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【神話に登場する神の社】須佐神社

はじめに

ヤマタノオロチ退治の神話は、須佐之男命(=スサノオ)が出雲の国で八岐大蛇【やまたのおろち】という巨大な蛇を退治する物語である。スサノオは、クシナダヒメを救うためにヤマタノオロチを退治し、その後クシナダヒメと結婚するという話である。

天上界では暴れん坊で、全くのはみ出し者であったスサノオが、天の岩戸神話の一件で天上界を追放されたにもかかわらず、出雲の国ではスーパーヒーローのごとく大活躍する姿には大喝采である。このヤマタノオロチ退治の神話によって、スサノオの人気もうなぎ上りとなったに違いない。日本神話の中では、最も人気が高い話ではないだろうか。

須佐神社【すさじんじゃ】は、島根県出雲市に位置し、スサノオの御魂を祀る歴史の長い神社である。この神社は、出雲國風土記にも登場し、スサノオがこの地に来て最後の開拓を行い、自らの御魂を鎮めた場所とされている。

須佐神社の主祭神はスサノオであり、妻であるクシナダヒメやその両親である足摩槌命【アシナヅチノミコト】と手摩槌命【テナヅチノミコト】も祀られている。この神社は、良縁・子孫繁栄・家内安全・諸障退散などのご利益があるとされている。

須佐神社は、日本一のパワースポットとして知られ、多くの参拝者が訪れる人気スポットとなっている。


<目次>
はじめに
ヤマタノオロチ退治
須佐神社
あとがき

ヤマタノオロチ退治

スサノオは天津神の審判により高天原を追放され、葦原中津国の出雲国に下る。今まで乱暴者のイメージだけしかなかったスサノオが変貌を遂げ、英雄的な神となってヤマタノオロチ退治する。そしてクシナダヒメを娶って新たな展開が始まる。

尚、ヤマタノオロチの体内から素晴らしい太刀がみつかった。その太刀を取り出し、不思議なものと思い、アマテラスに報告し、献上した。これが草薙【くさなぎのつるぎ】と呼ばれ、後に「三種の神器」の一つとされる太刀である。


須佐神社

須佐神社【すさじんじゃ】は、『出雲国風土記』にも登場するほどの歴史のある神社であり、島根県中部を南北に流れる神戸川の支流、須佐川のほとりに鎮座する。

須佐神社・拝殿

全国には須佐之男命ゆかりの神社が数多くあるが、須佐神社は唯一、須佐之男命の御魂を祀る神社である。

御祭神は、須佐之男命と妻である櫛名田比売命と、そしてその両親である足摩槌命【アシナズチノミコト】と手摩槌命【テナヅチノミコト】である。

須佐神社・本殿

須佐神社は、『風土記』や『延喜式』でも確認できるほどの歴史のある神社であり、本殿は1861年(文久元年)建築の大社造り県の文化財にも指定されている。

須佐神社・本殿横に立つ御神木「大杉」(樹齢1300年)

この地は日本神話の中で八岐大蛇を退治した英雄・須佐之男命に関わりが深い。

須佐神社・本殿横に立つ御神木「大杉」 長い年月の経過によって根元が露出している

『出雲国風土記』には、須佐之男命がこの地に来て最後の開拓をし、「この国は小さい国だがよい国だ。自分の名前は岩木ではなく土地につけよう」と言って「須佐」と命名し、自らの御魂を鎮めたと記されているという。

須佐神社の七不思議の一つである塩の井【しおのい】須佐之男命がこの潮を汲み、この地を清められたという。この塩の井出雲大社稲佐の浜に続いており、わずかに塩味を感じるという。また、湧出に間渇があるのは潮の干満と関連があるためという。

出雲の国にあっては小さな神社の部類に入るが、境内は神秘的な雰囲気が漂い、日本一のパワースポットとしてメディアで紹介されたこともあり、参拝者の注目を集めている神社である。

須佐神社に伝わる七不思議

ご利益は良縁・子孫繁栄・家内安全・諸障退散などとされる。

名 称須佐神社
所在地島根県出雲市佐田町須佐730
駐車場あり(無料)
Link【公式】島根県出雲市にある須佐之男命を祀る須佐神社

あとがき

須佐神社の本殿横には御神木のスギの巨樹が生育している。そのスギの巨樹は「大杉」と呼ばれ、樹齢は1300年と推定されている。そんな大杉が茂る本殿付近は、神秘的な雰囲気を醸し出している。

また、須佐神社には塩の井【しおのい】、相生の松【あいおいのまつ】や神馬【しんば】などの「七不思議」と呼ばれる伝説が残されている。

須佐神社の七不思議とは、この神社の境内や周辺に伝わる下記のような不思議な現象や伝説を指している。

  1. 塩の井【しおのい】
    • 本殿前の小池には塩水が湧いており、スサノオがこれを汲んで土地を清めたと伝えられている
    • 日本海側の「稲佐の浜」とつながっていて、潮の満干によって湧出の量が変わると伝えられている
  2. 相生の松【あいおいのまつ】
    • 本殿の裏にあった松
    • 一本の木に男松と女松の両肌を持っていた珍しい松の木
    • 昭和初期に枯れてしまい、現在は跡だけが残る
  3. 神馬【しんめ】
    • 須佐神社に奉献された神馬は、どんな毛色の馬でも後に予知能力を持った白馬に代わり、吉凶や国の大事を予知したとされている
    • 神社裏には、そんな神馬たちの墓が残こされている
  4. 落葉の槇【おちばのまき】:
    • クシナダヒメが誕生山でお産をした際、産具を槙(柏)の葉に包み、松葉でつづって流瀬川に流したところ、それが流れついた場所に「槙と松」が繁茂したとの伝承がある
  5. 影無桜【かげなしざくら】:
    • 昔、隠岐の国に太陽が陰って耕作ができなくなった際、「須佐大宮の境内に大きな桜が繁茂して、それが隠岐へ影をさすために耕作ができぬから、その桜を切ればよい」というお告げがあった
    • その桜を切ったところ、その切り株から生えた桜は、その後、茂ることもなく、枯れることもなく今日に至っている
  6. 星滑【ほしなめら】:
    • 須佐神社の西、中山の頂上近くの滑らかな岩肌の中央に光る白い斑点のようなものがあり、大きく見える年は豊作、小さく見える年は不作と伝えられている
  7. 雨壺【あまつぼ】:
    • 須佐神社の境内摂社「厳島神社」の下手にある田んぼの脇にある岩で、その岩の穴をかき回すと、須佐大神の怒りに触れて大洪水が起きるといわれている
    • 実際にこれを犯したために大洪水が起こり、村に大きな被害が出たという伝承がある

これらの七不思議は、須佐神社の神秘的な魅力を一層引き立てていると言えよう。日本一のパワースポットとしてメディアで紹介されたのも頷ける。


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