はじめに
剣山【つるぎさん】国定公園は、徳島県に位置する剣山を中心に一部高知県内の山地を含有する国定公園である。
剣山国定公園は、剣山や三嶺【みうね】を中心とした山岳地帯のほか、祖谷渓や大歩危・小歩危を中心とした渓谷もこの国定公園の見所である。
剣山は自然が豊富に残っており、特に徳島県南部の高の瀬峡は県下有数の景勝地として知られるほか山麓に多くの渓谷が見られ、一宇峡や別府峡などは景勝地として人気が高い。
高の瀬峡
高の瀬峡【こうのせきょう】は、徳島県那賀郡那賀町にある峡谷であり、那賀川【なかがわ】の源流、次郎笈【じろうぎゅう】(標高1,930m)の南麓、高ノ瀬【こうのせ】(標高1,741m)に位置する。
名 称 | 高の瀬峡 |
所在地 | 徳島県那賀郡那賀町木頭北川たいら |
Link | 高の瀬峡 – 徳島県観光情報サイト阿波ナビ |
べふ峡
べふ峡【べふきょう】は高知県香美市物部町別府の槇山川源流域に位置する渓谷である。紅葉の名所として有名である。
名 称 | べふ峡 |
所在地 | 高知県香美市物部町別府 |
Link | べふ峡 – 香美市公式ホームページ べふ峡の紅葉 – 香美市公式ホームページ |
一宇峡
一宇峡【いちうきょう】は、徳島県美馬郡つるぎ町一宇十家を流れる吉野川水系の一宇川【いちうがわ】の上流に位置する貞光川【さだみつがわ】渓谷に位置する峡谷である。丸笹山【まるささやま】(標高1712m)とその山系を源流とする険しい峡谷であるが、春はツツジ、秋は紅葉で知られる。
名 称 | 一宇峡 |
所在地 | 徳島県美馬郡つるぎ町一宇 |
Link | 一宇峡 – 徳島県観光情報サイト阿波ナビ |
祖谷渓
祖谷渓【いやだに】は、徳島県三好市を流れる吉野川支流の祖谷川【いやがわ】による深いV字谷で、断崖絶壁が約10kmも続く渓谷である。周辺は国内有数の秘境で、平家の落人伝説が残る祖谷【いや】の里がある。
祖谷渓にある大歩危【おおぼけ】・小歩危【こぼけ】は国内有数の急流で知られ、カヌー競技や急流下り体験で有名である。
祖谷のかずら橋
平家の落人伝説は全国各地にある。 その全国各地に残る平家の落人伝説の中でも、標高1000m級の山々に囲まれた秘境・祖谷は、日本有数の質と量を誇っているという。
徳島県の西部に位置する西祖谷山村と東祖谷村には、「祖谷平家伝説」としてもう1つの平家物語が語り伝えられている。
屋島の戦いに敗れた平国盛が率いる30名の平家一行が讃岐山脈を経て阿波へと入り、現在の徳島県東みよし町から三好市井川地区にかけての一帯に住んだが、追手に脅かされ祖谷に住んだと伝わる。
平国盛一行が幼い安徳天皇を守りながら祖谷の地に住み着いた際、山深い地で源氏の討手が迫ってきた時に敵の侵入を防いでいつでも切り落とせるようにと、かずらを束ねて橋を造った。それが現在にも残されている「かずら橋」であると言われている。
奥祖谷にも「二重かずら橋」と呼ばれる橋があり、約800年前に平家一族が剣山の道場に通う際にかけたとされている。長さが異なる男橋(全長43.4m)と女橋(21m)が並んで架かることから「夫婦橋」と呼ばれている。
阿佐集落には平家の末裔と言われる阿佐氏が居住し、平家屋敷や、平家の軍旗である「赤旗」が数百年前から現存するという。
また、平家の落人は、自分たちが祖谷で暮らしたことを後世に残しておこうと、国盛杉を植えたと伝えられている。この祖谷の地で平氏再興の望みをつないでいたのであろうと思うとロマンを感じる。
祖谷には、平家ゆかりの品々や貴重な古文書を展示する平家屋敷資料館や東祖谷歴史民族資料館があり、平家の落人の伝承を学ぶことができる。
名 称 | 祖谷のかずら橋 |
所在地 | 徳島県三好市西祖谷山村善徳162-2 |
駐車場 | 駐車場(有料) |
Link | 祖谷のかずら橋 | 三豊市観光交流局 祖谷のかずら橋 |
大歩危峡
大歩危峡【おおぼけきょう】は、吉野川中流域に位置する渓谷であり、大歩危峡遊覧船でも知られている。
数km下流に位置する小歩危峡【こぼけきょう】と共に、大歩危・小歩危として一括りにされることも多い。
吉野川(徳島県)は水量が多く、流れも速い。両岸から急峻な傾斜面と岩壁が迫ることから、V字谷の一帯は古くから大歩危・小歩危と称され、通行の難所として知られてきた。
大歩危峡は、美しい岩石やV字谷の様子から日本列島の成り立ちが分かる全国的にも貴重な場所として国指定天然記念物であり、名勝にも指定されている。
大歩危峡は、8千万年~6千万年前にできた砂質片岩と泥質片岩(黒色片岩)を主体として構成されている。変成岩中に礫【れき】の原型を留めた礫質片岩が含まれているものもある。
大歩危峡は、自然が作り出した芸術的作品とも言える場所である。そんな景色を遊覧船から眺めるのはある意味贅沢であるかも知れないが、天然記念物を間近に見ることのできる機会は滅多にない。大歩危峡に出かけた際は、観光遊覧船を利用するのは良い考えだと思う。
「鯉のぼり」が大歩危峡に架かっているのかその理由が分からない。どこにも説明がない。些細なことだが気になるものである。
鯉(コイ)は、清流だけでなく、池でも沼でも生きられる生命力の強い魚である。そこから「鯉のぼり」は環境の良し悪しに関わらず、立派に成長し、立身出世するように願って飾られるようになったそうだ。
登竜門の話を「鯉のぼり」にしたという江戸時代の日本人の発想は日本独特だという(株式会社晃月人形HP)。大歩危峡の急流が登竜門の語源になっている「竜門」と呼ばれる急流になどられているのかも知れない。
名 称 | 大歩危峡 |
所在地 | 徳島県三好市山城町西宇 |
Link | 大歩危峡まんなか(大歩危峡観光遊覧船) |
小歩危峡
小歩危峡【こぼけきょう】は、吉野川中流域に位置する渓谷である。数km上流の大歩危峡【おおぼけきょう】と共に、大歩危・小歩危として一括りにされることが多く、「大歩危小歩危」の名称で国の名勝に指定されている。
小歩危峡の水流は日本一の激流と言われており、夏季には多くのラフティングやカヤックの愛好者であふれるという。
名 称 | 小歩危峡 |
所在地 | 徳島県三好市山城町西宇 |
Link | 大歩危・小歩危 – 徳島県観光情報サイト阿波ナビ |
あとがき
剣山国定公園は祖谷渓の大歩危峡しか実際に訪れていないので、国定公園内の他の景勝地にも足を運んで実際に大自然に触れてみたいものだ。只、祖谷渓の道路は高所を通っているので率直に言うと躊躇している。今でも祖谷の小便小僧の写真を撮れたのは私にとっては奇跡に近いと思っている。それほどに高所が苦手な者にとっては、剣山国定公園はハードルが高いと言える。一方、私の妻のように吊橋や高所が好きな者にとっては興味深い観光スポットであることだろう。