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  • 中部山岳国立公園を歩く──天空の自然美と名瀑・名湯に癒される旅

    目次
    はじめに
    中部山岳国立公園の魅力
    北アルプスの名峰を歩く
    上高地から穂高連峰へ
    表銀座縦走コースで槍ヶ岳へ
    立山・室堂の高原風景
    剱岳の気迫
    乗鞍高原から乗鞍岳へ
    名瀑を訪ねる
    称名滝
    折尾ノ大滝
    平湯大滝
    三本滝
    善五郎の滝
    番所大滝
    名湯の癒し
    白骨温泉
    平湯温泉
    福地温泉
    新穂高温泉
    歩き方のポイント
    北アルプスの山岳一覧
    北アルプスの天然湖沼一覧
    北アルプスのダム湖一覧
    あとがき

    はじめに

    日本アルプスは、中部地方の3つの山脈(飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈)の総称であるが、各山脈はそれぞれ北アルプス中央アルプス南アルプスと呼ばれることが多くなっている。

    中部山岳国立公園は、長野、岐阜、富山、新潟の4県にまたがる飛騨山脈北アルプス)を中心とした国立公園で、北アルプスの名峰群を中心に広がる雄大な山岳地帯である。槍ヶ岳・穂高岳・立山・剱岳──日本の山岳美を象徴する標高3,000m級の山々が10座以上も連なり、稜線に立てば「天空の自然美」と呼ぶにふさわしい風景が広がる。

    さらに、上高地や乗鞍高原などの高原があるだけでなく、天然湖沼やダム湖、名瀑と称される滝の名所が目白押しである。名湯や秘湯も点在し、歩く旅と癒しの旅が自然にひとつにつながるエリアである。


    中部山岳国立公園の魅力

    ──名峰と名瀑がつむぐ山岳景観

    北アルプスは、花崗岩の白い岩肌と鋭い稜線が特徴で、山岳景観の美しさは日本随一である。 深い谷には名瀑が落ち、雪解けの季節には水量が増して迫力を増す。 さらに、山麓には古くから湯治場として親しまれてきた名湯が点在し、山旅の疲れを静かに癒してくれる。


    北アルプスの名峰を歩く

    ──稜線の風と静けさ


    上高地から穂高連峰へ

    上高地【かみこうち】(標高約1,500m)は北アルプスの玄関口として知られ、梓川の清流と穂高連峰の姿が美しい。 河童橋から眺める穂高は、季節ごとに表情を変え、訪れるたびに新しい静けさを感じさせる。上高地は、梓川上流に位置する堆積平野で、大正池から横尾までの約10kmの平坦地を指す。梓川に架かる河童橋は、上高地のシンボルとなっている。

    上高地は、温泉もある景勝地で、穂高連峰や槍ヶ岳への登山基地にもなっている。私は穂高岳への登山のために上高地に何度が足を運んでいるが、上高地をゆっくりと散策した経験が少ない。今度は上高地で滞在して、のんびりと散策してみたいものだ。

    穂高岳は、北アルプスの盟主的存在の山塊で、北穂高岳、涸沢岳、奥穂高岳、前穂高岳、西穂高岳からなる穂高連峰全体を指す。

    奥穂高岳(標高3,190m)は、穂高連峰の主峰であり、北アルプス最高峰であると共に日本第3位の高峰である。

    奥穂高岳の北側には涸沢岳、北穂高岳、南岳、中岳、大喰岳と山稜が連なっており、さらに北に位置する槍ヶ岳も含めて槍・穂高連峰と呼ばれることも多い。

    また、奥穂高岳の東側には屏風の頭、前穂高岳、明神岳と連なる吊尾根と呼ばれる山稜がある。

    奥穂高岳の南西側には西穂高岳【にしほたかだけ】(2,909m)や西穂高独標がある。その延長線上に焼岳が位置している。

    山麓へは奥穂高岳より吊り尾根を経て、前穂高岳に至り、涸沢カールを下れば、上高地に至る。

    涸沢【からさわ】は、穂高岳への登山の拠点で、奥穂高岳と前穂高岳に挟まれた吊り尾根よりU字型にえぐられた圏谷(涸沢カール)で、夏でも雪渓が残る。


    西穂高岳【にしほたかだけ】(標高2,909m)は、穂高連峰を構成する山で、奥穂高岳の南西に位置する。

    無雪期の登山シーズン中に、新穂高ロープウェイの終点の西穂高口駅や上高地からの登山者で賑わう。西穂独標までは、穂高岳の入門コースとなっているが、西穂独標から西穂高岳山頂までは熟達者向きの登山コースとなる。山頂から奥穂高岳までの区間の岩稜は北アルプスの主稜線上では屈指の難コースとなっている。

    焼岳【やけだけ】(標高2,455m)は、北アルプス南部に位置する、長野県と岐阜県にまたがる活火山である。焼岳は隣接する白谷山、アカンダナ山(2,109m)、割谷山と共に焼岳火山群を構成する。

    山頂付近には火口湖の正賀池【しょうがいけ】を挟んで南側が南峰、東側に北峰、北側には爆裂火口がある。南峰は焼岳の最高点であるが、岩が崩れやすいため、立ち入り禁止になっている。

    正賀池は、北アルプス南部に位置する焼岳(標高2455.5m)の山頂部にある火口湖である。

    名 称正賀池
    所在地長野県松本市安曇
    Link正賀池(長野県松本)

    明神池【みょうじんいけ】(標高約1,425m)は、上高地の明神橋を渡った梓川の対岸に位置する湖沼である。

    明神池は、明神岳で土砂崩れが起き、梓川支流の沢がふさがれてできた堰止湖である。

    湖面に映る木々が美しく、神秘的な感覚を味わいながら散策が楽しめるため人気が高い観光スポットとなっている。

    名 称明神池
    所在地長野県松本市安曇上高地
    Link明神池 – 上高地ウェブサイト

    大正池【たいしょういけ】(標高1,500m)は、上高地にある堰止湖である。大正4年(1915年)に活火山の焼岳が噴火し、泥流によって梓川が堰き止められてできた湖沼である。

    池にある立ち枯れの木々の景観は非常に珍しく、国の特別名勝特別天然記念物にも指定されている。

    名 称大正池
    所在地長野県松本市安曇上高地
    Link大正池 – 上高地ウェブサイト

    田代池【たしろいけ】は、上高地内に位置し、大正池に隣接する堰止湖である。大正時代に焼岳の噴火により流れ出た溶岩が梓川左岸の支流・千丈沢をせき止めたことでできた浅い湖沼である。

    周囲は霞沢岳の湧水により湿原になっている。水の透明度が高いため、湖面には北アルプスの山並みが映り、イワナなどの川魚も生息している。

    名 称田代池
    所在地長野県松本市
    Link田代池・田代湿原 – 上高地

    表銀座縦走コースで槍ヶ岳へ

    燕岳【つばくろだけ】(標高2,763m)は、北アルプス・常念山脈(長野県)に位置する山である。白っぽい山容が特徴的な山であり、私が好きな山の一つである。

    中房温泉に登山口があり、大天井岳を経て槍ヶ岳へ向かう「表銀座縦走コース」の始点になる山でもある。

    大天井岳【おてんしょうだけ】(標高2,922m)は、北アルプス暗部の飛騨山脈に位置する、長野県の大町市・安曇野市・松本市にまたがる山である。燕岳を起点に槍ヶ岳【やりがたけ】へ登る「表銀座縦走コース」と常念山脈との分岐点の山である。

    槍ヶ岳(標高3,180m)は、北アルプス南部に位置する、長野県松本市、大町市と岐阜県高山市にまたがる山である。

    天空に槍を衝く形が特徴的な高山であり、北アルプスシンボル的な存在である。多くの登山者の憧れの的となっている。

    天候に恵まれれば、「表銀座縦走コース」の縦走路から槍ヶ岳がその特徴的な姿を見せてくれるので、気分はルンルンとなり、人が居なければ口笛や鼻歌が自然と出てくる。

    槍ヶ岳を中心として東西南北にそれぞれ東鎌尾根西鎌尾根槍穂高連峰北鎌尾根と呼ばれる稜線(尾根)が延びている。さらに東南に槍沢、南西に飛騨沢(槍平)、北西に千丈沢、北東に天上沢の四つの沢がある。

    梓川源流部の槍沢上部標高2,500 m付近の天狗原には天狗池があって、周辺は圏谷(カール)地形となっている。あたりは氷河公園と呼ばれる。


    立山・室堂の高原風景

    室堂は標高2,450mに位置し、手軽に「天空の世界」を歩ける場所だ。ミクリガ池や地獄谷の火山地形が広がり、立山【たてやま】の雄大な山容が間近に迫る。

    ミクリガ池

    立山は、北アルプス北部・立山連峰に位置する、群峰を指す。狭義の立山は立山本峰【たてやまほんみね】を指す。立山本峰とは、雄山【おやま】(標高3,003m)、大汝山【おおなんじやま】(3,015m)、富士ノ折立【ふじのおりたて】(2,999m)の三峰のことである。雄山の頂上には雄山神社の峰本社神殿が鎮座している。日本では数少ない氷河が現存する。

    一方、広義の立山は立山三山を指す。立山三山とは雄山と南側の浄土山【じょうどさん】(北峰:2,831m、南峰:2,830m)、北側の別山【べっさん】(2,880m)を含んだ呼び名である。立山三山(浄土山・雄山・別山)は、それぞれ阿弥陀「過去」、釈迦「現在」、弥勒「未来」の三世諸仏に擬えられる。

    ミクリガ池(標高2,405m)は、約1万年前にできた周囲約630m、水深約15mの火口湖である。北アルプスで最も美しい火山湖といわれている。

    ミクリガ池

    室堂ターミナルから舗装された遊歩道を歩いていくと美しいミクリガ池が姿を現す。そして紺碧の湖面に雄大な立山を映し出してくれる。ミクリガ池は室堂のシンボルとなっている。

    名 称ミクリガ池
    所在地富山県中新川郡立山町室堂
    Link富山県/みくりが池
    みくりが池温泉

    剱岳の気迫

    剱岳【つるぎだけ】(標高2,999m)は、北アルプス北部の立山連峰に位置する、富山県の上市町と立山町にまたがる山である。剱岳は日本を代表する岩峰で、険しさと美しさが同居する。 登頂は難しいが、室堂から眺める剱岳の姿は圧倒的で、山の気迫を感じさせる。

    雪を纏わない剱岳は、黒っぽい岩石の塊のような山容で、何人も寄せ付けないような雰囲気を醸し出している。また、剱岳には三ノ窓氷河小窓氷河のような氷河が現存する。大きな雪渓として知られる剱沢雪渓もある。

    氷河に削り取られた氷食尖峰で、その峻険な山容については登山家から「岩の殿堂」あるいは「岩と雪の殿堂」と呼ばれている。

    剱岳は眺める方向と角度によってその姿を変える点もツェルマット(スイス)にあるマッターホルンに似ていて素晴らしいと思う。

    剱岳の難所として「カニのヨコバイ」や「カニのタテバイ」と呼ばれる鎖場が有名である。剱岳は登山者にとって最も危険度の高い山とされ、稜線での滑落事故や岩場・雪山での遭難も多く報告されている。

    仙人池【せんにんいけ】は、八ツ峰として展望できる険しい山容の剱岳【つるぎだけ】を見ることができる位置にあり、運が良ければ湖面に映り込む幻想的な「鏡剱」を写真に収めることもできる。まさに山岳写真の愛好家にとっては憧れの撮影スポットの一つとなっている。

    仙人池の湖畔には仙人池ヒュッテがあり、この古びた山小屋で連泊してベストショットを狙う山岳写真愛好家に出会うのは難しいことではない。

    剣沢小屋からの夕景

    山小屋の檜風呂に入りながらその瞬間を待つためだけに滞在する。そんな人を羨ましく思った経験が私にはある。当時の私はひたすら登山だけを楽しみにしていたが、そんな私にも絶景の「鏡剱」が見れた嬉しい想い出がある。

    只、一眼レフカメラでフルサイズの写真を撮っていないのは残念である。登山できる体力をつけて、絶景を撮影するためにも再訪したいものである。

    名 称仙人池
    所在地富山県中新川郡立山町芦峅寺
    Link仙人池ヒュッテ
    仙人池ヒュッテ・北アルプス

    乗鞍高原から乗鞍岳へ

    乗鞍岳【のりくらだけ】(剣ヶ峰;標高3,026m)は、北アルプス南部に位置する、長野県松本市と岐阜県高山市にまたがる最高峰、剣ヶ峰を主峰とする山々の総称である。

    個人的な感想かも知れないが、乗鞍岳は登っているときよりも遠くから眺めた方がその山容の美しさが際立つ。

    乗鞍岳の麓に広がる乗鞍高原は、夏は避暑地として、冬はスキー場として賑わう。

    山頂部の火口湖、権現池を取り囲む外輪山は、最高峰が剣ヶ峰のほか、朝日岳、摩利支天岳、富士見岳など23の峰々で構成される。

    権現池が姿を現すのは、万年雪が融ける夏のわずかな時期だけであり、さらに天候が良くないと見ることができない。だから権現池を見ることができたということは幸運に恵まれたと言える。

    山の天候は変わりやすい。ほんの少し前まで晴れていたものが、急変して一面がガス(濃霧)に覆われてしまう。

    下界は晴れていても、山頂付近は雲に覆われることが多い。

    乗鞍岳の登山道は基本的に瓦礫道であり、木々の木陰は期待できない。日差しや風が強いときは辛い登山となる。それでも登山道の端で見つけた高山植物は癒しとなる。


    乗鞍岳の山頂部には、権現池五ノ池と呼ばれる火口湖以外にも多くの火口湖が存在し、全部で12の火口湖がある。

    名 称権現池・五ノ池
    所在地岐阜県高山市
    Link乗鞍岳 権現池(岐阜県高山)
    乗鞍 五ノ池(岐阜県高山)

    名瀑を訪ねる

    ──深い谷に響く水の音

    北アルプスの渓谷には、名瀑がいくつも点在する。それらのうち代表的な滝を紹介したい。


    称名滝(立山)

    称名滝【しょうみょうだき】は、称名川流域の「称名廊下」と呼ばれる大峡谷の下流に位置する滝で、落差が350mもあり、名実ともに「日本一の名瀑」である。

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    称名滝(富山県中新川郡立山町)

    立山室堂に向かうバスから垣間見えた称名滝を間近で見たくなり、妻と行ってきた。滝は4段に分かれ、一番下流の滝の落差は126mだということだ。感動ものである。

    称名滝の近くには、実はハンノキ滝と呼ばれる「幻の滝」があるという。残雪期や大雨の時にだけ現われるため「幻の滝」と呼ばれている。通年存在していないため、公式には落差日本一の座は称名滝(350m)であるものの、出現している間は落差500mの巨瀑に変貌するという。その出現時は日本一で間違いない。

    名 称称名滝
    所在地富山県中新川郡立山町芦峅寺
    Link称名滝 |富山県の観光

    折尾ノ大滝(黒部)

    折尾ノ大滝【おりおのおおたき】は、黒部川に流れ込むオリオ谷に位置する、落差40mの滝である。

    大太鼓からは「水平歩道」と呼ばれるほぼ水平で歩きやすいが危険な登山道が続く。その登山道を1時間ほど歩くと到着するのは「折尾ノ大滝」と呼ばれる滝である。

    緊張感の続く登山道「水平歩道」の中で「折尾ノ大滝」はオアシス的なスポットであり、ここで休憩を取る登山者は多い。ここで水の補給ができるのも有難い。

    阿曽原温泉小屋【あぞはらおんせんこや】は、折尾ノ大滝から比較的近い位置にあるので、時間に余裕があれば、汗を流すのにちょうど良い。

    名 称折尾ノ大滝
    所在地富山県黒部市宇奈月町
    Link黒部峡谷 折尾ノ大滝
    Kurobe Gorge Toyama pref.

    個人的な話で申し訳ないが、折尾ノ大滝に友人と行ったことは長らく忘れていた。理由は分からない。本稿を書いていて偶然に想い出したが、同時に一般に「水平歩道【すいへいほどう】」と呼ばれる黒部峡谷の登山道を友人と冷や汗をかきながら歩いたことも想い出した。

    水平歩道とは、黒部峡谷の核心部「下ノ廊下」を通る登山道であり、欅平(富山県黒部市)から仙人谷までの黒部川上流沿いに造られた約13kmの歩道(登山道)を指す。登山道は黒部川の左岸に沿って、ほぼ同じ標高(約1,000m)を保ったまま水平に延びているため「水平歩道」と呼ばれる。関西電力の保守点検作業者が通るルートなので一応、整備はされている。しかし、実際は鋭く切り立った黒部峡谷の断崖を「コ」の字形にくり抜いて作られた道幅が1m未満の道であり、人ひとりが通れる広さしかない。

    高い所が苦手な私がよくも通れたものだと思う。今の私には絶対に歩くのは無理である。もし谷底をみたりしたら目が回ることだろう。若かりし日とはいえ、高い所は苦手であったはずである。あまりの恐怖体験のため記憶から消されていたのであろうか。


    平湯大滝(高山)

    平湯大滝【ひらゆおおたき】は、神通川支流の高原川の上流、大滝川にある滝で、落差64m、幅約6mの名瀑である。紅葉の名所としても知られている。

    冬季の厳冬期には氷結して氷瀑となり、毎年2月には氷瀑がライトアップされて、「平湯大滝結氷まつり」が開催されている。

    戦国時代、武田信玄の家臣であった山県昌景が飛騨攻めの最中、峠超えの疲労と硫黄岳の毒ガスによって疲弊し、平湯大滝付近で動けなくなってしまった時に、一匹の白猿によって教えられた温泉につかって疲労を回復したという伝説が残されている。その温泉こそが平湯温泉であるという。

    名 称平湯大滝
    所在地高山市奥飛騨温泉郷平湯
    Link平湯大滝 | 飛騨高山観光

    三本滝(乗鞍)

    三本滝【さんぼんだき】は、乗鞍岳の麓、乗鞍高原の最上部に位置し、小大野川【こおおのがわ】・黒い沢・無名沢の3本の河川の合流地点の直近にあり、3本の滝が横に並んでいることから「三本滝」と呼ばれる。梓川支流の小大野川によってできた滝の落差は50mもある。

    三本滝は、乗鞍高原にある善五郎の滝番所大滝と共に「乗鞍三滝」と称されることがある。

    名 称三本滝
    所在地長野県松本市安曇地区
    Link三本滝|松本市安曇 | 長野県

    善五郎の滝(乗鞍)

    善五郎の滝【ぜんごろうのたき】は、乗鞍高原に位置し、長野県松本市安曇鈴蘭にある滝である。落差21.5m、幅8mの端正で美しい滝である。

    鈴蘭橋から少し下った場所に展望台(滝見台)がある。善五郎の滝は、三本滝番所大滝と共に「乗鞍三滝」と称される。

    名 称善五郎の滝
    所在地長野県松本市安曇鈴蘭
    Link善五郎の滝 – 松本市

    番所大滝(乗鞍)

    番所大滝【ばんどころおおたき】は、乗鞍高原の下部に位置し、長野県松本市安曇番所にある滝である。落差40m、幅15mの大滝で、滝見台まで水しぶきが上がることもある豪快な滝である。

    番所大滝は、三本滝善五郎の滝と共に「乗鞍三滝」と称される。

    名 称番所大滝
    所在地長野県松本市安曇番所
    Link番所大滝 | 長野県公式観光

    名湯の癒し

    ──山里に湧く湯けむりの時間

    北アルプスの山麓には、古くから湯治場として親しまれてきた名湯が点在する。


    白骨温泉(乗鞍)

    白骨温泉【しらほねおんせん】は、乗鞍岳山麓(標高約1400m)にある温泉である。白濁した湯が特徴で、静かな山里に佇む名湯。 「三日入れば三年風邪をひかない」と言われるほど湯質が良い。

    泉質は、単純硫化水素泉と含硫黄-カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉(硫化水素型)である。胃腸病、神経症、婦人病、慢性疲労などに効能があり、かつて「白骨の湯に三日入ると三年は風邪をひかない」と言われた。

    「乳白色の湯」として知られているが、湧出時には無色透明であり、時間の経過によって白濁する。白濁の要因は、温泉水中に含まれている硫化水素から硫黄粒子が析出することと、重炭酸カルシウムが分解して炭酸カルシウムに変化するからである。

    白骨温泉には10軒余りの宿と食事処や土産物店などが数軒あるだけで、ひっそりとした佇まいの温泉街である。梓川のせせらぎ以外に音はなく、夜は星が美しい場所である。

    付近には「竜神の滝」や「冠水渓」、特別天然記念物「噴湯丘」など観光スポットもある。「白骨温泉の噴湯丘と球状石灰石」は、国の特別天然記念物に指定されている。

    名 称白骨温泉
    所在地長野県松本市安曇
    Link信州・白骨温泉
    白骨温泉 山水観 湯川荘

    平湯温泉

    岐阜県高山市に立地する5つの温泉地は奥飛騨温泉郷と呼ばれ、武田信玄ゆかりの温泉郷である。北アルプスの玄関口にある温泉地で、登山帰りの湯として長く愛されている。

    平湯温泉【ひらゆおんせん】も奥飛騨温泉郷の一つである。平湯温泉には約40の源泉があり、湧出量も毎分約13トンと豊富である。泉質には、炭酸水素塩泉、塩化物泉、単純泉、硫黄泉の4種類が知られている。

    温泉街の中心から少し離れた場所に「神の湯」と呼ばれる、平湯温泉発祥の露天風呂がある。温泉街には共同浴場も4軒ある。

    上高地と乗鞍の2観光地のマイカー規制が始まったことで、平湯温泉の駐車場に自動車を駐車し、ここから頻発されるシャトルバスに乗るという観光ルートが誕生した。このようなう交通事情の大変化によって、国内外の観光客が大幅に増加し、平湯温泉はもはや秘湯ではなくなってしまった。観光地として繁栄することはステークホルダー(stakeholder)にとって歓迎すべきことであると思うが、旅人の一人としてはちょっと残念な気持ちになっているのは私だけであろうか。

    名 称平湯温泉
    所在地高山市奥飛騨温泉郷平湯
    Link平湯温泉旅館協同組合

    福地温泉

    福地温泉【ふくじおんせん】も奥飛騨温泉郷の一つである。標高が約1,000mの山あいの岐阜県と長野県の県境に位置する温泉地である。温泉街は、山の静寂に包まれ、落ち着いた秘湯的な雰囲気があり、好きな温泉である。泉質は、単純泉と炭酸水素塩泉が知られている。

    福地温泉からは新穂高ロープウェイの新穂高駅にも比較的近いので、北アルプスの槍・穂高連峰を楽して眺めることができる。

    福地温泉孫九郎
    旅館前で記念撮影
    名 称福地温泉
    所在地高山市奥飛騨温泉郷福地
    Link奥飛騨温泉郷 福地温泉
    福地温泉の旅館 元湯 孫九郎

    新穂高温泉

    新穂高温泉【しんほたかおんせん】も奥飛騨温泉郷の一つである。岐阜県高山市に位置し、新穂高ロープウェイの駅が近くにあるので、北アルプス・穂高連峰の登山基地となっている。

    五か所の温泉地からなる奥飛騨温泉郷(平湯温泉、福地温泉、新平湯温泉、栃尾温泉、新穂高温泉)のなかでは、新穂高温泉が新穂高ロープウェイの駅に最も近いため、登山ブームによりこの温泉地へは登山者が急増したという。北アルプス登山の拠点としては恵まれた立地であり、下山後に登山の疲れと汗を流して帰路に着くことができるだろう。

    名 称新穂高温泉
    所在地高山市奥飛騨温泉郷新穂高
    Link新穂高温泉観光協会
    奥飛騨温泉郷観光協会

    名 称新穂高ロープウェイ
    所在地高山市奥飛騨温泉郷新穂高
    Link新穂高ロープウェイ

    歩き方のポイント

    ──シニア世代の登山者にも安心のガイド

    • 上高地・室堂など、無理なく歩ける高原ルートを選ぶ
    • 名瀑は水量が多い季節に訪れると迫力が増す
    • 稜線は風が強いため、防風対策が必須
    • 名湯と組み合わせることで、無理のない旅程が組める
    • 体力に合わせて「歩く距離」を調整することが大切

    北アルプスの山岳一覧

    山名標高(m)山系
    朝日岳2,417後立山連峰
    白馬岳2,932後立山連峰
    唐松岳2,696後立山連峰
    五竜岳2,814後立山連峰
    鹿島槍ヶ岳2,889後立山連峰
    爺ヶ岳2,670後立山連峰
    針ノ木岳2,821後立山連峰
    剱岳2,999立山連峰
    奥大日岳2,616立山連峰
    立山3,015立山連峰
    薬師岳2,926立山連峰
    黒部五郎岳2,840立山連峰
    赤牛岳2,864飛騨山脈
    水晶岳2,986飛騨山脈
    蓮華岳2,799飛騨山脈
    烏帽子岳2,628飛騨山脈
    野口五郎岳2,924飛騨山脈
    鷲羽岳2,924飛騨山脈
    三俣蓮華岳2,841飛騨山脈
    双六岳2,860飛騨山脈
    餓鬼岳2,647常念山脈
    燕岳2,763常念山脈
    大天井岳2,922常念山脈
    常念岳2,857常念山脈
    霞沢岳2,646常念山脈
    笠ヶ岳2,897飛騨山脈
    槍ヶ岳3,180飛騨山脈
    奥穂高岳3,190飛騨山脈
    西穂高岳2,909飛騨山脈主稜
    焼岳2,455飛騨山脈
    乗鞍岳3,026飛騨山脈

    朝日岳【あさひだけ】(標高2,418m)は、北アルプスの最北部に位置し、富山県と新潟県にまたがる後立山連峰に属する山である。積雪量が多く、山頂付近には夏でも雪渓が残る。山頂は平坦で豊富な高山植物が見られる。白馬岳近辺とは違った高山植物を見ることができる。小桜ヶ原のような湿地帯もある

    白馬岳【しろうまだけ】(標高2,932m)は、北アルプス北部の後立山連峰に位置する、長野県と富山県にまたがる山である。

    東側の谷筋には日本最大の雪渓、「白馬大雪渓」がある。また、大雪渓の上部には日本有数の高山植物のお花畑が広がる。白馬岳は、杓子岳【しゃくしだけ】、白馬鑓ヶ岳【しろうまやりがだけ】とともに「白馬三山」と呼ばれる。

    白馬大池【はくばおおいけ】(標高2,379m)は、風吹大池の南西5km先に位置する、北アルプスでは風吹大池に次いで大きな湖沼で、白馬乗鞍岳、小蓮華山や白馬岳などに囲まれている。白馬大池は、白馬大池火山の噴出物により堰き止められてできた火山性の堰止湖で、魚類は生息しないが、クロサンショウウオが多く生息しており、肉眼でも確認できるほどであるという。湖畔には白馬大池山荘があり、例年7月初旬から10月初旬まで営業している。

    風吹大池【かざふきおおいけ】(標高約1,775m)は、横前倉山(標高1,907m)の西側に位置する天然湖沼で、周囲を風吹岳(1,888m)や 岩菅山(1,889m)などに囲まれている。南東から北西にかけて長径約600m、短径約200mほどの楕円形をした堰止湖で、北アルプスでは最も面積の大きな湖である。

    唐松岳【からまつだけ】(標高2,696m)は、北アルプスの後立山連峰に位置する、長野県白馬村と富山県黒部市にまたがる山である。氷河が現存する山でもある。唐松岳北側の峻険な岩峰・不帰嶮【かえらずのけん】は、後立山連峰を縦走するうえでの難所として知られる。また、東側の八方尾根にはスキー場としては日本国内最大級のスキー場「白馬八方尾根スキー場」がある。

    五竜岳【ごりゅうだけ】(標高2,814m)は、北アルプス・後立山連峰に位置し、富山県黒部市と長野県大町市にまたがる山である。

    鹿島槍ヶ岳【かしまやりがたけ】(標高2,889m)は、北アルプス・後立山連峰に位置し、富山県黒部市、立山町および長野県大町市にまたがる山である。氷河の現存する山である。鹿島槍ヶ岳は、南峰(2,889m)と北峰(2,842m)からなる双耳峰であり、吊尾根と呼ばれるなだらかな稜線で繋がっている。

    爺ヶ岳【じいがたけ】(標高2,670m)は、北アルプス・後立山連峰南部に位置する、富山県立山町と長野県大町市にまたがる山である。爺ヶ岳は、北峰(2,630 m)・本峰(2,670m)・南峰(2,660 m)の3峰からなる。南峰と本峰の間の白沢の上部には、春に種蒔きをする老爺【ろうや】の雪形が見られ、農耕の目安に利用されてきた。この雪形が山名の由来である

    針ノ木岳【はりのきだけ】(標高2,821m)は、北アルプス・後立山連峰に位置する、富山県立山町と長野県大町市にまたがる山である。ピラミッド型の端正な山容をして、針ノ木峠を挟んで蓮華岳と対峙している。針ノ木岳を源流とする厩窪沢【まやくぼさわ】にはカール地形がみられる。高瀬川支流の篭川の上流部には針ノ木大雪渓がある。

    奥大日岳【おくだいにちだけ】(標高2,611m)は、北アルプス・立山連峰から派生する大日尾根に位置する、富山県にある山である。多くの高山植物を見ることができる山である。 厳冬期は、日本海からの季節風によって巨大な雪庇ができるが、この雪庇は日本最大級であるとされる。

    薬師岳【やくしだけ】(標高2,926m)は、北アルプス・立山連峰(富山市南東部)に位置する山である。東斜面には、大規模な氷河地形の薬師岳圏谷(カール)群があり、国の特別天然記念物に指定されている。薬師岳も山岳信仰の対象であり、阿弥陀浄土としての立山(雄山)に対し、薬師岳は薬師如来浄土として信仰を集めた。山頂にはこの薬師如来を祀った小さな祠があり、銅剣など数々の修験道の宝具が残されている。

    竜晶池【りゅうしょういけ】は、北アルプス・高天原の北部(夢の平)に位置する堰止湖である。水面に薬師岳が逆さに映ることで知られている。東側には水晶岳が聳えており、高天原を挟んだ南側には水晶池もある。南西側は岩苔小谷を挟んで雲ノ平と隣接する。

    赤牛岳【あかうしだけ】(標高2,864m)は、北アルプス中部に位置する山である。赤茶けた山肌と、牛が寝そべっているような穏やかな山容が山名の由来であるという。赤牛岳の南側には水晶岳がある。

    水晶岳【すいしょうだけ】(標高2,986m)は、別名で黒岳と呼ばれ、北アルプス(富山市南東部)に位置する山である。水晶岳の北側には赤牛岳がある。 水晶岳は双耳峰(北峰:2,977.7m、南峰:2,986m)で、東斜面にすり鉢状の圏谷地形(カール)がある。

    水晶池【すいしょういけ】(標高約2,290m)は、水晶岳の西麓に位置する堰止湖である。水晶岳と高天原温泉との間にある。水面に水晶岳が逆さに映ることで知られる。

    蓮華岳【れんげだけ】(標高2,799m)は、北アルプス北部に位置する、富山県立山町と長野県大町市にまたがる山である。針ノ木峠を挟んで針ノ木岳の東側に対峙している。周辺の山との山並みが蓮【はす】の花に見え、その中心にある山であることから「蓮華岳」と名付けられたという。

    烏帽子岳【えぼしだけ】(標高2,628m)は、北アルプス中部に位置する、長野県大町市と富山県富山市にまたがる山である。頂上部にオベリスク(縦長の柱状の岩)がある特徴的な山容を持つほか山頂の南側には烏帽子池があり、北側には四十八池と呼ばれる池塘【ちとう】が点在する。

    野口五郎岳【のぐちごろうだけ】(標高2,924m)は、北アルプス中部に位置する山である。山頂付近には大きな石が堆積していて、灰色で茫洋【ぼうよう】とした山容が特徴的な山である。西側斜面には明瞭な圏谷(カール)、「野口五郎カール」があるほか、カール底には氷河湖の五郎池がある。

    五郎池【ごろういけ】は、野口五郎岳の西山腹(野口五郎岳カール)にある堰止湖である。氷河末端部の礫【れき】のたまり場であるモレーンによる堰き止めで出来た氷河湖であるとされる。

    鷲羽岳【わしばだけ】(標高2,924m)は、北アルプス中央部に位置する、長野県大町市と富山県富山市にまたがる山で、黒部川の源流域に位置する。

    鷲羽池【わしばいけ】は、鷲羽岳【わしばだけ】の南東側の山頂直下に位置する火口湖である。背後には槍ヶ岳を望むことができる最高の場所に位置し、印象に残る池である。北アルプスの核心部にあたる黒部川源流域はどの登山口からも奥まった場所であり、日帰りでは到達できない所ばかりである。鷲羽池に行くには、鷲羽岳に登る必要がある。鷲羽岳に登ろうとするなら2泊3日の登山を計画する必要がある。

    三俣蓮華岳【みつまたれんげだけ】(標高2,841m)は、北アルプス中央部に位置する山である。東側に圏谷地形(カール)があり、豊富な高山植物のお花畑がある山として知られる。

    双六岳【すごろくだけ】(標高2,860m)は、北アルプス中央部に位置する、長野県大町市と岐阜県高山市にまたがる山である。山頂で稜線は東南東に向きを変えて槍ヶ岳穂高岳へと主稜線が続き、東南東の樅沢岳から南西に分岐した稜線が弓折岳を経て笠ヶ岳へと続く。双六岳と樅沢岳の鞍部は各方面からの登山道が交差する要所になっており、双六小屋がある。

    双六岳と樅沢岳の鞍部には双六小屋があり、その双六小屋の南隣の平坦地にあるのが双六池【すごろくいけ】である。西側は双六岳、東側は樅沢岳に挟まれていて、南側のやや開けた先には笠ヶ岳の姿を望むことができる、最高の場所にある。

    餓鬼岳【がきだけ】(標高2,647m)は、北アルプス(長野県)に位置する山である。山名の由来には安曇野から見上げる岩壁がそばだっているので、「崖岳」【がけだけ】が転訛したとする説がある。

    常念岳【じょうねんだけ】(標高2,857m)は、北アルプス南部の常念山脈に位置する、長野県の松本市と安曇野市にまたがる山である。安曇野から全容を望むことができ、その端正なピラミッド型の山容は印象的であり、安曇野のシンボル的な山となっている。

    霞沢岳【かすみざわだけ】(標高2,646m)は、北アルプス南部の常念山脈最南端部(長野県松本市)に位置する山である。山名は、南東側の梓川【あずさがわ】支流の霞沢【かすみさわ】の源流の山であることに由来する。霞沢岳への登山道は徳本峠【とくごうとうげ】からの道しかないため訪れる人も少ない。

    徳本峠(標高約2,140m)には、徳本峠小屋があり、「昔ながらの峠の小さなランプ小屋」として親しまれている。

    上高地にバスが乗入れられる以前は、徳本峠越えで上高地に入る道がメインルートであった。しかし、バス道が開通してからは徳本峠を利用する人はめっきり少なくなったという。

    私は社会人になってから一度だけであるが、徳本峠小屋に宿泊するために訪れたことがある。

    名 称徳本峠小屋
    所在地長野県松本市安曇1743
    Link徳本峠小屋公式HP

    笠ヶ岳【かさがたけ】(標高2,898m)は、北アルプス南部(岐阜県高山市)に位置する山である。

    なだらかな北アルプスの稜線上に笠(またはお椀)を伏せたような特徴的な山容をしているためどこからでも笠ヶ岳と分かる。

    笠が岳の姿が見えている限り、登山道(縦走路)で方向を間違えることはないだろう。但し、笠が岳は主稜線上にはないので、笠が岳への登山ではない限り、この山に向かってはいけない。


    北アルプスの天然湖沼一覧

    湖沼名種類特記事項
    風吹大池堰止湖北アルプスで最大面積
    白馬大池堰止湖北アルプスで2番目
    仙人池(不明)運が良ければ「鏡剱」が撮れる
    硯ヶ池(不明)日本最高所の湖沼(標高2870m)
    ミクリガ池火口湖北アルプスで最も美しい火山湖
    泥鰌池堰止湖立山カルデラ内の湖沼
    多枝原池堰止湖立山カルデラ内の湖沼
    刈込池火口湖立山カルデラ内の湖沼
    新湯火口湖立山カルデラ内の70度の温泉池
    五郎池堰止湖野口五郎岳の西山腹に
    竜晶池堰止湖逆さ薬師岳が美しい
    水晶池堰止湖逆さ水晶岳が美しい
    鷲羽池火口湖背後に槍ヶ岳を望む
    双六池(不明)湖畔に双六小屋あり
    鏡池(不明)逆さ槍ヶ岳が美しい
    天狗池(不明)逆さ槍ヶ岳が美しい
    明神池堰止湖上高地にある神秘的な湖沼で人気
    大正池堰止湖国指定特別名勝・特別天然記念物
    田代池堰止湖大正池に隣接する湖沼
    正賀池火口湖焼岳火口湖
    権現池火口湖乗鞍岳の頂上部にある
    五ノ池火口湖乗鞍岳の頂上部にある

    硯ヶ池【すずりがいけ】(標高2870m)は、立山別山の山頂近くにある、直径10m、深さ0.3mほどの池である。小さな池ではあるが、「日本最高所の湖沼」である。別名、経ヶ池とも呼ばれる。硯ヶ池、経ヶ池のどちらの名称の由来も庚申信仰【こうしんしんこう】と関係があるとされる。

    泥鰌池【どじょういけ】は、立山カルデラ内に位置する堰止湖であり、立山カルデラ内にある4つの湖沼のなかで最大の面積を持つとされる。名前からのイメージとは異なり、水の透明度は高いという。

    多枝原池【だしはらいけ】は、立山カルデラ内に位置する堰止湖である。クロサンショウウオやモリアオガエルの卵塊が多数確認されている。また、ギンブナとイワナの魚類も確認されている。1935年にフナ、1979年にイワナを放流した記録があり、それらが繁殖して定着したものと考えられている。

    刈込池【かりこめいけ】は、立山カルデラ内に位置する火口湖であり、立山カルデラ内にある4つの湖沼のなかで最も水深が深いという。

    新湯【しんゆ】は、立山カルデラ内に位置する火口湖であり、水温が70°Cと極めて高温の湖沼である。理由は、近くで高温の温泉が湧出しており、滝となって新湯に注いでいるからである。

    鏡池【かがみいけ】は、新穂高から双六岳方面に向かう小池新道の途中に位置する、鏡平【かがみだいら】と呼ばれる小さな平坦地にある池である。この鏡池は、槍ヶ岳を望むことができる最高の場所であり、天候条件が良ければ水面に映る「逆さ槍」を撮影できる。まさに「鏡池」と呼ぶにふさわしい池ではあるが、「逆さ槍」を撮影できるシャッターチャンスは運次第である。鏡池のそばに建つ鏡平山荘で何泊かするつもりで登山を計画しないと念願の写真は撮れないかも知れない。

    天狗池【てんぐいけ】は、梓川の上流部の槍沢にある、通称「氷河公園」(氷河地形であるため)と呼ばれる天狗原に位置する池である。槍ヶ岳を水面に逆さに映しだす、いわゆる「逆さ槍」の絶景を撮影できる池として知られる。北アルプスでも最もアルペン的な山容を誇るのが槍ヶ岳(標高3180m)であるから登山者に人気が高いのも頷ける。しかしながら、天狗池に行くにはしっかりとした装備での登山となる。しかも天狗池は例年8月中旬頃まで雪渓で埋まっていてその姿を現さないので、池の全容が現れる9月まで待たなければならない。そして10月中旬を過ぎると山は冬支度を始め、南岳小屋も営業しなくなる。実質的に9月のわずかな天候の良い日でないと天狗池での「逆さ槍」を撮影することはできないので、それも運次第というしかない。


    北アルプスのダム湖一覧

    ダム湖名河川名特記事項
    黒部湖黒部川堤高日本第1位: 186m
    有峰湖和田川黒部湖よりも巨大
    高瀬ダム調整湖高瀬川堤高日本第2位: 176m
    七倉ダム湖高瀬川日本有数の堤高: 125m

    黒部湖

    黒部湖【くろべこ】(標高1,454m)は、北アルプスの立山連峰と後立山連峰に挟まれた黒部渓谷に位置するため自然の景観が非常に良い。周辺が中部山岳国立公園でもあることから、立山黒部アルペンルートのハイライトの一つとして多くの観光客が訪れる観光名所となっている。

    日本一のダム湖(人造湖)と称される黒部湖黒部ダム湖

    黒部川を堰き止める黒部ダムの堤高は、186mで、幅(堤頂長)は492mもある。日本で最も堤高の高いダムとして知られる。人造湖とは言え、コンクリートの堰を見ない限りはそれとは気づかない素晴らしい景観を楽しめることができる。

    近くで見る黒部ダムの豪快な放水は掛け値なしに圧巻! 虹も撮ることができ感激!

    もちろんコンクリートの堰もそれはそれで圧巻である。私は高い所が苦手なので、その場に長居をしたくないという個人的理由があるだけだ。

    黒部湖には観光で訪れたが、この黒部ダムの建設に尽力した人々への感謝と黒部ダムの電力供給への貢献の大きさも忘れないようにしたいものである。

    名 称黒部湖
    所在地富山県立山町
    Link黒部ダムオフィシャルサイト

    有峰湖

    有峰湖【ありみねこ】(標高1089m)は、常願寺川水系の一つである、立山連峰の薬師岳(標高2,926m)の麓を流れる険しいV字谷の和田川を有峰ダムで堰き止めた巨大な人造湖である。

    有峰ダム湖(有峰湖)の総貯水容量は2億2,200万立方メートルで、山を隔てて東側に隣接する黒部ダム湖(黒部湖)よりも10%ほど大きいという。巨大な人造湖で間違いはなさそうだ。

    有峰湖には宝来島と呼ばれる島が浮かび、そこには北陸電力が有峰ダムの完成を記念して建立した有峰神社が祀られている。湖の水位が下がると陸続きになるが、急斜面のため容易には近づけないということである。

    名 称有峰湖
    所在地富山県富山市有峰
    Link富山県/有峰湖
    有峰湖展望台 | 富山市

    高瀬ダム調整湖

    高瀬ダム調整湖【たかせダムちょうせいこ】は、信濃川水系の高瀬川の上流部に建設された高瀬ダムによって堰き止められた人造湖である。

    高瀬ダムは、黒部ダムに次いで2番目に高い堤高(176m)を誇る巨大なロックフィルダムである。この人造湖には愛称や通称がなく、高瀬ダム調整湖と呼ばれる。

    名 称高瀬ダム調整湖
    所在地長野県大町市
    Link高瀬ダム(長野県大町)
    高瀬ダム・七倉ダム

    七倉ダム湖

    七倉ダム湖(ななくらダムこ)は、信濃川水系の高瀬川の上流域に建設された七倉ダムによって堰き止められた人造湖である。

    七倉ダムは、高瀬ダムのすぐ下流に位置し、同じくロックフィルダムである。 七倉ダムも堤高が125mもあり、日本有数の高さを誇っている。

    名 称七倉ダム湖
    所在地長野県大町市平高瀬入地先
    Link七倉ダム | 大町市観光協会
    高瀬ダム・七倉ダム

    あとがき

    登山が好きな人、登山に興味がある人にとっては北アルプスの山々は魅力的であり、一度は登ってみたい山ばかりである。

    私も登山に夢中になっていた頃には北アルプスの山に登山するときには登山前から鼓動の高鳴りを感じたものである。社会人になり、友人とのお互いのスケジュールが合いづらくなってからは、単独行での登山が続いた。しかし、長女を授かってからは単独行での登山はなくなり、比較的容易な登山を妻と楽しんでいる。

    北アルプスの山々は、若い頃に歩いたときと、歳を重ねてから歩くときとで、少しずつ違う姿を見せてくれる。 名峰の気迫、名瀑の水音、山里の湯けむり──そのどれもが、今の自分にそっと寄り添い、歩くほどに山との距離がゆっくり縮まっていくように感じられる。 だから私は、またこの山域を訪れたくなる。


    参考資料
    北アルプス 槍・穂高連峰(山と渓谷社、2008.05.31発行)
    北アルプス 剱・立山連峰(山と渓谷社、2008.05.31発行)
    北アルプス 白馬・後立山連峰(山と渓谷社、2008.05.31発行)

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