はじめに
奈良県には1つの国立公園(吉野熊野)と4つの国定公園(室生赤目青山・金剛生駒紀泉・大和青垣・高野龍神)が設定されているが、奈良県も3つの県立自然公園を設定している。
本稿で取り上げたいのは、そのうちの一つである「県立月ヶ瀬神野山自然公園」で、月ヶ瀬と神野山を指定区域としている。
月ヶ瀬と神野山はともに大和高原の東北部に位置し、月ヶ瀬は梅の名所として知られている。一方、神野山は大和高原の代表的な山であり、ツツジの名所としても多くの人々に知られている。
そんな有名な場所ではあるが、知る人ぞ知る場所になっている感が無きにしも非ずなので、本稿で取り上げてみた。
月ヶ瀬梅林
月ヶ瀬梅林【つきがせばいりん】は、大和高原の北側、京都・三重・奈良の府県境付近に位置する梅林である。奈良市中心部からよりも、三重県伊賀市中心部からの方が断然近い位置にある。
大和高原の北側の府県境付近は木津川水系の名張川が流れ、月ヶ瀬梅林が位置する名張川下流域は奈良県内のため「五月川」と呼ばれることが多い。
月ヶ瀬梅林は、かつては五月川の渓谷沿いに広がっていたため「月ヶ瀬梅渓」と呼ばれた。その渓谷沿いの梅林の多くは、高山ダムの完成(1969年)によりダム湖の底に沈んだという。
しかしながら、そのダム湖「月ヶ瀬湖」の湖水と残された梅林が調和し、新たな景観を形作っているのが近年の状況である。
古くから有名な梅林であり、最盛期の江戸時代には染料用の烏梅を中心に約10万本もの梅が育てられていたという。
現在は、周辺の梅林も含め、観光用と食用青梅を中心に約1万3千本の梅が植栽されているという。
月ヶ瀬梅林は、標高200~300mの高原に位置するため、気温の影響を受け、梅の開花期は奈良市中心部よりも半月ほど遅れることが常である。つまり、月ヶ瀬梅林では例年3月中旬~下旬に見頃を迎えることになる。
月ヶ瀬梅林は、国指定の名勝にも早くから指定されている。
名 称 | 月ヶ瀬梅林 |
所在地 | 奈良県奈良市月ヶ瀬尾山とその周辺 |
駐車場 | あり(有料) |
Link | 名勝 月ヶ瀬梅林 | 奈良市観光協会サイト 美景「梅林の郷」 | 月ヶ瀬観光協会 |
神野山
神野山【こうのやま】(標高619m)は、奈良県の北東部、三重県との県境に位置する。山容は、ゆるやかなスロープを描いた円錐形の秀麗な山である。奈良県が名勝に指定している。
山頂は見晴らしが良く、360度のパノラマの眺望が楽しめる。さらに、夜になると天体観測に訪れる人もいるという。
山の北東部には名張川(五月川)が流れており、月ヶ瀬梅林も比較的近くに位置する。
神野山は、四季折々に美しい姿を見せる。特に、5月上旬にはツツジが咲き誇り、新録のなかに紅色のツツジの花が映える。ツツジの名所と言われる所以である。また、秋には紅葉が山一面を覆う。そして、秋が深まり、冬になればうっすらと雪化粧をする。
神野山の中腹には「弁天池」と呼ばれる小さな湖沼があり、白色の蓮【はす】が咲いていた。
山頂付近には大小の黒い岩石が重なり合うように約500mにわたって続く場所もあり、天然記念物に指定されているという。
名 称 | フォレストパーク神野山 |
所在地 | 奈良県山辺郡山添村伏拝888-1 |
駐車場 | あり(有料) |
Link | 神野山 – 山添村観光協会 フォレストパーク神野山 – 山添村観光協会 フォレストパーク神野山|奈良県観光[公式サイト] |
あとがき
例年、ウメの開花に合わせて催される月ヶ瀬梅林の「梅まつり」に出かけていった想い出が多い。その帰りの道中で柴犬を専門にしたブリーザーに出会ったのが縁で、そのブリーダーから子犬を譲り受けて、「タロウ」と名付けて義母が飼い始めたのを想い出した。タロウは私の娘たちにも人気で、タロウを見せてもらうために妻の実家に娘たちをよく連れて行った。そんな懐かしい遠い昔の話を月ヶ瀬梅林が思い出させてくれた。
実は、ツツジで有名な神野山については私は知らなかった。知らないから行ったことがなかったが、奈良県は指定した県立月ヶ瀬神野山自然公園の存在を知り、神野山についても興味を抱いた次第である。
実際に神野山に行ってみると、確かに山頂は見晴らしが良く、360度のパノラマが楽しめた。視界が良ければ遠くは山上ヶ岳(大峰山)方面も見えるようだ。
神野山の南斜面には茶畑が広がり、「大和茶」の産地であることが分かる。茶畑を眺めるだけでも癒されるような気分になる
ツツジの季節ではなかったが、平日の朝早くにもかかわらず観光客もいて人気が高いのが理解できた。今度はツツジの季節にも是非、行ってみたいと思う。
私にとって幸いなことがある。それは、月ヶ瀬と神野山は、私がセカンドライフを始めた三重県名張市からは比較的近いことである。神戸から行くよりずっと早くに到着できる。したがって、最適な季節の、天候の良い日に訪ねることが比較的容易である。ベストショットの写真が撮れた際には是非、アップデートしていきたいと思う。