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【神話に登場する神の社】素鵞社(出雲大社)

はじめに

素戔嗚尊【スサノオノミコト】(スサノオ)は、嵐や海、農耕の神として知られている。日本神話に登場する重要な神様の一人で、天照大御神【アマテラスオオミカミ】や月読命【ツクヨミノミコト】と共に三貴子【さんきし】と呼ばれる神様でもある。

スサノオは、伊邪那岐命【イザナギノミコト】が黄泉の国から帰還し、禊【みそぎ】を行った際に、鼻をすすいだときに誕生したとされている。

スサノオは、非常に多面的な性格を持っている神様で、乱暴で荒々しい一面もあるが、正義感が強く、人々を助ける英雄的な側面もある。ヤマタノオロチ退治は、スサノオにまつわる神話の中で最も有名なエピソードである。スサノオは、クシナダヒメを救うためにヤマタノオロチを退治し、その死体の尾から草薙剣【くさなぎのつるぎ】を取り出したというエピソードである。

そしてもう一つ、忘れてはならない神話が「根の国への訪問」という古事記に描かれた神話である。このエピソードの主役は出雲大社の主祭神である大国主大神【おおくにぬしのおおかみ】であるが、重要キャラクターとしてスサノオも登場している。

神話「根の国への訪問」の物語は、大国主大神が執拗な八十神の兄弟神による迫害から逃れるために、スサノオが統治する根の国【ねのくに】を訪れ、スサノオからいじめのような試練を受けるというエピソードである。

大国主大神は、根の国で、スサノオの娘の須勢理毘売命【スセリビメノミコト】と結婚し、彼女の援助のおかげで試練を乗り越えた。大国主大神は、最終的にはスサノオに認められ、国を統治する術も伝授されることになる。その結果、大国主大神はスサノオの娘のスセリビメと婚姻し、出雲に大社を建造して「国造り」を始めることとなる。

この「根の国への訪問」のエピソードを通じて、スサノオが出雲大社【いずもおおやしろ】において特別に重要な神様として祀られているのかを私は理解することができた。

スセリビメを娶った大国主大神にとってスサノオは「親神」という存在なわけである。スサノオを御祭神とする素鵞社【そがのやしろ】が、出雲大社の御本殿のちょうど北側に配置されて、鎮座しているのも納得である。素鵞社は、出雲大社の社殿の中でも別格の扱いなのであろう。

目次
はじめに
根の国への訪問
素鵞社(出雲大社)
あとがき

根の国への訪問

大国主神は、「因幡の白兎」の一件を経て、因幡国の八上比売【ヤガミヒメ】と結婚したことから、二度も八十神の兄弟神に殺されることになる。

母神の助けもあって蘇生するも、執拗な兄弟神による迫害から逃れるためにスサノオが治める根の国を訪問することにした。そこで、スサノオの娘であるスセリビメと出会い、お互いに一目ぼれで結婚することになる。

根の国ではスサノオの数々の試練を受けるがスセリビメの助けで乗り切ることができた。原っぱでは火責めにもされるがネズミの助けで九死に一生を得て生還できた。

大国主神は、執拗な試練に耐えられなくなり、スサノオの隙をついてスセリビメと共にスサノオの元を脱出することを試みる。何とか脱出に成功した大国主神を追い掛けて来たスサノオは、大国主神を叱咤激励して、国造りを指南する。つまり、娘のスセリビメとの婚姻を許したわけである。それと同時に、神さま特有の悠久の時空を経て、スサノオ大国主神の義父になったというわけである。

スサノオ生大刀生弓矢を持って根の国から帰還するオオナムチスセリビメ

大国主神は、スサノオの教えに従い、八十神の兄弟神を服従させた。そしてスセリビメを正妻にして、出雲に大社を築いて国造りに着手するという物語(神話)である。

出雲大社・拝殿 拝殿の後方に少し屋根が見えているのが本殿

素鵞社(出雲大社)

素鵞社【そがのやしろ】は、出雲大社・御本殿の北側にある。素鵞社の御祭神は素戔嗚尊【スサノオノミコト】で、八岐大蛇【ヤマタノオロチ】を退治したことでも有名な神様である。

素戔嗚尊は、天照大御神【アマテラスオオミカミ】の弟神であり、大国主大神親神でもある。神様の相関図はなかなか複雑で、理解が追い付いていかないことも多い。

素鵞社【そがのやしろ】の御祭神は素戔嗚尊【スサノオノミコト】

素鵞社(出雲大社)への正式な参拝の作法としては、まずは稲佐の浜で砂を採取し、その砂を素鵞社に奉納する。そして代わりの砂を素鵞社で拝領してもよい。

稲佐の浜弁天島

稲佐の浜で採取した砂は素鵞社の左右奥側の三か所にある砂場に奉納し、代わりの砂をそこから拝領するのが参拝の正式作法となっている。

名 称素鵞社(出雲大社)
所在地島根県出雲市
駐車場あり(無料)
Link出雲大社【公式サイト】

あとがき

素戔嗚尊【スサノオノミコト】には多くの別名があることが知られている。このことを知らないと、私のように別の神さまと誤解してしまうことがあるので気をつけたい。主な別名を挙げると下記のようになる。

  • 建速須佐之男命【たけはやすさのおのみこと】
  • 速須佐之男命【はやすさのおのみこと】
  • 須佐能男命【すさのおのみこと】
  • 須佐能乎命【すさのおのみこと】
  • 神須佐能袁命【かむすさのおのみこと】
  • 牛頭天王【ごずてんのう】
  • 祇園様【ぎおんさま】
  • 天王様【てんのうさま】
  • 櫛御気奴命【くしみけぬのみこと】
  • 家都美御子大神【けつみみこのおおかみ】
  • 神祖熊野大神櫛御気野命【かむろぎくまのおおかみくしみけぬのみこと】

これらの別名は、古事記や日本書紀をはじめとする書物や文献、あるいは地域や信仰の形態によって異なる場合がある。

素戔嗚尊は、多くの神社で祀られている多面的な神様であり、その多様な側面が別名にも反映されていると考えられている。

主祭神である素戔嗚尊(スサノオ)の多面的な性格や神力を反映するかのように、スサノオを祀る神社では、下記のようなご利益があるとされている。

  • 縁結び
  • 厄除け
  • 子孫繁栄
  • 家内安全
  • 商売繁盛
  • 学問上達
  • 五穀豊穣
  • 病気平癒

スサノオは、例えば、須我神社須佐神社八重垣神社八坂神社出雲大社熊野本宮大社などの多くの神社で祀られている。


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