はじめに
飛騨木曽川【ひだきそがわ】国定公園は、岐阜県下呂市から美濃加茂市にかけての飛騨川流域と岐阜県瑞浪市付近から愛知県犬山市付近にかけての木曽川中流域を中心とした国定公園である。
飛騨木曽川国定公園の指定区域内には下呂温泉もある。下呂温泉は「日本三名泉」の一つに数えられ、人気が高く、関西からも比較的近い温泉地である。
本稿では飛騨木曽川国定公園の指定区域内の景勝地への旅と共に、下呂温泉と下呂観光の旅を書いてみたい。
<目次>
はじめに
飛水峡
藤倉峡
横谷峡「四つの滝」
中山七里
巌立峡
鬼岩公園
犬山城
桃太郎神社
禅昌寺
温泉寺
下呂温泉
- 泉質・効能
- 温泉街
- 下呂観光
- 下呂温泉合掌村
- 下呂温泉神社
- 加恵瑠神社
- さるぼぼ七福神社
- ビーナスの足湯
あとがき
飛水峡
飛水峡【ひすいきょう】は、飛騨川流域に位置し、岐阜県七宗町から白川町までの全長約12kmにわたる峡谷である。エメラルドグリーンの水面がとても綺麗である。
飛水峡の甌穴群
飛水峡、特に飛騨川に架かる上麻生橋から上流約2kmの峡谷部分の河床の岩盤の上には数多くの甌穴【おうけつ】(ポットホール)があり、「飛水峡甌穴群」として国の天然記念物に指定されているという。その場所を探してみたが、「飛水峡甌穴群の碑」を見つけたのが精一杯で、甌穴自体を探せなかったのは残念である。現地の案内所でも甌穴群についての情報が全くなかった。
帰宅後に、『国道41号線から上麻生橋を渡って、看板表示に従って右折すると「飛水峡ロックガーデン」があり、駐車場から小さな階段を使って下に降りると「飛水峡の甌穴群」をより間近に見ることができる。』との情報を見つけたので、次に訪れた際にはリベンジしたいと思う。
名 称 | 飛水峡の甌穴群 |
所在地 | 岐阜県加茂郡七宗町上麻生 |
駐車場 | なし |
Link | 飛水峡(七宗町)|岐阜県観光公式サイト |
道の駅・ロックガーデンひちそう
国道41号線を走っていると道の駅「ロックガーデンひちそう」があり、その建物の裏手には展望台が設置されている。その展望台からは飛水峡の絶景を見ることができる。
流れが結構速いにもかかわらず、水面がエメラルドグリーンを呈していることに率直に驚いた。
名 称 | 道の駅・ロックガーデンひちそう |
所在地 | 岐阜県加茂郡七宗町大字中麻生1169-3 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 道の駅 ロックガーデンひちそう |
七宗橋
飛水峡に架かる七宗橋【ひちそうばし】からも飛水峡の絶景を観ることができる。
七宗橋へは道の駅「ロックガーデンひちそう」の駐車場に車を止めて、歩いて行くことになる。徒歩10分程の距離である。
名 称 | 七宗橋 |
所在地 | 岐阜県加茂郡七宗町中麻生 |
駐車場 | なし(道の駅「ロックガーデンひちそう」の駐車場) |
藤倉峡
藤倉峡【ふじくらきょう】は、飛騨川と馬瀬川の合流地点(岐阜県下呂市金山町金山)に位置する金山橋の下流から七宗ダムに至るまでの峡谷である。
特に、金山橋の下流約300m付近より、飛騨川がS字状に屈曲する所付近の景色が素晴らしい。
駐車場を見つけることができれば、素晴らしい藤倉峡をゆっくりと堪能することができたかも知れない。
結局、駐車スペースを見つけられなかったので藤倉峡をゆっくりと鑑賞することはできなかった。カメラのシャッターを押す程度の停車しかできなかったのは残念である。
名 称 | 藤倉峡 |
所在地 | 岐阜県下呂市金山町金山 |
駐車場 | なし |
横谷峡「四つの滝」
横谷峡【よこたにきょう】は、下呂市金山町に位置する、馬瀬川の支流の横谷川にある峡谷である。
横谷峡には下流から順に白滝【しらたき】、二見滝【ふたみたき】、紅葉滝【もみじたき】、鶏鳴滝【けいめいたき】と呼ばれる4つの滝があり、横谷峡「四つの滝」【よつのたき】として名勝に指定されている。
四つの滝の落差にはおよそ9mから33mまで違いがあり、それぞれに個性的な滝を見ることができる。
横谷峡「四つの滝」へは、最上流の鶏鳴滝【けいめいたき】の近くにある「鶏鳴滝駐車場」に駐車すると、比較的楽に徒歩で4つの滝を巡ることができる。
他の3つの滝の近くには駐車場はないので基本的に駐車はできない。紅葉滝より上流は車道がかなり狭くなっていて対向車があると通行に苦労すると思う。道路も舗装されていない箇所があるので徒歩での滝巡りを推奨したい。
名 称 | 横谷峡 |
所在地 | 岐阜県下呂市金山町金山 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 横谷峡四つの滝 – 下呂市ホームページ 横谷峡(四つの滝)の駐車場とアクセス方法 |
白滝
白滝【しらたき】は、最下流に位置する、落差17mの滝である。エメラルドグリーンの滝壺をもつ直瀑の美しい滝である。
横谷川には天然記念物のオオサンショウウオが生息しており、白滝の近くには文化庁の許可を受けた飼育池があるという。
二見滝
二見滝【ふたみたき】は、下流から二番目に現れる滝で、落差は13mである。白滝と二見滝の距離は、約200mほどである。
二見滝は二段滝である。「二見滝」の名称も二段滝に由来しているものと推察される。
二見滝ともみの距離は、約200mほどである。
紅葉滝
紅葉滝【もみじたき】は、下流から三番目に現れる滝で、二見滝から紅葉滝へは約800mほど離れている。
紅葉滝の落差は9mで、四つ滝の中では最も小さいが、エメラルドグリーンの滝壺を有する美しい直瀑である。
紅葉滝は、最上流に位置する鶏鳴滝【けいめいたき】まで300mほどしか離れていない位置にある。
鶏鳴滝
鶏鳴滝【けいめいたき】は、最上流に位置する、落差33mの滝である。落差は四つ滝で最も大きい。エメラルドグリーンの滝壺に落下する落差33mの直瀑はさすがに迫力がある。
鶏鳴滝には「黄金姫伝説」が残されている。「鶏鳴滝」の名の由来は、「黄金姫伝説」によるものとされる。現地では、鶏の鳴き声など聞こえないほどに滝の落下音が大きかった。
中山七里
中山七里【なかやましちり】は、急峻な山地を木曽川支流の飛騨川による浸食でできた渓谷で、飛騨川中流に位置する。帯雲橋【たいうんきょう】(下呂市三原)から境橋(下呂市金山町金山)にかけて続く、全長約28kmの渓谷である。
中山七里には屏風岩・羅漢岩・孝子ヶ池・牙岩などと名付けられた奇岩や奇石が多く、四季折々の風景にも富む景勝地となっている。
国道41号とJR高山本線が飛騨川に沿って走っているため、車窓から景色を楽しむことができる。むしろ駐車場がないので、車窓から鑑賞するしかない。
中山七里の名称は、豊臣秀吉の武将の金森長近が飛騨街道の改良に着手して、下呂から金山にかけて続く険しい山中の飛騨川沿いの難所を約七里にわたって開いたことに由来するという。
名 称 | 中山七里 |
所在地 | 下呂市三原〜金山 |
駐車場 | なし |
Link | 中山七里|下呂温泉観光協会 |
巌立峡
巌立峡【がんだてきょう】は、下呂市小坂町落合を流れる濁河川と椹谷【さわらたに】が合流する付近の渓谷をいう。合流地点にある絶壁は、巌立【がんだて】と呼ばれ、岐阜県指定の天然記念物である。
巌立
巌立は、御嶽山から約17km下流に位置する、高さが72m、幅が120mの大岩壁である。
巌立は、約5万4千年前に御嶽山の噴火によって流れ出した溶岩流の先端部分であるという。この先端部分が冷えて固まったときに柱状節理ができ、太さが数十cmの柱が並んでいるように見える。渓谷による浸食によって断面が地表に現れたものであるという。
巌立峡・巌立の周辺は「がんだて公園」として整備され、展望台や売店、駐車場などが完備されている。
公園内にはいくつかの滝があり、特に「三ッ滝」までは距離にして約600mの滝見遊歩道が整備されている。
三ッ滝までの滝見遊歩道は一方通行であり、混雑することなく、快適な散策ができる。
朱色に塗られた橋を渡ると三ッ滝が見えてくるが、実は三ッ滝は三つの滝の総称である。最初に見えてくるのが「下段の滝」(落差約5m)と「中段の滝」(落差約11m)である。
下段の滝の位置からは上段の滝(落差6m)はまだ見えない。
中段の滝まで来ると上段の滝(落差6m)が見えてくる。
三ッ滝の全景、つまり上段の滝から下段の滝までを一枚の写真にすることは容易ではなかった。
三ッ滝の中段の滝近くには円空上人ゆかりの不動明王が祀られている。また「円空の座禅岩」と呼ばれる岩もある。
中段の滝を後にして、遊歩道を進むと上段の滝の滝壺が見えてくる。三ッ滝の滝壺の深さは3~5mと言われており、上段の滝が最も深いという。
上段の滝の滝壺の深さは約5mとされ、三ッ滝の中では最も深いためか、滝壺のエメラルドグリーンの色が一層鮮やかに見えた。
三ッ滝を巡る遊歩道は上段の滝を過ぎると林道に出るようになっている。途中に分岐があって、時間に余裕があれば、溶岩台地を歩くコースを選択することもできる。
遊歩道をさらに進み、「行者橋」を渡ると林道に出る。
そのまま「がんだて公園」に戻っても良いが、さらに林道を2kmほど奥に歩いて行くと、「あかがねとよ」と「からたに滝」を見ることができる。
あかがねとよは、椹谷【さわらたに】の支流・唐谷【からたに】にある斜め滝(落差14m)に付けられた名称である。「あかがね」とは「銅のような」という意味であり、「とよ」は「屋根の雨樋」を意味することから「あかがねとよ」とは「銅色の雨樋」という意味である。雨が降らず水量が減少するとこの滝は枯れ、それが長く続くと赤く苔むしていたことから名付けられたという。私が訪れたときには水量は豊富で、エメラルドグリーンの滝壺をもつ綺麗な滝であった。
からたに滝は、椹谷【さわらたに】本流にある滝(落差15m)であり、水量も多くて轟音が周辺に響き渡る豪快な直瀑である。滝の周辺が柱状節理の溶岩で出来ているのも特徴的である。この柱状節理も巌立と同様に御嶽山から流れ出した溶岩が冷えて固まったものであるという。
がんだて公園の周辺は紅葉の名所としても知られている。
名 称 | 巌立峡【がんだてきょう】・巌立 |
所在地 | 岐阜県下呂市小坂町落合 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 巌立峡 – 飛騨小坂観光協会 |
鬼岩公園
鬼岩公園【おにいわこうえん】は、木曽川の支流である可児川の源流付近に位置する公園である。花崗岩が数百万年にわたって浸食されてできた巨岩や奇石があり「鬼岩」と呼ばれている。鬼岩は国の名勝および天然記念物に指定されている。
鬼岩の名称は、約800年前に、この岩山に「関の太郎」という鬼人が「鬼の岩屋」に住んでいたという伝説に由来している。
鬼岩公園にはいくつかの散策コースが整備されており、体力と好みで選択できるようになっている。ガイド付きツアーとして「岩穴くぐりコース」(要予約)もあるようだ。
私たちは「渓谷・岩巡りコース」を選び、松野湖へは行かずに、その代わりに「蓮華岩・烏帽子岩巡りコース」のハイライトである蓮華岩【れんげいわ】と鬼の一刀岩【おにのいっとういわ】を見て引き返して来た。
蓮華岩の近くには「鬼の一刀岩」と呼ばれる奇岩もある。まるで日本刀で一刀断ちにされたかのような花崗岩の巨岩である。逆光のため正面からの写真が撮れなかったのは残念である。
一世を風靡したアニメ「鬼滅の刃」に登場する一刀岩を彷彿させるような岩である。アニメ原作者もこの岩からインスパイアされたのではなかろうかとつい推察してしまう。
他のコースを歩いたわけではないので断定はできないが、私たちが歩いたコースは鬼岩公園の魅力を十分に堪能できるものであった。心残りがあると言えば、「臼岩」【うすいわ】をすぐ近くで見たかったことぐらいであろうか。
もみじ橋の近くでは巨岩の上に杉【スギ】の大木が生育している姿を目撃した。よくこんな姿で倒れずにここまで生育できるものだと感心したものである。
鬼岩公園には、ユニークな岩が数多くする。例えば、御智那岩【おちないわ】と名付けられた岩もその一つである。地表から浮き上がっているので、今にも転げ落ちそうであるが、「落ちそうで落ちない」ことから「御智那岩」と呼ばれるようになったという。様々な試験合格を祈願する人々の信仰を集めているという。
名 称 | 鬼岩公園 |
所在地 | 岐阜県瑞浪市日吉町可児郡御嵩町 |
駐車場 | あり(無料)(鬼岩ドライブイン) |
Link | 鬼岩公園|瑞浪市公式ホームページ |
犬山城跡
犬山城【いぬやまじょう】は、別名「白帝城」とも呼ばれる平山城である。天文6年(1537年)に織田信康(織田信長の叔父)が木ノ下城を木曽川南岸の「犬山」の地に移して築城したのがはじまりとされる。
現代まで唯一残った天守(国宝指定)は、「現存天守12城」の中では日本最古のものとされる。城跡は「犬山城跡」として国の史跡に指定されている。
天守構造は、「望楼型・三重四階地下二階・複合式天守」となっており、天守の高さは地上から約24mである。
天守内部の急な階段を上って行くと最上階に到着する。最上階には歴代の城主の肖像が掲示されている。平成16年(2004年)まで天守が個人所有(成瀬氏)であったとは驚きである。
最上階からの景色は「殿様」になった気分で味わえる。但し、観光客が多いので長居はできない。
天候が良ければもっと遠方を望むことができたであろう。あいにくの雨模様であまり遠くを見通すことはできなかった。
犬山城は戦国時代に築城された城であり、日本史に係わる戦さの舞台にも登場する。
天正12年(1584年)の「小牧・長久手の戦い」の際には、豊臣秀吉が大軍を率いてこの城に入った後、楽田城へ移り、小牧山に陣取る徳川家康と対峙したと伝わる。
また、「関ヶ原の戦い」では西軍の重要拠点となったとされる。
名 称 | 犬山城 |
所在地 | 愛知県犬山市犬山北古券65-2 |
駐車場 | あり(有料) |
Link | 国宝犬山城 (inuyama-castle.jp) |
桃太郎神社
犬山城跡からそれほど遠くない場所に桃太郎神社【ももたろうじんじゃ】が鎮座している。
桃太郎神社の専用駐車場から道路を横断し、一の鳥居、二の鳥居を経て、石段を上ると、桃型鳥居と拝殿がある。
一の鳥居と二の鳥居は、一般的な鳥居であるが、拝殿前の鳥居は全国的にも珍しい桃型の鳥居である。
桃太郎と言えば岡山県だと思っていたが、犬山市には桃太郎伝説が存在する。
その桃太郎伝説とは、『神代にイザナギ(伊弉諾尊)がイザナミ(伊弉冉尊)に会いに黄泉の国に行ったが、イザナミの変わり果てた姿に恐れをなして逃げ帰った。
その逃げる道中で、悪魔に追われて難儀していたときに比良坂という場所で桃の威力によって危機を脱することができたという。イザナギは桃に感謝し、「大神実命」という神名を授けて、後世の人々も苦難から救ってやるよう頼んだという。
後に桃は桃太郎に生まれ変わり、村人を悩ます鬼が島の鬼を退治して村を平和にしたという。桃太郎は、鬼退治をした後は、育ての親であるお爺さんとお婆さんに孝行を尽くし、老人たちが天寿を全うすると、或る日、近くの山へ登って姿を消してしまったという。
すると不思議なことにその山がだんだんと桃のような形に見えてくるので、村人はその山を「桃山」と呼び、麓に小さな社を建て、その御神徳を称えて桃太郎を祀ったという。それが桃太郎神社のはじまりとされる。』というものである。
現在の桃太郎神社は、昭和5年(1930年)に桃山から現在地へ遷座したものであるという。地元では、子どもの健康を祈る神社としての認識が高く、大切にされているという。
神社の境内には「桃太郎の鬼退治」を題材にした像が数多く建てられており、まるでおとぎ話を3Dで見ているようである。桃太郎のお婆さんが洗濯に使用したとされる洗濯岩も境内にある。
宝物館(入館料200円)には桃太郎ゆかりのユニークな展示物が所狭しと並んでいる。桃太郎が鬼が島から宝物を積んで帰還した際に使ったとされる荷車も展示されていたが、その宝物の一つである「打ち出小槌」は何者かによって盗難にあい、残念ながら見ることはできない。世の中には罰当たりな輩がいるものである。
他には桃太郎の人形やフィギュア、鬼ゆかりの「鬼の金棒」や鬼の一物にそっくりな「鬼の珍宝」と呼ばれる奇石なども展示されている。館内の撮影ができないのは残念である。
名 称 | 桃太郎神社 |
所在地 | 愛知県犬山市栗栖字古屋敷 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 桃太郎神社 « 犬山観光情報 |
禅昌寺
禅昌寺【ぜんしょうじ】は、臨済宗妙心寺派の別格寺班(禅寺)で、山号は龍澤山【りょうたくざん】と称する。御本尊は釈迦如来、観世音菩薩、薬師如来の三尊である。
禅昌寺の前身である「大雄山圓通寺」の創建は、1528年または1532年と伝えられており、いずれも今から約500年前頃となる古刹である。禅昌寺への寺号変更は1648年~1652年頃と言われている。
平安時代の創建であるため、建築物は中国宋朝の様式を伝えており、「天下の名刹」として威容を誇っている。
大広間には雪舟筆の大達磨像「八方にらみ達磨」の掛け軸が飾られている。
禅昌寺の境内には金森宗和が造園したと伝わる名勝指定の池泉鑑賞式庭園「萬歳洞」【ばんざいどう】もある。
金森宗和は、飛騨高山の出身の人で、桃山時代から江戸時代初期の武将・茶人で、大原三千院の庭園「聚碧園」や金閣寺の茶室「夕佳亭」には金森宗和の趣向が反映されているらしく、京都の文化に大きな影響を与えた人物であると伝えられている。
境内の端(観音堂の裏手)には樹齢1300年超の大スギ(国指定の天然記念物)が生育している。
この禅昌寺大スギは、樹高が約45m、幹周りが約9mもある巨樹である。樹齢が1300余りと言われてもピンとこないが、悠久の年月をこの地で過ごしてきたことに畏敬の念を抱いてしまう。
以上のようにごく一部を紹介しただけであるが、禅昌寺は見所満載の寺院であると言えよう。
名 称 | 禅昌寺 |
所在地 | 岐阜県下呂市萩原町中呂1089 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 禅昌寺|下呂温泉観光協会 |
温泉寺
温泉寺【おんせんじ】は、臨済宗妙心寺派の寺院で、山号は醫王霊山【いおうれいざん】と称する。御本尊は薬師如来である。
薬師如来が一羽の白鷺【しらさぎ】に身を変えて、下呂温泉の源泉の在り処【ありか】を知らせたという「白鷺伝説」に由来する寺である。本堂前には湯薬師如来尊像が安置され、その台座からは下呂温泉の霊湯が湧き出ており、薬師如来の霊験を今日に伝えている。
温泉寺の境内には観音堂があり、ここに「さるやの石」が置かれている。
「さるやの石」については下記のような伝説が残されている。
伝説ではネズミによる被害を避けるためであったらしいが、現在では「さるやの石」(白色の小石)に様々な願い事を書いて祀ると良いらしい。参拝者の皆さまに御利益がありますように。
温泉寺から駐車場までの参道沿いには野仏さまが何体も置かれている。情緒が感じられ、この参道を私は気に入っている。
温泉寺は高台に建立されているので、境内から下呂の町並みが眼下に広がる。
名 称 | 温泉寺 |
所在地 | 岐阜県下呂市湯之島680 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 下呂温泉 温泉寺 (onsenji.jp) |
下呂温泉
下呂温泉【げろおんせん】は、開湯以来1,000年以上の歴史がある温泉郷であり、有馬温泉(兵庫県)や草津温泉(群馬県)と共に「日本三名泉」の一つに数えられている。
下呂温泉は、温泉を利用した病院や医学研究所が設置されているほどの良質な温泉地である。特に「美肌の湯」として女性に人気の高い温泉地である。温泉街のあちこちには「足湯」が無料で設けられており、気軽に温泉を楽しめることも女性には魅力的に映るのかも知れない。それらが相まって下呂温泉の人気の秘密になっているのかも知れない。
下呂温泉には一羽の白鷺【しらさぎ】が温泉の湧出所を知らせたいう伝説が残されており、温泉街には白鷺をモチーフにしたデザインが数多く見受けられる。
名 称 | 下呂温泉 |
所在地 | 岐阜県下呂市下呂温泉 |
Link | 日本三名泉を楽しもう|下呂温泉観光協会 |
泉質・効用
下呂温泉の泉質は、アルカリ性単純温泉である。無色透明・無臭のお湯であり、pH値は9.2と比較的高いために角質や脂質などの汚れを取り除く効果が高いとされている。湯上がり後の肌はすべすべになるという美肌効果が高いために「美人の湯」として知られる。
源泉の温度は84℃と結構高く、湧出量も豊富であるため「源泉かけ流し」の宿がほとんどである。効能として、ストレスによる諸症状をはじめ、神経痛・筋肉痛・肩こり・関節痛などに良いとされる。
温泉街
温泉街には、温泉旅館をはじめ土産物店や飲食店などが飛騨川の両岸から山の中腹まで広く建ち並んでいる。温泉街にある旅館の密集率は比較的低いため、旅館の立地によっては様々な特徴のある景色が堪能できるはずである。それも下呂温泉の魅力の一つであるかも知れない。
温泉街の中心は、歓楽街的な賑わいがあるが、そこから離れるにつれて静かな山里の風情を醸し出している。四季折々で異なる表情を見せてくれる静かな雰囲気の大自然を間近で感じながら、日常の喧騒から離れ、宿の露天風呂でのんびりと贅沢な時間を過ごすのも悪くない。
様々な趣向を凝らした温泉宿を自分の好みで選択すればよい。飛騨牛など地元の食材を使った食事に舌鼓を打ちながら、至極の時間をじっくりと堪能しながら英気を養いたい。
下呂観光
定番と呼ばれる観光スポットは温泉街に集約され、温泉街から少し離れると自然を満喫できる穴場的なスポットも多く存在する。
下呂温泉合掌村
下呂温泉合掌村【げろおんせんがっしょうむら】は、下呂市の直営観光施設で、下呂温泉で最も大規模な観光施設となっている。
施設内は、「合掌の里」と「歳時記の森」の2つのゾーンで構成されており、「合掌の里」には「旧大戸家住宅」(国指定重要文化財)を中心に白川郷や五箇山集落から移築保存された合掌造り家屋10棟が点在する集落が再現されている。
旧大戸家住宅は、合掌造り家屋の中では日本最大級規模の4階建て家屋である。この合掌造り家屋は、白川村御母衣にあったものを、解体して移築したもので、内部の保存状態も良い。
屋内には飛騨地方の民具など当時の生活用具が多数展示されており、往時の暮らしを知ることができる博物館となっている。
山手側には下呂花見山「歳時記の森」があり、四季の山野草などが植栽されている。そこでは飛騨の大自然が感じられるほか、陶器の絵付けや手びねりの陶芸、和紙の絵漉きなどが体験できる。
名 称 | 下呂温泉合掌村 |
所在地 | 岐阜県下呂市森2369 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 下呂温泉 合掌村 公式ホームページ |
下呂温泉神社
下呂温泉神社【げろおんせんじんじゃ】は、湯殿山神社(山形県出羽三山の一社)から分霊して建立された神社であるという。
平成2年(1990年)に、下呂温泉の湯がいつまでも豊かに湧き出るようにとの願いを込めて建立されて以来、下呂温泉街のシンボル的存在となっている。
下呂温泉神社は、下呂温泉旅館会館1階にあるので、初めて訪れた際には鳥居を見つけないと気付かないままのこともある。
名 称 | 下呂温泉神社 |
所在地 | 岐阜県下呂市湯之島801-2 |
駐車場 | なし |
Link | 下呂温泉神社|下呂温泉観光協会 |
加恵瑠神社
加恵瑠神社【かえるじんじゃ】は、下呂温泉街の新しい観光名所として平成22年(2010年)7月に創設された神社である。
下呂【ゲロ】と「無事帰る【かえる】」の語呂合わせにちなんだネーミングの神社で、縁起や御利益を楽しむ観光スポットとなっている。
お賽銭を奉納すると加恵瑠大明神のお告げが聞こえる。そのお告げは参拝者によって異なっているのは愉快である。実際には何種類のお告げがあるのであろうか。興味深い。
ご神体はカエルの精(加恵瑠大明神)で、可愛らしいお告げと共に人気が高いのも頷ける。
名 称 | 加恵瑠神社 |
所在地 | 岐阜県下呂市湯之島 |
駐車場 | なし |
さるぼぼ七福神社
さるぼぼ七福神社【さるぼぼしちふくじんじゃ】は、さるぼぼの七福神を祀った神社である。
さるぼぼは、猿の赤ちゃんに似ていることから安産や良縁を願うお守りになっている。また「災いが去る(猿)」という語呂合わせから縁起が良いとされている。さるぼぼは、飛騨地方で昔から作られているようだが、なかでも高山市は特に有名であるような気がする。
そのさるぼぼが下呂温泉に七福神として降臨したわけである。さるぼぼが七福神に扮したオブジェが5か所に分かれて置かれている。絵馬の数が多いことから、単に写真撮影を楽しむ観光スポットだけではなく、神社としてしっかり機能しているようだ。
しかし、オジサンには「さるぼぼ七福神」との記念撮影を楽しんでいる観光客には若い女性が多いという印象を受ける。単にそれが私の偏見であるかも知れないが。
さるぼぼの七福神にお願いして、「運気」と「幸運」の御利益を得たいものである。毘沙門天と布袋尊の写真は次回にとっておこう。
さるぼぼ七福神社の前には「さるぼぼ黄金足湯」もある。黄金の宝船に乗った「さるぼぼ七福神」を眺めながら、足湯が楽しめる施設となっている。これも若い女性観光客をターゲットにした試みかも知れない。
名 称 | さるぼぼ七福神社 |
所在地 | 岐阜県下呂市湯ノ島758-15 |
駐車場 | なし |
ビーナスの足湯
ビーナスの足湯は、公衆浴場「白鷺乃湯」の前にあるユニークな造りの足湯施設である。
何がユニークかというと、円形の湯船の中央にビーナス像(女神像)が配された、洋風足湯となっているからである。ビーナス像を囲むようにして足湯を楽しめるような造りになっている。
女性グループや若いファミリーに人気が高いらしい。オジサンはちょっと照れるし、そもそも人前での足湯は敷居が高い。
名 称 | ビーナスの足湯 |
所在地 | 岐阜県下呂市湯ノ島856-1 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 白鷺乃湯|下呂温泉観光協会 |
あとがき
飛騨木曽川国定公園の指定区域は、予想していたより広域にわたっていた。その分、自然公園内の景勝地はそれぞれに特徴があって大いに楽しむことができた。特に飛水峡、横谷峡、巌立峡や鬼岩公園についてはゆっくりと大自然を満喫しながら散策できたことから印象深く記憶に残っている。
また、犬山城跡の天守は「現存天守12城」の一つなので、以前から行ってみたかった城である。今回の旅で念願が叶って嬉しいと気持ちと、予想とは違った落胆の気持ちと複雑な思いである。
桃太郎神社は、当初の旅の計画には入っていなかったが、期待以上に印象深い神社である。桃太郎伝説の後日談を知ったのもこの神社である。
禅昌寺には初めて参拝したが、古刹・名刹の名に恥じない素晴らしい寺院であることを実感した。温泉寺は下呂温泉に旅した際には是非、参拝したい寺院であることに間違いはない。
下呂温泉へは久し振りに行くことができた。下呂温泉の宿の露天風呂に浸かり、夜空の星を眺めているとつい長風呂になってしまうが、湯あたりをすることなく、癒されていることを実感する。あまり期間をおかずに再訪したいものである。