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雲海の里・奈良県野迫川村の雲海景勝地における絶景

はじめに

雲海とは、山や高地の上に広がる雲の層のことを指す。その光景は、雲がまるで海のように広がっている景色が特徴的である。もっとも私たちが雲海を観察するためには、雲の天井より高いところまで登って、雲海を見下せる位置に立つ必要がある。観察者である私たちが雲の天井よりも低い位置にいては、雲海を捉えることができない。当たり前のことであるが、これは重要なポイントである。

3,000m級の山岳に登山すれば、夏でも雲海を目にすることができるし、飛行機に乗ればより高い確率で雲海を観ることができる。それは私たちが雲の天井よりも高い位置にいるからである。

一方、飛行機にも乗らず、高い山にも登山せずに雲海を観ようとするならば、車で簡単にアクセスできる雲海が生じやすい場所を探すしか手がない。

雲海ができるという自然現象は、特定の気象条件下で発生しやすく、特に冷たい空気が低地に溜まり、その上に温かい空気が流れ込むときに形成されると言われている。だから雲海が観察できる場所は、標高が高く、より高い山々に囲まれた場所のような地形の変化が大きい地域に多い。

関西では、例えば、大台ケ原山(奈良県)、大峰山(奈良県と和歌山県の境)や高野山(和歌山県)などは、雲海の観察スポットとしてよく知られている地域である。

そんな中で、奈良県野迫川村には「雲海景勝地」と呼ばれる雲海が発生しやすくて、美しく見える場所が存在する。勿論、車でアクセスできるので楽である。雲海の景色は、自然が織りなす美しい瞬間を楽しむことができるため、人気の観光スポットにもなっている。

秋になり紅葉の季節が始まっている。日本では秋から冬にかけてが特に雲海の見頃時期とされるので、これからが雲海の見頃である。早速、雲海を観察してきたので私が撮った写真と共に紹介したいと思う。

目次
はじめに
奈良県野迫川村
立里荒神社
雲海景勝地
あとがき

奈良県野迫川村

野迫川村【のせがわむら】は、奈良県南部に位置し、標高1,000 m級の急峻な山々に囲まれた山深い村である。気候は、高山気候に近く、夏は冷涼で避暑地に適しているが、冬は大変に寒冷で降雪や積雪もあるという。

野迫川村は、弘法大師ゆかりの高野山から、高野龍神スカイライン(国道371号)を南下したところに位置するため、意外に大阪方面からのアクセスは良い。奈良県の村でありながら奈良県内の市町村よりも隣接する和歌山県の高野町や橋本市、大阪府の河内長野市などとの繋がりの方が強いと言われている。

村内には熊野川水系の中原川や川原樋川、北股川、弓手原川など多くの河川が流れている。水蒸気の発生源とその水蒸気が溜まりやすい地形が相まって、村内には一年を通じて雲海出現率の高いスポットが点在する。雲海が発生しやすいため、野迫川村は「天空の国」や「雲海の里」と言ったキャッチコピーを有する。そんな野迫川村の有名な雲海景勝地へ雲海を見に行って来た。


立里荒神社

一年を通じて雲海出現率の高いスポットが点在する野迫川村の中で第一のお勧めは、立里荒神社【たてりこうじんしゃ】である。

大駐車場から鳥居をくぐり、祈祷殿や授与所の横を通って参道を山頂に向かって登って行くと山頂部に本殿が見えてくる。立里荒神社から望む雲海は神々しさがあり、私たちの心を揺さぶってやまない。

立里荒神社は、奈良県野迫川村池津川に位置する荒神岳(標高1260m)の山頂­に鎮座する神社である。正式名称は「荒神社」であるが、この地は元々は立里村であったことから、一般的には「立里荒神社」又は「立里荒神」の通称で呼ばれることが多い。また、日本三荒神の一社としても知られている。

創建については、正確な年代は不明であるが、弘法大師空海が高野山を開創する際に祀ったと伝わっているため、西暦816年頃の創建と考えられている。

『三宝大荒神略縁起』によれば、立里荒神社は弘法大師空海が高野山を開山する際に、伽藍繁昌密教守護のため板に三宝荒神を描いて古荒神の地に祀ると共に、壇上の鬼門にも荒神を勧請して高野山の大伽藍を建立したとされている。それゆえ、三宝荒神を祀るようになったのが始まりであり、その後は、高野山と結ぶ神仏習合の宮として、明治初年まで宝積院と称し、高野山地蔵院末と鐘楼堂を備えていたという。

明治の廃仏毀釈の際に宝積院を廃寺とし、仏像などを池津川へ移して単に荒神社と称するようになり現在に至っている。しかしながら、今日でも高野山の奥社とされていることから、高野山を参詣した人々を中心に全国各地より信仰心の厚い人々が訪れる。

名 称荒神社(別名:立里荒神社又は立里荒神
所在地奈良県吉野郡野迫川村大字池津川347番地
駐車場あり(無料)
Link荒神社(立里荒神)|野迫川村|

高野辻休憩所

奈良県道高野天川線沿いに位置する高野辻休憩所【こうやつじきゅうそくじょ】も「雲海景勝地」と呼ばれるだけあって、雲海を眺めるために多くの人が訪れる観光スポットとなっている。私たちが訪れた日も多くの観光客が集まっていた。

ドイツをはじめ海外からの観光客も雲海を楽しみにして訪れていたことには率直に驚いた。おそらく高野山を観光したのを機に足を延ばしたのであろうが、そのフットワークの軽さと探求心への情熱には頭が下がる。

高野辻休憩所は、道路マップでも探しても意外に分かりづらい場所に位置しているので、注意深くドライブしていないと見逃してしまうことすらある。


あとがき

雲海を見るのは意外に難しい。否、結構難しい。訪れた日の気象条件と日の出時刻が重要となるからである。私たちが初めて雲海を見るために参拝した立里荒神社から雲海を見ることができたのは幸運に恵まれていたからだと言えよう。

立里荒神社から雲海を眺めた後に、すぐに高野辻休憩所へ車で向かったが、到着したときにはすでに太陽が昇っていた。そのためか雲海が霧散していた。欲張りはいけないということだろう。雲海を見るには目的地に早めに到着し、夜明けを待つくらいでないとダメだということを再認識させられた。


【参考資料】
野迫川村 奈良 | 雲海出現NAVI – 週末探検家 | 三菱自動車

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