はじめに
天の岩戸【あまのいわと】の神話は、天照大御神【あまてらすおおみかみ】が弟の須佐之男命【すさのおのみこと】の乱暴な行動に嫌気がさして、怒り、天の岩戸に隠れてしまう物語である。
天照大御神が、天の岩戸に隠れたことにより世界が暗闇に包まれ、他の神々が協力して天照大御神を岩戸から引き出すためにいろいろな計略を立てては失敗を重ねながら、最終的には祭りを行って成功するというお話である。日本神話で最も有名な神話と言ってもよい。
天岩戸神話
神代の昔、天上には高天原という神々が住む世界があった。太陽の神、天照大御神(アマテラス)やその弟の須佐之男命(スサノオ)、その他多くの神々が暮らしていた。
スサノオは、大変な暴れん坊で、田んぼの畦を壊したり馬の皮を逆剥ぎにしたりした。いたずらがあまりにひどいことに怒ったアマテラスは天岩戸と呼ばれる洞窟にお隠れになった。
太陽の神がお隠れになると世の中は、真っ暗闇になり、植物が全く育たなくなり、動物が病気になったりと大変なことが次々と起こった。
困った八百万の神々は天安河原に集まり、アマテラスに天岩戸から出てきてもらえる方法を相談した。相談の結果、天岩戸の前で色々な事が試されたがどれも成功しなかった。
そこで、天鈿女命【アメノウズメノミコト】が招霊の木の枝を手に持ち舞を始めた。その周りでは他の神々が騒ぎ立てた。
するとアマテラスは何事が起きたのかと不思議に思い、天岩戸の扉を少しだけ開けて外の様子を見ようとした。
神々は、騒いでいる理由をアマテラスに伝えた。「あなた様よりも美しく、立派な女神がおいでになったので今からお連れします」と言い、鏡でアマテラスの尊顔を写した。
アマテラスは、それが自分の顔だとは気づかないで、もう少しよく見てみようとさらに扉を開いて体を乗り出した。その瞬間を見逃さずに、思兼神【オモイカネノカミ】がアマテラスの手を引き、手力男命【タチカラヲノミコト】が岩の扉を開け放した。
こうして天岩戸からアマテラスに出て頂くことができたので、世の中が再び明るく平和な時代に戻った。
この件で、スサノオは、大いに反省し、高天原を離れた(追放された)後、しばらくしてから出雲國(現在の島根県)に行き、その地で八俣大蛇(ヤマタノオロチ)を退治したという英雄譚を残している。
天岩戸神社
天岩戸神社は、記紀の日本神話に記されている天照大御神がお隠れになった天岩戸と呼ばれる洞窟を御神体として祀っており、天岩戸神話の舞台となった場所である。
岩戸川をはさんで西本宮と東本宮が鎮座し、両社とも、天照大御神を祀っている。御神体である「天岩戸」は、西本宮から拝観することができる(要申込)。天照大御神が岩戸隠れした際、天鈿女命が手に持って踊ったとされるのが 招霊【おがたま】の枝であるが、境内にはおがたまの木がある。
川上には八百万の神々が集まって、相談したとされる大洞窟、天安河原がある。天安河原は、天岩戸神社西本宮から徒歩約10分のところにある。別名、仰慕ヶ窟【きょうぼがいわや】とも呼ばれる。いつの頃からか祈願する人たちの手によって石が積まれるようになり、神秘的かつ幻想的な雰囲気を漂わせている。
名 称 | 天岩戸神社 |
御神体 | 「天岩戸」と呼ばれる洞窟 |
御祭神 | 天照大御神 |
所在地 | 宮崎県高千穂町 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 天岩戸神社 |
あとがき
天岩戸神社は、日本神話に登場する天照大御神が隠れたとされる洞窟「天岩戸」を御神体としている神社である。
天岩戸神社は、岩戸川を挟んで西本宮と東本宮の二つの社殿から成り立っている。西本宮は、天岩戸を御神体とし、天照大御神が隠れた場所とされている。一方、東本宮は、天照大御神が天岩戸から出た後に最初に居を構えた場所と伝えられている。神職の案内により、岩戸川を隔てた遥拝所から天岩戸を拝むことができる(要予約)。
天岩戸神社の近くには「天安河原」という場所があり、ここは八百万の神々が集まり、天照大御神を岩戸から出すための相談をした場所とされている。
このように、天岩戸神社は、記紀に記された「天の岩戸神話」の舞台として知られ、多くの参拝者や観光客が訪れる人気スポットとなっている。
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