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火山が生んだ神秘の湖沼が魅力的な阿寒摩周国立公園

はじめに

阿寒摩周【あかんましゅう】国立公園は、北海道道東エリアに位置する美しい自然公園である。特に、火山活動によって形成されたカルデラ湖などの天然湖沼が魅力的である。屈斜路湖摩周湖阿寒湖などのカルデラ湖は、国内有数の観光地になっている。

国立公園内のほぼ9割以上が自然保護地域(手つかずの未開発地域)として保全されているため、豊かな生態系も魅力である。

阿寒摩周国立公園は、屈斜路湖摩周湖阿寒湖などの雄大なカルデラ湖を中心に、雄阿寒岳や雌阿寒岳などがそびえる、湖と火山の自然公園と言えるかも知れない。さらに、太古の原生林が加わった原始的景観を誇る自然公園として知られている。

目次
はじめに
屈斜路湖・見幌峠
摩周湖
阿寒湖
オンネトー
双湖台展望台
あとがき

屈斜路湖

屈斜路湖【くっしゃろこ】は、日本最大のカルデラ湖で、湖岸距離が約57㎞、面積は約79㎢もある。湖の中央付近には中島がある。この中島は、周囲が12㎞の無人島で、淡水湖内では日本で一番大きい島とされている。

見幌峠から眺める屈斜路湖(日本一のカルデラ湖)

屈斜路湖を一望する場所としては、美幌峠【びほろとうげ】や津別峠【つべつとうげ】が知られているが、美幌峠の方が私は好きである。その理由は、美幌峠の展望台からは、屈斜路湖全体を見渡すことができ、特に湖の中央に浮かぶ中島や、周囲の山々とのコントラストが美しく、まさに「天下の絶景」に相応しい眺望が楽しめるからである。

見幌峠から眺める屈斜路湖

また、美幌峠は、弟子屈町と美幌町の境に位置しており、国道243号線沿いにある。道の駅「ぐるっとパノラマ美幌峠」も併設されており、駐車場や休憩施設が充実している。交通アクセスも良く、観光の合間に立ち寄るのに便利である。これらの理由により、見幌峠をおススメしたい。

名 称屈斜路湖美幌峠
所在地北海道川上郡弟子屈町屈斜路
駐車場あり(無料)美幌峠駐車場
Link屈斜路湖|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

美幌峠

美幌峠は、北海道の網走郡美幌町と川上郡弟子屈町を結ぶ国道243号線沿いに位置し、標高525mの場所にある。屈斜路湖が望める峠として有名である。

美幌峠からの眺望

見幌峠の展望台から望む屈斜路湖は、樹木の緑と青空のコントラストが見事であり、「絶景」と表現するしかない。

美幌峠からの屈斜路湖の眺望

屈斜路湖周辺には、近年、クマゼミの勢力増大により、すっかり姿を見なくなってしまったミンミンゼミなどの希少な生物が生息しているという。

名 称美幌峠
所在地北海道弟子屈町屈斜路
駐車場あり(無料)
Link美幌峠 | 弟子屈なび

摩周湖

摩周湖【ましゅうこ】は、湖岸距離が約20㎞、面積約19㎢のカルデラ湖である。摩周湖は、世界屈指の透明度を誇り、その神秘的な美しさから「カムイトー神の湖)」と呼ばれる。

また、摩周湖は、霧に包まれることが多く、「霧の摩周湖」とも呼ばれている。特に6月から7月にかけては霧が多く発生し、幻想的な風景を楽しむことができるという。

湖面が綺麗な摩周湖(カルデラ湖) 日本で最も透明度が高い湖として知られる。夕暮れ時であったので「摩周ブルー」の 湖面でないが(?)、全景を眺められたのは幸運だった!

摩周湖の美しい湖面の青色は「摩周ブルー」とも呼ばれる。湖には流入する川がなく(流出する川もない!)、雨水だけが主たる水源であるため、透明度が高く保たれているのだという。まさに神秘的な湖である。

摩周湖(カルデラ湖)

摩周湖のビュースポットには、摩周第一展望台、摩周第三展望台および裏摩周展望台があるが、一番人気は摩周第一展望台であるかも知れない。その理由は、美しい湖面と共に摩周岳やカムイシュ島などが展望できるからである。

名 称摩周湖
所在地北海道川上郡弟子屈町弟子屈原野
駐車場あり(無料)
Link摩周湖|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

阿寒湖

阿寒湖【あかんこ】は、火山活動によって形成されたカルデラ湖で、湖岸距離は約30㎞、面積は13.28㎢もある。湖畔には温泉が湧き出しているため、阿寒湖畔には温泉街もある。観光と一緒に天然温泉も楽しむことができる。

阿寒湖

阿寒湖と言えば、国の特別天然記念物であるマリモが生息する湖として有名である。マリモが生息する国内唯一の湖である。

阿寒湖

阿寒湖のマリモは、藻が集まって球状になっているのが特徴である。これは阿寒湖の澄んだ水質と、独特(偶然?)の自然環境や自然現象が重なった奇跡であるとされる。研究によれば球状のマリモが群生するのは世界的にも非常に珍しい現象であるという。

阿寒湖

阿寒湖では、阿寒観光船を利用して遊覧船観光が楽しめるほか、カヌーなどのアクティビティも楽しめる。

阿寒湖

阿寒湖温泉は、観光の拠点として人気がある。湖畔の温泉宿でリラックスしながら、阿寒湖の美しい景色を大いに楽しみたい。

阿寒湖

阿寒湖周辺にはアイヌ民族の集落(コタン)があり、アイヌの伝統文化に触れることができる。アイヌシアター「イコロ」では、アイヌの古式舞踊や現代舞踊を組み合わせたショーが楽しめる。

名 称阿寒湖
所在地北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉
駐車場あり(無料)
Link阿寒湖|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

オンネトー

オンネトーは、阿寒摩周国立公園の最西端に位置する堰止湖【せきとめこ】で、阿寒湖の東側に位置する雌阿寒岳の西山麓にある。湖岸距離が約2.5kmと比較的小さいが、美しい湖である。

公共交通機関は利用できないが、阿寒湖から車でおよそ30分で到着できる。

オンネトー雌阿寒岳と雄阿寒岳

オンネトーという名前の由来は、アイヌ語で「年老いた沼」あるいは「大きな沼」を意味するという。その神秘的な美しさの魅力から「五色沼」とも呼ばれている。

オンネトー(阿寒摩周国立公園内にある湖沼)、雌阿寒岳(左)と雄阿寒岳(右)

オンネトーは、季節や天候、見る角度によって湖面の色が変わる神秘的な湖であることで知られる。晴れた日の深い青、曇った日のエメラルドグリーン、朝方の淡い水色など、さまざまな表情を見せてくれる。湖の色が変わる神秘的な湖であることから五色沼とも呼ばれているらしい。私のお気に入りの天然湖沼である。

オンネトー

オンネトーは、雌阿寒岳の噴火により西麓の螺湾川【らわんがわ】の流れが止められてできた堰止湖【せきとめこ】である。湖畔周辺には原生林の間に整備された散策路があり、大自然を満喫できるのもこの湖を気に入っている点である。

オンネトー

無風の時には湖面が鏡のようになり、周囲の木々や山々、それに空の雲が映り込む美しいリフレクションが見られる。特に朝方が狙い目で、幻想的な風景を楽しむことができる。

オンネトー

オンネトーは、北海道の他の観光地に比べて比較的観光客が少なく、静かな環境で自然の美しさを堪能できる。湖の周囲には原生林が広がり、エゾシカやキタキツネなどの野生動物にも出会えることがあるという。

オンネトー:場所によって湖面の色が変わる。2度目でも感動した!

天気の良い日には、ここでゆっくりと時間を過ごしたい。

名 称オンネトー
所在地北海道足寄郡足寄町茂足寄
駐車場あり(無料)
Linkオンネトー|【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

双湖台展望台

阿寒横断道路(国道241号)区間の大半は、阿寒摩周国立公園の原生林が広がる山岳地域の中にある。その道中に、ペンケトーパンケトーの二つの湖を展望できる双湖台展望台がある。双湖台展望台へは阿寒湖から車で約20分ほどで来れる。駐車場も完備されている。

ペンケトーはアイヌ語で「上の湖」、パンケトーは「下の湖」を意味し、どちらも透明度が高く、美しい青色が特徴である。

道沿いには木造の展望デッキがあり、湖の美しい景色を楽しむことができる。双湖台展望台は、観光客が少なく、静かな環境で自然の美しさを堪能できる。湖の周囲には原生林が広がり、エゾシカやキタキツネなどの野生動物にも出会えることがあるという。

私たちが訪れたのは、夕暮れ時で、しかも天候が曇天であったので、絶景を眺めることができなかったのは残念である。次回に期待したい。

名 称双湖台展望台
所在地北海道釧路市阿寒町双湖台
駐車場あり(無料)
Link双湖台 | 釧路・阿寒湖観光公式サイト

あとがき

北海道は広大であるので、自分の思い通りに点在する景勝地を巡るにはどうしても車を利用しないと不便である。北海道の道を愛車で走行したいという気持ちはあるが、神戸から車で行くには北海道は遠すぎる。仕方なく空路で北海道に行き、空港でレンタカーを借りることになる。北海道の道路は広くて、カーブも少ないので慣れないレンタカーでも走りやすい。北海道の大地をまっすぐに延びる道路をドライブしたことが昨日のことにように良き想い出として残る。

阿寒摩周国立公園内の景勝地を巡った旅は北海道の旅のなかでも特に強く記憶に残っている。それは本州とは違う北海道の大自然が色濃く残る場所であるからに違いない。見幌峠やオンネトーのように何度訪れても感動する景勝地が含まれる国立公園への旅は最高である。


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