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自然と歴史が織りなす神秘の奇絶峡・摩崖三尊大石仏

はじめに

磨崖仏【まがいぶつ】は、石仏の一種で、自然の岩壁や露出した岩層面に彫刻された仏像のことのことである。石仏の一種ではあるが、独立した石材に彫られた仏像や、石窟を掘ってその中に彫刻された石窟仏とは区別される。

磨崖仏は、自然の岩壁に直接彫られているため、周囲の自然環境と一体化しているのが特徴である。磨崖仏は、自然の中で仏教の精神を感じることができる貴重な文化遺産である。

日本の磨崖仏の造立は、奈良時代や平安時代初期に始まり、平安時代後期から鎌倉時代にかけて盛んに造立されたらしい。

奇絶峡【きぜつきょう】は、和歌山県田辺市に位置する渓谷で、四季折々の自然の美しさを楽しむことができる。この奇絶峡に、「摩崖三尊大石仏」と呼ばれる摩崖仏がある。

中央の阿弥陀如来像は高さ約7.3m、右脇侍の勢至菩薩像と左脇侍の観音菩薩像はそれぞれ高さ約4.9mもあるという。この石仏は、日本画家の巨匠・堂本印象画伯の原画をもとに彫られたもので、その芸術的価値も高いと評価されている。


<目次>
はじめに
奇絶峡摩崖三尊大石仏
あとがき

奇絶峡摩崖三尊大石仏

奇絶峡【きぜつきょう】は、田辺市の会津川の上流にある渓谷で、ユニークな形をした大小無数の奇岩がいたるところに点在しており、四季折々の渓谷美をみることができる。

奇絶峡摩崖三尊大石仏

駐車場近くの道路脇から川向こうの山を見上げると巨大な一枚岩(高さ約16m、幅約22m)に刻まれた「磨崖三尊大石仏」の一部を見ることができる。何故、こんな場所に摩崖仏を彫ったのであろうか?

奇絶峡摩崖三尊大石仏

摩崖三尊大石仏は、堂本印象画伯が描いた三尊を基に彫られたものであるらしい。田辺市、田辺市観光協会および上秋津愛郷会の発願により、昭和41年(1966年)4月8日に開眼されたというから、岸壁に彫られたのがおよそ60年前ということになる。比較的新しい摩崖仏である。

この石仏は、地域の平和と繁栄を願って彫られたという。発願者たちは、仏教の教えを通じて地域社会の安寧を祈願したという。

奇絶峡の自然美と共に、この石仏は観光資源としても大きな役割を果たしているようだ。訪れる人々に感動を与え、地域の魅力を高めていると言えそうである。

名 称奇絶峡摩崖三尊大石仏
所在地和歌山県田辺市上秋津
駐車場あり(無料)
Link奇絶峡 – 和歌山県 田辺観光協会

あとがき

摩崖三尊大石仏は、不動の滝から約400mほど登ったところにある。残念ながら、私たちが訪れたときは橋が通行止めになっていて、不動の滝には行くことができなかった。そのため川沿いの道路から遠望するしか方法がなかった。

熊野磨崖仏臼杵摩崖仏と言った歴史の古い摩崖仏に比べれば、この奇絶峡にある摩崖三尊大石仏はまだ歴史と呼べるほどの長い年月を経ていない。しかしながら、彫った目的も、制作年月日も明確である。逆に、このことが、かつて摩崖仏に込められた願いや目的を推察する上でのヒントになるかも知れない。熊野磨崖仏臼杵摩崖仏が、何の目的もなく造られたはずがないと思うからである。


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