はじめに
胞山【えなさん】県立自然公園は、岐阜県の東端にある恵那山を中心とした領域に岐阜県が設定した自然公園である。恵那山は、中央アルプスの南部に位置し、かつては胞衣山【えなさん】あるいは胞山【えなさん】と表記されてきた山である。
伝承では、イザナギとイザナミが神坂峠を越えて、美濃国で天照大御神が誕生した際に胞衣【えな】 を納めた地であるとされる。胞衣とは、胎児を包む膜及び胎盤のことを指すという。
そのため恵那山にはイザナギとイザナミを主祭神として祀っている恵那神社が鎮座している。恵那神社奥宮本社は山頂に、恵那神社前宮本社は山腹(中津川市川上)に鎮座する。
胞山県立自然公園は、亜高山性樹林や灌木、チシマザサに覆われた恵那山の山岳景観に加え、根の上高原や富士見台高原といった高原と湖が一体となった自然景観が見られる自然公園である。
恵那山
恵那山【えなさん】(標高2,191m)は、中央アルプス(木曽山脈)の最南端に位置する山で、胞山県立自然公園の指定区域に含まれている。
残念ながら山頂の展望台は、周囲にトウヒやコメツガなどの背が高い針葉樹林があるため、展望はあまり良くないという。
しかし、登山道沿い、特に恵那山頂避難小屋の裏の岩場からは、北アルプス、木曽御嶽山、中央アルプス、南アルプス、富士山などの展望が得られるらしい。
北東にある富士見台高原の真下を、中央自動車道の恵那山トンネルが通っている。
名 称 | 恵那山 |
所在地 | 長野県下伊那郡阿智村・岐阜県中津川市 |
Link | 恵那山 | 日本百名山.net |
富士見台高原
富士見台高原(標高1,739m)は、恵那山の北東に位置する、中央アルプス(木曽山脈)上のゆるやかな起伏の高原である。胞山県立自然公園の指定区域に含まれている。
高原の広さは約1,000haもあり、高原の一面をクマザサ(熊笹)が覆っていて樹木がほとんどない。そのため恵那山、北アルプス、南アルプスや中央アルプスの山々を見渡すことができる。
高原の名称が「富士見台」となっているが、残念ながら富士山は見えないようだ。
富士見台高原までは車とロープウェイで行けるので、体力不足のシニアには助かる。屈指の紅葉の名所(例年の見頃は10月上旬~下旬)としても知られている。
名 称 | 富士見台高原 |
所在地 | 岐阜県中津川市神坂 |
Link | 富士見台高原|岐阜県観光公式サイト |
富士見台高原ロープウェイ
ヘブンスそのはら
富士見台高原ロープウェイ ヘブンスそのはらは、冬季は「ヘブンスそのはらSNOW WORLD」の名称で、スキー場として営業している。
富士見台高原ロープウェイは、山麓駅から山頂駅まで、定員12名のゴンドラで運用されている。
ヘブンスそのはらは星空が綺麗なことで知られており、星空の天体観測ツアーとして「天空の楽園 日本一の星空ナイトツアー」を有料で実施しているという。
秋は例年10月中旬から紅葉の名所として知られるほか、11月ともなれば早朝に雲海を観ることができる日が増えるという。
名 称 | 富士見台高原ロープウェイ ヘブンスそのはら |
所在地 | 長野県下伊那郡阿智村智里3731-4 |
Link | 富士見台高原ロープーウェイ ヘブンスそのはら 秋〜Autumn Season | 富士見台高原ロープウェイ |
昼神温泉
昼神温泉【ひるがみおんせん】は、かつての国鉄が中津川線を建設しようとトンネル工事した際に掘り当てた温泉であると言われている。泉質は、アルカリ性(pH9.7)の単純硫黄泉である。
昼神温泉の温泉街は、比較的歴史の新しい温泉地であるため、最初の宿泊施設が開業したのは1975年頃であるとされる。現在では宿泊施設の数は20軒以上を数え、温泉街としての規模は長野県南部では随一と言われている。阿智村の条例で、ネオンサインや風俗店など公序良俗に反する施設の出店が禁止されているために、のどかなで穏やか風景が広がる温泉街が特徴的とされる。
名 称 | 昼神温泉 |
所在地 | 長野県下伊那郡阿智村 |
Link | 南信州 昼神温泉公式観光サイト | 日本一の星空の村 |
神坂峠
神坂峠【みさかとうげ】(標高1,569m)は、中央アルプス(木曾山脈)南部の主稜線上の富士見台高原と恵那山の鞍部に位置する峠である。胞山県立自然公園の指定区域に含まれている。
岐阜県側からは林道大谷霧ヶ原線で峠までの車両乗入れは可能である。一方、長野県側の峰越林道は崩落の危険があり、一般車両の通行が禁止されている。
神坂峠は、かつて東山道が通る交通の要所であり、難所であった峠である。その険しい道程から東山道第一の難所として知られ、荒ぶる神の坐す峠として「神の御坂」と呼ばれたという。
名 称 | 神坂峠 |
所在地 | 岐阜県中津川市、長野県下伊那郡阿智村 |
Link | 神坂峠遺跡 文化遺産オンライン (nii.ac.jp) 神坂峠(長野県・岐阜県)<峠と旅> |
根の上高原・保古の湖
根の上高原【ねのうえこうげん】は、岐阜県中津川市と恵那市にまたがる高原(標高約900m)であり、胞山県立自然公園の指定区域に含まれる。
根の上高原には、保古山(標高930m)と、根の上湖【ねのうえこ】・保古の湖【ほこのこ】と呼ばれる2つの灌漑用人造湖がある。これら2つの湖は導水路で繋がっており、特に保古の湖の湖畔が景勝地となっている。
保古の湖の周囲は、約5kmで、最大水深は16mとされる。湖畔には国民宿舎恵那山荘などの宿泊施設があるほか、根の上高原保古の湖キャンプ場のバンガローやロッジが整備されている。
春から秋にかけては、釣りやカヌー、キャンプや湖畔の散策が楽しめる。根の上高原は紅葉の名所としても知られている。
私たちが訪れたのは10月中旬で、紅葉は始まりかけたばかりであった。2023年の紅葉は10日ほど遅れているようだ。全高原に広がる紅葉を見ることはできなかったのは非常に残念であった。
一方、冬季(11月1日~2月28日) は湖面が凍結するため、その氷を割ってワカサギ釣り(有料)ができるという。
名 称 | 保古の湖 |
所在地 | 岐阜県中津川市茄子川 |
Link | 根の上高原公式ホームページ – 根の上高原 保古の湖【岐阜県恵那市観光サイト】恵那市観光協会 |
あとがき
本稿で記載した胞山県立自然公園は、岐阜県の中津川市と恵那市に位置する自然公園であり、近いうちに訪ねてみたいと思っている旅の候補地である。この目で確認でき次第、本稿をupdateしたいと思う。