんみさき】は、若狭湾東端に位置し、越前海岸(日本海)に面する岬である。高さが100mにも及ぶ礫岩【れきがん】層の海食崖が数kmにも連なり、海蝕洞や奇岩奇石が点在する越前海岸の代表的な景勝地となっている。また、夕陽が綺麗な場所としても知られている。
越前岬の断崖上には越前岬灯台が建っている。越前岬灯台は、白亜の塔形鉄筋コンクリート造の中型灯台(塔高が16m)であるが、海上から灯高は131mもある。光達距離は21海里(約39km)とされ、福井県の主要な航路標識の一つとなっている。
名 称 | 越前岬・越前岬灯台 |
所在地 | 福井県丹生郡越前町血ヶ平 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 越前岬灯台|えちぜん観光ナビ 越前岬灯台 (mlit.go.jp) |
呼鳥門
呼鳥門【こちょうもん】は、国道305号に呼鳥門トンネルが開通までの間、国道では全国唯一の天然トンネルとして知られていた天然橋【てんねんきょう】である。天然橋とは、岩石がアーチの形状をして下部が開いているものを指し、門状のものは岩門や石門と呼ばれる。「渡り鳥を呼ぶ門」という意味で「呼鳥門」と名づけたという。現在では、呼鳥門を潜っていた国道は、国道の指定を外れて遊歩道となっている。
名 称 | 呼鳥門【こちょうもん】 |
所在地 | 福井県丹生郡越前町梨子ヶ平 |
駐車場 | なし |
Link | 呼鳥門|えちぜん観光ナビ |
鉾島
鉾島【ほこしま】は、約1500万年にマグマが周囲の地層を貫いた柱状節理でできた黒雲母角閃石流紋岩の島である。東尋坊や雄島の柱状節理を調べるために地学的に重要な島であるとされるが、景勝地としても人気が高い。鉾島の頂上にはクロマツなどが生え、海鳥の巣もあるという。
名 称 | 鉾島【ほこしま】 |
所在地 | 福井県福井市南菅生町 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 鉾島【公式】福井県 観光/旅行サイト | ふくいドットコム |
亀島
亀島【がめじま】は、越前海岸北部に位置する無人島である。島の形状が巨大な亀が横たわっているような姿であることが名前の由来となっている。地元には、観音さまを天からお運びした亀が島になったという伝承が残されている。
名 称 | 亀島【がめじま】 |
所在地 | 福井県福井市松蔭町 |
Link | 越前海岸「亀島(がめじま)」 – 福井 – Japan Travel |
三国海水浴場
三国海水浴場【みくにかいすいよくじょう】は、越前海岸の三国港の近くにある遠浅の海水浴場である。愛称は「三国サンセットビーチ」で、その名のとおり夕陽が綺麗な海岸として知られる。
名 称 | 三国海水浴場 |
所在地 | 福井県坂井市三国町宿・米ケ脇 |
駐車場 | あり(有料) |
Link | 三国サンセットビーチ【公式】ふくいドットコム |
東尋坊
東尋坊【とうじんぼう】は、約1,200 ~1,300万年前の火山活動で、マグマが堆積岩層中に貫入して冷え固まった火山岩の海食崖である。東尋坊の岩は、輝石安山岩の柱状節理で、規模的にも地質学上極めて貴重とされ、国の天然記念物および名勝に指定されている。
東尋坊では、20m超の険しい垂直の岩壁が約1kmに渡って続いている。地名の由来は、恨みを買って此処から突き落とされた平泉寺の僧の名前によるものとされる。
率直に言って、私は断崖絶壁は好きではない。高い所が苦手というか、恐怖を感じる。防護柵や手すりもない所で何時間も断崖を見つめることなどできはしない。適当に数枚の記念写真を撮るのが関の山である。
東尋坊は、観光地として開発されており、遊歩道や遊覧船、展望用タワーや商店街などもある。
名 称 | 東尋坊【とうじんぼう】 |
所在地 | 福井県坂井市三国町安島 |
駐車場 | あり(有料) |
Link | 東尋坊【公式】観光/旅行サイト|ふくいドットコム 福井県坂井市/東尋坊 |
雄島
雄島【おしま】は、越前海岸で最も大きな島である。島全体が流紋岩でできており、周囲2kmは海食崖になっている。近隣の東尋坊と同様の柱状節理のほか、板状節理も見ることができる。
雄島の西側斜面上には雄島灯台【おしまとうだい】が建てられている。雄島灯台は、白亜の塔型の小型灯台である。
名 称 | 雄島・雄島灯台 |
所在地 | 福井県坂井市三国町安島 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 雄島 – 神の島 | 福井県坂井市観光ガイド Web旅ナビ坂井 雄島灯台 (mlit.go.jp) |
北潟湖
北潟湖【きたがたこ】は、福井県あわら市と石川県加賀市に跨る湖であるが、湖面積の約99%が福井県に属している。湖水は石川県南部を流れる大聖寺川【だいしょうじがわ】に注ぎ込まれて、下流の塩屋漁港で日本海へと流れていく。国道305号沿道からも眺めることができる。
名 称 | 北潟湖 |
所在地 | 福井県あわら市北潟 |
Link | 北潟湖【公式】観光/旅行サイト|ふくいドットコム |
塩谷海岸
松林(自然休養林)と、浜辺の海浜植物群落が綺麗な海岸として知られる。クロダイ、スズキ、セイゴ、キス、メバル、ボラなどが釣れる海岸としても有名であるらしい。
名 称 | 塩谷海岸 |
所在地 | 石川県加賀市塩屋町地先海 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 塩屋海岸|ほっと石川旅ねっと |
加佐ノ岬
加佐ノ岬【かさのみさき】は、橋立丘陵の北西端に位置し、日本海に突き出した岬である、高さ30mほどの断崖となっている。加佐ノ岬砂岩層と呼ばれる地層に粒の粗い砂岩が堆積し、海岸浸食をうけ奇観を呈する。「お夏の岩洞」と呼ばれる、奥行が50mもある海蝕洞が知られている。
岬突端の断崖上には白亜の加佐岬灯台【かさみさきとうだい】が建ち、そこからは能登半島や雄島が遠望できるという。加佐岬灯台は、白亜の塔形(四角形)の中型灯台である。加賀から能登半島までの海岸線は目標物に乏しいので、船舶や漁船にとって重要な目印となっている。
名 称 | 加佐ノ岬・加佐岬灯台 |
所在地 | 石川県加賀市橋立町 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 加佐の岬|ほっと石川旅ねっと 加佐岬 (mlit.go.jp) |
尼御前岬
尼御前岬【あまごぜんみさき】は、日本海に面した岬で、海食台と断崖からなる奇勝で知られる。淡緑灰色~灰白色の凝灰岩が日本海の波の侵食を受け独特な景観を創り出している。
名 称 | 尼御前岬【あまごぜんみさき】 |
所在地 | 石川県加賀市美岬町 |
Link | 尼御前岬|ほっと石川旅ねっと |
柴山潟
加賀三湖【かがさんこ】は、石川県小松市と加賀市に点在する三つの潟湖【せきこ】(今江潟、木場潟、柴山潟)の総称である。潟湖とは湾口に発達した砂州などにより外海と切り離されて生じた浅い湖で、ラグーン(lagoon)と呼ぶこともある。成因的には汽水湖の多くが潟湖である。
柴山潟【しばやまがた】は、石川県加賀市に位置し、湖畔に片山津温泉がある潟湖である。動橋川【いぶりはしがわ】が柴山潟に流れ込み、人工の新堀川【しんほりがわ】によって放流されて日本海へ注いでいる。
承応【】年間(1652~1655)に、潟の中から温泉が湧き出しているのが発見され、明治時代になって端の方から埋め立てられてできたのが片山津温泉である。
名 称 | 柴山潟 |
所在地 | 石川県加賀市片山津温泉 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 柴山潟|ほっと石川旅ねっと 柴山潟の大噴水|【公式】加賀温泉郷 |
加賀温泉郷
加賀温泉郷【かがおんせんきょう】は、粟津温泉(小松市)と片山津温泉、山代温泉、山中温泉(いずれも加賀市)の4つの温泉地の総称である。「加賀四湯」とも呼ばれている。
粟津温泉
粟津温泉【あわづおんせん】は、加賀温泉郷の一つで、石川県小松市にある温泉地である。
718年に泰澄大師がに白山権現のお告げによって発見したと伝わる温泉地で、開湯1300年の長い歴史を持つ。旅館・法師【ほうし】は、開湯当時から営業を続けているというから驚きである。
現在、粟津温泉には旅館が13軒あり、各旅館が自家掘りの源泉を持っているという。泉質は、硫酸塩泉である。
粟津温泉の近くには北陸有数の名刹として知られる那谷寺【なたでら】がある。那谷寺は、高野山真言宗の別格本山の寺院で、山号を自生山と称する。秘仏の千手観世音菩薩像が御本尊として祀られている。秘仏は33年ごとに開扉されるらしい。
名 称 | 粟津温泉【あわづおんせん】 |
所在地 | 石川県小松市粟津温泉 |
Link | あわづ温泉|ほっと石川旅ねっと 粟津温泉/小松市ホームページ 粟津温泉|こまつ観光ナビ – 小松市公式観光情報サイト 北陸 粟津温泉 旅館 法師【公式】 |
片山津温泉
片山津温泉【かたやまづおんせん】は、加賀温泉郷(粟津温泉、片山津温泉、山代温泉、山中温泉)の一角である温泉地である。北陸最大級の山代温泉と同じく加賀温泉駅を最寄り駅とする。
1653年に発見され、明治時代に入ってから開発された、柴山潟のほとりある温泉地で、加賀温泉郷の中では最も歴史が浅い。
泉質は、ナトリウム・カルシウム塩化物泉で、無色透明で塩分が非常に高いとされる。
温泉街は、旅館10軒とホテル3軒を中心に形成されている。
中谷宇吉郎雪の科学館や共同浴場の総湯などがあるほか、柴山潟の花火の打ち上げやサイクリングロードの整備によるレジャー開発が行われている。
名 称 | 片山津温泉 |
所在地 | 石川県加賀市片山津温泉 |
Link | 片山津温泉観光協会公式サイト |
山代温泉
山代温泉【やましろおんせん】は、加賀温泉郷の一つで、石川県加賀市にある温泉地である。北陸3県では最大級の温泉街を形成しており、1300年以上の歴史がある温泉地でもある。
泉質は、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉・塩化物泉とカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉のほか2種が知られている。
名 称 | 山代温泉 |
所在地 | 石川県加賀市山代温泉 |
Link | 山代温泉観光協会 |
山中温泉
山中温泉【やまなかおんせん】は、加賀温泉郷の一つで、石川県加賀市にある温泉地である。北陸3県では山代温泉に次いで規模が大きく、1300年以上の歴史がある温泉地でもある。
泉質は、カルシウム・ナトリウム一硫酸塩泉で、源泉の温度は48.3℃であるという。
温泉街は、大聖寺川【だいしょうじがわ】の渓谷沿いに旅館が立ち並ぶ。山中温泉街は山に囲まれた街であり、一帯は鶴仙渓【かくせんけい】という景勝地でもある。
大聖寺川にかかる橋のなかには、山中温泉街のシンボル的存在のこおろぎ橋やユニークな形状のあやとりはしがある。
名 称 | 山中温泉 |
所在地 | 石川県加賀市山中温泉 |
Link | 山中温泉 山中温泉街マップ – 山中温泉 |
あとがき
私は、社会人生活を滋賀県の甲賀町(現甲賀市)でスタートさせた。私もまだ若かった当時の頃は、今と違って社員同士の親睦を目的とする社内旅行が盛んであった。社内旅行と言えば、温泉地への旅行が多く、温泉に浸かって、夜は旅館の貸し切り宴会場で酒宴に興じるのがお決まりであった。会社行事の一環であったから、半ば強制的なところがあり、宴会大好き人間には天国であったかも知れないが、社交が苦手な人には地獄であったと思う。
加賀温泉郷は、滋賀県からは比較的アクセスが良いので、よく利用させてもらった。山代温泉と山中温泉へは社内旅行で行った記憶しか残っていない。唯一、粟津温泉と片山津温泉だけがプライベートでもお世話になっている。
加賀温泉郷の周辺には観光スポットが多く、もちろん越前加賀海岸国定公園の景勝地も含まれている。しかし、社員旅行では温泉と宴会のことしか記憶に残っておらず、道中で訪れたであろう景勝地については記憶にはほとんど残っていない。今から思えば、非常に残念なことをしたと悔やんでいる。
本稿で越前加賀海岸国定公園の魅力について学んだからには、越前海岸をはじめ、当国定公園指定区域の景勝地をプライベートでゆっくりと旅してみたいと思っている。