はじめに
私は柑橘系の果物が好物で、勿論、温州みかんが大好きである。温州みかんは、いわゆる「一般的なミカン」である。そのミカンの産地と言えば、「有田みかん」で有名な和歌山県や、愛媛県と静岡県、それに九州に旅をするようになってはじめて知った熊本県、長崎県や佐賀県しか知らなかった。
しかしながら、山口県の周防大島に行った際に、この島がミカンの産地であることをはじめて知った。山口県のミカンの生産量の8割を周防大島が占めているそうだ。そして「山口大島みかん」のブランドで出荷されているという。
訪ねた時期がミカンの収穫時期でもあったので美味しいミカンを沢山購入することができて良かったという想い出がある。
本稿では、そんな「ミカンの島」である周防大島と、その周防大島に行く前に立ち寄った柳井・光について学んだことを書いていきたいと思う。
<目次> はじめに 周防大島 真宮島 帯石山 普門寺・帯石 立岩 日本ハワイ移民資料館 道の駅 サザンセトとうわ 柳井 柳井市白壁の町並み やない西蔵 佐川醤油店 柳井 甘露醤油資料館 柳と井戸(湘江庵) 光 光ふるさと郷土館 普賢寺 室積みたらい公園・みたらい燈籠堂 笠戸島 あとがき |
周防大島
周防大島【すおうおおしま】は、山口県東南部に位置しており、瀬戸内海に浮かぶ島の中で3番目の面積を有する島である。
私たちが一般に「周防大島」と呼んでいる島は、国土地理院が定める正式名称では「屋代島【やしろじま】」と称し、周辺の島々と共に周防大島諸島を構成している。
屋代島は、歴史的には周防国の大島であったことから周防大島と呼ぶことが多く、現在も「屋代島」と呼ばれることは少ない。周辺の島と合わせて「山口県大島郡周防大島町」を形成している。
明治時代には約7万人もの人が住んでおり、食糧が不足していたため海外へ移民として移住する島民も多かったようだ。日本政府が斡旋したハワイ王国への官約移民(約2万9000人)のうち屋代島の出身者がおよそ13.5%(3913人)を占めたという。この縁で1963年にアメリカ合衆国ハワイ州カウアイ島と姉妹縁組をしている(引用:ウィキペディア)。
周防大島は、「瀬戸内のハワイ」と呼ばれている。その理由は、ハワイでの出稼ぎが終わり、戻って来た人たちがハワイの文化や風習などを周防大島に持ち帰ったからだと伝わる。さらに周防大島は冬でも温暖な気候なことも瀬戸内のハワイと呼ばれる理由となっているようだ。
周防大島に日本ハワイ移民資料館(後述)が設置されているのは上記のような理由があるからである。
周防大島の大畠瀬戸と本州の柳井市とは大島大橋(国道437号)で結ばれている。
島内の主な道路は、島の北側海岸線に沿って東端の伊保田から本州への大島大橋までを結ぶ国道437号である。主要地方道は、県道4号大島環状線と県道60号橘東和線、県道103号大島橘線、県道108号地家室白木港線、県道351号油田港線、県道362号白木漁港佐連線が島内を通っている。
また島の山間部中腹を大島オレンジロード(大島広域農道)が走っている。周防大島は、自然豊かで、美しい景色を眺めながらのドライブを楽しむには最高の場所の一つである。
真宮島
真宮島【しんぐうじま】は、道の駅サザンセトとうわから約100mの沖合いに浮かぶ無人島である。
干潮時刻の前後3時間だけ現れる海の中道を歩いて本島(屋代島)から真宮島へ渡ることができる。その道は「エンジェルロード」と呼ばれている。
エメラルドグリーンの海に現れる、真宮島へと伸びる一本の道は自然の神秘が作り出すゆるやかなカーブで美しい。
名 称 | 真宮島 |
所在地 | 山口県周防大島町西方西方 道の駅サザンセトとうわ裏 |
名 称 | 道の駅サザンセトとうわ |
所在地 | 山口県大島郡周防大島町西方1958-77 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 真宮島【公式】山口県観光/旅行サイト |
帯石山 普門寺・帯石
帯石山 普門寺は、弘法大師・空海による開基であると伝わる。弘仁二年(811年)、弘法大師は千手観音、脇士として不動明王と毘沙門天の三尊を自らの手で彫刻し、観音堂に安置されたという(この三尊は、戦火に遭い現存しない)。
奇石「帯石」には「南無阿弥陀仏」の名号を投筆し、その下に子安の地蔵尊を自ら刻って安置したという。
この名号は、金色に輝き、昼夜を問わず遠く伊予路からも見え、船人達の指針となって礼拝されたという。摩滅を恐れた石工が名号を彫ったので、その光は消えてしまったという伝説が残る。
弘法大師は、この岩に帯の形を刻まれ、「懐胎の者がこの岩の図を帯にして信心なる時は、その産安し。」と後世の女人安産を祈願されたという。この大師入魂の因縁により、かつては岩の苔をお守りとした。今日でも安産のお守り、安産岩田帯祈願の観音様として信仰され続けている。
名称 | 帯石山 普門寺・帯石 |
所在地 | 山口県大島郡周防大島町日前 |
Link | 帯石山 帯石観音(普門寺) | 周防大島町 |
立岩
立岩【たちいわ】は、県道沿いの海岸にそそり立つ高さ40mの安山岩である。馬頭観音【ばとうかんのん】が祀られている。
海岸は立岩海水浴場として整備されている。
名称 | 立岩 |
所在地 | 山口県大島郡周防大島町東安下庄鹿家 |
Link | 周防大島町 立岩 |
日本ハワイ移民資料館
日本ハワイ移民資料館では、周防大島町からハワイへ移住した移民たちの歴史や彼らの労働の様子、移民先での生活などが展示された資料や写真などを通して知ることができる。
名 称 | 日本ハワイ移民資料館 |
所在地 | 山口県大島郡周防大島町西屋代上片山2144 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 日本ハワイ移民資料館 |
道の駅 サザンセトとうわ
周防大島でお土産や特産品を購入するなら、おすすめは道の駅 サザンセトとうわに立ち寄ることである。周防大島で栽培されている新鮮な野菜や果物などが販売されている。
周防大島は「みかんの島」といわれているので、ミカンも勿論、販売されている他、ミカンの加工品もある。周防大島産のミカンを使ったソフトクリームやスイーツなどもある。
道の駅 サザンセトとうわへは、大島大橋を渡り、左折して、国道437号を進むと到着する。
名 称 | 道の駅サザンセトとうわ |
所在地 | 山口県大島郡周防大島町西方1958-77 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 道の駅サザンセトとうわ | 山口県周防大島町 |
柳井
柳井市【やないし】は、山口県東部に位置し、瀬戸内海の周防灘に突き出た室津半島【むろつはんとう】のつけ根部分に拓けた港町である。
日本有数の日照時間が長い地域で、瀬戸内のおだやかな気候と自然豊かな風土に恵まれている。古くから海上交通の要衝として栄え、江戸時代には岩国藩の「お納戸」と呼ばれ、商都として賑わったという。
往時の面影を残す白壁の町並みや細い路地は、訪れる者に歴史の流れを感じさせてくれる。そんな「歴史の町・柳井」を旅した。
柳井市白壁の町並み
江戸時代に岩国藩の「お納戸」として栄えた往時の面影を残す街筋で、柳井を代表する観光地となっている。
当時の商家や町家の白壁と格子窓の街並みが約200mにわたり続く街筋は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
名 称 | 柳井市白壁の町並み |
所在地 | 山口県柳井市古市金屋 |
駐車場 | あり(無料)白壁の町並み観光駐車場 |
Link | 白壁の町並み – 観光施設案内 – 柳井市HP |
やない西蔵
「白壁の町並み」の一画にある、大正時代末期に建築された木造平屋建、白壁土蔵造りの建造物で、昭和55年(1985年)頃まで醤油蔵として使用されていたものであるという。歴史を感じさせる重厚な佇まいから観光スポットとして人気が高い。
平成13年(2001年)にギャラリー及び体験工房の複合型観光施設として生まれ変わった施設である。柳井の民芸品「金魚ちょうちん」の製作体験や柳井縞機織体験などができるようになっている。製作体験のほか、写真コンテストや絵画の展示などの様々な展示会が開催されているという。
名 称 | やない西蔵 |
所在地 | 山口県柳井市柳井3700-8 |
駐車場 | あり(無料)白壁の町並み観光駐車場 |
Link | やない西蔵 – 観光施設案内 – 柳井市HP |
佐川醤油店
天保元年(1830年)の創業から現代まで伝統の製法を大切に守り続けている再仕込醤油の醸造所である。
再仕込醤油とは、できあがった濃口醤油にもう一度麹を加えて醗酵させた醤油のことである。仕上げまで通常の倍の材料と歳月がかかるのが特徴である。杉の三十石桶に琴石山系の伏流水を仕込み水として使用する。これが伝統の製法であるらしい。
再仕込醤油の「甘露醤油」は柳井の特産品であり、銘品となっている。「甘露醤油」の名称は、時の岩国藩主吉川公がその芳醇な醤油の味と香りに思わず「甘露」と歓声を漏らしたことに由来すると伝わる。
甘露醤油は、主に刺身や握り寿司などのかけしょうゆとして使用される。まろやかな甘露醤油は日本国内にとどまらず海外へも発送されており、好評を得ているという。
名 称 | 佐川醤油店 |
所在地 | 山口県柳井市柳井3708-1 |
駐車場 | あり(無料)白壁の町並み観光駐車場 |
Link | 佐川醤油店 オフィシャルサイト | 佐川醤油店 |
柳井 甘露醤油資料館
柳井 甘露醤油資料館は、佐川醤油店に併設する資料館である。柳井の特産品「甘露醤油」の蔵の一部を公開している。
施設内では杉桶で醸成される甘露醤油の製造工程や醤油づくりに使われる諸道具を見学することができる。
名 称 | 柳井 甘露醤油資料館 |
所在地 | 山口県柳井市柳井3708-1 |
駐車場 | あり(無料)白壁の町並み観光駐車場 |
Link | 甘露醤油資料館 – 観光施設案内 – 柳井市HP |
柳と井戸(湘江庵)
柳井の地名発祥の地とされる柳の木と井戸は、約1400年前、般若姫(後の用明天皇に召された姫)が上洛する際に遭難し、井戸の清水を飲んで一命をとりとめたという伝説が残る場所である。
お礼に刺した柳の楊枝【ようじ】が一夜にして芽を吹き、柳の巨木になったという言い伝えから「楊井」【やない】の地名が生まれ、江戸時代に「柳井」へと改められたという。
現在の柳の木は5代目であるらしい。井戸の清水を飲めば美人になれるとの伝説も残されている。
名 称 | 柳と井戸(湘江庵) |
所在地 | 山口県柳井市柳井3058-1 |
駐車場 | あり(無料)白壁の町並み観光駐車場 |
Link | 柳と井戸(湘江庵) – 観光施設案内 – 柳井市HP |
光
光市【ひかりし】は、山口県東南部に位置し、市中心部は島田川の沖積平野上にあり、その両端には室積海岸と虹ヶ浜海岸が広がっており、瀬戸内海国立公園の一角をなしている。
光ふるさと郷土館
瀬戸内海に突き出た室積半島の付け根には、かつて北前船が寄港する潮待ち・風待ちの港町として繁栄した往時の室積の町並み「室積海商通り」が残こされている。
光ふるさと郷土館は、江戸時代後期から昭和30年代にかけて醤油屋を営んでいた磯部家の商家を修復した建物である。
館内のメイン展示室では、海上交易によって繁栄した室積の歴史や風土を紹介している。中央に置かれた弁才船【べざいせん、べんざいぶね】の大型模型が目を引く。他にも醤油の醸造用具などを展示し、当時の人々の生活や文化を学べる施設となっている。
名 称 | 光ふるさと郷土館 |
所在地 | 山口県光市室積5-6-5 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 光ふるさと郷土館 室積観光ガイド|歴史 |
普賢寺
普賢寺【ふげんじ】は、平安時代中期(1006年)の創建で、古来より「海の菩薩」として信仰されてきた室積を代表するパワースポットとされている。海商通りを南に下ったところに普賢寺の山門(仁王門)が見えてくるので道に迷うことはない。
普賢寺は、幕末の歴史にも深い関わりがあるお寺である。慶応元年(1865年)に「南奇兵隊」の本陣が置かれた場所で、約400名の隊士がここに集結したという。その後、普賢寺から石城山へ転陣し「第二奇兵隊」と改称し、長州藩公認の軍隊として第二次長州征討や戊辰戦争を戦い抜いたという。それがやがて明治維新へとつながっていくことになる。
名 称 | 普賢寺 |
所在地 | 山口県光市室積8-6-1 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 普賢寺|【公式】山口県観光/旅行サイト 普賢寺 | 光市観光協会公式ウェブサイト 室積観光ガイド|歴史 |
室積みたらい公園・
みたらい燈籠堂
普賢寺の東側は海岸であるが、その一帯は室積みたらい公園として整備されている。その海岸線に立つ「みたらい燈籠堂」は元禄15年(1702年)に建造された山口県最古の灯台を平成3年(1991年)に復元されたものである。元は対岸の象鼻ヶ岬の先端に立っていた和式灯台であるという。
名 称 | 室積みたらい公園・みたらい燈籠堂 |
所在地 | 山口県光市室積5丁目 |
駐車場 | なし(光ふるさと郷土館を利用) |
Link | みたらい燈籠堂 | 光市観光協会公式ウェブサイト 室積観光ガイド|歴史 |
笠戸島
笠戸島【かさどしま】は、山口県下松市沖の瀬戸内海に浮かぶ三日月形をした島で、本土とは笠戸大橋でつながっている。笠戸島にある夕日岬は、西日本有数の夕日の名所として知られている。
海水の浸食により自然にできた「はなぐり岩」の穴を通して見る夕焼けはひときわ美しく、多くの写真家が訪れるという。
特に冬場は、夕焼け空から海面まで全てが茜色に染まり、息をのむ美しさとなるらしい。
二日に渡って夕日岬を訪れたが、残念ながら海に沈む前に雲の中に入ってしまった。
名 称 | 笠戸島・夕日岬 |
所在地 | 山口県下松市笠戸島 |
Link | 笠戸島|山口県観光/旅行サイト |
あとがき
周防大島は予想していたよりも広く、訪れるべき観光スポットも多いことが分かった。次回は日帰りの日程ではなく、少なくとも一泊は島内でしてゆっくりと見学したいと思う。
柳井と光についても史跡が多いのでもっとゆっくりと時間をとって旅をすべき場所である。旅に出る前にもっと下調べをしておけば見学すべきポイントを外すことはなかっただろう。