はじめに
珍しい形状や奇怪な形状や色をした岩石のことを奇岩または奇石言う。自然の力によって、人の目に非常に珍しく奇怪に見える形が造形されることがあり、人はこれに様々な伝説を付与したり、あるいは神として祀り、信仰の対象としてきたりした。
このような伝説や信仰が共存する、ユニークな姿形で私たちを魅了する奇岩・奇石は、今日では観光の対象になったりしている。
本稿で紹介する奇岩・奇石は、いずれも思わず写真に撮りたくなるものばかりであることを私が保証する。
奇岩・奇石とは
奇岩・奇石とは、珍しい形状や奇怪な形状や色をした岩石のことである。岩石は、それを構成する母岩の種類や地殻変動、長い年月による浸食などにより、人の目に非常に珍しく奇怪に見える形が造形されることがある。
人はこれを奇岩と呼び、昔から珍重し、そこに様々な伝説を付与したり、神として祀り信仰の対象とし、あるいは観光の対象にしたりしてきた歴史がある。
鍾乳洞の鍾乳石も奇岩の一種である。多くの奇岩には、それにふさわしい名前が付与されている。(引用:ウィキペディア)
日本各地にはそんな奇岩・奇石と呼ばれる岩石たちが点在している。何故、彼らがその場所に存在するようになったのか興味は尽きない。興味と共に彼らのベストショットを撮りたいものだ。
北海道の奇岩・奇石
天狗岩
天狗岩(目梨郡羅臼町海岸町)は、よく見ても私には分からないが天狗の鼻が天を向いているように見えるところから名付けられたという。
羅臼から相泊方面に向かって海岸沿いの道をドライブしていると右手に見える不思議な形の岩である。長い年月をかけて荒波が削り出した「芸術作品」の一つであることには間違いない。
名称 | 天狗岩 |
所在地 | 目梨郡羅臼町海岸町 |
Link | 天狗岩|知床の町 羅臼町【公式サイト】 |
神威岬・神威岩
神威岬の先端から眼下に見える奇岩が神威岩である。神威【かむい】は、アイヌ語で「神」を意味する。神威岬沖は海難事故に繋がる暗礁が多く、古くから海上交通の難所として知られていた。
和人女性を乗せた船が神威岬沖を通れば神の怒りを招き。船が遭難し、漁業も不振となると伝承され、江戸時代には神威岬より奥への和人女性の立ち入りを禁止していたという。迷信であるのは明らかだが、何らかの意図があってのことだろう。
神威岬の先端までは、「女人禁制の門」から約20分ほど「チャレンカの小道」と呼ばれる遊歩道(約770m)を歩く。両側に日本海の雄大な眺めが広がり最高の散歩が楽しめる。
夕陽を沈むまでゆっくりと楽しみたいが入口ゲートの閉門刻限を守る必要がある。
名称 | 神威岬・神威岩 |
所在地 | 北海道積丹郡積丹町神岬町 |
Link | 神威岬・神威岩 – 積丹観光協会【公式サイト】 |
積丹岬/島武意海岸
積丹岬は、積丹半島の最北に位置する岬である。また、島武意海岸は、シャコタンブルーと称される海の色が魅力的な景勝地であり、「日本の渚百選」にも選定されている。屏風岩は、実際に近くで見ると巨大な岩山である。
名称 | 積丹岬/島武意海岸 |
所在地 | 北海道積丹郡積丹町入舸町 |
Link | 積丹岬・島武意海岸 – 積丹観光協会 |
マッカ岬
マッカ岬には近づけないので、幌武意【ホロムイ】にある高台から眺めるしか私たち観光者には方法がない。
名称 | マッカ岬 |
所在地 | 北海道増毛郡増毛町岩尾 |
積丹半島・水中探訪船の旅
ニューしゃこたん号(水中探訪船)に乗船し、黄金岬の麓の美国港を出港し、黄金岬、ビヤノ岬、宝島を巡る。陸地からは見られない奇岩や、美しい水中の様子を楽しむことができる。
名称 | 積丹半島・水中探訪船の旅 |
所在地 | 北海道積丹郡積丹町美国町船澗 |
Link | 積丹水中展望船 ニューしゃこたん号 – 積丹観光協会 黄金岬 – 積丹観光協会 |
積丹半島・ローソク岩
積丹半島の海岸線に沿った国道229号(積丹道路)をドライブしている途中(積丹町~余市町)で見えるのがローソク岩(余市町潮見町)である。
ローソク岩の名の由来には複数の説が知られている。
一つ目は、現在の岩の形状がローソクを連想させたのではなく、まだ岩の先端が丸かった頃にニシンの大群の鱗が岩に張り付きローソクのように光ったという説である。
二つ目は、ニシンを追ったカモメの大群がこの岩にびっしりと糞をし、糞中のリンの成分が夜間に、ぼーっと明るく光ったからだという説である。
三つ目は、岩の先端に太陽が重なるとちょうどローソクに火をともしたように見えるからだとする説である。
いずれの説が正しいのか、その真偽は分からない。しかし、高さが海面から約40~45mもある細長い特徴的な外観を見ればそれが「ローソク岩」だとすぐに納得できる。それほどに人々の目を引くのに十分な奇岩ぶりである。
ローソク岩は、水中火山砕せつ岩と呼ばれるもので、水中に噴出した溶岩が急に冷やされたり、発泡によって破砕し、色々な大きさの岩塊、ガラス質片の集合体として堆積したものである。
専門用語ではハイアロクラスタイトと呼ぶらしい。ローソク岩は、輝石安山岩質のハイアロクラスタイトなのだそうだ。ローソク岩はその立ち姿から「観音岩」や「剣岩」とも呼ばれていたりする。
また、アイヌの人々は「カムイエカシ(男神)」と呼び、信仰の対象としていた時代もあったと伝えられている。
名称 | 積丹半島・ローソク岩 |
所在地 | 北海道余市郡余市町豊浜町沖 |
Link | ローソク岩|まちの紹介 |北海道余市町ホームページ |
窓岩
積丹半島の海岸線に沿った国道229号(積丹道路)をドライブしている途中(神恵内村~積丹町)に見えるのが窓岩(古宇郡神恵内村)である。
岩の真ん中にポッカリと穴が空いている。海水による浸食によるものであるが、自然の力のすごさを実感させてくれる。
神恵内を代表する奇岩とされており、見る角度によってその姿を変えるのが面白い。
名称 | 窓岩 |
所在地 | 北海道古宇郡神恵内村、国道229号海岸沿いの沖合 |
Link | 窓岩 | 北海道神恵内村【公式サイト】 |
弁天島
弁天島は、盃温泉郷の近くに位置する小さな島で、良縁や子宝を祈願する方が訪れる場となっていると伝わる伝説の島である。
国道229号をドライブ中に出会った島で、橋が架かっていたが先を急いでいたので島には渡らずに写真だけを撮って後にした。
写真でよく見ると岩山であり、奇岩と呼ぶにふさわしいと思う。
名称 | 弁天島 |
所在地 | 北海道古宇郡泊村大字興志内村字茂岩 |
Link | 弁天島・茂岩海岸 – 北海道泊村観光情報 |
苔の洞門
苔の洞門(千歳市支寒内)は、1739年の樽前山の噴火活動によって生じた溶結凝灰岩が、土石流によって次第に浸食されることで作られた回廊状の涸れた峡谷である。
高さは約10m、エビゴケやエゾチョウチンゴケをはじめ80種以上のコケが密生している姿は幻想的で美しく、2014年8月には「日本の貴重なコケの森」(日本蘚苔類学会)に選定されるなど学術的にも貴重である。
下流の第1洞門(延長約420m)と第2洞門(延長約600m)がある。
苔の洞門へは支笏湖温泉から伊達市大滝方面へ車で約20分で着く。湖を挟んで山側に現れる駐車場とネイチャーセンターが、苔の洞門への入口である。 ネイチャーセンターから苔の洞門までは約750mで、涸れ沢の砂地の上を進む。
名称 | 苔の洞門 |
所在地 | 北海道千歳市支寒内 |
Link | 支笏湖ビジターセンター | 苔の洞門【公式サイト】 |
富山県の奇岩・奇石
雨晴海岸
雨晴海岸の名の由来は、源義経が奥州へ落ちのびる途中、にわか雨の晴れるのを待った場所という「義経岩」と呼ばれる岩がこの海岸に存在し、この海岸の地名「雨晴」の由来にもなっていると伝わる。
また、万葉集の歌人、大伴家持は、この雨晴の風景をこよなく愛し多くの歌を詠んだと伝わっている。
その美しい景色は現在にも引き継がれ、浜から眺める海越しの女岩と立山連峰は絶景スポットになっている。
私達が訪れた日はあいにくの天候で、立山連峰がうっすらと山影のような山容を遠くに現わしてくれただけであった。
名称 | 雨晴海岸 |
所在地 | 富山県高岡市太田雨晴 |
Link | 国定公園 雨晴海岸【公式】富山県の観光/旅行サイト |
天狗の足跡
古くから五箇山相倉集落の北側に聳える大きく尖がった大岩(ヤノクラ)には多くの天狗が住んでいたという天狗伝説が残っている。人が決して登れない急峻の崖の上には人には見えない穴があり、そこから大岩の中に入ると天狗の御殿があったという。
「天狗の足跡」は、相倉集落が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された際に環境物件の一つとして評価されている。
数百年も昔、五箇山相倉集落の上にあるヤノクラから天狗が跨いだ時につけた足跡という伝説が残る石が「天狗の足跡」で、凹みの深さは2~3 cmもあるという。人間技でつけることができるとは到底考えられない不思議な代物だという。
集落の伝承では天狗はヤノクラから川向かいの「島の山」まで二跨ぎで渡る事が出来たとされ、ある時に天狗が一回転して、この岩に片足を付いて、さらに一回転して「島の山」に飛んでいったと伝えられている。
名称 | 天狗の足跡 |
所在地 | 富山県南砺市相倉418 |
Link | 天狗の足跡(南砺市)【公式サイト】 |
石川県の奇岩・奇石
見附島
見附島(珠洲市宝立町鵜飼)は、高さ28mの大きな奇岩で、島の形が軍艦に似ているところから別名「軍艦島」とも呼ばれる。
確かに軍艦が浜辺に向かってくるかのような迫力がある。この奇岩は能登のシンボルとしても有名であるが、弘法大師・空海が布教のために、佐渡から能登へと渡る際に発見したと伝わる島で、「見つけた」というのが名前の由来とされる。
踏み石が並べられているので引き潮の時間帯には、島の近くまで歩いていくことができる。また、浜辺には縁結びの鐘があり、その名も「えんむすびーち」と呼ばれ、恋人たちの聖地だという。
名称 | 見附島 |
所在地 | 石川県珠洲市宝立町鵜飼 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 見附島【公式サイト】 |
弁天島・恋路海岸
恋路海岸は、能登内浦のやさしい女性的な景色を代表する海岸である。
穏やかに湾曲した砂浜と鳥居の後方に浮かぶ弁天島は恋路海岸のシンボルとなっている。地名に由来する恋の伝説があり、ロマンチックな名称から、「ラブロード」とも呼ばれている。
「ソフトクリーム岩」と名付けられた奇岩の方に目が先にいってしまったのは私だけではあるまい。
名称 | 弁天島・恋路海岸 |
所在地 | 石川県鳳珠郡能登町恋路 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 恋路海岸|ほっと石川旅ねっと |
能登金剛・巌門
巌門は、能登金剛を代表する存在である。岩盤が海に突き出たおり、その岩盤には浸食によってぽっかりと穴があいて洞門となっている。
洞門は、幅6m、高さ15m、奥行き60mにも及ぶ巨大なものである。洞門の上に登ると、そこは広場のようになっており周囲に老松が生い茂っていた。
名 称 | 能登金剛・巌門 |
所在地 | 石川県羽咋郡志賀町富来牛下巌門 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 巌門|ほっと石川旅ねっと |
三重県の奇岩・奇石
香落渓・屏風岩
香落渓【かおちだに】は、三重県名張市にある渓谷で、木津川水系の名張川の支流である青蓮寺川の上流域に位置する、長さ8kmにも及ぶ渓谷である。室生赤目青山国定公園の一部に指定されている地域であり、その景観は一見の価値がある。
青蓮寺川に沿って造られた県道81号線を車で走っていると柱状節理による斧で刻んだような壮大な断崖が聳え立っている場所がある。屏風岩、天狗柱岩、鬼面岩、鹿落岩などと名づけられた奇岩群が目に飛び込んでくる。
これらは1500万年前に起こった火山の噴火によって堆積した安山岩が幾年もの歳月を掛けて侵食され続けたことで形作られたものである。奇岩群の他に茶屋滝や抹揚淵などの名所もある。
香落渓一帯は野生動物と植生の宝庫でもあり、秋には山が紅葉で色づくことから多くの観光客で賑わう。
名 称 | 香落渓・屏風岩 |
Link | 香落渓 | 観光スポット | 観光三重 |
鳶岩
三重県が指定している香肌峡県立自然公園の奥香肌峡【おくかはだきょう】の一つである宮の谷渓谷【みやのたにけいこく】の遊歩道の途中に「鳶岩」【とびいわ】と呼ばれる奇岩を目にすることができる。
「鳶岩」と言われれば、確かに鳶のくちばしに見えなくもない。足元ばかりを気にしている見過ごしてしまうこともある。往路よりも帰路で気付くことが多いと思う。
名 称 | 宮の谷渓谷・高滝 |
所在地 | 三重県松阪市飯高町蓮 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 宮の谷渓谷 | 観光三重 |
和歌山県の奇岩・奇石
橋杭岩
橋杭岩は、国指定の天然記念物になっている。
1500万年前の火成活動により、泥岩層の間に流紋岩が貫入したものであるとされる。貫入後に差別侵食により、柔らかい泥岩部が速く侵食され、硬い石英斑岩が杭状に残されたものらしい。
海岸から大島に向かって海上に並ぶ大小約40の奇岩が南西一列に約850mにも渡って直線状に立ち並ぶ姿が「橋の杭」のように見えることから橋杭岩と名付けられたという。
その昔、弘法大師・空海と天の邪鬼が賭をして、一晩にして立てたという伝説も伝わっている。
名称 | 橋杭岩 |
所在地 | 和歌山県東牟婁郡串本町鬮野川 |
Link | 橋杭岩 | 和歌山県公式観光サイト |
海金剛・樫野崎
樫野崎の先端には、日本最初(明治3年に初点灯)の洋式石造りの樫野崎灯台が建っている。
周囲には、トルコ軍艦遭難慰霊碑やトルコ記念館もある。日米修好記念館の駐車場に車を停め、樹木でトンネル状になった小道を歩いていくと海金剛と呼ばれるピラミッド型の岩礁が見える展望台に到着する。
展望台からは直前に行ってきたばかりの樫野崎灯台が小さく見えた。
名称 | 樫野崎・海金剛 |
所在地 | 和歌山県東牟婁郡串本町樫野 |
Link | 海金剛 – 和歌山県・熊野エリア観光 樫野崎 – 和歌山県・熊野エリア観光 |
円月島
円月島は、臨海浦に位置し、南北130m、東西35m、高さ25mの小島で、白浜のシンボルとして親しまれている。正式名は高嶋【たかしま】という。
島の中央に円月形の海蝕洞がぽっかり開いていることから「円月島」と呼ばれるようになったのが通称の由来らしい。
円月島に沈む夕陽は「和歌山県の夕日100選」に選ばれており、日の沈む夕景の美しさは格別で、春分・秋分の時期には、中心部の穴を通して夕日が見えるらしい。
少なくとも一度は撮影にチャレンジしたいものだ。
名称 | 円月島(高嶋) |
所在地 | 和歌山県西牟婁郡白浜町3740 |
Link | 円月島 | 和歌山県公式観光サイト |
奇絶峡「大人の足跡」
奇絶峡【きぜつきょう】は、田辺市の会津川の上流にある渓谷で、ユニークな形をした大小無数の奇岩がいたるところに点在しており、四季折々の渓谷美をみることができる。
川沿いに遊歩道を歩いていると「大人の足跡【おおびとのあしあと】」がついたとされる奇岩が現れる。
近くの案内板には『昔、大人が高尾山に腰をかけて田辺湾で足を洗う時、片足をこの岩にかけて踏ん張った足の裏の形そのままであると伝えられている。
又、稚児の足跡(龍神道にある)を残して東に飛んだ童が途中、巨人と化してここに足跡を残したとも言われている』と記されていた。
なんとも愉快な話ではないか。そんな話でも作らないと説明ができないような奇岩である。
また駐車場近くの道路脇から川向こうの山を見上げると巨大な一枚岩(高さ16m、幅22m)に刻まれた「磨崖三尊大石仏」の一部を見ることができる。何故、こんな場所に摩崖仏を彫ったのであろうか?
名称 | 奇絶峡「大人の足跡」 |
所在地 | 和歌山県田辺市上秋津 |
Link | 奇絶峡 – 和歌山県 田辺観光協会 |
白崎海岸
白崎海岸は、和歌山県日高郡由良町に位置し、石灰岩の岩場が美しい海岸である。付近は、白崎海岸県立自然公園に指定され、日本の渚百選にも選定されている。
白い石灰岩に囲まれた白崎海洋公園を中心に、オートキャンプ場や道の駅などがある。
海釣りができるスポットとしても人気がある。
名称 | 白崎海岸 |
所在地 | 和歌山県日高郡由良町大字大引960-1 |
Link | 白崎海岸県立自然公園|和歌山県立自然公園 |
立厳岩
立厳岩【たてごいわ】は、白崎海洋公園の近くにある、ひときわ目立つ大きな岩である。
大きな岩の真ん中には大きな穴がぽっかりと開いている。
名称 | 立厳岩 |
所在地 | 和歌山県日高郡由良町大字大引 |
Link | 白崎海岸県立自然公園|和歌山県立自然公園 |
粟生の巌
粟生の巌【あおのいわお】は、有田川【ありだがわ】と四村川【よむらがわ】の合流地点に位置し、高さ約25m、基底部まわりが約100mという巨大な岩である。
四村川に架かる大田口橋を渡ると河原に降りる道があり、そこから注連縄【しめなわ】が掛けられた「粟生の巌」を見上げることができる。
粟生の巌は、パワースポットとして知られている。古代より神の宿る磐座【いわくら】と伝わり、江戸時代の地誌『紀伊国名所図会』には「川中に霊巌あり」と記されている。粟生の巌は近くにある岩倉神社の御神体である。
四村川を挟んだ高台に建つ岩倉神社は、奈良時代の727年に、粟生の巌に勧進して「聖武天皇大社明神」と称し、奉祀したことが始まりとされている。神殿正面の扁額【へんがく】には「正一位岩倉大神」と刻まれており、神階【しんかい】が高い神様であることが窺える。
名 称 | 粟生の巌・岩倉神社 |
所在地 | 和歌山県有田郡有田川町粟生741 |
駐車場 | あり(無料)岩倉神社駐車場利用 |
車利用の場合 | 阪和自動車道「有田IC」から約30分 |
Link | 粟生の巌/有田川町 粟生岩倉神社・粟生の巌 – 有田川町観光協会 |
奈良県の奇岩・奇石
亀石
奈良県明日香村には奇石が多く存在する。下の写真に写った石は、長さ3.6m、幅2.1m、高さ1.8mの巨石の下端部の彫刻が亀に似ていることから「亀石」と呼ばれている。
亀石の「亀の頭」に相当する部分の現在の向きは南西方向であるが、伝説によれば、元は東の方向を向いていたという。世の中が乱れるに従い、徐々に回転するという伝説が残されている。
この亀石が西を向くと、辺り一帯が泥海に沈んでしまうという伝承がある。東から西南へ向きを変えているということは、既に135度(4分の3)も回転したことになる。
西を向くまでにはあと45度しか残っていないとすれば、怖い伝説だ。
名称 | 亀石 |
所在地 | 奈良県高市郡明日香村川原 |
Link | 亀石|奈良県観光公式サイト |
鬼の雪隠
奈良県明日香村には「鬼の雪隠」と呼ばれる花崗岩をくり抜き、中央が空洞になった石造物が残されている。
鬼が旅人を霧で迷わせ、捕らえて爼で料理し、満腹になったあとにこの「雪隠」で用を足したという伝説が残されている。
欽明天皇陵の石室の底石というのが現在の説明であるが、この場所に何故存在するのかという理由は説明できないらしい。
明日香は、古代ミステリーがつきない場所である。
大岩には約4,000年前のシュメール文字がペトログラフ(岩刻文字)として刻まれていて他の石群とともに興味深い謎を秘めている。人為とも思われる石の配置から太古の遺跡ではないかと推定されているが、すべてが解明されているわけではない。
名称 | 鬼の雪隠 |
所在地 | 奈良県高市郡明日香村野口 |
Link | 鬼の爼、鬼の雪隠|奈良県観光公式サイト |
石舞台古墳
石舞台古墳は、6世紀に築造されたと伝えられている。巨石30個を積み上げて造られた石室古墳で、その規模は日本最大級を誇るとされている。石室の長さは19.1m、玄室は高さ約4.7m、幅約3.5m、奥行き約7.6mもあるという。石の総重量は推定2,300トン、古墳最大の巨岩である天井石は、南側が約77トン、北側約64トンもあると推定されている。
盛土が失われて、露出した天井石の上面が平らなことから「石舞台」と呼ばれているそうだ。この巨大古墳が誰の墓なのかは不明なままであるが、付近に蘇我馬子の庭園が見つかったことから、蘇我馬子の墓ではないかとも言われている。
盛土が失われて、露出した天井石の上面が平らなことから「石舞台」と呼ばれているそうだ。
この巨大古墳が誰の墓なのかは不明なままであるが、付近に蘇我馬子の庭園が見つかったことから、蘇我馬子の墓ではないかとも言われている。また、石室が露出しているのは、蘇我馬子の横暴な態度に反発した後世の人が封土を取り除いたためともいわれている。確定していることは巨石の古墳が存在することだけである。明日香(飛鳥)は古代ミステリーに満ちている。
名 称 | 石舞台古墳 |
所在地 | 奈良県高市郡明日香村島庄254番地 |
Link | 石舞台古墳|奈良県観光[公式サイト] |
兵庫県の奇岩・奇石
玄武洞公園
玄武洞公園【げんぶどうこうえん】(兵庫県豊岡市赤石1362)は、 国の天然記念物に指定されている玄武洞のほか、青龍洞、白虎洞、南朱雀洞、北朱雀洞の洞窟が公園として整備されたものである。 周辺地域一帯は、1963年に山陰海岸国立公園となって現在に至る。
玄武洞
玄武洞(国の天然記念物)は、公園の中心にある最も大きな洞窟であり、玄武岩のみごとなを柱状節理を観察することができる。
約160万年前の噴火によって噴出されたマグマが冷却され、玄武岩溶岩の厚い層が形成された後に、河川による浸食によって玄武岩塊がむき出しとなった。玄武洞の玄武岩は、マグマが冷却される際に体積が小さくなることでできる割れ目(節理)が顕著であるために切り出しやすかったらしい。そのため人々が採掘し、その採掘跡が洞窟として残ったものが玄武洞の成り立ちとされる。
玄武岩の柱状節理によって、洞窟内では亀甲状の天井や五角から八角の石柱がみられるという。江戸時代後期の幕府の儒学者であった柴野栗山がこの地を訪れた際、伝説上の動物である玄武の姿に見えることから「玄武洞」と名付けたと伝わる。また「玄武岩」の名称は、地質学者・小藤文次郎博士(東京大学)が岩石の日本名を制定する際に、玄武洞の名に因んで命名(1884年)したという。つまり、玄武洞は玄武岩発祥の地といえるかも知れない。
さらに、1931年には松山基範博士(京都大学)が、玄武洞の玄武岩の磁性の方向が南を向くことを発見し、現在の地磁気(地球の自転により生じる磁場)と反対の向きを指していることから、地球の自転が反転した時期があるという説を発表し、地球科学分野で国際的に支持されたという。
青瀧洞
青龍洞(国の天然記念物)の高さは、33 mに及ぶ。ここでは15 mにも及ぶ長くて美しい柱状節理が観察できる。私は青龍洞の柱状節理が最も好きである。本当に美しい柱状節理だ!
白虎洞
白虎洞 は、水平方向に伸びた柱状節理と、その断面を間近に観察することができる。青龍洞の垂直方向に伸びた柱状節理とは明らかに異なることが分かる。
南朱雀洞・北朱雀洞
南朱雀洞では、垂直方向の柱状節理を間近に観察できる。北朱雀洞では、垂直方向の柱状節理が上部に向かって徐々に水平方向に変化して行く様子を観察することができる。
名称 | 玄武洞公園 |
所在地 | 兵庫県豊岡市赤石1362 |
Link | 玄武洞公園 – 城崎温泉観光協会【公式サイト】 |
かえる島・今子浦海岸
かえる島(美方郡香美町香住区境)は、その姿がかえるの形をしていることが名前の由来になっている。
かえる島は昔から祈願岩として様々な願いを叶えてきたらしい。昔、北前船で航海に出た男たちが無事香住に帰る(かえる)ことを祈願したのが始まりといわれている。
それ以来、「何かをかえる」と言った願いある時このかえる島に祈願するようになったと言われている。
例えば、無くしたものが手元に返る、自分の性格を変えるなど、いろいろな「かえる」を叶えてくれるという。
私は何も知らずにただその姿形に魅せられて立ち寄っただけであった。事前学習をしていなかったことを後悔している。
名称 | かえる島・今子浦海岸 |
所在地 | 兵庫県美方郡香美町香住区境 |
Link | 香住観光協会:かえる島 |
上立神岩
上立神岩【かみたてがみいわ】は、淡路島の南約4.5 kmに浮かぶ沼島と呼ばれる離島にある奇岩(岩礁)である。
上立神岩は、トレモライトと呼ばれる鉄やマグネシウムなどの鉱物を含有する岩石からなり、独特の色合いをした奇岩で、高さは約30mもあり、沼島のシンボル的存在である。
沼島には、日本神話のイザナギとイザナミが「国生み」をした「おのころ島」の伝承があり、「おのころ山」にはイザナギとイザナミの二神を祀る自凝神社が鎮座している。
上立神岩は、イザナギとイザナミが「国生み」の際に、ころころと海原をかき回すのに使ったとされる「天の沼矛」【あめのぬぼこ】の矛先、あるいは二神が柱巡りをして国生みをしたとされる「天の御柱」とみなされている。
沼島は、紀伊水道の北西部に位置し、瀬戸内海国立公園に属している風光明媚な場所である。沼島の南部から東部にかけての海岸は太平洋の波風をまともに受けるため、地元でバエ(碆、波培)と呼ばれる岩礁が多く見られ、上立神岩もその一つである。
名 称 | 上立神岩 |
所在地 | 兵庫県南あわじ市沼島 |
Link | 上立神岩 | 淡路島観光ガイド |
島根県の奇岩・奇石
弁天島・稲佐の浜
稲佐の浜は、出雲大社の西方1 kmにある浜で、国譲り・国引きの神話で知られている。また、この浜は旧暦10月10日に、全国の八百万の神々をお迎えする浜であるという。
この稲佐の浜には、弁天島という一際目立つ島がある。地元では「べんてんさん」と呼ばれ、親しまれている島だという。神仏習合の頃には弁財天が祀られていたが、明治の頃から豊玉毘古命【とよたまひこのみこと】が祀られているという。
弁天島は、かつて沖ノ御前、沖ノ島と呼ばれていた時期があったという。その理由は、弁天島が稲佐湾のはるか沖にあったためである。ところが、砂浜が広がり、現在では島の後まで歩いて行けるようになったという。それでも昭和60年(1985年)前後までは、島の前まで波が打ち寄せていたらしい。
名称 | 弁天島・稲佐の浜 |
所在地 | 島根県出雲市大社町杵築北稲佐 |
Link | 稲佐の浜|出雲観光ガイド【出雲観光協会公式HP】 |
日御碕・経島
経島【ふみしま】は、日御碕の南西海岸に面した小島である。海抜は約20mで、石英角斑岩からなっているという。
経島は、「文島」あるいは「日置島」とも記されることがある。かつて、この島に天照大神を祀る日沈宮【ひしずみのみや】があり、それを天暦2年(948年)に日御碕神社へ遷座したという。経島は、日御碕神社の神域として立ち入り禁止区域である。
経島は、ウミネコの繁殖地として、国の天然記念物にも指定されている。
名称 | 日御碕・経島 |
所在地 | 島根県出雲市大社町日御碕 |
Link | 経島 | しまね観光ナビ|島根県公式観光情報サイト |
立久恵峡・奇岩柱石
立久恵峡【たちくえきょう】は、出雲市内を流れる神戸川【かんどがわ】上流にある渓谷である。奇岩柱石がそそり立つ景勝地として知られている。
立久恵峡の景観が大分県の耶馬渓谷に似ていることから「山陰の耶馬渓」とも称されている。約1kmにわたり高さ100~200mもの奇岩柱石がそそり立っているのが見える。
立久恵峡は、1927年に国の名勝・天然記念物に指定され、1964年には県立自然公園となった。
立久恵峡にかかる不老橋と浮嵐橋の2つの橋の間は自然観察モデルコースとして遊歩道が設置されている。渓谷美を楽しみながらの散歩の途中には五百羅漢や霊光寺などもある。
名称 | 立久恵峡・奇岩柱石 |
所在地 | 島根県出雲市乙立町 |
Link | 立久恵峡|出雲観光ガイド【出雲観光協会公式ホームページ】 |
男女岩
松江や境港方面から美保関に向かう島根県道2号沿いの海岸(美保関近くの長浜港東側)に、注連縄【しめなわ】が掛かる大小2つの岩からなる男女岩【めおといわ】がある。
何故、「めおといわ」なのに「夫婦岩」と記述しないのか?
男女岩の名前の由来は、その形にあり、岩をよく見ると気づく。思わず赤面してしまった! 自然は偉大な彫刻家だと思う。
男根に似た形状の男岩と海蝕洞(洞門)があいた大きな女岩からなる男女岩には、その形から子宝に恵まれるとの俗信が生まれ、縁結びの名所になっているという。
天候が良ければ、男岩と女岩の間から、神の山「大山」を眺望することができるらしい。そして子宝に恵まれるとの信仰がさらに強まり、縁結びのパワースポットとなっているという。
名称 | 男女岩 |
所在地 | 美保関町美保関 |
Link | 男女岩:美保関町観光公式サイト|島根県松江市美保関町 |
須我神社奥宮・夫婦岩
須我神社(島根県雲南市大東町須賀260)は、古事記・日本書紀に記載されている須賀宮【すがのみや】であり、日本初之宮【にほんはつのみや】であるとされている。
その須我神社の奥宮として、須佐之男命、奇稲田比売命、清之湯山主三名狭漏彦八島野命の三神が祀られている岩座が夫婦岩である。大きさの異なる2つの大きな岩が寄り添うように並んでおり、その前方に小さな岩が一つ鎮座している。
須佐之男命【すさのおのみこと】が須我の地で、美しい雲の立ち昇るのを見て、詠んだのが次の三十一文字の和歌であり、日本で一番古い和歌であるとされている。
八雲立つ 出雲八重垣 つまごみに
八重垣つくる その八重垣を
この須我の地が「和歌発祥の社」と呼ばれる由縁にもなっている。なお、この和歌の中の「出雲」が出雲の国名の起元であり、「八雲立つ」は「出雲」の枕詞であるという。
名称 | 須我神社奥宮・夫婦岩 |
所在地 | 島根県雲南市大東町須賀 |
Link | 夫婦岩 | 雲南市ホームページ |
猫島
猫島と呼ばれる岩山が宮ヶ島(島根県益田市小浜町)の近くにある。名前の由来になっている「猫」の形を探してみるがなかなか納得できる「猫」の姿を見つけることができない。
猫が横たわっているような姿に見えなくもないが定かでない。
この角度から眺めると耳を立てた猫の頭(右側の岩山)と猫の背(左側の岩山)に見えるのだがどうだろう?
名称 | 猫島 |
所在地 | 島根県益田市小浜町 |
宮ヶ島
宮ヶ島は、日本絵画の巨匠・東山魁夷が宮内庁から障壁画の依頼を受け、障壁画「朝明けの潮」を完成させた際に、その構図のヒントにした岩礁と言われている。
美しい海に囲まれ、白い砂浜でつながる宮ヶ島・衣毘須神社への参道は、潮の満ち引きにより刻々と姿を変えるという。
大潮の時には参道が消え、島へ渡れなくなることから『山陰のモンサンミッシェル』とも呼ばれているらしい。
小浜海岸の岩礁、宮ヶ島に鎮座する衣毘須神社は、事代主之命【ことしろぬしのみこと】、えびす様とも呼ばれる神様を主祭神とする神社である。漁業の神様として、総本宮の美保神社から分霊されている。
名称 | 宮ヶ島 |
所在地 | 島根県益田市小浜町 |
Link | 宮ヶ島 衣毘須神社|【公式】島根県石見の観光情報サイト |
広島県の奇岩・奇石
千光寺・巨石群
千光寺【せんこうじ】は真言宗系の単立寺院で、千光寺公園内にある。山号を大宝山【たいほうざん】と称する。御本尊は千手観音である。(引用:ウィキペディア)
現在は烏帽子岩の頂に宝玉の代わりに玉が置かれ、夜になると三色に輝く
玉の岩は、周り50 m、高さ15 mもある千光寺当山第三の巨岩である。この大岩の頂には直径14 cm、深さ17 cmの穴があるが、この穴が光を放つ宝玉があった跡だといわれている。
非常に興味深い伝説が残っている。それは尾道で最も有名な千光寺の「玉の岩伝説」であり、尾道の地名にも深く関係している。昔、烏帽子岩(玉の岩)の頂にははるか遠くを照らす「宝玉」があったと伝えられている。
この山を大宝山といい、寺を千光寺、港を玉の浦と名付けられたのはこの伝説にもとづくものであるとされる。いったい宝玉は何で出来ていたのだろうか? 異国人による盗難で紛失したと伝わるが、その後の宝玉の行方を是非知りたいものだ。
千光寺は、珍しい形状の巨石が多数あることで有名な寺。本堂は三重岩を背後に崖にせり出すように建てられいる
千光寺第一の巨岩であるためこの巨岩の前に本堂を建立したのであろうか?
千光寺の鎮守は、熊野権現と石鎚蔵王権現であり、千光寺本堂裏には石の鳥居があって大正時代から石鎚蔵王権現が奉られていた。1926年3月に石鎚山へ登る鎖を取り付けたが、先の戦争が激化にした1943年に鐘と一緒に供出させられた。それ以来放置されていたが、2003年頃に住職(多田義信氏)による発案で石鎚山の整備が始まり、2005年から一般参拝客にも開放された。
石鎚権現は四国愛媛の石鎚山ではなく同地区にある浄土寺・瑠璃山(鎖山)にある石鎚権現を向いているという。
冬至には岩屋山山頂(向島)から朝日が昇るが、その御来光を真正面に拝める場所がすぐ横にある御船岩である。そのような配置を誰が考え、どのように実行したのか非常に興味深い。
「玉の岩」の宝珠または太陽や月の光を鏡のように反射させていたとの伝承がある。鏡には神が宿ると言われる。
岩の上を石で打つと「ポンポン」と鼓のような音がする。千光寺第二の巨岩
夫婦岩には烏天狗が刻まれている。自然にできたものでなく作者がいるはずだから烏天狗が描かれている理由もあるはずだ。理由を検索したが見つかない。謎が多いと人はそれを神秘的と言う。ミステリーはそのままにしておくのがよい場合もある。
千光院境内からは尾道の市街地と瀬戸内海の尾道水道や向島などが一望できる。浄土寺山展望台に並ぶ尾道最高の展望台の一つだ。
名称 | 千光寺・巨石群 |
所在地 | 広島県尾道市東土堂町15-1 |
Link | 尾道、千光寺、公式ホームページ |
山口県の奇岩・奇石
帯石山 普門寺・帯石
帯石山 普門寺は、弘法大師・空海による開基であると伝わる。弘仁二年(811年)、弘法大師は千手観音、脇士として不動明王と毘沙門天の三尊を自らの手で彫刻し、観音堂に安置されたという(この三尊は、戦火に遭い現存しない)。
奇石「帯石」には「南無阿弥陀仏」の名号を投筆し、その下に子安の地蔵尊を自ら刻って安置したという。
この名号は、金色に輝き、昼夜を問わず遠く伊予路からも見え、船人達の指針となって礼拝されたという。摩滅を恐れた石工が名号を彫ったので、その光は消えてしまったという伝説が残る。
弘法大師は、この岩に帯の形を刻まれ、「懐胎の者がこの岩の図を帯にして信心なる時は、その産安し。」と後世の女人安産を祈願されたという。この大師入魂の因縁により、かつては岩の苔をお守りとした。今日でも安産のお守り、安産岩田帯祈願の観音様として信仰され続けている。
名称 | 帯石山 普門寺・帯石 |
所在地 | 山口県大島郡周防大島町日前 |
Link | 帯石山 帯石観音(普門寺) | 周防大島町 |
真宮島
真宮島【しんぐうじま】は、道の駅サザンセトとうわから約100mの沖合いに浮かぶ無人島である。干潮時刻の前後3時間だけ現れる海の中道を歩いて本島(屋代島)から真宮島へ渡ることができる。
エメラルドグリーンの海に現れる、真宮島へと伸びる一本の道は自然の神秘が作り出すゆるやかなカーブで美しい。
名称 | 真宮島 |
所在地 | 道の駅サザンセトとうわ 山口県大島郡周防大島町西方1958-77 |
Link |
立岩
立岩は、海岸にそそり立つ高さ40mの安山岩である。馬頭観音が祀られている。
海岸は立岩海水浴場として整備されている。
名称 | 立岩 |
所在地 | 山口県大島郡周防大島町東安下庄鹿家 |
Link | 周防大島町 立岩 |
高知県の奇岩・奇石
鹿岡鼻・夫婦岩
夫婦岩(室戸市室戸岬町)は、海中からまっすぐに立つ二つの岩柱からなる奇岩で、国道55号線沿い、室戸岬町と佐喜浜町の境にある鹿岡鼻に位置する。
「夫婦岩」と呼ばれる奇岩は全国各地にあるが、鹿岡鼻のものは規模が大きい部類に入るという。
室戸岬周辺の激しい波によって侵食された巨岩が屹立するなかで、夫婦岩には注連縄が張られている。
夫婦岩は、タフォニと呼ばれる岩に付着した海水の塩分が結晶になる際の膨張で侵食されることで形作られたと言われている。
近づいてみると蜂の巣状に侵食された岩肌をはっきりと観察することができる。
名称 | 鹿岡鼻・夫婦岩 |
所在地 | 高知県室戸市室戸岬町 |
Link | 夫婦岩(室戸市) | 高知県観光情報Webサイト |
愛媛県の奇岩・奇石
須崎海岸
須崎海岸は、三瓶町内から海岸沿いを西へ向かった先に位置する、断崖絶壁に囲まれた標高約90mの小さな岬である。
約4億年前と推定されている縦じまの地層が大規模に広がっている場所であり、海岸には巨大な奇岩が林立している。宇和海の島々や佐田岬半島が見渡せ、遠く九州まで一望できる風光明媚な観光スポットである。
名称 | 須崎海岸 |
所在地 | 愛媛県西予市三瓶町周木 |
Link | 須崎海岸|愛媛県の公式観光サイト |
福岡県の奇岩・奇石
桜井二見ヶ浦・夫婦岩
糸島の北部に位置する桜井二見ヶ浦には大注連でしっかりと結ばれた夫婦岩と呼ばれる2つの巨岩がある。この場所には縁結び・夫婦円満を願うカップルが全国から集まる。
桜井二見ヶ浦は、櫻井神社の宇良宮【うらのみや】であり、夫婦岩の愛称で親しまれているこの巨大岩はご神体である。日本神話で国産みと神産みをした伊邪那岐命【イナナギ】と伊邪那美命【イナナミ】の二柱が祀られている。
夫婦岩の前の白い鳥居は、櫻井神社の鳥居である。櫻井神社はこの場所から直線距離で約1.5 kmほど離れている。
名称 | 桜井二見ヶ浦・夫婦岩 |
所在地 | 福岡県糸島市志摩桜井 |
Link | 筑前二見ケ浦 of sakuraijinja |
芥屋の大門
芥屋の大門【けやのおおと】は、糸島半島の北西部に位置する、日本最大の玄武岩の洞窟である。高さ64m、奥行90m、間口が10mもある日本最大の海食洞で、国の天然記念物にも指定されている。しかし、残念ながら陸上からは洞窟を眺めることはできない。海食洞は、遊覧船を利用して海上から見ることになる。
周囲一帯は六角形や八角形の玄武岩柱状節理が発達している。玄武洞(兵庫県豊岡市)や屋形石の七ツ釜【やかたいしのななつがま】(佐賀県唐津市)とともに「日本三大玄武洞」と称される。
先述したように、陸上からのアクセスが整備されていないため、洞窟観覧用の遊覧船を利用することになる。
洞窟観覧用の遊覧船を利用すれば、下記の写真のような海食洞を見ることができるという。次回訪問した際には是非、遊覧船を利用したいものである。
芥屋の大門は、玄海国定公園の指定区域に含まれている。
名 称 | 芥屋の大門【けやのおおと】 |
所在地 | 福岡県糸島市志摩芥屋 |
駐車場 | あり(無料)(芥屋の大門公園) |
Link | 芥屋の大門 | 糸島観光サイト・糸島市観光協会 |
長崎県の奇岩・奇石
野母崎・夫婦岩
野母崎地区の入口に位置する夫婦岩(長崎市以下宿町)は、地質学的には「野母変はんれい岩複合岩体」というもので、4億8千万年前にできたものだと言われれいる。
野母変はんれい岩露出地は県指定の天然記念物になっている。
野母崎半島の先端、野母崎の北部約4kmの海岸は、波に浸食を受けた海岸崖の景観を呈し、暗緑灰色の硬い岩石が露出している。
この岩石こそが野母変はんれい岩複合岩体と呼ばれ、玄武岩質のマグマが近深部で徐々に冷えてできた輝石や斜長石を主成分とする「はんれい(斑糲)岩」が地表に露出したものであると言われている。
長崎半島や西彼杵半島に広く分布する「長崎変成岩類」の形成年代が約6~9千万年前と推定されていることと比較すると、その古さが際立つ。
プレート境界に沈み込んだ古い地殻の断片が露出している可能性があると言われるのも納得できる。
この場所からは夫婦岩だけでなく軍艦島も同時に見えるので、車を停めて見物する人も多い。
私は妻と一緒に眺めたここの夕陽を大変気に入っている。
名称 | 野母崎・夫婦岩 |
所在地 | 長崎市以下宿町 |
Link | 長崎市│夫婦岩【公式サイト】 |
さざれ石
さざれ石は、もともと小さな石の意味であるが、長い年月をかけて小石の欠片の隙間を炭酸カルシウム(CaCO3)や水酸化鉄が埋めることによって、1つの大きな岩の塊に変化した石灰質角礫岩のことである。
この岩石を、日本の国歌である「君が代」の歌詞にある巌(いわお)であるとして、この岩石を指してさざれ石と呼ぶことも少なくない(引用:ウィキペディア)。
「君が代」の歌詞のさざれ石は、私たち一人一人をさしていて、一人の力は微力であるが、国民が力を合わせることで、大きな力(大きな巌)となることを表しているとされる。
名称 | さざれ石 |
所在地 | 長崎市上西山町18番15号 |
Link | 鎮西大社 諏訪神社【公式サイト】 |
熊本県の奇岩・奇石
押戸ノ石
「押戸ノ石」は、巨石群の中心をなす高さ5.5m、周囲15.3mの最大のものは高さ5.5メートル、周囲15.3メートルのピラミッド型をした巨岩であり、頂点の真北には北極星があるという。
不思議なことに、この石の周囲では磁気の働きが正常ではなく、コンパス(方位磁針)を近づけるとぐるっと回る。この石はパワースポットとして知られ、その力は強大であるため長居はしてはいけないという。
また「石に登ると雨が降る」という伝承と共に鬼達が夜な夜なこの山でいしなご(お手玉)をして遊んだ石「鬼のお手玉」とも伝えられ、古くから人々の信仰を集めてきた。
大岩には約4,000年前のシュメール文字がペトログラフ(岩刻文字)として刻まれていて他の石群とともに興味深い謎を秘めている。
人為とも思われる石の配置から太古の遺跡ではないかと推定されているが、すべてが解明されているわけではない。
名 称 | 押戸ノ石 |
所在地 | 熊本県阿蘇郡南小国町中 |
Link | 押戸石の丘|熊本県阿蘇群南小国町【公式サイト】 |
大分県の奇岩・奇石
東奥山七福神
東奥山七福神とは、国道387号線を玖珠町から院内町方面に向かう途中に、道路左前方に見える七つの大岩のことである。
この岩は永い間樹木におおわれ見えなかったが、1991年の台風によって樹木が倒されたために、道路から良く見えるようになったと言われている。
岩の数がちょうど七つであったことから「七福神」と呼ばれるようになったという。
名称 | 東奥山七福神 |
所在地 | 大分県玖珠郡玖珠町大字日出生宇戸 |
Link | 東奥山七福神 |
深耶馬渓・一目百景
耶馬渓【やばけい】は、大分県中津市にある山国川の上・中流域及びその支流域を中心とした渓谷であり、耶馬日田英彦山国定公園に含まれている。
新生代第四紀の火山活動によって生成された凝灰岩や凝灰角礫岩の熔岩台地が侵食されてできた奇岩の連なる絶景が見事であり、名勝に指定されている。
耶馬渓は、いくつかのエリアに分かれており、中でも特に有名なのは深耶馬渓【しんやばけい】、本耶馬渓【ほんやばけい】および奥耶馬渓【おくやばけい】である。
深耶馬渓は、山国川支流山移川支流に位置する渓谷で、一目八景が有名である。一度に海望嶺、仙人ヶ岩、嘯猿山、夫婦岩、群猿山、烏帽子岩、雄鹿長尾嶺、鷲の巣山の8つの景色が眺望できることから名付けられたという。
耶馬渓と言えば、通常、深耶馬渓を指すことが多い。
名 称 | 深耶馬渓・一目八景 |
所在地 | 大分県中津市耶馬溪町大字深耶馬3152 |
Link | 一目八景 | 中津耶馬渓観光協会 |
本耶馬渓・競秀峰
本耶馬渓は、山国川上流一帯の渓谷を指し、青の洞門や競秀峰で有名である。競秀峰は、本耶馬渓のシンボル的存在でもある。
山国川の下流側から一の峰、二の峰、三の峰、恵比須岩などの巨岩が約1キロに渡り連なり、それぞれの岩がその美しさを競っているように見えることから「競秀峰」と名付けられたとされる。
名 称 | 本耶馬渓・競秀峰 |
所在地 | 大分県中津市本耶馬渓町曽木 |
Link | 青の洞門 | 中津耶馬渓観光協会 |
あとがき
本稿で紹介した奇岩・奇石を改めて写真で見てみると、どれも実にユニークな姿をしている。これら奇岩・奇石がすべて大自然の造形物であるというところが凄い。
多分、自然の条件と偶然が重なってユニークな形状に形造られたのであろうが、何か大自然の見えない力が働いたようにしか見えない奇岩や奇石も存在する。
だからこそ古の人々はそのような奇岩や奇石を眺めながら、それら奇岩や奇石にまつわる物語を考え、いつしかそれが伝説となったと考えられる。奇岩や奇石を見た多くの人々が畏敬の念を感じたために、その伝説が真実であるかのごとく長く信じられてきたのであろう。とりわけ男女の悲恋の末に自らの命を賭して自らの思いを遂げた伝説は真実味があるだけに現代人の私たちの胸にも響く。
奇岩・奇石に少しでも興味を抱いた皆さんは、是非ここで紹介した奇岩・奇石を実際に自分自身の眼で確認し、感動を直に味わって頂きたい。おそらく写真で見るよりも数倍は大きな感動を得ることだろう。それは私の実体験から保証できる。