はじめに
八坂神社【やさかじんじゃ】は、京都市東山区に位置し、創建は斉明天皇2年(656年)とされる神社である。平安時代以前から存在する歴史の長い神社である。元々は祇園神社や祇園社と呼ばれていたが、明治初期の神仏分離令によって「八坂神社」に改名させられたという。今でも地元では「祇園さん」として親しまれている。八坂神社の祭礼が「祇園祭」と称される由来もここにある。
八坂神社は、全国に約2,300社もあるとされる祇園社(現在は八坂神社)の総本社でもある。御祭神は、素戔嗚尊【スサノオノミコト】とその妻の櫛稲田姫命【クシナダヒメノミコト】の他、八柱御子神【やはしらのみこがみ】などが祀られている。素戔嗚尊は、あらゆる災いを祓う神様として信仰されており、参拝者の数も多い。
八坂神社
八坂神社【やさかじんじや】は、素戔嗚尊命【スサノオノミコト】を主祭神とする神社で、全国各地に約2,300社もあるという。総本社は、八坂神社(京都市)で、「祇園さん」として古くより京都の人々に親しまれてきた。
平安時代初期に都で流行した疫病による大災厄の発生を政治的に失脚して処刑された人の怨みによる崇りであろうと当時の人々は考えたようだ。
最初はその御霊を祭ったが、怒りを鎮められなかった(すなわち 災厄を回避することができなかった)ので、より強い神仏が求められた。
そこで日本神話で 八岐大蛇 (ヤマタノオロチ=あらゆる災厄)を退治し、クシイナダヒメノミコトを救って、地上に幸いをもたらしたとされる素戔嗚尊命を祭ったのが起源とされている。
災厄を鎮める神様として全国的に知られ、信仰が厚い。日本三大祭の一つとして有名な祇園祭は、疫病が鎮まるようにとの祈りを込めて約1150年前(平安時代)に始まった八坂神社の祭礼であるとされる。
八坂神社の主祭神である素戔嗚尊は、牛頭天王【ごずてんのう】とも称し、また薬師如来を本地仏として、人々の疫病消除の祈りを聞き届け、多くの祈りはやがて祇園信仰となった。
八坂神社では今も祭礼を通して氏子の暮らしに息づく祇園信仰を要として、神仏が相和して人々の祈りに応えた時代に照らしながら、人々の心豊かな生活に寄り添っているという。
八坂神社の境内には本殿以外に多くの社が鎮座しており、中でも縁結びの神さまとして知られる大国主命を祀る大国主社には女性の参拝客が絶えず参拝していた。八坂神社はいつも多くの参拝者で混雑しており、人物を入れずに写真を撮ることはできない。
名 称 | 八坂神社 |
所在地 | 京都府京都市東山区祇園町北側625 |
駐車場 | なし |
Link | 八坂神社 (yasaka-jinja.or.jp) |
あとがき
八坂神社の祭礼である「祇園祭」は、日本三大祭の一つであり、毎年7月1日から31日までの1か月間にわたって行われる大規模な祭礼である。この祭礼は、平安時代の貞観年間(859~877年)に疫病退散を祈るために始まったとされている。
祇園祭の主な行事
- 吉符入【きっぷいり】
- 7月1日に行われる祭礼の始まりを告げる儀式
- 神輿洗式【みこしあらいしき】
- 7月10日と28日に行われる神輿を清める儀式
- 宵山【よいやま】
- 前祭:7月14日から16日に行われる夜の行事
- 後祭:7月21日から23日に行われる夜の行事
- 山鉾【やまほこ】や鉾【ほこ】がライトアップされる
- 山鉾巡行【やまほこじゅんこう】
- 前祭:7月17日に行われる
- 後祭:7月24日に行われる
- 34基の山鉾が京都市内を巡行する
- 豪華絢爛な装飾の山鉾は「動く美術館」とも称される
- 神幸祭【しんこうさい】
- 7月17日に行われる行事
- 神輿が八坂神社から御旅所【おたびしょ】へ渡御する
- 還幸祭【かんこうさい】
- 7月24日に行われる行事
- 神輿が御旅所から八坂神社へ戻る
- 疫神社夏越祭【えきじんじゃなごしさい】
- 7月31日に行われる行事
- 茅の輪【ちのわ】をくぐって無病息災を祈る
祇園祭は、疫病退散や無病息災を祈る祭礼として始まったが、現在では京都の「夏の風物詩」として多くの観光客が訪れる一大イベントとなっている。
ところで、祇園祭と称する夏祭りは日本各地の神社でも執り行われている。その理由としては「祇園信仰」なるものが多分に影響していると考えられている。
八坂神社(京都)を中心とする祇園信仰は、平安時代に疫病を鎮める目的で始まったとされる。この信仰の核心には、疫病や災害から人々を守る牛頭天王【ごずてんのう】(=スサノオ)への崇拝がある。八坂神社の祇園祭が、その信仰の象徴として、疫病退散を祈る祭りとして始まったことは、前述のとおりである。
この祇園信仰は、全国に広がり、各地で独自の形式を取りながら発展してきたとされる。日本各地の祇園祭は、地域ごとの文化や伝統を反映して五穀豊穣を祈願しながらも、共通して疫病退散や無病息災を祈る祭りとして行われていることが多い。
日本各地の祇園祭を祭礼としている神社の主祭神は、牛頭天王(=スサノオ)であるが、地域によっては他の神様も祀られることがある。そのため、祇園祭は日本全国で多様な形で執り行われるようになり、地域ごとの特色を持つ伝統の祭りとして地元の人々に愛され、親しまれているのであろう。
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