はじめに
禅昌寺【ぜんしょうじ】は、岐阜県下呂市に位置する臨済宗妙心寺派の別格寺班で、寺格は十刹である。山号は龍澤山【りょうたくざん】と称する。
禅昌寺は、享禄元年(1528年)または天文元年(1532年)に、飛騨国益田郡萩原郷の桜洞城主・三木直頼によって創建されたと伝わっている。三木氏の一族出身といわれる杲天宗恵を創建とし、大雄山円通寺の住持・明叔慶浚大和尚を開山として創建されたらしい。
禅昌寺の創建地については、桜洞城近辺説と現在地の中呂説があり、天文23年(1554年)に、後奈良天皇から「十刹」の綸旨が与えられたという「天下の名刹」である。
禅昌寺には見事な庭園「萬歳洞【ばんざいどう】」や勅使門などがある他、雪舟が描いたと伝わる「大達磨像」や樹齢1300年超とされる大杉もあっても見所が多い。本稿ではそんな禅昌寺の魅力を紹介したい。
禅昌寺
禅昌寺【ぜんしょうじ】は、臨済宗妙心寺派の別格寺班(禅寺)で、山号は龍澤山【りょうたくざん】と称する。御本尊は釈迦如来、観世音菩薩、薬師如来の三尊である。
禅昌寺の前身である「大雄山圓通寺」の創建は、1528年または1532年と伝えられており、いずれも今から約500年前頃となる古刹である。禅昌寺への寺号変更は1648年~1652年頃と言われている。
平安時代の創建であるため、建築物は中国宋朝の様式を伝えており、「天下の名刹」として威容を誇っている。
大広間には雪舟筆の大達磨像「八方にらみ達磨」の掛け軸が飾られている。
庭園「萬歳洞」
禅昌寺の境内には金森宗和が造園したと伝わる名勝指定の池泉鑑賞式庭園「萬歳洞」【ばんざいどう】もある。
金森宗和は、飛騨高山の出身の人で、桃山時代から江戸時代初期の武将・茶人で、大原三千院の庭園「聚碧園」や金閣寺の茶室「夕佳亭」には金森宗和の趣向が反映されているらしく、京都の文化に大きな影響を与えた人物であると伝えられている。
樹齢1300年超の大スギ
境内の端(観音堂の裏手)には樹齢1300年超の大スギ(国指定の天然記念物)が生育している。
この禅昌寺大スギは、樹高が約45m、幹周りが約9mもある巨樹である。樹齢が1300余りと言われてもピンとこないが、悠久の年月をこの地で過ごしてきたことに畏敬の念を抱いてしまう。
以上のようにごく一部を紹介しただけであるが、禅昌寺は見所満載の寺院であると言えよう。
名 称 | 禅昌寺 |
所在地 | 岐阜県下呂市萩原町中呂1089 |
拝観料 | 300円 |
拝観時間 | 8:30~16:00 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 禅昌寺|下呂温泉観光協会 |
あとがき
禅昌寺には初めて参拝したが、古刹・名刹の名に恥じない素晴らしい寺院であることを実感した。室町時代から続く趣深い古寺であり、その長い歴史を感じることができる。その長い歴史と、金森宗和が造園したと伝わる名勝指定の池泉鑑賞式庭園「萬歳洞」は印象に残る魅力の一つである。機会があれば、四季折々に変わるであろう自然の風景の変化を目にしたいものである。
禅昌寺には、雪舟描き下ろしの「大達磨像」が一般公開されており、その迫力ある表情と存在感は一見の価値がある。
また、禅昌寺には、樹齢1300年超を誇る大杉があり、その存在感は圧巻で、訪れる人々を感動させるはずである。
このように禅昌寺には多くの魅力があるが、その魅力は訪れる人それぞれによって感じる魅力は異なるかも知れない。むしろ異なっていて当然であるとさせ私は思う。是非、禅昌寺を訪れてみてその魅力をご自身の感性で感じ取って頂きたい。