はじめに
金剛生駒紀泉【こんごういこまきせん】国定公園は、奈良県と大阪府の府県境の生駒山地・金剛山地一帯と、大阪府・和歌山県の府県境の和泉山脈一帯からなる国定公園である。市街地に近く、自然公園が多くあることからハイキングなどで訪れる人も多い。
関西圏からのアクセスが容易であることからリクレーションの場としても最適であるといえよう。
レクリエーション(recreation)は、仕事や勉学などの肉体的・精神的疲労を癒し、元気を回復するために休養をとったり娯楽を行ったりすることである。リタイアしたシニアにはレクリエーションは不要と思わないでほしい。シニアにも癒しは必要である。
「癒し」や「休養」というワードで違和感を感じる方には、転地効果による「刺激」が必要だといえば納得してもらえるかも知れない。いずれにしてもシニアには外出は必要である。私のように基本的に出不精で、放っておくと「引きこもり」になってしまうような人間には特に必要なことである。アクセスが容易であることは出不精な人間の外出へのハードルを下げてくれるので有難いことである。
生駒山地
生駒山地【いこまさんち】の北端は八幡市の男山丘陵であり、交野山、飯盛山、生駒山、高安山、信貴山を経て大和川に至る南北約35km余り、東西約5kmほどの山地である。
生駒山地は大阪平野と奈良盆地とを隔てる標高300〜400m程度の丘陵性のなだらかな山地であるが、西側(大阪府側)では東側(奈良県側)と比べて傾斜がきつくなっている。
交野山
交野山【こうのさん】(標高341m)は、生駒山地の北端に位置し、頂上に観音岩と呼ばれる巨岩がそびえる珍しい山である。
交野市の象徴的な山であり、巨岩の上からは大阪・京都方面を一望できる。
名 称 | 交野山【こうのさん】 |
Link | 【交野遺産】交野山 | 交野市 |
飯盛山
飯盛山【いいもりやま】(標高314m)は、大東市と四条畷市にまたがる山で、山頂は大東市に属する。
山頂一帯には三好長慶の居城であった飯盛山城址があり、現在でもその曲輪跡が多く残る。楠木正行と高師直が戦った「四條畷の戦い」の古戦場でもある。
名 称 | 飯盛山【いいもりやま】 |
Link | 四條畷の名所をめぐる 飯盛山ハイキング – 四條畷市HP |
生駒山
生駒山【いこまやま】(標高642m)は、生駒市と東大阪市にまたがる山で、生駒山地の主峰である。山頂は奈良県側にあり、山上には生駒山上遊園地が開設されている。
信貴生駒スカイラインが通っていので、生駒山上遊園地へは車で乗り入れることができし、生駒ケーブルを使って登ることもできる。生駒山上駅からすぐの立地である。
ハイキングコースを南へ向かうと、十三峠、鳴川峠、暗峠を経て、高安山【たかやすやま】へ行くことができる。
名 称 | 生駒山・生駒山上遊園地 |
所在地 | 奈良県生駒市菜畑2312-1 |
駐車場 | あり(有料) |
Link | 公式HP「生駒山上遊園地」 絶景ポイント|生駒山上遊園地 公式HP 信貴生駒スカイライン|近鉄HP |
高安山
高安山【たかやすやま】(標高488m)は、大阪府八尾市服部川と奈良県平群町久安寺との境に位置する山で、7世紀後半にヤマト王権により大和国防衛の拠点として高安城が築かれたことで知られている。
高安山頂の東側(奈良県側)には信貴生駒スカイラインが通っているが、高安山頂付近へは車で乗り入れることはできない。
ハイキングコースを東へ向かうと、信貴山【しぎさん】へ行くことができる。
名 称 | 高安山 |
Link | 高安山ハイキング | 八尾市 |
信貴山
信貴山【しぎさん】は、奈良県平群町と八尾市に位置する山で、雄岳/北峰(標高437m)および雌岳/南峰(標高400m)の二峰からなる。かつて山頂には戦国武将の松永久秀の居城であった信貴山城があった。
南側山腹には朝護孫子寺【ちょうごそんしじ】が建つ。朝護孫子寺は、信貴山真言宗の総本山の寺院で、山号は信貴山と称する。御本尊は毘沙門天【びしゃもんてん】である。
信貴生駒スカイラインが開通してアクセスも容易になっている。
名 称 | 信貴山朝護孫子寺【しぎさんちょうごそんしじ】 |
所在地 | 奈良県生駒郡平群町信貴山 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 信貴山真言宗 総本山 朝護孫子寺 公式サイト |
金剛山地
金剛山地【こんごうさんち】は、大阪平野と奈良盆地を隔てる丘陵性の山地で、南北約20km、東西約5kmの山域に標高約400m~1100mの山々が連なる。最高峰は金剛山(標高1,125m)である。
北端は大和川によって生駒山地と区切られ、南端では吉野川(紀の川)に当たる。
千早峠付近で尾根筋を西に変え、紀見峠を境に大阪府と和歌山県の府県境をなす和泉山脈へと続く。
東側(奈良県側)の麓には中央構造線断層帯(金剛山地東縁)が走っているため急斜面となって奈良盆地へと続いている。一方、西側(大阪府側)は緩やかな丘陵地帯を経て大阪平野へと続いている。
二上山
二上山【にじょうさん】は、奈良県(葛城市)と大阪府(太子町)にまたがる山で、雄岳/北峰(標高517m)と雌岳/南峰(標高474m)の二峰からなる双耳峰である。
雄岳山頂には二上山城の本丸跡があり、葛木二上神社がある。
大和葛城山
大和葛城山【やまとかつらぎさん】(標高959m)は、奈良県(御所市)と大阪府(千早赤阪村)との境に位置する山である。
山頂付近は葛城高原と呼ばれ、ツツジの開花時期(5月)には多くの観光客が訪れる。また、ススキの群生があるので、秋にはススキの穂が見頃(10月中旬~下旬)を迎える。
登山口から山頂付近まで葛城山ロープウェイが運行されている。
名 称 | 大和葛城山 |
Link | 葛城山 | 御所市 |
葛城高原
葛城高原【かつらぎこうげん】は、奈良県と大阪府の県境に位置する大和葛城山(標高959m)の山頂付近に広がる高原である。
葛城高原・山頂からは大和盆地や大阪平野を一望できる。
葛城高原は、ツツジの大群落(見頃は5月)で知られているが、ススキの大群生もあるので10月中旬~下旬頃に見頃を迎えるススキの穂の美しさを楽しめる。
ススキの穂の美しさは天候にかなり影響されるが、陽光を浴びて銀色に輝くススキの穂は本当に美しい。筆舌に尽くしがたい。
ススキの穂は日中と夕暮れ時では全く違った表情を見せる。
葛城山ロープウェイの運行は午後5時が最終発であるので日没時の夕陽に輝くを黄金色のススキの穂を観ることができないのは残念である。
名 称 | 葛城高原 |
所在地 | 奈良県御所市櫛羅 |
Link | 葛城高原|[公式サイト] なら旅ネット 葛城山ロープウェイ | 近畿日本鉄道 |
金剛山
金剛山【こんごうさん】(標高1,125m)は、御所市と大阪府千早赤阪村との境にある山で、金剛山地の最高峰である。登山道が整備されており、山頂付近には宿や売店などもある。
金剛山は修験道の開祖である役小角(役行者)が修行した山として知られている。山頂付近には役行者が開いたとされる転法輪寺(真言宗醍醐派、葛城修験道大本山)がある。御本尊は法起菩薩である。
また、近くには葛木神社(御祭神:一言主ノ神)がある。毎年7月7日の役行者の命日には葛木神社と転法輪寺の珍しい神仏習合の「れんげ祭り」が行われているという。
名 称 | 金剛山 |
Link | 金剛山|千早赤阪村観光協会 |
和泉山脈
和泉山脈【いずみさんみゃく】は、大阪盆地の南西部に位置し、東西約50kmほどに標高400m~900m程度の山が連なる山脈(南北約10km余り)で、大阪府と和歌山県とを隔てる。
岩湧山
岩湧山【いわわきさん】(標高897m)は、河内長野市にある山である。山頂付近の約8haは茅場になっており、秋にはススキの穂が一面に広がり、美しいと言われている。
岩湧寺の登山口には、岩湧の森「四季彩館」がある。
名 称 | 岩湧山 |
Link | 岩湧山山頂 – 河内長野市HP |
南葛城山
南葛城山【みなみかつらぎさん】(標高922m)は、大阪府(河内長野市)と和歌山県(橋本市)とにまたがる山であり、和泉山脈の最高峰である。
山頂は杉林に囲まれ展望は全く望めない。山頂近くには、かつて葛城修験道の行場であったことを示す祠が残されている。
主な登山道としては次の4ルートが知られている。
①滝畑ダム→岩湧山登山口→千石谷林道→林間歩道分岐→ノゾキ平→南葛城山
②紀見峠→ダイヤモンドトレールを西へ→南葛城山分岐→南葛城山
③岩湧寺→岩湧山・東峰→南葛城山分岐→南葛城山
④蔵王峠→南葛城山
名 称 | 南葛城山 |
Link | 近畿自然歩道:大阪府/和歌山県 『南葛城山をたどるみち』を歩く |
三国山
三国山【みくにやま】(標高886m)は、和泉市、河内長野市と和歌山県かつらぎ町にまたがる山である。
山名の由来は、かつての和泉・河内・紀伊の3国の国境上にあることにちなんで名づけられたという。
名 称 | 三国山 |
Link | NATS 自然大好きクラブ|近畿自然歩道|大阪府 |
燈明岳
燈明岳【とうみょうだけ】は、河内長野市と和歌山県かつらぎ町にまたがる山で、「東ノ燈明ヶ岳」とも呼ばれる。
燈明岳は、「西ノ燈明ヶ岳」とも呼ばれる燈明ヶ岳(泉佐野市に位置する標高558mの山)とは異なる山である。
名 称 | 燈明岳 |
Link | 東ノ燈明ヶ岳~三国岳 |
槇尾山
槇尾山【まきおさん】(標高600m)は、和泉市に位置する霊峰で、標高500mの中腹には古刹、施福寺がある。境内からは南東に岩湧山、東に金剛山が眺望できる。
施福寺は、かつては修験道の寺院であったと考えられ、修験道の開祖・行基や弘法大師・空海もここで修業をしたと伝わる。
現在は、天台宗の寺院で御本尊は弥勒菩薩である。和泉国を代表する名刹として全国的に有名であり、西国三十三所の第四番札所にもなっている。札所の御本尊は千手観音である。
このあたりは、春は桜、秋は紅葉が楽しめるという。
名 称 | 槇尾山 |
所在地 | 大阪府和泉市槙尾山町136 |
Link | 槙尾山施福寺 – 河内長野市HP |
和泉葛城山
和泉葛城山【いずみかつらぎさん】(標高858m)は、大阪府(岸和田市)と和歌山県(紀の川市)の境に位置し、古くから信仰とのかかわりの深い山である。
山頂には、葛城一言主を祀っている高龗神社【たかおがみ神社】と、八大竜王社が鎮座している。高龗神社の石造の宝殿と鳥居は、岸和田藩主の岡部氏による寄進であると言われている。
名 称 | 和泉葛城山 |
Link | 高龗大祭 – 高龗神社(高おかみ神社)公式ホームページ 八大竜王社 – 岸和田市公式ウェブサイト |
あとがき
金剛生駒紀泉国定公園はレクリエーションに適していると思う。生駒山地や金剛山地へはロープウェイやケーブルカーをはじめ、信貴生駒スカイラインなどの山岳ロードが整備されているので比較的容易に頂上にアクセスできる。しかし、金剛山の渓谷にある妙見滝、高天滝や天ヶ滝などの滝を見るためには登山をしなければならない。
さらに和泉山脈の山々の山頂へは登山をせずにアクセスすることはできない。北アルプスや南アルプスの山岳に行くほどの困難さはないにせよ自分の足で歩いて登らなければならない。登山できるような脚力と体力をつけなければ、決して楽しい登山にはならないばかりか、危険ですらある。
筋肉がすっかり落ちて細くなった足と、その筋肉に代わって脂肪の塊となって醜い腹周りとなった自分の姿が鏡に映ると愕然とする。大好きな糖質たっぷりの食事と運動不足の相乗効果でこのような醜い体になってしまったのは自業自得であるのは分かっている。確信犯であるから、愕然とするのは一瞬だけで、良く言えば楽天的に、悪く言えば開き直りということで何の対策も採らずに、仕事の忙しさを言い訳にして長年、やり過ごして来た。
しかし、シニアになり、リタイアした今は仕事を言い訳にすることはできない。意志の弱さが露呈してしまっただけである。自分に対しての言い訳ができない以上、何とかしなくてはならない思うようになった。若い時のような登山はできなくてもシニアなりの登山が楽しめるような脚力と体力を回復させたいと思う。
そのためには低糖質と高タンパク質の食事に切り替え、適度の運動を取り入れて、負のスパイラルの現状を打破するしかない。こんなことを思うようになったとは自分でも可笑しい。しかし理由は明解である。最近、かつて登った山々のことを記事にする機会が増え、登山の楽しさを思い出したためである。そして、本稿を書いている間に、登山を趣味として復活させたい願望というか、欲求のようなものが生じたせいである。これをチャンスと捉えたいと私は思う。何のチャンスかと言えば、健康づくりへの意識改革である。鉄は熱いうちに打てである。このチャンスを逃せば、私はきっと何もせずに老いていく人生を送ることだろう。