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【神話に登場する神の社】猿田彦神社

はじめに

猿田彦神社【さるたひこじんじゃ】は、主祭神として下記の2柱の神を祀っている神社で、三重県伊勢市の伊勢神宮内宮の近くに位置する。

  • 猿田彦大神【さるたひこのおおかみ】
    • 日本神話「天孫降臨」の際、ニニギの道案内役を務めた
    • 道開きの神・導きの神
  • 大田命【おおたのみこと】
    • 猿田彦大神の子孫とされる神

猿田彦大神が天孫降臨の際に瓊瓊杵尊【ににぎのみこと】を導いた後、伊勢の地に鎮座したと伝えられている。それが猿田彦神社というわけである。

また、猿田彦大神の大田命が天照大御神を祀る地として五十鈴川川上の地を献上したとされている。それが伊勢神宮である。

猿田彦神社は、次のようなご利益があることで知られている。

  • 道開き:新しい道を切り開く力があるとされる
  • 交通安全:交通事故から守るご利益がある
  • 方位除け:方位に関する災厄を避ける力があるとされる

三重県内には、全国に約2,000社ある猿田彦大神を祀る神社の総本宮である椿大神社(鈴鹿市)も鎮座しており、猿田彦神社はその分社である。


<目次>
はじめに
猿田彦神社
あとがき

猿田彦神社

猿田彦神社【さるたひこじんじゃ】は、三重県伊勢市の伊勢神宮内宮の近くにある神社で、猿田彦大神【さるたひこのおおかみ】を主祭神として祀っている。

猿田彦大神は、「道を開く神様」として信仰されており、新しいことを始める際や道に迷ったときに参拝すると良いとされる。また、「交通安全の神様」としても知られており、車のお祓いや交通安全祈願が行われている。

猿田彦神社は、猿田彦大神が天孫降臨の際に瓊瓊杵尊【ににぎのみこと】を導いた後、伊勢の地に鎮座したと伝えられている。『倭姫命世記』によれば、その子孫の大田命が天照大神を祀る地として五十鈴川川上の地を献上したとされています

猿田彦神社は、由緒正しい神社で、代々猿田彦大神の直系の子孫が宮司を務めているという。

本殿は「さだひこ造り」と呼ばれる特殊な妻入造で、欄干や鳥居には八角形の柱が使用されている。八角形のデザインは、方位を意味するとされ、随所に見られる。

境内には、手で触れると願いが叶うという「八角形の石柱」や、方位除けのご利益がある「方位石」などのパワースポットがある。

境内には、摂社として佐瑠女神社【さるめじんじゃ】があり、天宇受売命(=天之鈿女命)【あめのうずめのみこと】を祀っている。天之鈿女命は、天照大御神が天岩戸に隠れた際に踊りを披露して神々を笑わせたことで有名な神様である。天照大御神が天岩戸から出るきっかけを作ったのはこの女神の功績が大きい。

天之鈿女命は、猿田彦大神の妻神であり、「芸能の神」として信仰されている。そのため、芸能やスポーツの上達を祈願する参拝者が多く訪れるという。

また、境内には宝船と白蛇を象った「たから石」があり、財運や幸運を祈願することができる。さらには、子宝に恵まれるという言い伝えがある「子宝池」もある。

猿田彦神社は、新しいことを始める際や道に迷ったときに参拝すると良いとされる神社で、その長い歴史と伝統から多くの人々に信仰され続けている。

名 称猿田彦神社
所在地三重県伊勢市宇治浦田2丁目1-10
TEL0596-22-2554
駐車場あり(有料)
Linkみちひらきの大神 猿田彦神社

あとがき

猿田彦神社の境内には庚申楠【こうしんくす】と呼ばれる御神木がある。このクスノキは、樹齢が700年以上と推定されており、樹高は約25m、幹周りは約6mもある巨樹である。

参拝者に強いエネルギーと癒しを与えている庚申楠は、庚申信仰の象徴として、そして猿田彦大神の御神木として大切に保全されている。

庚申信仰とは、中国の道教から伝わり、日本では平安時代に広まったと言われている。庚申の日には、三尸【さんし】という体内の虫が天に昇り、天帝に人間の悪行を報告すると信じられていた。そのため、庚申の日には徹夜で過ごし、悪行を防ぐための儀式が行われたという。

猿田彦神社のご神木のクスノキが「庚申楠」と呼ばれるのは、この庚申信仰と関連しているためとされる。庚申の日に関連する信仰や儀式が行われる場所として、このクスノキが特別な意味を持つようになったという。

クスノキは、特に庚申信仰と関連が深い樹木であるらしい。その理由は明確ではないが、クスノキは非常に長寿で、生命力の象徴とされ、古くから神聖視されてきた樹木である。また、クスノキには樟脳【しょうのう】という成分が含まれており、防虫効果がある。そのため、神社の境内に植えられることが多く、神聖な場所を守る役割を果たしてきたことも理由の一つかも知れない。

クスノキは非常に大きく成長し、巨樹としての存在感がある。巨樹は古代から信仰の対象とされてきた。御神木には巨樹が多いのはそれが理由となっている。クスノキは日本の歴史や文化に深く根ざしており、多くの神話や伝説に登場する。定かではないが、このように多くの理由が合わさり、クスノキと庚申信仰が結び付いたのかも知れない。

庚申信仰に関連する神社は全国に点在しており、それぞれの神社でも庚申楠や庚申塚を見ることができるという。例えば、京都市右京区にある「猿田彦神社(山ノ内庚申)」の境内にも庚申楠があるらしい。

猿田彦神社(山ノ内庚申)は、庚申信仰発祥の地とされており、「京都三庚申」の一つに数えられる神社であるという。他には八坂庚申堂や粟田口庚申堂(尊勝院)が知られている。

世の中に、庚申信仰なるものがあることを「庚申楠」のおかげで知ることができた。


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