はじめに
生石高原はススキの群生地としてよく知られている場所である。随分と昔になるが、若い頃に一度行ったこともあり、ススキの穂を観たいと思った時、真っ先に私の脳裏に浮かんだのも生石高原であった。
一方、しみず温泉はメジャーではないが、真言密教の聖地である高野山にも比較的近い和歌山県有田川町清水(旧清水町)にある小さな一軒宿の山あいの温泉地である。今から10年程前にリニューアルした宿泊施設は、美しい山並みや眼下に広がる有田川を見渡す展望デッキを併設している。尚、有田川の源流は高野山にある。
京阪神方面から生石高原へのアクセスは、阪和高速の海南東ICもしくは海南IC出口から向かう場合、または有田IC出口からカーナビに案内されて生石高原に向かう場合が多いと思う。より安全にドライブを楽しみたい場合は有田ICを起点にした方が良いと思う。海南東/海南ICから生石高原に向かうと途中には山林のかなり狭い道路を運転しなければならないからである。
生石高原には京阪神から日帰りできないわけではないが、生石高原でゆっくりと散策を楽しむには帰路にしみず温泉に立ち寄るという旅プランが良いのではないかと思った。生石高原からしみず温泉へのアクセスは、県道184号を経由して国道480号に入れば約16 km程の道程で到着できる。
生石高原としみず温泉を組み合わせた、ゆったりとした旅はスパツーリズムの癒し旅としては如何であろうか。私はありだと思っている。
生石高原
生石高原【おいしこうげん】は、和歌山県有田川町と紀美野町の境にある生石ヶ峰(標高870m)の山頂付近に広がっている草原である。
晴天の日の生石ヶ峰山頂からの360度の眺望は大変素晴らしく、和泉山脈や淡路島などを望むことができる。
生石高原は、四季折々の草花に彩られ、特に秋はススキの名所として有名である。
生石高原のなだらかな山肌にはススキの群落が大海原のように広がり、その光景は関西随一と言われる。
ススキは、9月中旬から開花し始め、9月下旬から10月下旬頃にかけては綿毛をつけた銀色のススキが広がる。
夕日で金色に染まって見えるススキの群落の美しい光景は筆舌では語れない。
山の斜面にせり出した「火上げ岩」は大人気の撮影スポットであり、インスタ映え抜群とSNSで話題になっている場所でもある。
高所が苦手な私には絶対に立てない場所でもある。写真を撮るだけでもハラハラドキドキで心拍数が高まっているのを実感する。
ススキの穂には「枯れすすき」に向かうネガティブなイメージを抱いていて若い頃は好きになれなかった。しかし、美しいものは美しいと素直に認めることの方がどれほど素晴らしいことか。偏見や噂を排して、自分の目で確認できる事実を積み重ね、真実を知るを努力を続けていきたいとススキの穂を眺めながら思った。
名 称 | 生石高原 |
所在地 | 和歌山県海草郡紀美野町中田899-29 和歌山県有田郡有田川町生石 |
Link | きみのめぐりコンシェルジュ@紀美野町観光協会 ホーム/有田川町 |
しみず温泉
2013年6月にリニューアルオープンした滞在型宿泊施設「あさぎり」は、しみず温泉に併設されており、地産地消の食材を提供するレストランや展望デッキは癒しの旅をサポートする。展望デッキから美しい山並みや眼下を流れる有田川を眺めるのも良い。
しみず温泉の泉質は、ナトリウム塩化物炭酸水素泉であるので、いわゆる「美肌の湯」である。泉温は27.1℃と比較的低温であるため、加温されて使用される。きりきず、やけど、慢性皮膚病、胃腸病、婦人病などに適用があり、飲用すると慢性便秘に効能があるとされる。
しみず温泉近郊の有名な観光スポットの数は、率直に言ってそれほど多くはない。しかし、同じ清水地区にある「あらぎ島」は有田川町のシンボル的な存在であり、その独特の景観は和歌山県で唯一「日本の棚田百選」に選ばれた場所である。国の重要文化的景観にも選定されているので是非、水田の季節に訪れたい。
また、有田川の二川ダム湖に架かる朱色の吊り橋、蔵王橋(全長約160m、高さ不明)は、スリル満点で私には渡れない。米国の俳優、ザック・エフロンは渡ることができたと紹介されている。
さらには、有田川と四村川の合流地点にある粟生の巌【あおのいわお】は、パワースポットとして知られている。粟生の巌は、高さ25m、基底部の周囲が100mという巨岩で岩倉神社の御神体である。岩倉神社は、神亀4年(727年)に粟生の巌に勧進して聖武天皇大社明神と称し、奉祀したことに始まるとされている。
上記3つの絶景スポットは、いずれも国道480号線沿いにあるのでアクセスも容易である。しみず温泉と生石高原を組み合わせたスパツーリズムの旅のオプションになると私は思っている。
名 称 | しみず温泉 |
所在地 | 和歌山県有田郡有田川町清水1225-1 |
Link | しみず温泉健康館/有田川町 ふるさと有田川<有田川町ふるさと開発公社> しみず温泉 健康館 | 和歌山県温泉協会公式HP しみず温泉 あさぎり – 有田川町観光協会 |
あとがき
生石高原を訪れた日は珍しく好天に恵まれ、ススキの穂を撮影するには絶好の日よりであった。ススキの穂は陽光の当たり具合で銀色に輝いたり、夕日に照らされて黄金色に輝いたりする。実に多彩な表情を見せてくれる、非常に魅力的な被写体である。
率直に言って、若い頃はススキの穂にはあまり興味はなかった。ススキの穂がこんなにも魅力的な被写体であることも知らなかった。シニアになって初めて知る機会を得たことになる。
また、しみず温泉のこともよく知らなかったが、調べてみると魅力的な温泉施設であることも分かった。私の知らない事は実に多い。新たな発見や知見は私の好奇心を満たしてくれる。
人生の後半、「枯れすすき」になるまで陽光に照らされるススキの穂のようにもう少し輝いていたいものだ。秋晴れの下、生石高原を妻とゆっくりと散策しながら、そう思った一日であった。
【参考資料】
きみのめぐりコンシェルジュ@紀美野町観光協会 |
ホーム/有田川町 |
しみず温泉健康館/有田川町 |
ふるさと有田川<有田川町ふるさと開発公社> |
しみず温泉 健康館 | 和歌山県温泉協会公式HP |
しみず温泉 あさぎり – 有田川町観光協会 |
あらぎ島/有田川町 (aridagawa.lg.jp) |
蔵王橋/有田川町 (aridagawa.lg.jp) |
粟生の巌 – 有田川町観光協会 (aridagawa-kanko.jp) |