はじめに
知床【しれとこ】国立公園は、北海道の東北端に位置する知床半島にある国立公園である。知床半島中央部から知床岬までの周辺海域が指定区域で、世界自然遺産にも登録されている美しい自然公園である。
知床半島【しれとこはんとう】は、北海道の東北端に位置し、オホーツク海に向かって細長く伸びる半島である。日本に残された最後の原生地域ともいわれ、険しい連峰と奥深い原生林、さらには海蝕崖による豪壮な海岸風景などの景観が見事である。
原生的で多様な生態系が一地域にまとまっているのが特徴的である。観光地が進んでいるが、自然保護と観光とのバランスを慎重に考えなければならない場所でもある。
知床半島には「知床八景」と呼ばれる下記のような景勝地がある。
- 知床五湖
- オシンコシンの滝
- カムイワッカの滝
- フレペの滝
- 知床峠
- プユニ岬
- 夕陽台
- オロンコ岩
知床五湖
知床半島は、2005年にユネスコの世界自然遺産に登録され、注目が集まっている。その世界遺産の中心にあるのが知床五湖であるといえよう。
知床五湖は、知床半島の背骨を形作っている知床連山と呼ばれる山々の麓に位置する。知床連山とは、羅臼岳(1661m)、斜里岳(1547m)、海別岳(1419m)、硫黄山(1562m)などの1400m~1600m級の山々である。
知床五湖(北海道斜里町)は、知床連山を背景に原生林の中にある5つの湖である(一湖から五湖までの名前がつく)。自然豊かな世界自然遺産・知床を象徴する景勝地として知られる。
知床五湖から眺める知床連山や原生林を水面に映す風景は見飽きることはない。多くの野生動物の生息地でもあり、ヒグマの爪痕など知床半島の自然の豊かさを実感できる場所でもある。
知床五湖の散策を楽しむには、高架木道と地上遊歩道の2つのルートがある。高架木道は、全長800mで、雄大な知床五湖を気軽に体験することができる散策コースである。一方、地上遊歩道は全長3㎞と1.6㎞の2つの散策ルートあり、ヒグマの活動時期など時期によって利用が使い分けられる。
知床五湖には高架木道と地上遊歩道があると述べたが、一湖以外の湖を観るなら地上遊歩道を通らなければならない。ヒグマの出没情報があれば立入禁止になるのでヒグマ次第、運次第だ。
知床半島は、人口よりもヒグマの生息数の方が多いと言われている。近年は、ヒグマのテリトリー内での食料不足状況が続いているためか人里でもヒグマの目撃情報や、遭遇による被害も報告されている。私たちは、幸か不幸か、ヒグマに遭遇することはなかった。しかしながら、ヒグマの出没情報があったために、地上遊歩道の利用が制限されていた。
知床五湖の眺めは「知床八景」の1つに選ばれている。
名 称 | 知床五湖 |
所在地 | 北海道斜里郡斜里町岩尾別 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 知床五湖|知床斜里町観光協会 |
オシンコシンの滝
オシンコシンの滝は、知床半島のオホーツク沿いに位置する美しい滝である。滝は、国道334号沿いにあり、駐車場から滝の中ほどまで階段で上がることができる。そのため、短時間で気軽に訪れることができる。知床観光の際には、是非、立ち寄りたい観光スポットであると言えよう。
オシンコシンの滝は、落差約80m、幅約30mの大きな滝で、その迫力ある姿が特徴的である。滝の途中で水の流れが二手に分かれていることから「双美の滝」とも呼ばれているらしい。
見る方向によって表情を変える不思議な滝である。源流はどこなのだろうか? まるで天から流れ落ちてくるような感じだ。
滝の水しぶきが飛び散る場所では、マイナスイオンがたっぷりと感じられ、リフレッシュ効果が期待できそうである。
私はこの滝の近くで手を滑らせ、買い替えたばかりのカメラを落として壊してしまうところだった。それを偶然にも救ってくれたのが私の妻であった。この体験により私は妻に頭が上がらなくなった。それ以来、カメラを新しく買い替えるたびに妻はこの話を持ち出してくる。この状況がいつまで続くのか、私には黙って聞き流すしか術はない。
オシンコシンの滝の眺めは「知床八景」の一つに選ばれている。
名 称 | オシンコシンの滝 |
所在地 | 北海道斜里郡斜里町宇登呂東国有林内 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | オシンコシンの滝|知床斜里町観光協会 |
カムイワッカ湯の滝
カムイワッカ湯の滝は、知床硫黄山の中腹から涌き出る温泉が川に流れ込んでいるため、滝自体が温泉になっている。滝壺に入れば、天然温泉が楽しめる。それが珍しいため、人気の観光スポットの一つとなっている。
但し、交通アクセスが決して良いとは言えず、未舗装の道路を通る必要がある。アクセスにはシャトルバスの利用が推奨されており、事前予約が必要である。また、観光できるのは、例年7月1日から9月30日までの期間限定であるので要注意である。
沢登りのように、上流に向かって滑りやすい川の中を一の滝まで歩いていく。毎年のように滑落事故も起きてるようなので注意を怠ってはいけない。また、川の水は酸性が強いため、肌が弱い人は注意が必要であるかも知れない。
一の滝までの道中は、沢登りを楽しむことができる。急な流れもあるので、冒険心をくすぐる。川の中を歩きながら滝を目指すというアクティビティは、大人でも童心に帰えれる特別な体験になるはずである。
一の滝の周辺は豊かな自然に囲まれている。、滝の水が流れ落ちる様子や周囲の緑豊かな景色は、訪れる私たちを魅了する。
私たちがカムイワッカ湯の滝を訪れた日は、途中で通行禁止になっていたため、一の滝の滝壺には近づくことができなかった。それが、とても残念であった。
カムイワッカ湯の滝の下流にはカムイワッカの滝(落差32m)があるという。オホーツク海に流れ込む滝で、この滝に通ずる道はないので、滝を見るには知床半島の遊覧船を利用する。観光客に人気なのはカムイワッカ湯の滝の方であるので、遊覧船は旅のスケジュールに余裕がある観光客向けと言ったところだろうか。
但し、知床八景の一つに選ばれているのは、カムイワッカの滝の方である。
名 称 | カムイワッカ湯の滝 |
所在地 | 北海道斜里郡斜里町遠音別村岩尾別 |
Link | カムイワッカ湯の滝 – 知床自然センター |
フレペの滝
知床半島・宇登呂岬にある宇登呂灯台の直下の断崖を流れ落ちるフレペの滝は、地元では「乙女の涙」の愛称で呼ばれるという。
水量が少なく、ホロホロと流れ落ちる、その繊細な姿が涙のように見えることからこの愛称が付けられたらしい。
フレペの滝は、知床の断崖絶壁(高さ約100m)からオホーツク海へと落ちる滝である。この滝を望む展望台周辺では、エゾシカなどの動物にも出会える可能性も高い。
知床自然センターからフレペの滝までの遊歩道は、片道約20分ほどのハイキングコースとなっている。気軽に散策を楽しむことができる上に、運が良ければ、道中でエゾシカや野鳥などの野生動物に出会えることもある。
フレペの滝を望む展望台からは、眼下に広がる断崖絶壁とオホーツク海、そして知床連山の大パノラマを眺望することができる。そして、天候が良ければ、美しい夕陽が見られることもあり、絶景スポットとなっている。
フレペの滝の眺めは「知床八景」の一つに選ばれている。
名 称 | フレペの滝 |
所在地 | 北海道斜里郡斜里町遠音別村字岩宇別 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | フレペの滝|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト |
知床峠
知床峠【しれとことうげ】(標高738m)は、北海道の羅臼町と斜里町ウトロを繋ぐ国道334号にある峠である。ちょうど両町の境に位置する。知床半島を横切る国道334号は、知床横断道路とも呼ばれ、道東の広域観光道路としても利用されている。
知床峠には駐車場が整備されていて、ビューポイントになっている。知床峠からの眺めは「知床八景」の一つに選ばれている。
知床峠からは、真正面に羅臼岳(標高1,661m)、眼下には深緑のハイマツの樹海や知床の原生林を見渡すことができる。
天候が良ければ、遠く根室海峡とそこに浮かぶ国後島を望むことができる。
周辺は世界有数のヒグマの生息地でもある。私たちはヒグマには遭遇しなかったが、野生のエゾシカに出会うことができた。
ヒグマに遭遇するのは遠慮したいが、エゾシカやキタキツネなどの野生動物に出会えるのは知床半島ではの楽しみの一つである。
名 称 | 知床峠 |
所在地 | 北海道目梨郡羅臼町と斜里郡斜里町の境 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 知床峠|知床斜里町観光協会 |
プユニ岬
プユニ岬は、オホーツク海に面する岬で、知床半島北岸のウトロから国道334号で知床自然センター(遠音別村字岩宇別531)へ向かう途中の上り坂に位置する。「夕陽の名所」と言われ、プユニ岬から眺める絶景は「知床八景」の一つに選ばれている。
オホーツク海に沈みゆく夕陽が海をオレンジ色に染め上げる光景は、息をのむほどに感動的で、訪れる私たちを魅了する。
プユニ岬は、オホーツクの海岸線やウトロ港が一望できる場所で、私はまだ見たことがないが、冬はオホーツク海でも一番最初に流氷を見ることができる展望ポイントでもあるという。
名 称 | 知床半島・プユニ岬 |
所在地 | 北海道斜里郡斜里町大字遠音別村字岩尾別 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | プユニ岬|知床斜里町観光協会【公式サイト】 |
夕陽台
夕陽台は、ウトロの市街地から約1kmほど離れた高台にあり、「知床八景」の一つに選ばれている観光スポットである。知床の観光拠点の一つであるウトロ温泉街にも近い。
夕陽台は、その名の通り「夕陽の名所」である。オホーツク海に沈みゆく夕陽が空と海をオレンジ色に染め上げ、海面に一筋の光の道を描く光景は、私たちに感動を与え、魅了する。
ウトロの温泉街から徒歩約15分ほどの場所にあり、観光ホテル街からもアクセスしやすい。車で訪れる場合も、近くに駐車場が整備されていて便利である。
名 称 | 夕陽台 |
所在地 | 北海道斜里郡斜里町ウトロ香川 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 夕陽台|知床斜里町観光協会 |
天狗岩
天狗岩は、羅臼町市街地から車で約15分の場所にあり、道道87号線沿いに位置している。駐車場も完備されており、アクセスしやすい観光スポットである。
羅臼から相泊方面に向かって海岸沿いの道をドライブしていると右手に見える不思議な形の岩である。長い年月をかけて荒波が削り出した「芸術作品」の一つであることには間違いない。
天狗岩は、天狗の鼻が天を向いているように見えるところから名付けられたという。私には「天狗の鼻」に見えないが、天狗自体に会ったことがないので分からないのは当然かも知れない。
名称 | 天狗岩 |
所在地 | 目梨郡羅臼町海岸町 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 天狗岩|知床の町 羅臼町【公式サイト】 |
あとがき
北海道は広大であるので、自分の思い通りに点在する景勝地を巡るにはどうしても車を利用しないと不便である。北海道の道を愛車で走行したいという気持ちはあるが、神戸から車で行くには北海道は遠すぎる。仕方なく空路で北海道に行き、空港でレンタカーを借りることになる。北海道の道路は広くて、カーブも少ないので慣れないレンタカーでも走りやすい。北海道の大地をまっすぐに延びる道路をドライブしたことが昨日のことにように良き想い出として残る。
知床国立公園内の景勝地を巡った旅は、北海道の旅のなかでも特に強く記憶に残っている。それは本州とは違う北海道の大自然が色濃く残る場所であるからに違いない。何度訪れても感動する景勝地が含まれる国立公園への旅は最高である。