はじめに
桃太郎神社は、「桃太郎伝説」の舞台とされ、その伝説が色濃く残る神社である。神社の境内には、桃太郎や犬、猿、キジの像が配置され、いずれの像もその独特なデザインを有する。そのため、参拝者を楽しませてくれている。
桃太郎神社には、子授かり、安産、子どもの発育、厄除け、長命などのご利益があるとされ、そのご利益を求めて、多くの参拝者がこの神社を訪れるようだ。
桃太郎神社は、緑豊かな山に囲まれた場所に位置しており、その自然豊かな環境は、訪れる人々に癒しを提供してくれるはずである。本稿では、そんな桃太郎神社の魅力を紹介したいと思う。
桃太郎神社
犬山城跡からそれほど遠くない場所に桃太郎神社【ももたろうじんじゃ】が鎮座している。
桃太郎神社の専用駐車場から道路を横断し、一の鳥居、二の鳥居を経て、石段を上ると、桃型鳥居と拝殿がある。
一の鳥居と二の鳥居は、一般的な鳥居であるが、拝殿前の鳥居は全国的にも珍しい桃型の鳥居である。
桃太郎と言えば岡山県だと思っていたが、犬山市には桃太郎伝説が存在する。犬山市に残る「桃太郎伝説」では、桃太郎は栗栖で育ち、鬼ヶ島(現・岐阜県可児市可児川にある島)へ鬼退治に行ったとされている。
さらに桃太郎神社に伝わる「桃太郎伝説」では、『神代にイザナギ(伊弉諾尊)がイザナミ(伊弉冉尊)に会いに黄泉の国に行ったが、イザナミの変わり果てた姿に恐れをなして逃げ帰った。
その逃げる道中で、悪魔に追われて難儀していたときに比良坂という場所で桃の威力によって危機を脱することができたという。イザナギは桃に感謝し、「大神実命」という神名を授けて、後世の人々も苦難から救ってやるよう頼んだという。
後に桃は桃太郎に生まれ変わり、村人を悩ます鬼が島の鬼を退治して村を平和にしたという。桃太郎は、鬼退治をした後は、育ての親であるお爺さんとお婆さんに孝行を尽くし、老人たちが天寿を全うすると、或る日、近くの山へ登って姿を消してしまったという。
すると不思議なことにその山がだんだんと桃のような形に見えてくるので、村人はその山を「桃山」と呼び、麓に小さな社を建て、その御神徳を称えて桃太郎を祀ったという。それが桃太郎神社のはじまりとされる。』というものである。
現在の桃太郎神社は、昭和5年(1930年)に桃山から現在地へ遷座したものであるという。地元では、子どもの健康を祈る神社としての認識が高く、大切にされているという。
神社の境内には「桃太郎の鬼退治」を題材にした像が数多く建てられており、まるでおとぎ話を3Dで見ているようである。桃太郎のお婆さんが洗濯に使用したとされる洗濯岩も境内にある。
宝物館(入館料200円)には桃太郎ゆかりのユニークな展示物が所狭しと並んでいる。桃太郎が鬼が島から宝物を積んで帰還した際に使ったとされる荷車も展示されていたが、その宝物の一つである「打ち出小槌」は何者かによって盗難にあい、残念ながら見ることはできない。世の中には罰当たりな輩がいるものである。
他には桃太郎の人形やフィギュア、鬼ゆかりの「鬼の金棒」や鬼の一物にそっくりな「鬼の珍宝」と呼ばれる奇石なども展示されている。館内の撮影ができないのは残念である。
名 称 | 桃太郎神社 |
所在地 | 愛知県犬山市栗栖字古屋敷 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 桃太郎神社 « 犬山観光情報 |
あとがき
桃太郎神社は、当初の旅の計画には入っていなかったが、期待以上に印象深い神社であった。桃太郎伝説の後日談を知ったのもこの神社である。桃太郎と言えば岡山県だという先入観を私は持っていたので、犬山市に「桃太郎伝説」が存在することを知り、率直に言って驚いたものである。どちらが「本家」なのだろうか。おそらく、どちらの地域も、それぞれ独自の桃太郎伝説を大切に伝えており、その地域の文化や歴史を反映しているものと考えられる。